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ハイスクールD×D―魔法使いのキセキ―

作者:Nation
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旧校舎のディアボロス
  第09話

 
前書き
展開も決まり更新することが出来ました。
別に定時更新を目指しているわけじゃないのですが、ここまで連続で投稿できていると何処まで連続更新が出来るか試したくなりました。

是非、見ていってください。 

 
 バイザー討伐から一日が過ぎた。
 俺はイッセーとともに依頼主のもとに向かっている。
 昨日の夜、部長から自分の役割が『兵士』だと聞かされ落ち込んでいたが一夜で切り替えたのか、翌朝にはいつも通りになっていた。
 そして、今も張り切っている。契約数がいまだ0件なため、今度こそはと意気込んでいるのだろう。
 その意気込みが空回りしなければいいが。いや、そうさせないための俺か。
「・・・出世の道は遠いな」
 イッセーが呟く。切り替えたと思っていたが気にしていたようだ。
「とんとん拍子で進む出世は後で痛い目に合う。一段ずつ確実の方がいいだろ。千里の道も一歩からともいいう」
 一気に駆け上がるよりも確実に進んだ方がより経験を積むことが出来ると俺は思っている。
「それに爵位を持つことが終わりじゃないし、持った後も相応の責任がある。なら多くの経験を積むべきだ」
「それだといったいいつになるのやら。俺は最弱の『兵士』だぞ?」
「いつになるかは分からんがそれだけの時間がお前にはあるんだ。悪魔の寿命は長い。すぐに達成すると余生をどうする気だ」
 悪魔のみならず人ならざる者の寿命は極めて長い。それは転生悪魔とて同じだ。
 それに、『兵士』を最弱だと思っているようだがそれは違う。だがこれは俺が言うべきことではない。
 そういえばイッセーの価値はどのくらいになるのだろうか。それしだいではイッセーの励みにもなるのだが。

 そんな会話をしていると依頼主の家につく。知った道を通ってきたが、俺の家がすぐそこだ。
「グレモリー様の使いの悪魔ですが・・・」
 俺が自宅を見ているとイッセーは挨拶をしながら門を潜る。
「玄関が空いてる?不用心だな」
 確かに玄関が空いている。だがそれよりも気になることがある。
 どうしてこの家に結界が張られているんだ?
 俺みたいな例もあるから、魔法使いの類が悪魔を呼んだ可能性もある。だが結界を張っておきながら玄関が空いているのはおかしい。
「イッセー、結界が張られてる・・・」
 イッセーにそう忠告をし、杖を抜く。
「マジか!どうして?」
「俺みたいな例もあるからな。魔法使いが呼んだ可能性もある。どうする?」
「呼ばれたんだ。行かないわけにはいかないだろ」
「わかった。だが警戒は怠るなよ」
 そういうと俺たちは玄関をくぐる。

 廊下は明かりひとつついていない。二階も同様に明かりはついていない。
 リビングだろう部屋には淡い明かりが灯っている。それだけなら雰囲気作りか本格的な召喚で片付けられるが、不気味な気配がする。
 イッセーとともにその部屋に入る。そこには

 壁に磔にされている男性がいた。

 両腕を横に広げ、手のひらに杭を打たれ壁に縫い付けられている。足にも打たれている。それだけならキリストの磔と似ているが上下が逆。足が上で頭が下だ。
 そして男性の胸の中央にも杭が撃たれており、また腹部からはおびただしい血が流れており内臓らしきものが見えている。
「ガハッ!」
 イッセーは隣で吐いているようだが気に掛ける余裕は俺に無かった。俺自身右手で口を押え、こみあげてくる胃液を抑えるのでいっぱいだ。
 男性が磔にされている壁には何かが書かれていた。
「なんだ、これ・・・」
 イッセーの問いかけはすぐそばのソファーから帰ってきた。
「『悪い人はおしよきよー』って聖なるお方の言葉でさぁー」
 男性に気を取られて全く気が付かなかったがソファーに誰かが座っていたようだ。声からすると若い男。
 その男はこちらを見ながら立ち上がる。
 白髪の外国人。俺たちとそう変わらない年齢だろう。神父のような恰好をしている。
「おやおや、悪魔君ではあーりませんかー。で、そっちは悪魔に魅入られた哀れな人間と」
 イッセー、俺の順で観察し言葉をつづる。その眼は狂った歓喜を上げていた。
 見た目からしておそらく『悪魔祓い』だ。
「俺は神父♪少年神父~♪デビルな輩をぶった斬り~、ニヒルな俺が嘲笑う~♪お前ら悪魔の首刎ねて~、おれはおまんま貰うのさ~」
 突如として歌いだす神父。
「俺はフリード・セルゼン。とある悪魔祓い組織に属する末端なのですよ。ああ、お前らは名乗らなくて結構。俺様の脳内容量に死ぬ奴を保存する気は微塵もありませんので。大丈夫よ。すぐに快感に変わるほどの死をあたえてあげちゃうよ。新たな扉を開こうぜ!」
 言動がめちゃくちゃだ。
「・・・この人を殺したのはお前か?」
「そうですよ~。だってこれ、悪魔を呼びだす常習犯だったんでしょぅ?なら殺すっきゃないっしょ」
「な、なんだそりゃ!」
「やめておけ、イッセー。こいつは狂ってる。常識は通じない」
 すると俺の言葉に反応したのか、フリードが殺意を向けてくる。
「はぁ~?悪魔と一緒に行動している奴に狂ってるとかいわれたくないんですけどぉ。オタクの方が頭いっちゃってんじゃない?」
 日本語で言ったのだが通じたらしい。
「お前らが殺すのは悪魔だけじゃないのか?」
 イッセーがフリードに問いかける。
「悪魔のようなクソを呼び出す奴はそいつもクソなんだよ。人間として終わってる証拠。だから俺が殺してあげたのさ。それが俺の仕事でごさいますから」
 そう言いながらフリードは両腕を服の内側に入れる。
「そして、クソ悪魔を退治するのも俺の仕事。ちゃーんと穴だらけの、みじん切りにしてやるよ」
 服から出したのは謎の棒状なものと拳銃。そして、棒状のようなものから光が発せられビームサーベルのような剣に変わった。
「俺的にはお前らがアレなんで。心臓にこの光の刃を突き立てて、このカッコイイ拳銃でドタマ打ち抜かせて、殺やらせていただきます!」
 その言葉とともにフリードはイッセーに向かう。
「やらせるか!ウィンドカッター!」
 風の刃がフリードに向かう。だが、刃はフリードを捕らえることが出来ず、そばにあったソファーを二つに刻む。
「ガアッ!」
 するとイッセーから悲鳴が聞こえた。イッセーを見ると足に弾痕があった。
 すぐさまフリードを見ると銃から煙が上がっていた。再び引き金を引こうとしていたのでイッセーとの間に割り込み防壁を張る。
「プロテクション!」
 弾丸は防壁に阻まれ消えた。
「ヒャヒャヒャ!どうですか!光でできている祓魔弾の威力は!銃声なんてしません。そして、光は悪魔に猛毒!脳髄が溶け出すほどの快感を味わっちゃってください!」
 不味い状況だ。
 こっちは詠唱をしないと魔法が放てない。どんな魔法でも一言は必要だ。だがこの室内ではそれすら難しい。
 それに使える魔法も限られる。例えばここで火の魔法を放とうものなら火事になる。
 逃げるにしてもイッセーは足を撃たれ、そして光の影響が全身に回っている。動くことも困難なほどに。
 対するフリードは引き金を引くだけで攻撃することが出来、接近戦でも光の剣で対処できる。ましてや無傷だ。
 違った状況なら勝機もあったがそんなこと言ったところで無意味だ。今この状況をどうにかしないと。
 俺は必死に打開策を考えていたが、ある人物の登場で中断することとなった。

「やめてください!」

 聞き覚えのある女性の声がした。
 俺たちが声のした方を向く。
 そこにいたのは
「アーシア」
 イッセーと俺が教会まで案内したシスター、アーシア・アルジェントがいた。
「助手のアーシアちゃんじゃあーりませんか。結界は張り終わったのかな?」
「! い、いやぁああああああ!!!」
 彼女は壁にある男性の死体を見ると悲鳴をあげる。
「可愛い悲鳴をどーも。アーシアちゃんはこの手の死体は初めてだっけ?ならよく見ておくように。これが悪魔に魅入られた人間の末路ですから」
「そんな・・・」
 フリードの言葉に愕然としているアーシアは不意にこちらを見た。
「イッセーさんにサクヤさん・・・フリード神父様、その人たちは・・・」
「人?いえいえ、これはクソ悪魔と、それに魅入られたクソな人間ですよ」
 フリードは順番に剣で指しながら答える。
「・・・イッセーさんが悪魔・・・」
 その事実に驚きが隠せないようだ。アーシアは言葉を詰まらせる。
「なになに?クソ悪魔とお知り合いなわけ?悪魔とシスターの禁断の恋とかそういうの?マジ?」
「・・・ごめん、アーシア。でも、騙してたわけじゃない!だから、もう会わないと思ってたのに・・・」
 イッセーが謝る。
「そういうこっと。悪魔とシスターは相容れましぇん。それに私たち、堕天使の加護を受けている半端者ですから・・・」
 堕天使の加護だと?ということはあの協会は天使ではなく堕天使が使っているのか・・・
 だが、アーシアがなぜ?
 堕天使の加護を受けるのは、はぐれの者。すなわち教会を追放されたものだ。
 フリードのように狂っているのならともかくアーシアはそうとは思えない。
 あの時少ししか会話をしてないが、はぐれには思えない。
 だが、今はそんなことを考えている余裕はない、今はこの状況をどうにかしないと。
 打開策を考えていると俺たちとフリードの間にアーシアが立ちはだかる。
 フリードと向かい合いながら。
「おいおいおい、アーシアちゃん、自分が何しちゃってるわかってるわけ?」
「・・・はい、フリード神父様。この人たちを見逃してください」
 俺たちを助けるというのか?
「もう嫌です。悪魔を殺すのも、悪魔に魅入られたからと言って、人間を裁くのも、そんなの間違っています!」
「間違ってねぇよ!頭にウジわいてんのか?!?教会で習っただろ、悪魔はクソ以下だ。そしてそんなクソに魅入られえた人間だって同じクソだってよぉ!!」
「悪魔にだって、魅入られた人だっていい人はいます!」
「いねぇぇぇよ!ヴァァァァカ!!」
「私だってそう思ってました・・・でもイッセーさんもサクヤさんもいい人です!それはなんだろうと変わりません!」
 こんな死体を目にして、そしてイッセーが悪魔だという事実を知りながらそれでも強くフリードに物言いをする。
 強い子だ。この子は、すごい。
 フリードは拳銃を持った手でアーシアを殴ろうとする。
 バシッ!
「つぅ・・・」
 俺は咄嗟にアーシアの隣に行き右腕でフリードの拳銃を受け止める。
「あぁ?オタクなに?人様の教育を邪魔立てするきですか?」
「あいにく、庇ってくれた知人を見捨てることはできない」
 そのまま蹴りを放つがフリードは後ろに下がって蹴りを躱す。
「そうだな。庇ってくれる女の子の前で無様晒せねぇわ。よっし!」
 イッセーも気合を入れて立ち上がる。激痛が走っているだろうによくやる。
「ヒュー!よくそんな状態でやるねぇ。その方がおれっちも殺し甲斐あるってもんよ。そんじゃま、細切れ世界新記録に挑戦しましょうか!」
 言い切ると同時にこちらに向かってくる。

 その時、部屋に赤い光が発せられたからだ。
 それは魔法陣、グレモリー家の紋章が入った転移陣だった。
「二人とも、助けに来たよ」
 そういいながら魔法陣から出てきた祐斗はフリードに斬りかかる。
 フリードは光の剣で防ぐとそのまま鍔迫り合いになった。
「あらあら、ご無事ですか?」
「・・・悪魔祓い」
 続けて朱乃さんと小猫が出てくる。
 どうやら助けに来てくれたようだ。
「うひゃー!悪魔の団体さまご到着!なになに、全員殺っちゃっていいの?くぁー!殺り甲斐あるー!!」
「悪いね。彼らは僕らの仲間なんだ。殺させるわけにはいかないよ」
「悪魔のくせに仲間意識バリバリでやんすなー。なに?君が受けとかそういうのかい?」
 寒気がする。最近そう言ったことがひどくなったせいか敏感に反応してしまった。
「下品なものいいだ。だから『はぐれ悪魔祓い』をやっているんだろうね」
「そうですよー、ぼくちゃんはぐれ者。悪魔を滅多斬りに出来たら満足なんです」
「厄介なタイプだ。悪魔を狩ることを楽しんでいる。僕らにはもっとも害悪な存在だ」
「てめぇらクソみたいな連中に言われる筋合いなんざねぇっつーの!」
「悪魔にだって、ルールはありますわ」
 朱乃さんが敵意と殺意をもってそう答える。
「いいねぇ。その熱い視線。これは恋?いや違う!これはまさしく殺意!最高!殺意は向けるのも向けられるのも大好きです!」
「―――なら消し飛びなさい」
 最後に出てきた部長がフリードに向けて魔力を放つ。
 だが、ギリギリの所で躱された。
「ごめんなさい、二人とも。まさか依頼主のもとに『はぐれ悪魔祓い』が訪れるなんて」
「先ほどまで結界が張られていたせいで気づきませんでしたの」
 部長と朱乃さんがそういう。
 フリードは朱乃さんの言葉を聞くとアーシアに怒気を放つ。
「なにしてんだよ!このクソアマ!結界はお前の仕事だろうが!」
 そのままアーシアに攻撃を仕掛けようとするが
「だから、やらせるか!」
 俺は杖を振り、フリードの後ろにあった花瓶を奴に向けて飛ばす。
「クソ!」
 フリードは振り向きざまに光の剣を振るい、花瓶を斬る。
「あぁ、もうさっきから邪魔だなぁ。そこの人間わよ!」
「知るか。邪魔だと思うのならどこかに消えろ」
 そんなやり取りをしていると部長がフリードに声をかける。
「私の下僕をずいぶんと可愛がってくれたようね?」
 かなり威圧のある声。相当頭に来ているようだ。
「そりゃもう。本来なら更なる殺意()を注いで上げるつもりでしたが邪魔が入りまして敵いませんでした」
 その言葉に部長はさらに威圧を込めて言葉を紡ぐ。
「私は、私の下僕を傷つける輩を絶対に許さないようにしているの。ましてやあなたのような下劣な輩に傷つけられるなんて本当に我慢できないわ」
 底冷えするくらいの殺意がリビングを覆う。だがその殺意も朱乃さんの言葉で消えてしまった。
「! 部長。複数の堕天使がこの家に近づいているようです。撤退した方がよろしいかと」
「! わかったわ。朱乃、すぐに準備を。サクヤ、すぐに逃げれるかしら?この魔法陣じゃ、眷属じゃないと飛ぶことができないの」
 部長が心配そうに声をかける。
「大丈夫かと。幸い家が近いですし、あの部屋ならごまかせます」
 魔法の練習部屋。あそこなら気配が漏れることもないからあそこに籠れば何とか凌げる。
 それにただ逃げるだけならやりおうもある。
 だがその前に
「アーシア。君はどうする?」
 アーシアに声をかける。
「え?」
 アーシアはいきなりの事に戸惑っている。
「サクヤ!何をしているの!?」
 部長が言ってくるが無視させてもらう。
「あの神父が居る所に戻るか俺たちの所に来るか。別に悪魔になれってわけじゃない。俺自身悪魔じゃないし」
 この子は俺たちをかばってくれたんだ。イッセーなら何も言わずにつれていくだろうが俺は意志を尊重する。
「どうする?」
 一秒ほどの沈黙。そして
「・・・私を連れて行ってください」
 アーシアがそう言った。
「何言っちゃってんのこのクソアマ!そんなことされたら俺が堕天使の姉さんに何言われるか!」
 フリードが突っかかってくる。
「神父なら、他人の意志を尊重しろ。ウィンドカッター!」
 フリードに向けて風の刃を放つが先ほどと同じように躱す。しかし
「・・・えい」
「アイタッ!」
 躱した先を狙って小猫がタンスを投げ命中させる。頭に当たったため気絶したようだ。
「部長、俺とアーシアは自宅に逃げます。すぐにケータイに連絡を入れますので」
「ああ、もうしょうがないわね。後で話を聞かせなさい!」
 部長はそういうとイッセーやほかのメンバーを連れて転移をする。
「朔夜!アーシアを頼む!」
 転移する直前にイッセーがそう叫んでいた。
「俺たちも急いで逃げるぞ!」
 そういうとアーシアの手をつかみ、呪文を唱える。
「我は色を無くす。我は光を無くす。我が姿は世界より消える!インビジブル!」
 自己透過魔法。正直これが通用するか分からないが無いよりはましだ。
 そのまま、アーシアの手を引き走り出す。
 そのまま見つかることなく自宅まで辿りついた俺はすぐさまアーシアと魔法の練習部屋に逃げ込み、透過を解除する。
「ふぅ、これで大丈夫だといいが」
 俺は安堵の溜息を吐いた。少し様子を見ないと分からないがとりあえずは大丈夫なはずだ。
「・・・どうして私を助けたのですか?」
「さっきも言ったが、助けてくれた知人を見過ごすことはできない。それに、あのままにしておけばあの神父に何をされていたかもわからないしな」
 恩をあだで返す趣味は持ち合わせていないし、知らない仲でもない。なら助けるのが俺だ。
 まぁ、この辺りはイッセーの影響だ。
「ありがとうございます」
 アーシアは御礼を述べる。
 御礼を受け取ると俺は部長に連絡を入れる。部長は時間を少し開けて家に来るそうだ。
 彼女には聞きたいこともあるが今は部長たちが来るのを待つ。話はそれからだ。
 
 

 
後書き
フリードの台詞が難しいです。めちゃくちゃな雰囲気を表現できない。

そして、祐斗の『悪いね』というセリフが別のキャラでリピートされる始末。
声優も同じなだけにアニメを見るとそうとしか聞こえないです。
速度重視の技巧派って戦い方も似てるし。
多分どこかしらでこの中の人つながりのネタをやるかと思います。

ここまで読んでいただきありがとうございます。 
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