ヘタリア大帝国
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TURN92 パルプナ=カラードその一
TURN92 パルプナ=カラード
エイリスの動きは迅速だった。
モンゴメリーはマリー、そしてイギリス兄妹と共に南アフリカに入った、南アフリカもまたエイリスの植民地戦略の重要拠点だ。
その南アフリカの港でイギリスはモンゴメリーに言った。
「ここもな」
「はい、危ういですね」
「今や最前線だしな」
「しかもここでも独立運動が活発化しています」
「枢軸の連中は仕掛けてないけれどな」
彼等はずっと中南米に戦力を集中させていた、工作員の数でも最早連合を圧倒しているがそもそも枢軸の中心である日本がそうした工作を好まないのでそれはなかった。
だがそれでもなのだ。
「ソビエトの奴等がな」
「あのゾルゲは来ていませんが」
「あいつは来ていないけれどな」
「共有主義を吹き込み盛んに独立を煽っています」
「貴族も資産家も打倒しろってな」
「彼等は全世界の共有主義化を目指しています」
このことはカテーリンが堂々と公言している。
「その彼等から見れば我々の植民地は」
「エイリス自体がな」
王制であるこの国自体がだというのだ。
「目障りな存在だからな」
「ですから今からです」
戦争中だが既にだというのだ。
「残されているアフリカの植民地に盛んに工作を仕掛けています」
「同盟国ではないですね、最早」
横からイギリス妹が言って来た。
「ソビエトは」
「ドクツもね、スエズからの攻勢を要請したけれどね」
マリーが浮かない顔で話す。
「それでもね」
「絶対嘘だな、再編成が整っていないとかな」
「はい、時間は充分にありましたから」
妹が兄の不平に答える。
「間違いなく」
「ここは戦力を温存するつもりだな」
「ドクツの港を密かに見ました」
イギリス妹はそこからチェックしていた、ど靴に赴いた際に。そのこともまた兄達に対して話したのである。
「新型の艦艇fが揃い精兵達が訓練に励んでいました」
「やっぱりそうか」
「何時でも攻勢に出られます」
それがドクツの現状だった。
「どうやらまだ公にされていない新型艦もありましたし」
「それも気になるな」
「それまでは確かめられませんでしたが」
潜入はしたが、というのだ。
「しかしドクツが既に戦力を再編成し終えていることは確かです」
「つまり俺達に戦わせてか」
「消耗させて漁夫の利を狙っています」
「今度の総統は煮ても焼いてもみたいね」
マリーが顔を曇らせて言う、今は四人で港を進み南アフリカの惑星の中に入ろうとしていた、その中でだった。
「あの人は」
「ああ、全くだな」
イギリスはそのマリーの言葉に答える、
「随分とな」
「ドクツも明らかに我々を敵視していますな」
モンゴメリーが言った。
「ソビエトと同じく」
「連合はお互いに敵同士だな」
イギリスはこの現実を今言葉に出した。
「完全にな」
「そうですね、我々の敵は枢軸だけではありません」
「ソビエトにドクツにな」
「植民地の独立運動に」
まだあった、今度は。
「貴族達に」
「あの連中も何とかならねえのかな」
「エイリスはどうなるのでしょうか」
イギリス妹も不安を感じずにはいられなかった、長年エイリスの軍師としてこの国を支えてきた彼女であるが。
「正常で機能しているのは軍と市民の方々だけです」
「そうだな」
「はい、本当に」
内外に敵を抱えている、それが今のエイリスだった。
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