何となく生きて行く

〜次の日〜

「行ってきます。」

午前七時三十分
家族に挨拶をした俺は徒歩十分の桜ヶ丘高校へと向かった。
ちなみに俺は父の単身赴任が理由で今年の夏にこっちの高校に来た。
青春真っ盛りの夏に転校して来たということで、話す相手もほとんどいない。なので部活勧誘もされなかった。

昨日、冬花先生に座談部という部に強制入部ということになり、転校２ヶ月目ということで早速頭が痛くなった。

…まあ、部活に入ったのは少し楽しみなんだが…部員が俺一人って…

あの後先生に「部員て一人でも大丈夫何ですか？」と聞いたら、「問題ない」とけなされてしまった。
…ここの校長大丈夫かよ…

さて、そんな事を考えていたら、学校の校門についた。校門をくぐり、下駄箱で靴を取ると3階の1ー1まで階段で上がっていった。
階段を登っていると、相変わらず女子の話し声など男子のふざけ声なと色々な声が聞こえてきた。
ちなみに今は9月で絶賛文化祭の準備中だ。…まぁ、俺は何にもやっていないが…
階段を登りきり、俺は教室に入っていった。
案外俺は影が薄いので余り気づかれない。気付いた人は「おはよう」と挨拶だけで済まされる。

…さて、朝のSRが始まるまで暇になった俺は少しだけ読書をしていた。
…そんなこんなで少し時間が過ぎ、SRの時間になった。


ガラララ

「ほらぁ、SR始めるぞー、せきにつけー。」

...教室に入ってきたのはやはりというか冬花先生だった。昨日、あんな事があり少しだけ先生のイメージが変わっていたが、あまり気にしなかった。

…あいつらみたいに俺なんて直ぐ忘れてしまうだろう…

…少しだけ過去の事を思い出してしまい、俺は冬花先生の話を半分聞き流しで聞いていた…









〜四時間目終了後〜

さて、やっと午前中のしんどい授業が終わり、やっと昼食の時間になった。俺は特に一緒に食べる人なんていないので屋上へと向かった。

…流石に寒いな…

秋とはいえ、もうすぐ冬になる時期だ、とても肌寒く上着１枚では足りなくなっていた。

（…そろそろもう一枚来てくるか…）

ガチャ

（？扉…？）
「…ふう…やっと逃げきれた…」

いきなり屋上の扉があいたと思ったら、何と冬花先生がいた。

「…どうして屋上まで来たんですか？」
「…うぉっ!!…何だ仁井打か…」

何だとは何だ、俺には仁井打皐という（ry

「…で何で屋上に来たんですか？」

俺は息を切らしている冬花先生に再度問いかけた。

「いやぁ…弁当持って歩いてたらさぁ…「先生!!一緒に食べましょう!!」とかのが多くてここに来た。」

まぁ、前にも行ったが、先生はスタイルよし、スキルよし、さらに、文武両道というperfectteacherなわけで勿論生徒からの評判が高い。…まぁ、性格は知らんが…

「…そうですか…ずっとここに居るんですか？」
「ん？あぁ、昼食食べ終わるまでな。」

…というわけで、昼食は先生と２人で食べることになった。

「…仁井打、お前はいつも1人で食べてるのか？」

…俺の事情を察したのか、先生は少し控えめに聞いてきた。

「…はい、そうですよ？」
「…そうか…」

先生は、少し目を細くした。

「…お前はクラスに友達はいるのか？」
「…居ませんよ…話したこともない連中ですから。」
「…」
…ほら、そうやって同情だけして良い人の振りをしてるんでしょ…

…自分で言うのもなんだが…俺は人間不信に陥っていると思う。
最近は何とも思わなくなってきたが、最近までは完全に「よし、」

「私が毎日一緒に食べてやろう。…生憎私もいないからな…」

What?

「What?」
「...ん？だから、お互いに食べる相手が居ないのなら一緒に食べてやろうと言っただけだが？」
「…」

は？いや、冗談でしょ？

「ははは、「嘘だ!!」ってみたいな顔になってるぞ…いいか？私はなやると言ったら必ずやる女だ。」

めんどくさい人に絡まれたかもしれない…

そう思った。しかし、今までこうやって話したのは久しぶりだ。…せっかくだからもう少し話したいという感情も合った。

「あ、そうそう、部活の話なんだが今日の帰りのSR終わったら必ず来いよ…もし来なかったら…」

前言撤回、後ろに修羅をまとった冬花先生はやはり怖い。…今すぐ逃げ出したい…

「…はい…」
「よし、SR終わったら直ぐに来い。っともう少し話したかったがもう時間だな…早く食い終われよ。」

時計を見ると五時間目十分前だった。いつの間にか先生は食べ終わっていた。
俺はセブ〇イレブンで買ったちぎりパンを大急ぎで食い終えた。

「ははは、そんなに慌てなくても食い物は逃げないぞ。…じゃあ、明日もここな。」

最後にからかわれた気がするがよしとしよう。…何故か明日もここで食べることになってしまったが、別に悪い気はしない。話す相手が増えたということで少し嬉しかった。

…さて、午後の授業も頑張りますか…