万華鏡
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第五十一話 文化祭開幕その九
「やるから」
「それがいいわね、どっちも全力を尽くして」
「ええ、それで里香ちゃんはどうするの?」
「私ね」
「そう、どうするの?」
「私もね」
里香もだとだ、彼女は琴乃にこう答えた。
「実は迷ってたのを」
「どちらをメインにしようか」
「そう、考えていたけれど」
琴乃の言葉を聞いてだ、それで決めたというのだ。
「どっちにもね」
「全力を尽くすのね」
「そうするわ、皆と一緒にね」
一つは自分のクラスメイト達、そしてもう一つは。
「琴乃ちゃん達ともね」
「わかったわ、それじゃあね」
「ええ、一緒にね」
「頑張ろうね」
こう話すのだった、二人で。
そのうえで里香は塩焼きそばを食べ終えた、それからだった。
琴乃が食べているソース焼きそばを見てこう言った。
「次はそれ食べようかしら」
「ソース焼きそばね」
「そう、それね」
それを食べようというのだ。
「そうしようかしら」
「いいんじゃない?」
それでだとだ、琴乃も答える。
「それじゃあね」
「そうね、それじゃあね」
「交代になるけれど」
「それも面白いしね」
「それじゃあね」
こう話してだった、ソース焼きそばを食べ終えた琴乃も。
塩焼きそばを手に取った、それでこう言ったのだった。
「私もこれにするから」
「それじゃあね」
焼きそばを交代して食べてそれで楽しむのだった。五人もまた今はそれぞれのカップ麺と酒を楽しんでいた。
そして焼酎を飲む、その時に。
高見先輩が琴乃達にこう言って来たのだった。
「ねえ、いい?」
「はい、何ですか?」
「どうされたんですか?」
「お酒の後だけれど」
「お酒の後ですか」
「どうするかですか」
「何を食べる?」
言うのはこのことだった。
「デザートは」
「ええと、そう言われましても」
「ちょっと」
五人共だ、高見先輩の言葉に困った顔で返した。
「一概に言えないんじゃ」
「どうも」
「桃かマスカットよね」
先輩はむっとした顔になって五人にこう言って来た。
「そうよね」
「それ岡山ですよね」
「先輩の実家のある場所ですよね」
「桃もマスカットも」
「名産ですよね」
「やっぱり一杯食べた後のデザートはね」
何かとだ、高見先輩は力説するのだった。
「どっちかよね、けれどこいつはね」
「何じゃけえ」
高見先輩は宇野先輩を指差す、宇野先輩は出来上がった顔で広島弁丸出しで返してきた。もうかなりだ。
「うちは柑橘類じゃけえ」
「だからちゃうわ」
高見先輩はここで一杯飲んだ、それで出来上がって関西弁になって言うのだ。
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