真似と開閉と世界旅行
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到来〜
前書き
原作ブレイクってレベルじゃねぇぞ!?・・・ではどうぞ。
俺達はノエルに頼み、エルドラントに近づくよう言ったが・・・
「・・・これ以上は近づけません。プラネットストームの防御壁を突破するのは不可能です!」
「ってことは、プラネットストームがある限り、近づけないってことかよ・・・」
「仕方ありません。グランコクマへ行きましょう。軍本部にホドの情報が保管されています」
「わかった。だけど本当にレプリカ大地だとしたら、どうしたらいいんだろう」
「さあな・・・とにかく行こうぜ」
俺達はグランコクマに降り、軍本部に向かうが・・・途中、俺の体に異変が起きた。
「う・・・!?」
突然視界が揺れ、膝を着く。
「咲さん!?」
撫子と黒羽が俺を覗き込む。
「なん、だ・・・?急に・・・目眩が・・・」
ドクン
「ぐっ・・・」
闇が安定しない。暴走する程ではないが・・・
「・・・もしかしたら、障気のせいかも知れませんね」
ジェイドが言う。
「障気・・・が?」
「ええ。闇の源が“負”なら、障気も負の存在です。・・・知らず知らずにあなたの闇は障気を引き寄せていたのではないですか?」
「・・・いや、どっちかと言うと、俺の闇が引っ張られる感じだな・・・」
目眩も収まり、俺は立ち上がる。
「おい、平気か?」
知也の言葉に頷き、答える。
「・・・だけど、顔色が悪いな。サキ、休んでた方がいいんじゃないか?」
ルークが心配そうに声をかけてくるが・・・
「いや・・・俺だけ休んでる訳にもいかないからな・・・」
「なら、せめて室内にいた方がいい。サキはピオニー陛下に知らせてくれないか?俺達は軍本部に向かってから行くぜ」
「・・・わかった」
ガイの提案を受け入れる。
「では、撫子、黒羽、知也。サキに着いていって下さい」
「はい」
「「ああ」」
俺達は別れ、ピオニー陛下の元に向かう・・・時だった。
『聞け!預言を忘れし愚かな人類よ!』
いきなり声が響き渡る。この声・・・!
「モースの声か?」
『我が名は新生ローレライ教団の導師モースである。ひゃは、ひゃはははっ!今や世界は魔界に呑まれ、障気に包まれ滅亡しようとしている。それは何故か!キムラスカとマルクトが始祖ユリアの預言を蔑ろにしたためだ』
その後、モースはキムラスカやマルクトを批判し続け、預言通りの世界が正しいと述べた。・・・これは・・・
「不味いですね・・・」
「ああ。間違いなく市民は混乱する」
「そしてそれが何れは暴動に繋がる・・・か」
ピオニー陛下の元に到着し、しばらく話した時・・・ルーク達がやって来た。
「色々話しは聞いた。・・・ホド諸島の一部が消滅したとか」
「(・・・なんだよ、それ)」
「(推測ですが、エルドラントの周囲の第七音素同士で超振動が発生したのだと思われます)」
その話はルークの頭を悩ませる。
「さっぱり意味がわかんねぇ・・・」
「つまり、レプリカ大地が誕生すると、超振動が起きて被験者の大地が消滅してしまうのよ」
「じゃあ止めないと大変なことになるじゃないか!」
「レプリカ大地を作っているフォミクリー装置はどこにあると思う?」
「エルドラントでしょうね。大地の情報を抜き取るには相当の時間がかかります。今ならまだ食い止められる」
「貴公らに任せていいか?我々には空を飛ぶ術がない」
「もちろん、やれるだけのことを致しますわ」
「地上の警戒はマルクト軍で行おう」
「我がキムラスカも協力致します」
そして、タイミング的にもちょうどいいので、預言のことを話す・・・預言会議について説明する。
「・・・よし、承知した。何時でも日程を空けよう。場所はダアトで構わないのか?」
「はい。それがいいと思います」
「インゴベルト陛下は事情をご存知だから、次はテオドーロさんに確認だな」
「ええ。ユリアシティに行きましょう」
外に出ると・・・
「ここにいたのか・・・」
「ラルゴ・・・!!」
「ようやくのご登場ですのね。会いたくはありませんでしたけれど」
「ははは。そういやなことを言うな。アリエッタはチーグルの森でお前達を待つそうだ」
「アリエッタ・・・本気で決闘する気なんだね」
「僕たちの森で戦うですの?」
「どうして・・・」
「・・・ライガクイーン」
俺はポツリと呟いた。
「そうだ。あの森はアリエッタの母親が亡くなった場所だからな」
「立会人はあんただったよね」
「アリエッタが負けたら、次はあなたが相手という訳ですか」
「俺は立会人の仕事しかせんよ」
・・・ラルゴは不敵な笑みを浮かべる。
「それにアリエッタが負けるとは思っていないのでな」
そう言ってラルゴは去っていく。
「・・・よーし。じゃあアリエッタの奴に引導を渡すか」
「アニス・・・無理、してるんじゃないか?」
「そうだぜ。大丈夫か?」
俺とルークの言葉にアニスは返してくる。
「・・・サキはともかく、ルークは他の人に気を使った方がいいんじゃないの?」
「誰に?ナタリアか?」
「この間から、すっごい傷つけてるの気づいてないんだ」
「そういうとこは成長してないからな」
「なんだよ、はっきり言えよ!」
「その内にな」
・・・俺達はチーグルの森へ向かう。
『咲さん・・・いいんスか?』
「・・・いい訳ないだろ。決闘なんて・・・必ず、アニスかアリエッタが死ぬ」
『じゃあ、どうするッスか?あえて決闘を受けないで、恨みを持たせ続けるのはアニスさんが・・・』
「それは本人が否定している。・・・俺は、真相を伝えたい」
『でも・・・』
「混乱するかもしれない。もしかしたら壊れてしまうかもしれない。けど・・・」
『咲ィィィィッ!!』
『亮ォォォォッ!!』
頭によぎるあの争い。
「それでも・・・真実を伝えて・・・俺は・・・」
『サキ・・・アリエッタに伝えてくれませんか・・・“騙していて、すみませんでした”・・・と』
「・・・イオンの最後の言葉を伝えなきゃいけないんだ」
『・・・』
そしてチーグルの森・・・
「みんなはここで待ってて」
「・・・アニスさん、まさか一人で・・・」
「うん、これは私の問題だから・・・」
「違う!」
アニスをルークが止める。
「イオンは俺達の仲間だった。イオンのことなら俺達の問題だ。・・・それにアニスだって仲間だろ」
「・・・私が?ずっとみんなを騙してたのに?」
「それは仕方がなかったのでしょう?」
「アリエッタには魔物の友達がついている筈だ。アニスには俺達がついていかないとな」
「イオン様は私の身代わりになってくださった。決闘なら、私も行くべきだわ」
「やれやれ。仲間・・・という言葉が正しいかどうかはわかりませんが・・・まあ、腐れ縁であることは認めますよ」
「大佐らしい言い方」
「私達だって、アニスさんを仲間と思っています」
「仲間の仲間はまた仲間・・・ってな」
「狙い撃つ相手が同じなら、仲間って言葉もあながち間違いじゃないのかもな」
「アニス、俺には・・・やらなきゃいけないことがある。だから俺も行く、行かせてくれ」
「・・・うん。わかった。みんなにも着いてきてもらう」
「よし、決まりだな」
そのまま森の中心部まで進む・・・いた。アリエッタだ。
「・・・待ちかねた、です!」
「・・・やるならとっとと始めようよ」
アリエッタはライガに跨がり、アニスもトクナガに乗る。
「ライガ!」
ズガン!
ライガの雷が俺達とアニスの間に落とされ、間が開く。
「みんな、来て!」
そして俺達を囲むように魔物の群れが現れる。
「アニス!奥で一騎討ち!」
「・・・いいよ!相手してあげる!」
「ま、待て、二人とも・・・!うわっ!?」
ライガの一撃がルークを掠め、アリエッタ達は奥へ姿を消す。・・・くそ!
「咲!お前は行け!」
知也がトリガーマグナムとメモリを二本取り出す。
『アサルト!サイクロン!マキシマムドライブ!」
「吹き飛ばす!トリガー、アサルトサイクロンバースト!!」
ズバババババ!!
まるで雨のように打ち出された風が道を切り開く。
「今だ!!」
俺は間を抜けるように走る。すぐに隙間は塞がれ、背後の様子は不明だが・・・
「(止まる訳には・・・いかねぇ!)」
走る。ただ走る。・・・だが、どうやら俺の身体は空気を読んじゃくれないようだ。
ドクン
「ぐぅ・・・!」
よろめき、膝に手を置く。・・・たった一瞬、ほんの数秒意識が逸れたことで俺は背後の殺気にも、リパルの声にも反応することをできなかった。
『咲さん!後ろッス!!』
「な・・・」
ドスッ・・・
「ーーーー!?」
「・・・随分とあっさりね」
「・・・え、い・・・?」
振り返った視線のすぐ下に・・・詠がいた。ただ、一瞬何故だか理解ができなかった・・・彼女は・・・
「・・・ごふっ・・・」
自らの剣で、俺を貫いていた。
「・・・はぁ!」
ガン!
「がっ・・・」
蹴り飛ばされ、同時に剣も引き抜かれて俺は倒れる。
「運良く一人になってくれてよかったわ。ヴァン総長にはアンタを殺せって言われたから・・・」
詠は不気味な笑みを浮かべる。
「・・・いつ殺せるか、待ちかねていたわ」
「ぐ、え・・・い」
「・・・ふん」
ドンッ!
「ぐぁ・・・!」
傷を深くするかのように、詠は傷口を踏みつける。
「く・・・そ!」
詠を払いのけ、闇を集めようとするが・・・
「それは使わせないわよ!」
ヒュオン!
「・・・っ!」
素早く詠が肉薄し、二本の剣を振るってくる。避けることに意識を回したせいで、闇が四散する。
「くっそ・・・!だったら!」
空間から武器を出そうとした瞬間・・・
「フリーズランサー!」
ズシャア!
「ぐわぁぁぁ!?」
氷の槍が腕を貫き、背後の木に縫い付けられる。
「みすみす能力を使わせると思った?」
不味い・・・不味い不味い不味い!手の内を読まれている!亮と違い、俺には戦闘の際に若干のタイムラグがある。武器を取り出したり、闇を使用するタイムラグが。アニスから得た情報を詠は的確に生かしている。どうする・・・どうすーーーー
ズル・・・
「随分と余裕ね」
胸元に、剣が刺さっていた。
「が、ぁぁぁぁ!?」
ズル・・・ズル・・・
徐々に剣が埋まっていく。
「ほら・・・さっさと死になさい!」
死ぬ・・・死ぬ、のか・・・?詠は右手に持った剣を振り上げる。
「流石に首を落とせば死ぬわよね?」
ああ・・・死ぬのか。こんなにアッサリと。・・・不意に視線を落とした時、剣を握る詠の指が視界に入った。
「あ・・・」
それは、俺がプレゼントしたあの指輪。
「そう、だ・・・」
『・・・これ、大切にするわ』
『ああ。似合ってるからな。・・・大切にしてくれ』
「約束・・・したもんな」
俺は左手を異形に変化させ、無理矢理腕を動かし、氷の槍を引き抜く。
「なっ!?」
更に一撃を放ち、詠を吹き飛ばす。
「約束したんだ・・・!詠、お前とずっと一緒にいるって!思い出してくれ、詠!俺との・・・約束を!あの花火の下でした約束を!!!」
「・・・約、束」
・・・その瞬間、詠に異変が起きた。
「約束・・・?ボク・・・私・・・違う・・・私は、六神将の・・・董卓・・・あ、あぁぁ・・・ワアアアアアアアア!!!」
詠は絶叫し、頭を抱えながら飛び去ってしまう。
「詠!?詠ーーーッ!!」
『咲さん!今は・・・』
リパルの言葉で我に戻り、右腕にも刺さった氷を引き抜きながら奥に進む。・・・そこには・・・
「アニスがイオン様を殺した!殺したんだ!」
「そっちだってタルタロスのみんなを殺したでしょ!こっちもみんなの仇だよ!」
アニスとアリエッタはお互いに防御を考えず、ただ全力でぶつかり合っていた。
「アニスなんか・・・死んじゃえ!」
「決着・・・つけるよ!」
そして二人に大量の音素が集まる。
「荒れ狂う殺劇の宴・・・!」
「いなくなっちゃえ・・・!」
「・・・!」
考えている暇はない。俺は闇を集中させ・・・走り出した。
「殺劇舞慌拳!!」
「イービルライト!!」
開閉能力は間に合わない。見たところアニスは近接、アリエッタは遠距離の秘奥義だ。距離を開いたら、アニスが死んでしまう。なら・・・
「閉じろ!」
閉じたのは・・・“俺”と“二人”の距離。俺は二人の間に割り込み・・・
ズガァァァァン!!!
「・・・え?」
「どう、して?」
俺は・・・二人の秘奥義をまともに喰らった。
「ぐ・・・ぅ・・・」
膝をつき、倒れそうになるのを手をついて耐える。
「サキ!?どうして・・・」
「サキ!?サキ!?しっかりして!」
ライガから飛び降りたアリエッタが駆け寄ってくる。・・・俺は朦朧とする意識に耐えながら、アリエッタの肩を掴む。アリエッタは今までの真っ黒な服ではなく、白を基準とした決闘装束を見にまとっていた。だからこそ、アリエッタの服に俺の血が目立つが・・・
「アリエッタ・・・俺は・・・俺はお前に伝えなきゃならないことがある・・・」
「サキ!まさか・・・」
アニスの言葉に返事をする余裕はなかった。
「あの時・・・あの時俺がいなくなったのは・・・」
俺は話す。ヴァンが俺を斬ったこと。アリエッタを利用していたこと。アニスは両親を人質にとられていたこと。そして・・・アリエッタが慕っていた被験者イオンは二年前に亡くなっていることを。
「そん、な・・・」
アリエッタの瞳から光が消え、その場に座り込んでしまう。
「イオン様は・・・もう・・・死んでた・・・じゃあ、アニスと一緒にいたイオン様は・・・」
「・・・レプリカだ。導師イオンの・・・な」
「嘘・・・嘘だ・・・」
「アリエッタ・・・」
「そんなの・・・イオン様が死んでたなんて・・・嘘・・・」
「嘘じゃない・・・真実、なんだ」
「じゃあ、わたしが導師守護役を解任されたのも・・・」
「記憶の矛盾・・・いや、それ以前にレプリカとバレない為の保険・・・」
「あ、ああ・・・」
「・・・」
「いやぁぁぁぁ・・・!!」
アリエッタが泣き叫ぶ。
「じゃあ、じゃあ・・・わたしは、わたしは・・・!ずっとみんなに騙されて・・・サキがいなくなったのも、イオン様がいなくなったのも全部・・・!」
「アリエッタ・・・」
アリエッタは俺の手を振り払う。
「もうやだ!誰も・・・誰も信じられない!!」
・・・こうなることは予想できた。ここからは言葉のミスは許されない。
「アリエッタ!」
「・・・っ!」
「どうして・・・どうしてお前が導師守護役を解任させられるだけだったか・・・分かるか?」
「え・・・?」
「ヴァンなら・・・アイツなら、目的の障害になりそうな者は排除するだろう。だけど、そうしなかったのは、被験者イオンが頼んだからじゃないか?」
「イオン、様が・・・」
「導師守護役解任を言い渡したのも導師なら、きっとアリエッタの助命を言い渡したのも導師の筈だ」
「どうして・・・」
「少なくとも・・・被験者イオンは、アリエッタに“生きて”欲しかったんじゃないか?」
「生きて・・・」
「もし導師なら、きっと自分が死ぬ定めを知っていたんだろう。だからこそ・・・自分が生きられなかった世界をアリエッタに生きて欲しかったんじゃないか?」
「・・・イオン様・・・」
「・・・それに、レプリカのイオンからも伝言がある。“騙していて、すみませんでした”・・・って。アイツも・・・最後の時もアリエッタのことを気にかけていた・・・」
「・・・う・・・」
「・・・だから・・・」
「でも・・・でも!ルーク達はママを殺した!それだけは・・・それだけは変わらない!!」
「・・・」
その時だった。俺の背後から・・・ライガクイーンが姿を現した。
「・・・え・・・?」
アリエッタの目が見開かれる。
「ライガクイーン!?」
アニスも驚いているようだ。
「ライガクイーンは死んじゃいない・・・だから、お前は俺達と戦う理由はないんだよ」
「え・・・え・・・」
アリエッタの思考は追い付いていないようだ。・・・当たり前か。俺だって混乱するだろう。
「・・・なあ、アリエッタ」
「・・・」
「また・・・みんなと再開できたな」
ライガにライガクイーン、そしてアリエッタと俺・・・
「あ・・・ああ・・・」
アリエッタの目に涙が溜まる。
「ずっと言えなかった、言葉を言わせてくれないか?」
「サ、キ・・・」
俺はアリエッタの頭に手を乗せる。
「ただいま、アリエッタ」
「・・・う、ぁぁぁぁ・・・!!わぁぁぁん・・・!!」
アリエッタは泣きながら俺に抱き着いてくる。
「アリエッタ・・・お前は・・・どうしたい?」
「離れたくない・・・ずっと、ずっとみんなと一緒にいたい!もうサキと・・・敵対したくない!」
「・・・そうか」
「・・・やれやれ、困ったな」
ずっと隅で様子を見ていたラルゴが近づいてくる。
「結果を報告しなければならんが・・・このままじゃ俺はアリエッタを裏切り者と報告しなければならなくなる」
するとラルゴは大鎌を取り出す。
「・・・っ、貴様・・・!」
「どけ、小僧」
「退くかよ!もう目の前で・・・俺の家族はやらせねぇ!」
だが・・・流石に限界を越えていたようだ。立ち上がろうとした瞬間・・・俺は地に伏していた。
「あ・・・ぐ・・・」
「サキ!?・・・やめて、サキに手を出さないで!」
「なら大人しくしてるんだな」
アリエッタに大鎌が突き付けられ・・・
「やめろ・・・やめてくれ・・・!」
アニスも間に合わない。そして・・・
シャキィン!
「・・・え?」
アリエッタが唖然とする。ラルゴの手には・・・半分ほど切られたアリエッタの髪があった。
「遺体は音素乖離したと報告すればいいだろう」
「ラルゴ・・・どうして?」
「もうお前は六神将の妖獣のアリエッタじゃない。そこの小僧の家族だ。・・・あばよ。せっかくの幸せを捨てんなよ」
「待て!」
ルーク達が走ってくる。・・・どうやら全員無事みたいだ。
「・・・お前はいいのか・・・バダック」
ルークがその名を呼ぶ。
「・・・その名はとっくに捨てたよ。妻の眠るバチカルの海にな」
ルークがロケットをラルゴに渡す。
「なるほど。お前が拾っていたのか」
「名乗らないのか?」
「名乗ってどうなる?敵は敵。それだけのことだ。坊主は甘いな」
ラルゴは背を向ける。
「次に会う時はお前達を殺す時だ」
ラルゴの姿は森林へと消えていく。
「ルーク。どういうことですの?」
「ごめん。今は話せないんだ」
「・・・それなら、何時かは話して下さいますのね」
「・・・ああ。必ず」
その時、ルークの表情が固まる。
「ら、ライガクイーン!?」
「・・・!」
ジェイドが身構える。
「待て・・・ジェイド・・・!」
俺はジェイドを止める。
「ライガクイーンに争う意思はない・・・そうだろ?」
ライガクイーンは“そうだ”と返してくる。そして更に・・・
「ライガクイーンは・・・チーグルとの共存を望んでいる。・・・全て、謝罪すると言っているよ」
「みゅうう・・・悪いのは僕ですの。ごめんなさいですの」
「ぐるるる・・・」
「『気にしてない』ってさ。・・・代わりにチーグルの長と話がしたいって・・・」
「わ、わかったですの!」
俺は意識を失いかける。
「悪い・・・限界、みたいだ・・・休ませて・・・も、ら・・・」
俺は目を閉じる。・・・まったく・・・この世界に来て・・・一番のダメージ・・・だな・・・
後書き
リョウ
「へぇ・・・やるじゃん」
サキ
「ああ・・・なんてか、アリエッタは死なせずに済んだ」
リョウ
「原作じゃここで死ぬもんな」
サキ
「そうなったら本当に嫌だな・・・それじゃ、次回も楽しみに待っていてくださいっと」
リョウ
「また次回会いましょう!」
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