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FAIRY TAIL 真魂の鼠

作者:紺碧の海
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第十三話 シンの『決意』

 
前書き
読者の皆さん!明けましておめでとう御座いますっ!!
二千十四年は『()年』ですね。二千十四年以内には『()』を登場させないと。
今回はシンがついに!妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔道士全員に正体を明かす!?新年早々思い切った事するなぁ~。
シン目線書いてでいきます。
それでは、第十三話・・・どうぞ~♪ 

 
ドクンドクンドクンと俺の心臓の鼓動がどんどんスピードアップしている。ヤ、ヤバイ・・・心臓が口から飛び出しそうだ・・・

ル「「口から」って、何て例え方してんのよ・・・」

シ「だ、だだだだだって・・・そ、そんくらい、ヤバイんだよ・・・」

キャシーと戦った後、俺は『決意』したんだ。





妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔道士全員に、俺の仲間全員に、俺の正体を明かす。





っていう『決意』をな。いつまでも言わなかったら、どんどん不安が圧し掛かるだけだ。今のうちに不安を追い払っておかないと。俺が正体を明かす事を知っているのは、俺の正体を知っている最強チームの皆だけ。皆もソワソワしているけど、俺がなかなか言わないからだんだん退屈になってきているのは見なくても分かる。

シャ「全く。そうやっていつまで経ってもウジウジしてるから、いざっ!って時に言えないんじゃない。」

ウェ「ちょっとシャルル!」

シャルルの言うとおりだ。ほんっと、情けねぇな・・・

エ「私がマスターにシンの正体の事を話して、マスターに発表してもらうのはどうだ?」

エルザの案にグレイが、

グ「そりゃあ無理だと思うぜ。」

エ「なぜだ?」

エルザの目付きが少し鋭くなったように見えたのは、俺の見間違いか・・・?

グ「じーさんだって、シンの正体の事は知らないんだ。いきなりエルザが説明したって、そう簡単に信じてはもらえねぇ。それに、ただの冗談(ジョーク)だと思われるかもしれねぇ。」

グレイが言ってる事が正しいと思ったのか、エルザはそれ以上反論しなかった。

ウェ「紙に書いたらどうですか?『シンさんの正体は『十二支』の一つ、『()』の血を持つ十代目です』って。」

ル「それだと、更に信じてもらえないんじゃないかしら。」

ウェ「そっかぁ・・・」

ハ「おいらの魚に書いて伝えるのはどう?」

シャ「それだとウェンディ以下じゃない!!ていうか、食べ物に文字を書くなんてありえないでしょっ!!」

ナ「俺の火で現したらどうだ?」

グ「おい、あんまウェンディとハッピーと変わってねぇぞ・・・」

随分とユニークな案がいろいろ出たが、全部却下されている。でも、皆必死になっていろいろ考えてくれている事に感謝だな。でも、

シ「もういい。」

エ「シン?」

シ「これは俺自身の問題だ。俺が言わないといけないのに、皆が考える必要は一切無い。明日までには必ず、妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔道士全員が、俺の正体を知ってるっていう状態にさせるさ。」

****************************************************************************************

・・・とは意気込んだものの、時間はどんどん過ぎていき、相変わらず俺の心臓の鼓動はドクンドクンドクンと更に早くなるばかり。すでに『決意』は出来ている。心の準備も出来ている。でも、その心の隅っこで、まだ『恐怖』がしがみ付いている。

もし、俺の正体を知った皆は、





俺から距離を遠ざけるかもしれない・・・





俺をギルドから追い出すかもしれない・・・





俺の正体の事を街中に言い触らすかもしれない・・・





そうなると、俺以外の『十二支』の血を持つ者にも被害が及ぶかもしれないし、母さんや、何の罪も無いリンドウ村の人たちにも被害が及ぶかもしれない・・・一つ悪い事を考えると、それがどんどん大きくなって、俺の『恐怖』もどんどん大きくなっていく。

ル「シン?大丈夫?」

いつの間にか俺はテーブルに額をくっ付け、頭を抱えていた。

シ「あ、あぁ。平気、だ。」

ル「顔が青いわよ。医務室に行く?」

シ「いや・・・大丈夫。」

本当は、吐きそうなくらい頭が痛かった。でも、皆に、心配掛けたくないから・・・皆に、被害を及ぼしたくないから・・・すると、俺の向かいに座っていたナツがいきなり立ち上がると、

ナ「おーーーい!!シンが超超超超超大事な話があるから、ここに集まってくれだとよーーーーーっ!!」

と大声で叫んだ。

シ「えぇっ!!?」

ル「ちょっとナツ!何やってるのよっ!?」

俺とルーシィが止める間も無く、ナツの声を聞いた妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔道士は全員俺がいるテーブルの周りに集まった。

マ「何じゃシン?超超超超超大事な話とは?」

マスターまでいる・・・!

マカ「何だ何だ?」

ワ「ひょっとして、告白でもするのか?」

マカオとワカバの冷やかしの声は、俺の耳には入っていなかった。俺の心臓の鼓動はドクドクドクドクドクと更に早くなった。すると、ナツが俺の右肩に手を置いた。

ナ「こうゆう状況の時に、ズバッ!って言っちゃった方がいいぜ。」

ハ「あいっ!心がスカッ!とするよ。」

「ズバッ!」と言って、「スカッ!」とする。俺にはこれがまるで『呪文』のように聞こえた。

「ズバッ!」と言って、「スカッ!」とする。

「ズバッ!」と言って、「スカッ!」とする。すると、



ル『大丈夫!自信を持って!』



グ『リラックスしろ。』



エ『私達は『家族』なんだ。』



ウェ『きっと、信じてくれますよ。』



シャ『ウジウジしちゃダメよ。』



ナ『ズバッ!と言えっ!!』



ハ『スカッ!としよう。』



頭の中でナツたちの声がした。

「スバッ!」と言って、「スカッ!」とする。

「ズバッ!」と言って、「スカッ!」とする。

「ズバッ!」と言って、「スカッ!」とする。

・・・うん。大分落ち着いてきた。ナツとハッピーに感謝だな。俺はゆっくり目を閉じると、緑色と赤茶色の石のブレスレットを外した。

ボワワワワワァン。

白い煙が俺の体を包み込む。

ウォ「な、何だぁっ!?」

エル「煙!?漢だっ!!」

ジェ&ド「意味分かんねぇよっ!!」

カ「ゲホッ!ゲホッ!いきなり何なのよっ!?」

マ「グェッホ!グェッホ!」

ミ「マスター、大丈夫ですか?」

皆突然の煙にパニック状態になっている。そして、煙が晴れると、そこには『()』の姿になった俺がいた。が、

ナブ「ね、ねね、鼠だぁーーーーーっ!!!」

レ&リ「ひぃぃぃっ!!」

ジュ「グレイ様ァ~、鼠がいます。ジュビアこわぁ~い♪」

やっぱり、足元に鼠がいると誰でも驚くよな。

ガ「ったく、たかが鼠一匹でキャーキャー騒ぐんじゃねぇよ。こんなの踏み潰せばいいだけじゃねぇか。」

ガジルが足を上げて、俺目掛けて足を振り落としてくる。体が小さいから、ガジルの足が象の足のように見える。俺は小さな手足を動かしてその場から素早く走り去る。

ガ「ちっ。」

ガジルが小さく舌打ちしたのが聞こえた。俺が逃げた先にいたのはラクサス。ラクサスは俺を見下ろすと、黙って足を上げて、俺目掛けて足を振り落としてくる。ガジルの足よりも大きい。まるで恐竜の足だ。俺はまた小さな手足を動かしてその場から素早く走り去る。その後も、リーダスやビジター、キナナやアスカちゃんに踏まれそうになりながらも俺はナツの足を伝って、足から腰、腕、肩、最後に頭の上に上った。すると、

ボワワワワワァン。

また白い煙が俺の体を包み込む。

ア「また煙!?」

ビ「もぅ!何なのよぉ~!」

ラ「ケホッ!ケホッ!」

マッ「ゴホッ!ゴホッ!」

そして、煙が晴れると、そこにはナツの上に馬乗り状態になっている人間の姿の俺がいた。

ナ&ハ&ル&グ&エ&ウェ&シャ&シ以外「えっ?」

ナ「い、いってぇ~・・・」

シ「あ、悪いナツ。」

俺はナツから下りる。ナツから下りた俺をエルフマンが青い顔で指差すと、

エル「お、おいシン・・・お、お前、今どこから・・・」

レ「ていうか、さっきナツの頭の上にいたの鼠だよねぇ!?」

エバ「てか、その鼠はっ!?」

皆辺りをきょろきょろ見回して鼠を探す。でも、

ビッ「どこにもいねぇな。」

ベ「いねぇな。いねぇな。」

フ「ど、どうなっているんだ?」

どうやら、まだ皆分かって・・・いや、一人だけ分かっている人物がいた。

マ「あの鼠は、すでにお前達の目の前にいるじゃろ。」

マスターだ。皆マスターの言葉に目の前にいる人間の方に視線を移す。皆の目の前にいるのは、俺だ。

マ「シン。お前はいったい・・・」

マスターが真剣な眼差しを俺に向けて尋ねる。俺は一度ゆっくり目を閉じ、また開くと、

シ「俺は『十二支』の『()』の血を持つバンギ家の人間だ。」

とはっきりきっぱり断言した。

****************************************************************************************

俺が『十二支』の『()』の血を持つバンギ家の十代目であり、『お釈迦様』からの命令で『トップを目指す』という『任務』を達成させる為に、他の『十二支』の血を持つ十代目の者と戦う為に、魔法を覚え、妖精の尻尾(フェアリーテイル)に加入したとゆう説明はほぼエルザがしてくれて助かった。そして、俺の正体を知った妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔道士達は、

マカ『お前『()』だったのかぁっ!?』

シ『い、いや、正しく言えば鼠人間だな。』

ミ『『()』だから、チーズ好きなの?』

レ『ミラさん、少しズレてる気が・・・』

シ『う~ん・・・好きでもないし、嫌いでもないな。』

リ『『()』だから、鼠の言葉分かるのぉっ!?』

シ「い、いや、分からねぇ。」

いろいろ俺に質問してきた。数え切れないくらいの『()』の姿に関した質問~どうでもいい質問に数え切れないくらい答えた。めちゃくちゃ疲れたけど、二つ嬉しい事があった。一つは、皆俺が『()』の血を持つ十代目である事を秘密にしてくれるって約束してくれた事。もう一つは、俺が『()』の血を持つ十代目であっても、妖精の尻尾(フェアリーテイル)の一員、『家族』として認めてくれた事。ようやく、俺の心の隅っこにしがみ付いていた『恐怖』が完全に消え去った。

・・・と、思ったのも束の間だった。俺が安心してテーブルに突っ伏していると、

マ「お~いシン。ついて来なさい。」

シ「?」

俺はマスターに呼び出され、奥の部屋に連れて来られた。

シ「へぇ~。ギルドの奥の部屋ってこうなってるんだな。」

俺は初めて見るギルドの奥の部屋を見回す。少しこじんまりとしているが、すごく落ち着く部屋だ。

シ「ところで、何かよ・・・マ、マスター・・・?」

俺はマスターに対してもう敬語じゃなくなった。ナツやグレイみたいに「じっちゃん」「じーさん」とは呼べないけど、それ以外は普通に接している。が、今のマスターを見て普通に接する事は難しいと思う。今の俺の事を見ているマスターの瞳が、いつもののほほぉ~んとした瞳ではなく、真剣な眼差しだったからだ。しばらく沈黙がこじんまりとした部屋に流れたが、最初に口を開いたのはマスターだった。

マ「お前の父親は、お前が生まれる前に死んでおるじゃろ。」

シ「!?な、なぜ、それを・・・」

気がついたら、俺はまた敬語になっていた。

マ「父親の名は、知っておるか?」

シ「い、いえ・・・」

なぜマスターが俺の父さんが俺が生まれる前に死んでいる事を知っているのか聞きたかったけど、俺はマスターの質問に正直に答える。マスターはゆっくり目を閉じると、










マ「シグレ・バンギ。」










シ「えっ?」

マ「これが、お前の父親の名前じゃ。」

俺の思考が停止寸前になる。

シ「・・う、嘘・・・です、よね・・・・?」

マ「本当じゃ。」

俺の思考が完全に停止した。生まれて初めて知った父さんの名前。でも、

シ「な、何で、父さんの、名前を、マスターが・・・?」

母さんに何度か父さんの名前を聞いた事があったけど、その度に母さんは、

母『世の中には知らない方が良い事もあるのよ。』

と言うだけだった。なぜかは分からない。唯一父さんについて知っているのは、父さんは歳をとってもなぜか三十歳前半に見えるって事だけだ。なぜそう見えるのかは分からないけど・・・そして、今、一度も会った事が無い、父さんの名前を知った。でも、それを教えてくれたのが、魔道士ギルド、妖精の尻尾(フェアリーテイル)の三代目マスター、マカロフ・ドレアー。俺の父さんとは何も繋がりが無いのに・・・

マ「お前の父親とは、繋がりがある。」

シ「!!?」

まるで俺の考えてた事が分かったように、マスターは俺の疑問に思っていた事を話し始めた。










マ「お前の父親、シグレ・バンギは、妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔道士じゃったからな。」










シ「・・・え・・・・?」

お、俺の・・父さんが・・・・妖精の尻尾(フェアリーテイル)の、魔道士・・・だった・・・?

マ「わしが三十歳ぐらいの頃じゃ。今のお前そっくりのシグレが妖精の尻尾(フェアリーテイル)に加入して来たんじゃ。シグレはギルドに加入してすぐに、『十二支』の『()』の血を持つバンギ家の人間だとゆう事を明かしたわい。」

俺は未だにマスターの言ってる事が信じられなかった。

マ「じゃが、シグレが妖精の尻尾(フェアリーテイル)にいたのはほんの数ヶ月。シグレはすぐに妖精の尻尾(フェアリーテイル)から出て行ったわい。それから三週間後ぐらいした後に、シグレが山から転落して死んだ事を知った。それから三年後に、お前が生まれた事も知った。」

俺は今までの話の内容から、一つだけ分かった事があった。それは、

シ「マスターは、俺が父さん・・・いや、シグレの息子で、『十二支』の『()』の血を持つバンギ家の十代目って事を、最初から知ってたんですか・・・?」

俺の問いに、マスターはゆっくり頷いた。すると、マスターは部屋の隅にあった木の棚から何かを持って戻って来た。手に持っている物を俺に渡す。それは古ぼけた写真だった。俺はそれを受け取ると写真を眺めた。そこに写っていたのは三人の男。一人は背が小さくて逆立った金髪の男。二人目は茶色い短髪に、黒縁の眼鏡を掛けた男。三人目は灰色の髪の毛に赤い瞳の男。

マ「背が小さい男がわしじゃ。眼鏡を掛けた男は・・・まぁ、今はどうでもいい。灰色の髪の毛の男が、当時のシグレじゃ。」

シ「こ、この人が・・・お、俺の、父さん・・・」

この写真を見て、俺は今までマスターが言ってた事が本当の事だと確信した。写真に写っている灰色の髪の毛の男の左手首に、緑色と赤茶色のブレスレット・・・『()』の姿になる『能力』を抑える為の俺と全く同じブレスレットを身に着けていたからだ。俺の写真を持つ手が震えだした。

マ「お前の母親が、なぜシグレの事をお前に話さなかったのかは分からないが、一度、その写真を持って家に帰ってみなさい。そうすれば、お前の母親も話してくれるじゃろう。」

マスターが俺に背を向けて言う。

マ「話はこれだけじゃ。すまんのぉ~。いきなり呼び出して。」

シ「い、いえ。マスター、俺、早速家に一度帰ってみます。ありがとうございますっ!!」

俺はマスターにお礼を言って部屋を出ようとすると、

マ「そうじゃシン。」

またマスターに呼び止められた。振り返ると、いつもののほほぉ~んとした瞳に戻ったマスターが、

マ「敬語は禁止じゃよ。」

Vサインをしてニカッと笑った。 
 

 
後書き
第十三話終了~♪
遂に正体を明かす事が出来たシン。だが、マスターから死んだ父親の事を伝えられたシンは一度故郷であるリンドウ村に戻る事にした。
次回はシンのお父さん、シグレ・バンギの秘密が明らかに!?

最後に、読者の皆さんに感謝の言葉を。
いつもFT真鼠を呼んで下さりありがとうございます。お陰でシンも話の中で大活躍しております。二千十四年もシンは仲間と絆を深めながら、『任務達成』への道を歩みながら成長していきます。読者の皆さん、これからもシンとFT真鼠と駄作者07をよろしくお願い致します。
それでは皆さん、良いお年をお迎え下さい。 
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