何となく生きて行く
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何となく
「ププー!!」
目の前を巨大なトラックが走っていった。それを少し眺めてから俺は歩みを再開した。
家に近づくに連れて、毎日見ている景色が目に入ってくる。
__今日も何もなかったなぁ....
__いつも通り何となく生きている
ガチャ
「ただいま。」
「あらお帰り。今日は早かったわね。」
「あぁ....今日は文化祭の準備だったけど何もなかったから帰って来たよ....」
「あら、そうなの。」
若干若く見える目の前の女性は俺の母にあたる人だ。性格には義母だが。
母は俺が小さいときに他界している。原因は事故だそうだ。
だが、今の母さんも嫌いじゃない。義母が死んだことを知っていて優しく俺に接してくれた。感謝さえしている。
2階に上がり、自分の部屋に入ってこれから何をしようか考えた。
(うーん…これから何しようか…ゲーセンでも行ってくっかな…)
ちなみに今は3時だ。
「母さん、ちょっと出掛けてくる。」
「遅くならないうちに帰ってくるのよ。」
ほぼ聞き流しのように義母の忠告を耳に入れ、外へ出た。
ゲーセンと言っても、そこまで本格的なゲーセンではない。せいぜい県が少しだけ金余ったから建てたみたいな所だ。
道のりは徒歩十分ぐらいだったので、すぐについた。
中に入ると相変わらずボカロだの、SMAPだの曲でうるさかった。俺は久しぶりに太〇の達人をやりたくて、足早に太〇の達人のブースへ足早に駆けていった。
(っと、先客がいたか…)
1人だけ俺より早くプレイしていた人がいた。流石に一緒に見ず知らずの人とプレイするのは気が引けるので、仕方なく後ろに並んだ。
前の人は髪が長く見た目からして女の人だろう。しかし背が高い。俺は大体167.7ぐらいあるが、目の前の女の人は俺より少し小さいぐらいだ。
…なんて、人間観察をしていたら女の人が後ろを振り返った。
「!?」
俺は女の人の顔を見た瞬間、後ろを向き走り去った…しかし、女の人の方が俺の肩を掴む方が早く、走り去れなかった…
「ふふふ…やっと見つけだぞ…お前がよく来るゲーセンを這っていたが、本当にくるとはな…」
「ななな、何で先生、ここここんな所に…」
目のにいる人は俺が通っている学校の先生だ。
本名は冬月冬花といい、まりの容姿の美しさにファンクラブなんてものもある。髪は腰まで伸びた真っ黒な黒髪、顔のバランスも揃っていて、おまけに文武両道。
まるで、perfectteacher。
「決まっているだろう!!あの話だ!!」
「あの話って俺聞いてないんですけど…」
俺は特にこの先生とは接点は何もない。あるとしても、俺のクラスの担任だと言うこと。
俺としては冬花先生はまだ、すきな先生ではある。しかし、今まで話したこともろくにない俺に何の用かは全然分からない。
「お前、帰宅部だったよな?」
「えぇ…一応…」
運動は出来るほうだが、運動が嫌いなので入りたくなかった。…後先生…俺には仁井打 皐(にいだ さつき)と言う名前があるんですけど…
「私と一緒に座談部という、部活を開かないか?」
「…は?」
「だから…私と一緒に座談部という、部活を開かないか?」
「…すみません…聞き間違いだと思うんですが…座談部という、部活を開かないか?…って言ったんですか?」
「あぁ。」
「…」
…よし、逃げよう。
俺は先生の手を振り払い、外へと出ていった。
…後ろからは、スーツ姿の冬花先生が追いかけてきていた。
「待て!仁井打!!」
「嫌です!!」
俺が右に曲がると右に曲がってきて、左に曲がると左に曲がってくる。そんなこんなを繰り返していてはや、十分が経とうとしていた。
そして、近くにコンビニがあり、そこのトイレへと駆け込んだ
〜トイレの中〜
「はあはあ…なんなんだあの先生…」
(いきなり声を掛けられたら、部活勧誘してきて座談部って言う部活を創ろうとか言われても…)
俺はトイレで5分ぐらい休み、外に先生が居ないのを確認し出ていった。
(はあ…何だったんだ一体…)
不意に肩をガシッと掴まれる音が聞こえた。俺は首を180度回転させ、肩を掴んでいる人物を見た。
「…やっと捕まえたぞ…」
…そこには鬼のような顔をした冬花先生が居た…
〜公園〜
「…ふう…さっきはいきなり追いかけていて済まなかった。」
「まったくですよ…で?座談部と創ろうってどういう事ですか?」
あの後鬼のような顔をした冬花先生に連れられ、公園に来ていた。
「ん、あぁ、大したことないさ、座談部と言っても本格的に部活動をするわけでもない。つまり、幽霊部活だよ。」
「…そうですか…んで、何でそんな部活を建てようと思ったんですか?」
俺がそう問い詰めると冬花先生はめんどくさそうに答えた。
「…ほら、私ってさ、今年途中から君たちがいる学校…桜ヶ丘高校にやってきたじゃん?」
先生はため息をつきながら話始めた。
「…途中から入ってきたから、部活の顧問とかも決めてなくってさー。だから、下手してめんどくさい部活に入っても意味ないじゃん?…先生からは、一応、自分で決めてくれって言われてんだけどさ…そこで考えたのよ。自分で部活を創ればいいって。」
「…そこで選ばれたのがクラスで唯一帰宅部の俺ってことですか…」
「そういう事。」
「ちなみに校長先生からは、許可を頂いてるんですか?」
「あぁ、この通り」
先生は胸元のポケットから、少し束になっている、書類を取り出した。よく見ると本当に許可を貰ったようだ…
…頭が痛くなる話である…
いきなり鬼の形相で追いかけられ、部活創れだのなんだの…あれ?
「お、察したようだな、創ろうじゃなくてもう創ってあるんだよ。」
「…」
…あいた口が塞がらなかった…
「と言うわけだからよろしく!!部員は君一人だけだから、あと毎日帰りのSR終わったら、学年室に集合ね。」
そう言うと先生は小刻みに帰っていった。
...俺は数分ぐらいポカーンとしていた。(゚д゚)←まさにこの顔
心の整理がつき、改めて思い返した。
何だったんだ...と思う反面俺は、
(明日からは楽しくなりそうだ...)
と心の奥底で思っていた。
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