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魔法少女リリカルなのは 在り来りな転生記

作者:秋陽
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第十一話 襲撃は突然に

 突然だが現在、俺は学校を早退し、ある場所へ向かって走って帰っているところだ。
 理由は簡単で、さっき掛かって来た電話が原因だ。
 色々言われたが、一番重要なところはテスタロッサが倒れたということだ。
 原因は完全に解ったわけではないがアルフの言う所によるとろくに食事も取らずに、魔力のよく食う魔法を使いすぎたのが原因だろうということだ。

「こんなことだったら、先に、釘を打っとく、べきだったな」
『マスター、無理に喋ると体に悪いですよ。体調も万全じゃないんですし……』

 まぁ、走りながら喋るのも無駄に疲れるだけなので止めておこう。セレネの言う通り、今の俺の体にはよく響くからな……。





 なんだかんだで走りきり、マンションまでたどり着く。
 階段を駆け上り、息を荒くしながらテスタロッサ達の部屋の前に着く。
 インターホンを押し、中からの反応があるのを待つのだが……、 

「不審者と、思われそう、なんだが」
『女の人の部屋の前に息を荒くした男が居るんですからね……。マスターが小学生じゃなかったら完全にアウトですね』

 セレネに言われて思い出すが、今の俺は小学生なのだ。
 今ほど小学生であったことを良かったと思う時があっただろうか? 否あるわけがない。

「……どしたの?」

 これで勝つる、とよく分からないポーズをとっている俺の前にアルフが現れる。呼んだのは自分なのだから、扉から出てくるのは当たり前と言えば当たり前なのだが……。

「大地は何やってるんだい?」
「何をやっているかと聞かれると、俺にもよく分からないんだよ」

 そういうもんなのかい? とでも言うような顔をしているが、アルフ、そういうものなのだよ。
 とギャグは此処までにして、部屋に上がらせてもらうことにする。
 テスタロッサの容態は……っと、
 そこには、魔力の使いすぎによる疲労が原因という割には、変にうなされながらベットに横たわるテスタロッサが居た。

「呼んだのはフェイトが変にうなされてるからなんだけど……」

 これは……。

「これは風邪がぶり返しただけだろ。市販の風邪薬とかをちゃんと飲んでれば大丈夫……なはずだ」
「やっぱりそうなのかい? じゃあ今からアタシが風邪薬買ってくるから、大地はフェイトを見ててくれる?」

 その提案はいつもの面倒くさがりの俺なら受けるであろう甘美な提案なのだが、何より今は何時もの状態ではない。

「いや、用事もあるし俺がついでに買ってくるよ」

 だからこそ何時もでは決してないようなこの発言になるわけで、予想外の一言に一瞬アルフは目を丸くする。
 が、あまり気にした様子もなく、いつもの表情に戻る。

「そうかい? じゃあ頼むよ」

 だからこそ、その言葉の後にそのまま部屋を出ることができる。

(マスター。気づいていますか?)

 マンションから出て、この時間帯にはあまり人の通らない場所を通っている時、セレネはそんな事を話しかけてくる。

(さっきから周りに彷徨いてる鬱陶しい蝿のことか?)
(……まぁ表現は悪いですけど、そうですね)
(心配すんなっての。気付いたからこそ一人で出てきたんだから――)
「青崎大地……であってるよな? まぁ確証が取れてるから出てきてるわけで、嘘をついても意味は……無いぞ」

 その言葉とともに銀色の魔導弾が襲い掛かってくる。
 
「! セレネ!」

 バリアジャケットを展開しプロテクションでその攻撃を防ぐ。が、思っていたよりも一撃一撃が重い。
 攻撃を受けるたびに段々と体が後ろに押されてしまっている。

「まずは及第点……か……」
「何が及第点だコンニャロウ!」

 セレネを双剣の形に変えることでこっちから斬りかかる。
 しかし、その一撃はいとも簡単に避けられ剣は空を切る事になってしまう。

「……その程度……か。……その身体年齢ならその程度が普通なのだろうがな……」

 その言葉とともに自分の横の”空間”が爆発する。
 その攻撃は直撃したわけではなく、あくまでかすった程度のダメージしか通ってはいない。
 しかし体勢が崩れ、受け身を取ることにより一瞬の隙ができる。
 通常ならその隙を狙われ、形勢が一気に逆転することだってあり得るのだが……。

(攻撃してこないってのは俺のことを舐めてんのか? それとも――ッ!)

 受け身をとった後、ちょうど起き上がるために手をおいた場所が爆発する。

「グハッ、ガッ。あっぶね」

 今度は攻撃をモロに食らってしまったが、攻撃自体の威力が大してないため致命傷とは至らない。

(大丈夫ですか? マスター)
(……これが大丈夫に見えるってんなら、メンテナンスをオススメしてやるよ)

 冗談めいたような回答を吐くことはできるが、今現在、一撃一撃が致命傷に至っていないだけでかなりのダメージを受けていることは確かだ。
 いきなり襲ってきてこっちの実力を試してるだけあって実力は確かなのだろう。
 だが何より気に喰わないのは――

「明らかにこっちを舐めきったテメェのその態度だよ!」

 その言葉とともにセレネの形を銃に変え、弾を乱射する。
 その弾は全く当たりはしないが、少なくとも距離を稼ぐことは出来た。
 認めるのは癪だが眼の前にいる野郎の実力は明らかに俺より上だ。やろうと思えば、無抵抗にするどころか、殺すことすら簡単に出来ただろう。
 試しているとはいえそこまで手加減されるのは癪というものだ。

(実際はそこまで手加減されたからこそ、ここでこの一手が撃てるわけですけどね)
(うるせぇ。勝てば官軍なんだよ)

 両方の銃を重ねて前に出し、自分の魔力と辺に飛散した魔力を一点に集束する。
 何とか不意を突いたりすることで、今までのらりくらりとかわしてきたがこのままでは何をするにも力不足になってしまうだろう。
 自分より格上の相手に対しては何もできずに、誰も守れないという現実をたたきつけられるだけだろう。
 だからこそ――

「――だからこその、この一撃だ!」
『魔力装填率90%以上、魔力集束率92%。行けます、マスター』

 こっちの狙いが解ったらしくこっちの方へ全力で寄って来る。だが……

「間に合わねぇよ」

 そうして装填の完了した引き金を引き抜く。
 これが今の俺に出来る全力、最高の一撃。

「シューティングスター・バレット!」

 その言葉とともに銃口だけでなく周りからも集束された一撃が放たれる。
 その名の通り流星の如く一撃。
 俺自身の魔力はそんなバカみたいに多くはないが、周りに飛散した魔力をかき集めることでこの程度の一撃は放つことができる。
 自分自身を変えようとした結果の試練だというのなら俺はどんな事も受け入れよう。
 それがどんな運命だろうと、きっと……。
 
 

 
後書き
前回の執筆から遅くなってしまい申し訳有りませんでした。
言い訳をさせてもらうと文化祭などの学校行事の関係で遅れてしまいました。
(とはいっても10月の初めで文化祭は終わっていたので完全に自分のサボりです。はい)
これからはちゃんとテンポよく執筆させて頂きます。
(テストの関係で今にも遅れそうなんですがねw)

フェイトの見舞いにやってきた大地。一時の休息を迎えたと思った矢先、厄介事に巻き込まれることになる……。

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