ドラゴンクエスト5~天空の花嫁……とか、
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第14話:俺が居なくてもストーリーは進むの?
(氷の館)
ツルツル滑るイライラな館……
全面氷張りのイヤな造りが売りのダンジョン。
進入して早々に滑ってしまい、そのまま壁に激突……そして後ろから付いてきてたスド-君に激突され、もうボロボロです。
良かった点は、滑って転んだベラの花柄パンツをバッチリ見た事だけで……
『もっと見せてくれれば“シスターのスカートめくり、俺冤罪ビンタ”の件は許してやる』
と言ったのだけど、凄く白い目で睨まれました。
しかも、その後は爺さんの肩に乗ってしまい、モロパンは勿論パンチラも見れなくなってしまいましたよ。
爺さんはチャッカリとスパイク付きの靴を履いてきてるから、俺の苦労は知らんぷり……
仲間の分まで用意してくれても良くネ!?
お陰でザイルの下へ辿り着くのに、凄く時間がかかっちゃったよ。
「鈍臭いわねぇ~」ってベラが小声で言ってたけど、お前は楽してるんだから文句言うなよ!
お前も同じ苦労してみろっての!
面と向かっては言わないけどね……だって怒られるし(涙)
「ん? 何だお前達……げっ!? じ、爺ちゃん!」
何とか滑る床を攻略し、ザイルの下へ辿り着いた俺達。
そんな俺達を見て、筋トレをしていたドワーフの子供が吃驚してる。
「ザイル……もう止めるんだ。儂と一緒にポワン殿のとこに行き、今回の事を謝ろう……」
「な、何で爺ちゃんが!? ひ、卑怯だぞ……爺ちゃんを人質にとるなんて!」
身内の登場が余程ショックだったのだろう……ザイルは慌てふためきながら俺達の事を罵倒する。
だが、この筋肉ダルマを人質にするなんて出来るわけない。
俺は只の子供だぞ……
赤子の手を捻るのだって難しいんだぞ! いや、赤子にだって手を捻られるかもしれないんだぞ!
「そうではないザイル! 儂は自らの意思で、ここへ来たのだ。このアルス殿に言われ、お前を説得するために来たのだ。さぁ……一緒に帰ろう」
爺さんは優しい口調でザイルに近付き、一緒に帰るよう促すとそっと手を差し伸べて微笑む。
「ダ、ダメだよ……俺……爺ちゃんを追い出したポワンに、仕返ししなきゃならないんだ……」
「何を言ってるのよ! 優しいポワン様が、アンタのお爺さんを追い出したりする訳ないでしょ! 前の村長とお爺さんの意思で、妖精の村から出て行ったのよ!」
氷の館の最上階(と言っても2階)に辿り着き、ドンドンと話が進んで行く……
取り敢えず原作と違い爺さんが居るから、ザイルとの戦闘にはならないだろう。なっても俺は知らんからね!
だからその間に、滑って転んで激突して出来た体中の怪我を、大量に買っておいた(代金はポワン様持ち)を使い、治療する俺ちゃん。
自分で言うのもナンだが、俺のホイミでは直らないんだよね……何も。
「で、でも……雪の女王様が言ってたんだ。ポワンが爺ちゃんを追い出したって……そう言ってたんだ!」
「雪の女王? 誰よそれは! そんな奴は妖精の村に居ないわ。騙されてるんじゃないの?」
身体の治療に専念してたら、どうやら“雪の女王”の話題になったらしい。
そろそろ本番に備えようかな? と言っても、どう備えれば良いのか?
「嘘だ! 雪の女王様が俺を騙すわけない……あんなに美しいのに、とても不幸な彼女が、俺の事を騙すわけがない!」
「ザイル……その方は何者なんじゃ? 儂も聞いた事がないが、どんな経緯でお前と知り合ったのだ?」
「俺……爺ちゃんが村を追い出された事が許せなくて、色々と調べ回ったんだ。でも随分と前の事だから、知ってる人も少なくて……そんな時、一人でここに氷の館を造ってる雪の女王様に出会ったんだ!」
この建物は雪の女王が自分で造ったんだ。
女王のくせに部下が居ないんだね……まぁ自称女王だから仕方ないよね。
「女王様も妖精の村の奴等に迫害を受けて、一人寂しくここで暮らそうとしてたみたいなんだけど……爺ちゃんが追い出された事を訪ねたら、色々教えてくれたんだ! しかも俺にこの館を貸してくれて、復讐のチャンスをくれたんだ!」
何でそいつの事を疑わないんだろう?
情報とは、裏をとって初めて有用なのに……
「雪の女王については後にするとして、今は取り敢えず春風のフルートを返す事が優先だろう。ザイル……春風のフルートはどこにあるのだ?」
爺さんがザイルに優しく問いかける。
孫が自らの意思(あるいは思惑)で事件を起こしたのではないと知り、安心しているみたいだ。
「フルートは……そこの箱の中に」
一方ザイルは、自分が騙されていたのだと解り始め、ガックリ肩を落として後ろの宝箱へ近付いて行く。
もしかしたら、その雪の女王に惚れてたのかもしれないね(笑)
「おーほっほっほっ!」
ザイルがあと数歩で宝箱に到着するところで、突如高笑いが響き、宝箱を中心に強烈な吹雪が吹き乱れる。
その勢いで、ザイルは此方に吹き飛ばされ俺の上に落ちてきた!
気を付けてたとしたって俺に避けるのは無理なのに、完全に隙だらけだったから、ダメージはそこはかとなく大きい。
「何やつだ!?」
ザイルに潰された俺の事は無視で、高笑いの聞こえる吹雪の中心地に斧を構える爺さん。
ベラも一緒に爺さんと同じ行動してるし……俺の事を心配してくれるのはチロルとスドー君だけだ。もう涙も出ない……
「おほほほほ、もう少し妖精の村の連中を困らせてやろうと思ったけど、それもどうやらここまでのようね」
「ぬぅ……貴様が雪の女王か!? 儂の孫を騙した張本人なのか!?」
どうやら雪の女王が姿を現したらしく、あっちでは物語がドンドン進んで行く。
俺はザイルの下敷きで、未だ立ち上がる事さえ出来てない……コイツ重いよ!
「別に騙してなんかいないわよ……ザイルちゃんが勝手に騙されちゃっただけなのよ。お~ほっほっほっほっ!」
「そんな……酷いよ……あんなに俺の事を好きだと言ってくれたのに……あんなに俺達……」
ザイルが自力で立ち上がってくれたので、やっと解放された俺ちゃん。
でも体中の痛みから立ち直れず、冷たい氷の床に倒れたまま物語の流れを噛み締める。
んで、気付いたのは……こいつは雪の女王に惚れてたって事。
多分ヤっちゃってるんじゃないかと俺は思ってる。
「あらごめんなさいザイルちゃん。でもね……妖精の村の連中に一泡吹かせられなかった貴方が悪いのよ。私の目的は連中への復讐なんですから!」
おや? ここでも原作との乖離が出てきたぞ。
何だか今回の目的の動機が、とってもショボイ事になってきたぞ!
「……貴女、もしかしてベロニカ?」
何だか色々面倒臭くなってきてた俺ちゃんは、物語が勝手に進むのを良い事に、氷の床に寝そべったまま様子を覗っていたのだが、雪の女王に対して発したベラの一言が気になり起き上がろうかと考える。
「げっ、ベラ!? な、何を言ってるの……ベロニカなんて美女の事は知らないわよ!」
雪の女王の動揺が凄い。
名乗ってもいないベラの名前を言い当て、『美女』なんて一言も言ってないのに、ベロニカを美女と言い切り、自らの正体を明かしているのと同等な事を披露している。
どうやら頭は悪いらしい(笑)
ベラの知り合いって事はエルフなんだろう……
ザイルが内面度返しで惚れたって事は、自覚しているほど美人なんだろう……
これはやはり、面倒臭がらずに物語に参加して、美人エルフを拝みましょうか!? うん、そうしよう!
「よっこいしょ……」
6歳児に似合わない掛け声で起き上がり、待望の美女求め周囲を見回す。
そして直ぐにお求めの人物が視界に入ってきた……が、
後書き
私の書く雪の女王は、基本的に頭が緩いらしい。
ページ上へ戻る