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床で

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第三章

「有り難いわ」
「それでもよね」
「やっぱりね」
 困った苦笑いでだ、また言う真希だった。
「退屈だしね」
「満足に動けないし」
「もう二度と入院したくないわ」
 こうも言うのだった。
「今そう思ってるわ」
「けれどそれもね」
「仕方ないわよね」
「病気はね、なる時はなるから」
「ましてこんな病気は、よね」
「そう、けれど絶対に退院出来るから」
 そこは我慢しろというのだ。
「わかったわね」
「そうするわ、じゃあね」
「ええ、またゲームとか持って来るから」
 母は娘にこう言って部屋を後にした。真希はその母を白いベッドの中から見送るだけだった。そしてそのゲーム等で退屈を紛らわせるのだった。
 そんな日が続いていた、だが入院しての三ヶ月は長い。真希は半月程したところでうんざりとした顔で窓の外を見つつナースのお姉さんに言った。
「出来ればですけれど」
「お外に出たいのね」
「グラウンドとか思いきり走りたいです」
 こうお姉さんに言うのだ。
「そう思います」
「そうよね、けれどね」
「仕方ないですよね」
「ええ、今はね」
 どうしてもだとだ、お姉さんも言う。
「我慢してね」
「そうですよね、けれど誰かが来てくれる時以外はここでゲームとか本ばかりで」
 そうしたものばかりしていて、というのだ。
「凄く退屈です」
「そんなになのね」
「はい、あと二ヶ月半ありますけれど」
 その二ヶ月半がだというのだ。
「何処かのネコ型ロボットの道具で一日とかにならないですか?」
「あの青ダヌキえもんいれば確かに有り難いわよね」
「ここに連れて来ること出来ます?」
「出来たわいいわね」
 これが返答だった、何よりの。
「そうした風に」
「ですよね」
「けれどね」
「けれど?」
「そんなに退屈ならね」
 それならだとだ、ここでお姉さんはこう真希に言ってきたのだった。
「お花か何か飾ってみたらどうかしら」
「お花ですか」
「そう、お花ね」
 それはどうかというのだ、真希に対して。
「そうしてみたら?真希ちゃんの今の病気は植物は大丈夫だから」
「ううん、お花ですか」
 花と聞いてだ、真希は考える顔でこう言った。
「けれど私基本ベッドから出られないですから」
「お花の世話が出来ないっていうのね」
「はい、それに枯れますから」
 花は何時か枯れるものだ、だからだというのだ。
「別に」
「そう言うのね」
「はい、ですから」
「じゃあ特に世話もしなくて枯れないのだったらいいわね」
「そんなお花あるんですか?」
「あるわよ」
 お姉さんは真希ににこりと笑って答える、白いナース服に二重の明るい笑顔が印象的な綺麗な顔立ちである。
「これがね」
「それってどんなお花ですか?」
「サボテンよ」
 お姉さんはこの植物を出してきた。 
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