ハイスクールD×D―魔法使いのキセキ―
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旧校舎のディアボロス
第08話
前書き
バイザー戦です。戦闘描写がうまくかけているといいのですが
是非見ていってください
はぐれ悪魔。自身の主を裏切り、自分勝手に生きる悪魔の総称。元より敵対している天使、堕天使はもちろん、同族の悪魔にすら危険視されている存在。
見つけ次第対処、処分をするのがどの勢力でもルールである。
はぐれ悪魔がこの先の廃屋に潜伏し、人を食らっているそうだ。
今回はその討伐任務になる。
「主を裏切り、暴れまわるか。・・・そういうのもいるんだな。いや、それが本来の悪魔の形なのか?」
「どうだろうな。部長は純粋な悪魔らしいから何とも言えない。ただ、はぐれの悪魔が暴れているのは悪魔とは関係ないだろう」
「どうしてだよ?」
「突如として強大な力を手に入れ、それに酔った。それだけだ。人間レベルでも同じことがあるだろう。
身近なたとえだと、ゲームで強い武器を手に入れて威張っているようなものだ」
そういうものだろう。そしてそれが悪魔の力という強大なものであったがためにそれらを振るい暴れる。すべてのはぐれがそういうわけではないだろうが、害を与えている部類はそんなところだと思う。
「にしても暗いな。月明かりも無いとは」
回りには木々が茂っており街灯なんてものはない。ほかのメンバーは悪魔だから見えるだろうが俺には見えにくい。
「大丈夫かい?なんなら戻った方が」
「いや、もう少し近づいたら暗視の魔法を使うからそれでマシになる」
身体強化系の魔法は使用時間が長いとその分法力を使うからできるだけ控えたい。今回は見えているメンバーばかりだからギリギリまで使わなくても大丈夫だろう。
「・・・血の臭いがします」
そういうと小猫は鼻を制服の袖で覆う。悪魔になるとわかるのだろうか?
俺には臭いは分からないがこの辺りに充満する殺意や敵意は感じることが出来る。イッセーも感じているのだろう。足が震えている。
「イッセー、ちょうどいい機会だから悪魔の戦い方を経験しなさい」
「マジっすか!いや、俺は戦力にならないと思いますが」
「ええ、あなたは戦えないわ。でも見ることはできるでしょう」
見ることも確かに経験になる。ましてや実践だ。稽古を見るよりためになる。
「それに、いい機会だから悪魔の歴史も教えてあげるわ」
そういうと部長は三大勢力の三つ巴の話を始める。
「悪魔と堕天使、そして天使の三勢力は永遠とも思える長い間戦争を続けていた。そしてどの勢力も疲弊し、勝者の出ないまま戦争は数百年前に終結した」
「悪魔側も爵位を持った大悪魔が軍団を率いていたんだけどその多くが数を失った。軍団を保てないほどにね」
「しかし戦争は終わっても、三勢力のにらみ合いは続いています。天使、堕天使も多くの兵を失ったとはいえ隙を見せれば危うい状態です」
「・・・そこで悪魔は少数精鋭の精度を作る事にしました。」
祐斗、朱乃さん、小猫と説明が続き、部長に戻る。
「それが『悪魔の駒(イーヴィル・ピース)」
「イーヴィル・・・ピース・・・」
イッセーが必死に聞いている。
「人間界のチェスの特性を下僕悪魔に与えたのよ。主となる悪魔が『王』。そこから『女王』『戦車』『騎士』『僧侶』『兵士』の五つの特性を出した。
それが爵位持ちの悪魔に好評でね」
「好評ですか?」
「ええ、競うようになったのよ。ルール化されて戦い合うようになったわ。それを『レーティングゲーム』と呼ぶわ。今では公式の大会がいくつも存在して、爵位にすら影響を与えているほどにね」
「部長たちもそのゲームに参加したことが?」
「いいえ。私はまだ成熟した悪魔じゃないし、公式の大会に出るには条件があるからプレイしたことはないわ。朱乃たちも同じよ」
「つまり、イッセーは当分ゲームをすることがないという事ですか。よかったな訓練する時間があるぞ」
今のイッセーがゲームに出ても戦力にならないし、バックアップも無理だろう。囮がせいぜいだ。
「そういう事だから安心していいわよ。イッセー」
「そうですか。部長、俺の役割や特性って?」
「そうね。イッセーは・・・」
部長が答えようとしたが途中で途切れる。殺意と敵意が一層濃くなったからだ。
どうやら、対象が近づいているようだ。
俺は杖を抜き、暗視の魔法を唱える。
「不味そうな臭いと美味そうな臭いがするぞ?甘いのかな?苦いのかな?」
そんな声が聞こえてきた。内容もそうだが声色が相当不気味な声だ。まっとうな生物の放つ声ではない。
「はぐれ悪魔バイサー、あなたを消滅しにきたわ!」
部長が臆さずに宣言する。ケタケタと笑い声をあげながら物陰から姿を現した。
上半身が裸の女性の姿が見える。イッセーはその姿を見るとにやけたがすぐに驚愕に変わる。
そうだろう。その体があるのは5メートルは上でありその下は異形の下半身があった。
象の体を巨大化させつけたようなほどでかい四足の足。爪も相当長い。
蛇のようにしなる尾は自立しているかのように動いている。
全体としてケンタウロスの構造をしているが構造が同じなだけだ。
そして、両腕には二本の槍を持っている。
そんな容姿をしているはぐれ悪魔バイサーに向けて部長が言葉を続ける。
「欲求を満たすために暴れまわるのは万死に値するわ。グレモリー侯爵の名においてあなたを消し飛ばしてあげる!」
「こざかしい!お前の体をその紅の髪と同じ鮮血にそめてやるわぁぁぁあああ!!!」
実にうまいことを言った。不覚にも関心してしまった。
「雑魚ほど洒落のきいたセリフを言うものね。祐斗」
「はい!」
部長の指示に祐斗はすぐさま動き出す。
左腰に下げていた剣を握るとその姿がきえた。否、消えると錯覚するほどの速度で動いた。
「はぁ!」
相手の目の前で現れると抜刀術の要領で剣を抜きバイサーの右肩を切断する。
「ぎゃぁぁぁぁ!!!!」
斬られたバイザーはそのまま悲鳴を上げるが、すぐさま祐斗めがけて槍を振るう。だが祐斗は余裕を持って躱す。
「祐斗の役割は『騎士』。その特性はスピード。そしてあの子の最大の武器は剣。この二つであの子は最高の騎士になれる」
その後もバイサーは槍を振るい続けるが、その槍は高速で動く祐斗を捕らえることが出来なかった。
躱しながら祐斗は今度は上段に構え左肩めがけて剣を振り下ろす。
肩を斬り離すと祐斗はその速度のままこちらに戻ってきた。
そして入れ替わるように小猫がバイサーのもとに歩き出す。
「この小虫があああああぁぁぁぁぁ!!!!」
「小猫ちゃん!」
バイサーの巨大な足が小猫を踏みつぶそうとしたため俺は、魔法を唱えようとするが部長に止められる。
「次は小猫ね。あの子は『戦車』よ。その特性は」
ズズンッ!!
バイサーの足が小猫を潰すが足が浮いている。ちょうど小猫の身長と同じほどだ。
「圧倒的な防御力と攻撃力」
「・・・ふっとべ」
小猫はバイサーの足を押し上げもぐりこみ、相手の下半身の腹部めがけてこぶしを入れる。するとバイサーはその巨体を浮かせひっくり返る。
あれほどの巨体をこぶしだけで押し上げるとは、恐ろしい怪力だ。
「・・・小猫ちゃんには逆らわないようにしよう・・・」
イッセーは呟く。・・・こいつの教育には小猫に協力してもらうのがいいかもしれないな。
「次は朱乃の番だけど、その前に朔夜の力を見せてもらえるかしら?」
部長が問いかける。丁度いい。俺も自分の力がどこまで人ならざる者に通じるか試せるかもしれない。
「わかりました。ですが、実践は初なんでもしもの時はフォローお願いします」
そうお願いすると俺は数歩前に出て小猫と入れ替わる。俺たちが話している最中にバイサーは立ち上がったようだ。
「ファイアーボール!」
俺は向かって来るバイサーの上半身に向けて火球を飛ばす。
「邪魔だ!!」
その言葉とともにバイサーは蛇のような尻尾を振るい火球を防ぐ。
祐斗ほど早いわけではないので防がれてしまった。
俺は軽く舌打ちをし再度呪文を唱える。
「パイロシューター!」
先ほど防がれた火球より心なし小さい火球が先ほどと同じ軌道を描きながらバイサーに向かう。
「無駄だ!!」
バイサーは先ほどと同じように尻尾を使い火球を防ごうとするが。
「悪いがそれは操作弾だ」
その言うと杖を振るう。すると火球は突如軌道を変え尻尾を躱し、バイサーに直撃する。
「ぐぁぁああ!!」
どうやら攻撃は通っているようだ。
バイサーは顔を抑えながら前進してくる。最後に一仕事して朱乃さんに代わるとしよう。
「足元注意だ。アイシクル!」
そう呪文を唱えると、バイサーの前足が地面から生えるように現れた氷に貫かれ動けなくなる。
「部長、これぐらいでいいですか?」
そういいながら部長の方を見る。
「ええ、十分よ。朱乃、お願いね」
「はい、部長」
返事をすると朱乃さんが前に出てきたので、俺は部長たちがいる場所まで下がる。
「朱乃の説明をするわよ。彼女は『女王』。私の次に強い者。他の駒全ての力を兼ね揃えた無敵の副部長」
バイサーは朱乃さんをにらみつけるが、俺の氷のせいで動くことが出来ない。その様子を見て朱乃さんは不適の笑みを見せる。
「あらあら、まだまだ元気そうですね。では、これならどうです?」
朱乃さんは両腕を上げ、雷を発生させると、その雷をバイサーに向けて放つ。
「ガガガガッガアアガアッ!!!」
バイザーは感電し黒焦げとなる。相当な威力だ。俺が作った氷が砕け散ってしまった。
だが、まだ死んではいない。
「あらあら。まだまだいけそうですわね」
そういうと再び雷を落とす。バイサーから断末魔に似た叫びをあげるがまだ終わらない。
朱乃さんの表情は恐ろしいほど嘲笑を作り出している。
「朱乃は魔力を使った攻撃が得意なの。炎や氷と等の自然現象を起こす力ね。特に雷は彼女の十八番よ。そして何より彼女は究極のSよ」
・・・・・・なるほど、魔力を直接属性に変換しているのか。俺は魔法の効果として発生させているが、直接変換した方が効率がいい。
魔法はいわば機械を使って作業しているようなモノ。扱うことが出来れば最低限の効果を誰でも得ることが出来る。
一方、魔力による変換は直接作業をする。本人の技量に依存するが、自由度が高い。
「Sってもんじゃないでしょうあれ!!」
俺が必死に目をそらした現実をイッセーが指摘する。
「普段はやさしいけど、戦闘になると自分の興奮がやむまで攻撃をやめないわ」
みたいだ。もはやバイサーは声を上げることすらできないが、それでも攻撃の手をやめない朱乃さん。
『女王』の意味が変わっていると思うのは俺だけじゃないはずだ。
「うぅ・・・。俺、朱乃さんが怖いっす」
イッセーがそうもらす。同感だ。
「大丈夫よ二人とも。朱乃は見方にはとても優しいから。今度甘えてみなさい。きっと優しく抱きしめてくれるわ」
「うふふふふ、まだ倒れないでくださいね。部長の番が残っていますから。おほほほほ」
部長がそう答えるが、あんな光景を見せられても説得力が皆無である。高笑いしてるし・・・。
そして朱乃さん。倒れないでと言うのならもうやめてあげてください。倒れてこそいないものの、戦意は完全に倒れてると思います。
その後数分間、朱乃さんの高笑いの声と雷の音が廃屋に鳴り響いた。
朱乃さんは大いに満足した笑顔をしながらこちらに戻ってきた。その笑顔が怖い。
入れ替わるように部長がぎりぎりの意識を保っているバイサーのもとに向かう。
「何か言い残すことは?」
「殺せ」
部長の問いに、短く答えるとバイサー。もう抵抗する力も気力もないのだろう。
「なら、消し飛びなさい」
冷徹な声で部長は手のひらからドス黒い魔力を発生させる。そのドス黒い魔力はバイサーを飲み込む。
そして魔力が晴れるとバイサーの姿はなかった。文字通り消えた。
「これで終わりね。みんな、ご苦労様」
「ふぅ」
部長のねぎらいの言葉に俺は深い息を吐く。初めての実戦と呼べる戦いだ。無意識のうちに気張っていたらしい。
「ところで朔夜はああいった魔法が得意なの?」
「得意ってわけじゃありませんがよく使いますね。後は身体強化系のものも」
俺は教授から様々な魔法を教わった。そしてその大半は扱うことが出来る。どれも基礎的なモノばかりだが。
「ただ、基本自宅での練習ですからレベルは低いと思います」
「ただの一般人だった人間があそこまでやれるのはすごいとおもうけど」
そうなのか。比較できる人が教授しかいなかったためどうしても自分が低く思える。
教授なら『パイロシューター』を百をはるかに超える数を出現させ手足のように操ることが出来るだろう。今の俺だと3つが限界だ。威力も桁違い。
「そうですわ。自信を持っても大丈夫ですわよ」
朱乃さんもそういってくる。ならもう少し自信をもってもいいかもしれない。
「部長、ところで俺の駒って?」
イッセーの質問に部長はニッコリと笑顔を浮かべはっきりと答えた。
「『兵士』よ。イッセーの役割は『兵士』」
イッセーは希望が打ち砕かれた顔をした。
後書き
次回ですが、もしかしたら遅れるかもしれません。
展開が数パターンほどありましてどのルートで行くか悩んでまして。
結末は同じなんですがしっくりいくものが書きたいので。
ここまで読んでいただきありがとうございました
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