とある英雄の学園生活
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第22話 入学式 中編
馬車に揺らて15分ほどで入学式が行われる武道館についたのだが
馬車の駐馬車場が渋滞していたため馬車から降りるのに5分ほどかかった。
「キラ様帰りの迎えは本当によろしいのですか」
「ああ、用事があるんで少し遅くなるし、セバスチャンもあまり俺たちばかりに構っている訳にいかないだろう」
「……お心遣い感謝致します」
セバスチャンは屋敷の執事なので業務がいろいろ忙しいのは知っている。2人の姉姫のこともあるし。
「帰りはタク馬車でも拾って帰るから」
タク馬車……ここ数年で広まったタクシーの馬車版だ。
「わかりました、お気を付けていってらっしゃいませ」
セバスチャンは一礼をし場車に乗り屋敷に戻った。
武道館入口付近は人で溢れている。
ここでアリスとはぐれたらやばいな〜などと思っていたら
ギュッ
俺の右側にいたアリスは俺の手を握ってきた。
「……」
アリスもはぐれることに不安があるみたいなのかもしれない。
俺はアリスの手を握り返し
「俺の手を離すなよ」
アリスの頬が紅くなり、
「うん」
うちの姫は可愛いな〜
(ロリコン)
腰に剣帯している炎の剣が何か言っているが気にしない。
なぜなら、俺はロリコンじゃないからな。
プラカードを持つ生徒が何人かいる。
その中に『王侯貴族科」の文字が見えたのでそちらに向かった。
プラカードを持つ生徒にアリスが王侯貴族科だと伝えると、受付まで案内してくれた。
受付場には3人ほど並んでいたので
「申し訳ございませんが順番に受付をさせていただいているので、後ろに並んでお待ち頂けますでしょうか」
「わかった」
順番はすぐに回ってきた。
「スミマセンがお名前とクラスと、あと生徒手帳の提示をお願いします」
「……」
「……」
何も言わないアリス。
アリスに笑みをしながら見る受付の生徒
アリスは恥ずかしいのか俺の背中に隠れてしまった。
受付の生徒は俺を見て
「あの……お名前とクラスを」
「すみません、この子は、アリス・シュタイン・イングランド。クラスは1-A俺は綺羅・一条です。普通科ですが見ての通りこの子の護衛騎士です。同じく1-Aです」
俺は2人分の生徒手帳を提示した。
「え、護衛騎士で普通科ですか」
「はい」
受付の生徒は俺が普通科なのでビックリしているみたいだ。
護衛騎士なのだから普通は騎士科だと思っていたみたいだ。
「アリス・シュタイン・イングランド様とキラ・イチジョウさんですね。はい確認させていただきました」
「クロネさん、アリス様とイチジョウさんを会場にご案内してください」
「わかりました。でわ、アリス様、イチジョウさんこちらにどうぞ」
「あの〜少しお聞きしてもよろしいでしょうか」
案内人のクロネさんが申し訳なさそうに聞いてきた。
「イチジョウさんはネイ理事長のご親戚なのですか?」
「どうして?」
「名前が同じですし、イチジョウさんのお名前は珍しいので」
どうする正直に答えるか。
でも正直に答えてもめんどくさそな気がするし。
「ええ、そんな感じです」
これが無難な答えだろう。
「そうですか……失礼しました。つい気になってしまったので」
「いえいえ」
その後は一言も会話なく案内された。
案内された場所は館内の最前列の真ん中だった。
両隣の席はまだ空席だ。
「あと20分ほどで始まりますのでそれまでお待ちください」
「ああ、案内ありがとう」
一礼しクロネさんは会場から出て行った。
「アリス、受付の時のあの態度はだめだよ」
「……」
下を向くアリス。
ちょっと可愛そうだがちゃんと言ってあげないと。
「あの時はアリスが聞かれているんだからアリスが答えないと」
「だって……その、はずかしいし」
「自分の名前が恥ずかしいの?」
「ちがう、知らない人と話すのが恥ずかしくて」
「恥ずかしがっていたら友達もできないよ」
「え?どうして」
「最初はみんな知らない人なんだよ。知らない人だからって話しかけられて何も言わなかったら友達なんてできるはずないだろう」
「……」
さらに落ち込むアリス。
「そんなに落ち込まない。少しづつでいいから恥ずかしがらないように頑張っていこう。俺もちゃんとフォローするから」
「うん!」
アリスの頭を撫でてあげると俺を下から見る目線で微笑んだ。
グハッ!
なんて破壊力のある目線をするんだ。
(……ロリコン)
イフリートが皮肉につぶやく
俺はロリコンじゃねぇ!
10分後両隣の席も埋まった。
右側の席の子はアリスと同じぐらいの年齢の男の子で護衛をしている騎士は年齢は20代の目つきがキツイ綺麗な女性で、左側の席は俺と同じぐらいの年齢のふくよかな女性で護衛をしている騎士は少し幼く頼りげがない感じの男の子だ。
俺は軽く会釈だけをした。
「只今より第20回学園都市入学式を始めます」
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