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魔法少女リリカルなのは 在り来りな転生記

作者:秋陽
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第十話 友情

「いい加減にしなさいよ!」

 教室の中にそんなバニングスの声が響く。
 まどろみの中でうつら、うつらとしていた俺は、また自分が授業中に寝ていたことをうるさく言われるかと思ったが、声の主は俺では無く高町の前に居た。
 ……大方の理由は聞かなくても分かる。明らかに隠し事をしている高町の理由を聞きたいのだろう。
 親友として困ってる友人の悩みの理由を共有したいのだろうが、高町の悩みが悩みだ。
 いつかバレることになるとしても、できるだけ巻き込みたくないという気持ちがあるのだろう。

「あたし達と話しているのがそんなに退屈なら、一人でいくらでもボーっとしてなさいよ! 行くよすずか」

 そう言ってバニングスは教室を出ていってしまう。呼ばれた月村も少し戸惑っていたが、高町と少し話した後バニングスを追って教室を出ていった。
 同じ魔導師としてアドバイスできる事があるかもしれないが、それは佐倉に任せればいい。そして何よりも、今俺の正体がバレる訳にはいかない。
 そう考えるとバニングスの方の様子でも見てくるしか無いかな……。と言うよりも、

(身体中が痛てぇ……)
(そんなに体を動かしてないのに、急に昨日動かしたからですよ……)
(仕方ないだろ……。いくら身体能力強化してたって、いきなりあんなに動ける小学生居ないだろ……)

 そんな小学生が居たらギネス物だろう。そもそも居たら恐すぎるだろうが……。
 そんなこんなで俺はお節介だと思いながらも、バニングスが向かいそうな場所へ行く。そんなに細かい場所まで覚えていないので、正しくは頭に血が上った人間が向かいそうな場所なのだが……。
 出来るだけゆっくりと屋上へ向かう。さすがに月村がいるときに入ってしまっては、本当に邪魔にしかならないと思ったからだ。





 屋上手前でそこから出てきた月村とすれ違う。顔が暗くはなかったということは、バニングス邪魔になってしまうだろうか……。
 そうは思ったが、こういう事は気持ちが大事だという結論で向かうことにする。そもそも今の俺は小学生。変な気を使う必要はないのだ。
 よく漫画などではこういう扉は錆びていたりして開きにくいものだが、そんな事もなく比較的簡単に扉が開く。
 
「よ、元気か?」
「……元気だったら何?」

 あくまで悪意無く話しかけたつもりなのだが、不機嫌そうに返される。……何か接し方を間違えたのだろうか?

(って言うか、こういう時どう話しかければいいんだ?)
(……何も考えずに来たんですか?)

 半ば呆れるようにセレネにそんな事を言われる。

(仕方ないだろ! 前世でこんな状況なかったんだから!)
(遠回しに前世で人と関わりがそんなに無かったって言ってますけど、虚しくなりません?)

 セレネが何か言ってるけど全力スルーだ。

「……ねぇ? 聞いてる?」
「え!? あ、すまん。聞いてなかった」
(マスター? 話を聞いてくださいよぉー(泣))

 セレネとなんだかんだ言い合っていた途中に、バニングスが話しかけてきていたらしい。
 俺が話を聞いていなかったことに少しムスッとした表情を見せるが、ちゃんと話をし直してくれる。引き続き何かセレネが言ってるかスルーだ。

「大地。あなた、なのはが悩んでる理由知ってる?」
「……何でそう思うんだ?」
「なんとなくよ」

 これが女の勘ってやつか……。末恐ろしいな……。
 そんな事を思っているとバニングスはフェンスの方に向かい、空を見上げ始める。

「教室ではなのはに当たっちゃったけど、すずかと話をして待つことに決めたの」
「……そうか」
「どんな事があってもあたし達は友達だし、いつかは話してくれるって信じてるから」
「……そうだな」

 そっけない返事だとは思うが、自分がこれ以上突っ込む必要もない。
 バニングスは自分がどうするべきかをちゃんと自分で見つけてる。これ以上自分が何かを付け加えるのは余計なお節介なだけだろう。

「よし、じゃあ先戻ってるぞ」
「……分かった」

 そう言って俺は屋上の扉を開ける。少し心配だが……

「大地。心配してくれてありがとう」
「ん? 気にすんなよ。友達だろ?」

 あれだけ笑顔になれるんだったら、もう大丈夫なんだろう。
 そんなことを思いながら騒がしく鳴り出した携帯に出るのだった……。

 
 

 
後書き
いつもより短いですが10話投稿です。
本来ならもう少し長くするのですが、きりがいいので……。
そして、今思うことは、”どうしてこうなったし”
何か自分の最初の構想より違う……。まぁそんなのいつものことなんですけどねー(笑)
フラグが立った気がするのは気のせい……だと思う。

なのは達の友情を知る大地。その大地に一本の電話が掛かってくる……。

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