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万華鏡

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第五十一話 文化祭開幕その十

「桃かマスカットやろ」
「蜜柑とかじゃ」
 宇野先輩はあくまでこっちだった。
「あの甘酸っぱさでお酒をすっきりさせてくれるじゃろが」
「ちゃうわ、桃の甘さかマスカットの爽やかさでや」
「酒の気を抜くっちゅんじゃな」
「そや、それがええんやないか」
「ちゃうわ、ぶちわかっとらんわ」
 宇野先輩の言葉はいよいよ広島の度合いを深めていっている。
「そんなん全然あかんけえのう」
「そやからな、蜜柑やなくて」
「酒に桃が合うけえ」
「最後に食べるんや」
「そこが違うんじゃ」
「どう違うねん」
 二人のやり取りは千日戦争になっていた、その話を聞いていて五人は呆れた顔でこうそれぞれ話すのだった。
「どっちかって言えないわよね」
「そうよね、先輩達の主張ってね」
「私達は私達で違うから」
「お酒の後のデザートってな」
「あまりね」
「アイスとかがいいわよね」
 琴乃はここでこれを出した。
「そうよね」
「アイスなあ、いいよな」
 美優も琴乃の言葉に頷いて返す。
「冷たさで酒がぱって醒めてな」
「そうでしょ、いいでしょ」
「とびきり甘くて冷たいのな」
「それがいいのよね」
「かき氷もいいわよ」
 景子はこれを出した。
「水分補給にもなるし」
「苺?レモン?」
「どっちだよかき氷だと」
 琴乃と美優は景子の言葉にそのかき氷の種類を問うた。
「私は苺がいいと思うけれど」
「あたしもな」
「やっぱり苺じゃないの?」
 景子は腕を組んで二人にこう答えた。
「かき氷だと」
「そうよね、苺が一番よね」
「あの甘さがいいよな」
「それもお酒の後はね」
「苺の甘さが一番刺激があってな」
 いいというのだ、このことは三人共同じ意見だった。
 その話に里香も入って来た、彼女が言うには。
「苺にね、ミルクをかけるのは?」
「ああ、白ね」
「そうすると余計に甘くなるよな」
「金時だと日本酒の時に合わないけれど」
 里香は日本酒のケースも念頭に置いて話すのだった。
「ミルクだとね」
「うん、まだいけるしね」
「焼酎の時だってな」
 琴乃と美優もここで話す。
「ミルクだとね」
「意外といけるんだよな」
「うん、言われてみればね」
 景子もここで言う、里香のその言葉に頷きつつ。
 さらに飲み食べているとだ、彩夏も加わって来た。今はカップうどんを食べてそれで焼酎を飲んで言うのだった。
「かき氷、苺は最強よね」
「そこにミルクもあればね」
「練乳ね、いいわよね」
「そうよね、けれどね」
 里香はここで寂しそうにこのことを言った。 
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