とある英雄の学園生活
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第19話 ドイツ帝国第1皇子 イオリ・クサナギ後編
俺を睨んでいる親友草薙遼の息子イオリ
親の敵を見るような目で俺を見なくてもいいじゃないか。
イオリは俺の横で怯えているアリスを見て表情が変わった。
「おまえはもしかしてアリスか?」
アリスは無言で頷いた。
「そうか、アリスなのか!大きくなったな」
イオリはアリスの頭を撫でようとしたら
ビックリしたのかアリスは俺の腕にしがみついてきた。
「……」
アリスに拒まれてショックを受けているイオリ。
「アリス、オレだ、イオリ・クサナギだ。覚えていないか?」
イオリは自分で自分を人差し指で指しアリスに必死にアピールしているが
アリスは首を横に振るだけだった。
「ほら、アリスがまだ小さい頃一緒に遊んだドイツのイオリ・クサナギだよ」
「知らない……」
アリスの一言に、イオリはよろよろとふらつきテーブルに手をついて体を支えた。
「イオリ様、アリス姫が1歳か2歳の時に1度か2度しか会っていない方を覚えているはちょっと無理があるのでわ」
セシリアは苦笑いしながらイオリに語る。
「そんなことはない!俺は覚えているんだ」
何を言っているんだ
……あ、そうか、こいつバカだ。
ギロッ
俺を睨むイオリ
「貴様、今失礼なことを考えてなかったか」
「いえいえ」
俺は横に首をふる。
チッ!感のいいやつだ。
自分を思い出してもらおうと必死でアピールするイオリ。
だがアリスは思い出せずただ俺の腕にしがみつき首を横に振るだけだった。
「ふうー」
思い出してくれないアリスにため息をするイオリ。
「アリスも学園都市の生徒になるんだったら俺が卒業するまでは一緒だから徐々に思い出すだろう」
1歳か2歳の時の記憶などそうそう思い出せるものではないんだが。
前向きなところはいいことだよ。
うんうん。
「ところでセシリア、アリスの護衛騎士として戻ってきたのか」
「いいえ、姫達を学園都市まで護衛しただけで、明日にはイングランドにもどります」
え……セシリアは明日帰るのか、知らなかった。
不思議そうにしている俺に、
「大尉たちには伝えていたと思いますが」
え、うそ、ホントか。
イフリートとシヴァを見ると
「出発の前日の晩餐会で言ってたじゃない」
「言ってましたよ」
あれ?俺が聞いていなかっただけか。
セシリアと別れるのはさみしいな。
いろいろ世話になったし、なにより頼りになるからな。
30年後のこの世界で起きたことなどいろいろ教えてくれたのがセシリアだった。
セリアも自分が教えると言っていたのだが彼女はいろいろと忙しく時間がなかった為渋々娘のセシリアに頼んだそうだ。
実年齢なら俺の方が年上なのだが、俺の精神年齢や見た目は18歳なので、23歳のセシリアは綺麗な年上の頼りになるお姉さんなのだ。
だから明日で別れるのはかなり寂しい。
「じゃあ護衛騎士はそこの弱そうなやつか?」
イオリは俺を指差し失礼なことを言いやがった。
「あはははははは」
「クスッ」
2人の魔人は笑ってやがる。
セシリアも苦笑しつつ
「はい、この方がアリス姫の護衛騎士をされます、キラ・イチジョウ大尉です」
弱そうなを訂正してくれないのか、セシリア
「キラ・イチジョウだと」
「はい、私たちの父、母と共に戦った英雄キラ様です」
イオリとイオリに付き添っていた騎士、ついでにウェイトレスがボーゼンとしている。
「キラ・イチジョウだ。よろしく、遼の息子」
「……」
弱そうなと言ったことは聞かなかったことにしよう。
俺も大人だし。
俺は手を差し出し握手を求めたのだが
「ロイ、他の店に行くぞ」
「ハッ」
「アリス、今度一緒に食事でもしよう」
アリスに優しい言葉をかけ、イオリ達はそのまま店から出て行った。
握手を求めた俺のこの右手は無視ですか。
「大尉、イオリ様にもいろいろありまして多分大尉のことをあまりよく思っていないのかもしれません」
あの態度を見れば俺い対してなにかあるんだろう。
「ん、まあこれから一緒の学園で学ぶわけだし、そのうちなんとかなるだろう」
遼の息子なんだから仲良くしたいんだが、今度会った時にでも聞くか。
「さて、そろそろ俺たちも行くか」
ウェイトレスにサインを求められたが、丁重にお断りをし店を出た。
その後、レストランでの一件を忘れたかのようにアリスは楽しみながら街を観光した。
日が沈む頃には、疲れ果てたアリスを背負いながら屋敷に向かった。
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