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緋弾のアリア 一般高校での戦い

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第8話 登校初日の夜に

 
前書き
少し予定していたのよりも投稿が遅くなってしまいました。すいません。
あと、話のタイトルが相変わらず酷い。 

 



 一般高校へ転校しての最初の晩。
 久しぶりに婆ちゃんの和食を食べ終えた俺は、明日の為に風呂へ入りに行く前にかなめの部屋へ向かった。
(……どうもあれから様子がヘンなんだよな。かなめの奴)
 爺ちゃんからヒステリアモードの事を聞いた後、ご飯を食べたと思ったらすぐに部屋へ行ってしまった。
 多分……というか確実に様子がおかしくなった理由は、爺ちゃんに言われた『女性版の強くなるヒステリアモード』のことで間違いないだろう。
 かなめ――ジーフォースは少し前まで、俺と交互にヒステリアモードになれる『双極兄妹(アルカナム・デュオ)』と言われた最強の兄妹になろうとしていた。
 しかしその兄妹へはなれなかった――なぜならかなめのヒステリアモードは『弱くなる』もので、『双極兄妹』は机上の空論に過ぎなかったのだ。
 けれどかなめは今、爺ちゃんによって己の中に『強くなる』ヒステリアモードがある事を知ってしまった。
 知った後、ご飯の時は必死にいつも通りふるまっていたが……明らかに様子がヘンだった。
 今日初めて会った爺ちゃんや婆ちゃん、それにレキには分からないかもしれなかったが……十月の末からかなめが現れて、それからずっと一緒に家で生活していたせいか、俺にはそのわずかな変化も分かってしまったのだ。
 分かってしまったからには、むやみに無視することもできない。あれでも俺の妹だからな。
(……分かったのには、かなめが妹だってことも関係してるだろうけどな)
 これがアリアや白雪の様子とかだったら確実に分からなかっただろう。……あいつらはいつもヘンだしな。
 ――と、かなめのおかしくなった理由を整理している間に、かなめに今日新しく用意されたの部屋の前に到着。
「おい、かなめ。いるかー?」
 部屋の扉にノックして一応部屋にかなめがいるかを確認するが……返事がない。
「……かなめ? いないのかー?」
 再度ノックをするが、これまた返事なし。
 いないのか? と思い部屋を去ろうとしたが……
 ――ウォーン……
 というヒーターらしき音が、かなめの部屋から聞こえてくることに気づく。
「かなめー。いるんなら入るぞー」
 そう声をかけ、一応数秒待ってから――うちはほとんどの部屋にカギがついていないので――扉を開ける。
 するとそこには――
「なっ!」
 真っ暗な部屋の中、ヘッドフォンをしながら用意された学習机の椅子に胡坐(あぐら)を書きながらテレビを見ているかなめの姿があった。
 ただし――
(――な、なんて恰好してるんだっ!)
 少し大きめの黒のタンクトップと、暗くてテレビの灯りのみで色までは確認できないがシマシマした柄の下着を下に穿()いているだけだった。
 部屋はヒーターであったまっており、そんな恰好でも寒くはなさそうだ。
 そんなかなめの姿と――テレビに集中しているのか俺に気づいておらず、いつもは見れないかなめの無防備な表情が相まって――
 ――ドクンッ……!
 俺の中の例の血流が、昼間の時よりも強く始まりそうになる。
 や、ヤバい……!
 実の妹の部屋で過ごしている姿を見てヒスるとか、マジでシャレにならん!
 た、確かにここはかなめの部屋で、勝手開けた俺が悪いかもしれないが……それにしても、もう少し用心しろよ。
 爺ちゃんとかが勝手に入ってきたりしたらどうするつもりなんだ。かなめの奴。爺ちゃんはノックとかしないぞ……多分。
 それに外の音が聞こえないようにへッドフォンなんかしやがって……まずはあいつを外させるのが先だな。
「お、おい、かなめ。聞こえてるか? その頭につけてるヘッドフォンを外せ」
 今の時間、そこまで大きな声をあげると、
「うるさいぞ、このバカモーン!」
 とか言って、昔どでかい声を出しながら爺ちゃんが来てしまった(爺ちゃんの方が俺よりうるさかったが)ことがあるので、できるだけ最少の声で呼びかける。
「…………」
 ダメか。
 というか、外から呼びかけても気づかなかったのに、ここで呼びかけても気づくわけないよな。
 ……それにしても、かなめが部屋に入っても俺の存在に気づかないなんて、やはり様子がおかしい。
 ヒスるのを必死にこらえてよく見ると、テレビも集中して見てないな。あれは。目はテレビに向いているけど、焦点がテレビの距離にあっていない。
 なんかテレビの方を見ながら必死に何かを考えている感じだ。
 呼びかけにも応じず、かなめにしては珍しくこちらにも気づく気配がない。けれどだからと言って大声をあげるわけにもいかない。
 つまり、俺が近づいて肩などを叩くしかないわけで――けどだからって、あの恰好のかなめに近づくのも……
(――くそっ、考えていても仕方ない!)
 このまま考えていて、もし誰かが部屋の前を通りかかったりしたらと思い、まずは扉を閉める。
 そこで後ろを向き深呼吸をして、体の血流の確認&精神安定を確保する。
「スー、ハー、スー、ハー……よし!」
 さすがだ。俺の中の俺よ。かなめに対する防御力は天下一品だな。他の女子なら今の時点でヒステリアモード突入ものだったぞ。
 かなめまでの距離や障害物も、先ほどヒスるの覚悟でかなめの顔を見た時に確認済み。
 このまま後ろを向きながら近づいて、肩なんかを叩けばいいだけだ。
 ――そう考え、一歩、二歩、三歩……と、先ほどの記憶を確かに、慎重にかなめに近づく。
 そして手が届くであろう距離になり、
(――ここだっ!)
 記憶のかなめの肩の位置に、後ろへ右手を伸ばす。
 ――ぷよんっ……
「――ひぁっ!」
 そういう音でしか表現できない、肩とは思えない柔らかさが俺の手の平に広がる。
 それに加えてかなめのビックリしたような声。
 まさか……
 そう思い後ろに振り向くと、
「お、お兄ちゃん。な、なにしてるの?」
「な、んで……」
 ヘッドフォンを外してこちらを向いているかなめの姿があった。
 そして俺の右手は、そんなかなめの未成熟な胸の膨らみをつかんでいた。
 感触から……というか、はたから見てわかるが、かなめが下着をつけていないのがよく分かる。
 しかもただでさえ大きめのタンクトップが、俺の手によって肩からズレて、微かにだが胸の谷間が見えて――
「――っ……!」
 強くなってしまった。例の血流が……!
 ――ドクンッ――!
「……お兄ちゃん。まさか……!」
 どうやらかなめには、いつもの俺がだんだん変わっていくのが分かったらしい。
 ああ、どうやらもうダメらしい。
 まあ今のは事故みたいなものだし、兄妹ということはノーカンということにしよう。……精神安定のために。
「……ごめんよ、かなめ。可愛い妹にこんな事をしてしまって」
 そう言いかなめの胸から手を放す俺。
 そして同時に妹のかなめに対しても、俺の口調がいつもより低くキザっぽくなっていることに自分でも驚く。
 前のかなめでなった時は血流のかかりがまだ甘い方で、普通の女子になるよりもかなめに対してはまだマシだったのだが……
 今回は昼間のコタツ、無防備な顔や姿、胸の感触のスリーアタックだ。前よりも血流が明らかに強い。
 でもだからって妹にはこんな口調にならないと思ったのだが……やっぱり妹も『女』なんだな。
「いや、お兄ちゃんに触られるのは全然OKなんだけど、ちょっと驚いちゃって……でもなんであたしの部屋にお兄ちゃんがいるの? 近くでヘンな気配がすると思ってそっち向いた瞬間、胸をつかんでくるし」
 なるほど。俺が肩だと思うところに手を伸ばしたと同時にかなめが振り向いたせいで、見事に胸にジャストでたどり着いてしまったということか。
「かなめを心配してきたんだよ」
「あたしの心配?」
「そう。俺の大切なかなめが何かに悩んでるんじゃないかと思ってさ」
「……なんでそう思ったの、お兄ちゃん? あたしは別にご飯の時も普段通りだったと思うけど……」
「確かに普段通りだった。けど――普段通り過ぎた。あれじゃ、普段からかなめの事を見てる俺の事は騙せないよ」
 おい俺よ。マジで妹相手にウィンクとかやめてくれ。
 そのウィンクを見て、
「あたしを、いつも見てる……」
 顔を赤くしてるじゃねぇか。しかも幸せそうに。
 かなめもかなめで、
「ヤバい。今のお兄ちゃん、最高にかっこいい。――どうしよう、ヒスっちゃいそうだよ……!」
 とか呟いている。
 どうやら前から何度かかなめを狂わしている、心のナントカ・スイッチがONになってしまったらしい。
 ……そう言えば、かなめが前のヒステリアモードになる前の事をあまり覚えていないなら、かなめの見ている時にまともなヒステリアモードになるのは、これが初めてのような気がする。
 アリアとの屋上でも遠くからかなめがストーカーしてただけだしな。
 けれどそのせいなのか――
「お兄ちゃん。その事を話す前に一つお願いがあるんだけど……いい?」
「ん、なんだい?」
「着替えが部屋の隅に置いてあるということは、これからお風呂だよね……な、なら……あ……あたしも一緒にお風呂――は、入っていい?」
 偶然扉の近くに置いてあった俺の風呂用の着替えを見て、唐突に入りたいと思ったのか、かなめが少し興奮気味にとんでもないことを言ってきた。
「……かなめ。可愛い妹からそう言われるのは嬉しいが、俺とかなめは兄妹なんだ。だから……」
「お願い! 今のお兄ちゃんとちょっとでいいから話がしたいの!」
 ならここでもいいだろっ! と、ツッコミをいれてやりたいが、悲しいことに今の俺はヒステリアモード。そんなことできるはずもなく、しかも――
「入ってくれたら、お兄ちゃんがあたしの胸をつかんでヒスったこと、レキたちに言わないから!」
 逆に言えば『入らないとレキたちに今の事を言うよ』と脅しまで言ってきやがった。
 こんなことをヒステリアモードの俺に言われたら……
「……分かったよ。けど、かなめが何を悩んでるのかもちゃんと聞かせてくれよ」
「う、うん! ありがと、お兄ちゃん!」
 OK出すよね。そりゃ。
 こうして俺とかなめは一緒に風呂へ入ることになってしまったのだが……大丈夫だろうな、ヒステリアモードの俺よ。
 さすがにいくらお前でも、実の妹に手を出すなんてこと……ないよな?
 そんな不安をまだ微かに残った冷静な部分で考えながら、爺ちゃんたちに見つからないようかなめと一緒に風呂へと向かった。




 
 

 
後書き
……本当にこの小説はこのまま書き進んでいいのだろうか? そう感じえない話を書いてしまいました。
よければ感想や間違いの指摘を下さい! 待ってます!
次回の更新は早めにします。 
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