転生とらぶる
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スーパーロボット大戦OG外伝
0472話
「……魔法?」
「そう。魔法だ、小説とか映画でも良くあるだろう? 手から炎を出したりする奴」
「アクセルさん、私をからかっているのかしら?」
口元には笑みを浮かべつつも、その視線は既に絶対零度と言える程に凍える視線を俺へと送ってきている。だが、当然俺としてもからかうつもりでこんな事を言ってる訳では無いのだ。
「いや、正真正銘の魔法だ。正確に言えば、その魔法を使う為の初心者用の教本と魔法を使う為の魔法発動体。……と言っても信じられないか?」
「当然です。超能力――正確には念動力と言うらしいですが――があるのは知っています。ですが、それにしても本当に稀少な例でしかありません。それなのに魔法だなんて……正直、気分を害しました。申し訳ありませんが今回のお話は無かった事に……」
ローズがそう言ってソファから立ち上がろうとするのを見ながら、不意に右手の人差し指を立てる。
「何を……?」
俺の行動の意味が分からないのだろう。戸惑ったような表情を見せるローズの視線を受けながら魔力を込めて口を開く。
『火よ灯れ』
その言葉と同時に、俺の右手の人差し指の上に20cm程の高さを持つ炎が突然姿を現す。
「……」
想像外の出来事だったのだろう。ローズは俺が魔法によって作り出した炎へと唖然とした視線を向けている。そしてその視線が唖然から驚愕へと変わっていき……
「それが、魔法だと?」
「そうだ。俺が使ったのは『火よ灯れ』という初心者の訓練用の魔法だ。もっと色々と使えるんだが、生憎俺が使えるのは殆どが攻撃用の魔法でな」
「……魔法と言うのは才能が無ければ使えない、とかの制限のようなものはあるのですか?」
俺の右手から出ている炎に見とれつつもそう尋ねてくるローズ。炎を消し去り、首を横に振る。
「いや、基本的には誰でも身につけられる物だ。ただし、スポーツなんかでもそうだが個人によってどこまでその才能を伸ばせるのかというのは違って来るがな。そう言う意味では今例に挙げたスポーツよりも余程才能に左右される物であるのは間違い無い。例えば俺の魔法は今見せたように炎に適性がある。他にも……」
パチンッと指を鳴らしてソファに座っている俺の影から先の尖っていない影槍を1本作り出す。そして俺の影から作られた影槍はゆっくりとその先端をローズの方へと移動させる。
「これは……?」
「影槍。操影術と言う魔法の一種だ。そうだな……さっき使ったのが炎の魔法であったのと比較をするのなら、これは影の属性の魔法と言ってもいいかもな」
「……」
無言のまま目の前に止まっている影槍へと触れるローズ。
「……確かに、これは幻の類ではなさそうですわね。そうなると、アクセルさんが仰った魔法の初心者用教本と魔法発動体……? あら? 魔法を使うのに魔法発動体というのが必要だと言うのなら、何故アクセルさんはそれを持って無いんですの?」
「その辺は習熟度の違いだと思ってくれ」
まさか混沌精霊になった時に俺自身にエヴァから貰った魔法発動体が吸収された影響で俺自身が魔法発動体になってる……なんて信じて貰えないだろうし、それ以前に言う必要も無いだろう。
「さて、どうだ? この誰でも使える魔法の技術。これは交渉材料にならないか?」
「……」
俺の言葉に、目を瞑り何かを必死に考えているローズ。癖なのか、あるいは俺を動揺でもさせたいのか分からないが、チャイナドレスで足を組み替えてその脚線美を見せつけてくる。……が、一応俺も恋人持ちなのでそっちへはそれ程視線を向かわせないようにしてローズからの返事を待つ。そして5分程が経っただろうか。やがて何かを考えていたローズは紅茶を口に運び……冷めているのに気が付き、眉を顰めながらも1口飲んでから口を開く。
「いいでしょう。アクセルさん、貴方との取引は全て成立とさせて貰います」
……良し。殆ど予想通りだったとは言っても、この手の交渉が苦手な俺としては何とか無事取引成立と言った所か。
「やっぱり決め手は魔法か?」
「ええ。本当にその魔法が才能の差はあれど全ての人に使えると言うのなら……そして、それを私の会社が一手に取り扱う事が出来ると言うのなら、とてつもない利益を生み出すのは間違いありませんもの。正直、前のガン・ルゥとストライクダガーでしたか? その2機がなくても、この魔法だけで取引をしても私達のメリットは十分にあると思います」
再び笑みを浮かべるローズ。だが、今度の笑みは先程までの絶対零度の視線ではなく良い取引が出来たという満足そうな笑みだ。
「っと、一応言っておく。確かに基本的には魔法の勉強をすれば全ての人が使えるようになるだろう。だが、たまに体質的な問題で呪文の詠唱を出来ないような者もいる……と言うのは覚えておいてくれ」
「……分かりました。それで、現物はいつ貰えますの?」
「そっちが望むなら今からでも……と言いたい所だが。その前に約束をしてくれないか?」
ローズへとそう声を掛けながら、テーブルの影へと手を伸ばして何でも無いかのように装い、脳裏に空間倉庫のリストを展開。鵬法璽を取り出す。
「約束?」
「ああ。何しろ知っての通り俺の本分はあくまでも特殊部隊であるシャドウミラーの隊長だ。今回の交渉は纏まったが、後でそれを反故にされても困るからな」
「あらあら、私がそんな真似をするとでも?」
「しない……と言い切れる程の信頼が出来る程に深い付き合いではないだろう?」
「それなら、これから深いお付き合いをしていけばいいと思いますが……どうです?」
そう言いつつ、誘うような目でこちらを見てくるローズ。
「悪いが俺はこれでも恋人達がいるんでね。その手のお誘いには乗れないな」
「恋人達、ですか。随分とお盛んなようですね。それで約束とは?」
右手に持っていた鵬法璽へと魔力を流し、起動した事を確認してから口を開く。
「ミツコ・イスルギはこれ以降、故意にアクセル・アルマー。並びにシャドウミラーの人員が不利になる行為をしないと約束して欲しい」
「……」
何かを感じたのか、不意に周囲を見回すローズ。だが特に何も無いと判断したのだろう。小さく頷き口を開く。恐らく撮影機器か何かを警戒したのだろうが……
「分かりました。私、ミツコ・イスルギはこれ以降アクセル・アルマー、並びにシャドウミラーが故意に不利になるような行動はしないと約束します」
ローズがそう言った時だった。俺の持っていた鵬法璽が契約を発動して一瞬だけ周囲を眩く照らし出す。そして次の瞬間にはまるで今の光が嘘だったかのように通常の状態へと戻っていた。
「……今、何をしましたの?」
落ち着いているようでいながら、再びその視線を絶対零度のものへと戻して俺を睨みつけてくるローズ。恐らく本能的に鵬法璽により行動を縛られたというのを理解したのだろう。その冷たい視線を受け止めながら右手に持っていた鵬法璽をテーブルの上にそっと置く。
「……それは?」
「鵬法璽。そうだな、一種のマジックアイテムだ。それもとびきり強力極まりない封印級のな。効果は簡単。これを使って契約や約束した事に対して絶対遵守を強制するというものだ」
「っ!?」
その言葉で自分がどのような状態に陥ったのかを理解したのだろう。絶対零度なだけではなく、むしろ視線で俺を斬り裂けとばかりに鋭い視線を向けてくる。
「そう言う不意打ちみたいな真似は感心しませんわね」
「そっちが約束を守るのなら特に問題は無いさ。……それとも、先程の約束は破る気だったのか?」
さすがにそう聞かれて、『はい、破る気でした』とは言えないらしく唇を噛んで沈黙するローズ。
その様子を見ながら、わざと空間倉庫を展開させてそこへと鵬法璽を仕舞い込む。
さすがにいきなり目の前に広がった空間の穴には驚いたのだろう。自分が嵌められたというのを忘れたかのように鵬法璽が収納され、そのまま閉じていく空間倉庫へと視線を向けている。
「……今のは何かを聞いても?」
「これは空間倉庫。そうだな、容量無限の持ち運び出来る倉庫のようなものだな」
「アクセルさん、貴方は何者?」
「さて、どう答えたものだろうな。インスペクター事件の時であれば胸を張って人と言えたんだが……」
そこまで言い、再度右手の人差し指を立てて見せる。
「何ですか? また魔法……で…も……」
ローズの言葉が思わず詰まる。何しろ今目の前で起きたのは魔法等という代物では決してなかったからだ。俺の右手そのものが白炎となり数匹の小鳥、蝶、猫、犬の炎獣と化して部屋の中を駆け回っているのだから。
「これは……一体……先程の様な炎の魔法?」
「違う。これは炎獣。そうだな、言ってみれば俺の身体から作り出された一種の使い魔に近い存在だとでも覚えて貰えばいい。……見ての通り、魔法関係でちょっと色々あってな。今の俺は人間じゃない。正式な種族名は混沌精霊。人間から人外の存在に一種の転生をした訳だ」
再び指をパチンッと鳴らして炎獣を消滅させる。同時に空間倉庫のリストから初心者用の教本と練習に使う子供の玩具のような魔法発動体を取り出してテーブルの上へと置く。
「別に俺の方から取引内容を反故にするつもりはないから安心してくれてもいい。その証拠と言う訳でもないが、取りあえずこれが約束の初心者用魔法教本と魔法発動体だ」
テーブルの上を滑らせ、ローズの方へと魔法教本と魔法発動体を移動させる。
最初はどこかまじまじとテーブルの上にのせられた物を見ていたローズだったが、その魔法発動体がどう見てもお子様用の玩具の杖にしか見えなかった為に俺へと胡乱気な視線を向けてきた。
「アクセルさん、魔法があるのは分かりましたが……これは私を侮辱していると思ってもいいのですか?」
「そう思われてもしょうがないが……正真正銘その杖は魔法発動体だよ。ただし初心者用の、という言葉が付くがな。AMとかの操縦でも同じだろう? シミュレータすら碌に使った事の無いパイロットにいきなりガーリオンの類を使わせるか?」
その言葉に不承不承ではあるが納得したローズは、次に魔法教本へと手を伸ばす。
「……何て書いてあるのか読めないのですが」
だろうな。まぁ、いきなりラテン語とかを読めたらそれはそれで驚くが。
「それはラテン語で書かれている。基本的に魔法というのはその殆どがラテン語。より難易度の高い魔法になってくると古代ギリシア語が使われている」
「つまり魔法を使えるようになりたいのなら、そのラテン語を覚えろと?」
「そう言う事になるな。その魔法教本をきちんと読んで理解して練習すれば初心者用の魔法は問題無く使えるだろう」
俺の言っている内容が真実だと感じたのか、パラパラと捲っていた魔法教本を閉じてテーブルの上へと置く。そして改めて俺の方へと視線を向けてくる。
「練習、と言う事はこの本の内容を理解してもすぐには使えないと?」
「当然だろう。だが何度も繰り返しているように、基本的には誰でも使えるようになるのは保証するよ」
「……信じましょう。それで、他の2つの取引材料に関していつ渡して貰えるのですか?」
先程までの驚愕の類は消え、再び冷徹なまでの商売人としての視線を向けてくるローズ。魔法で契約を結んだというのに、全く変わらないその態度はさすがと言うべきか。
「俺としてはいつでもいいぞ。今見て貰った空間倉庫の中に取引材料の2機は入っているからな」
まぁ、鵬法璽で行われた契約は俺に不利になる行為が出来なくなるという事だ。取引はお互いに利があるから問題無いのだろう。
「分かりました。出来れば今から……と言いたい所なのですが、残念ながらこの屋敷にはハンガーの類はありません。明日、イスルギの本社まで来て貰えますか? その際にスレイ・プレスティも紹介しましょう」
「そうしてくれると俺としても助かる」
「では、今日はこの辺で解散としますが問題は?」
「無いさ。俺としても今日の取引は悪くない……と言うよりも、最上の内容だった。ローズという味方も出来たしな」
「騙し討ちで呪いを掛けられたようなものですけれど。まぁ、私にも悪くない取引でしたのでこれ以上は言いませんが……出来ればああいうのは2度として欲しくありませんわね。あぁ、そうそう。いつまでもローズというコードネームで呼ばれるのは野暮ですし、以後はミツコと呼んで下さって構いませんわ」
「そうか。じゃあ、俺の事もアクセルでいい」
お互いに手を出し、握手を交わす。
こうして、俺はスパロボOGsの世界で最大の協力者を手に入れる事に成功したのだった。
後書き
アクセル・アルマー
LV:40
PP:120
格闘:270
射撃:290
技量:280
防御:280
回避:310
命中:330
SP:478
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
ギアス(灰色)
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
???
撃墜数:411
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