WvsA‘s ジ・ビギンズナイト
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Sとの会話・真実の欠片
装甲車『リボルキャリー』の後を追いってきたシグナムら一同。そして、辿り着いたのは少し古ぼけた事務所だった…。
「道、間違えたか?」
「いや、そんなはずは…」
不安げに話すヴィータとシグナム。
「!、誰か来るぞ…。」
「「!」」
突然のザフィーラの警告に構える二人。しばらくすると事務所の中から男が出てくる。
「よう。待ってたぞ…。」
出てきたのは宗吉であった…。
「「「…」」」
「そう身構えるな…。上がれ…。」
そう言って三人を招く。三人は警戒しながらも彼の後に続き中に入る…。
そして、宗吉はあるドアを開きそこに入る…。そのドアの隣には看板がぶら下がっていた…。
「シグナム…コレなんて読むんだ?」
ヴィータがシグナムに尋ねる。
「鳴海…探偵事務所…」
「じゃあ、あのオッサン探偵なのか?」
「さあな…少なくとも…」
「ただの探偵ではないだろう…。」
シグナムの言葉にザフィーラが続ける。
「どうする…罠かもしれん…」
ザフィーラは未だに警戒体制である…。
「できるならば、私は奴を信じたい…。」
シグナムは先程の記憶を思い出す…。ヴィータと戦うW。それに気をとられ自分は後ろから迫るあの怪人の男に気がつかなかった。あの時、スカル(=宗吉)がいなかったら今頃どうなっていたことやら…
「まあ…勧…だがな…。」
ヴィータはやれやれと首を振り、ザフィーラは頷く。
「『虎穴にはって虎児を得ず』って言うしな。仕方ねぇ…。入るぞ。」
「それを言うなら『虎穴に入らずんば虎児を得ず』だ。」
「うるさい!」
折角、かっこよく決めて入ろうとしたがザフィーラの突っ込みされ別に大差ねぇだろと怒るヴィータ。
その間にシグナムはドアノブに手をかけ中を覗く…。
(至って変わったところは無いな…)
事務所…というよりはどこか自宅のリビングという感覚する。左側に長く黒いソファーが一つに反対側に同様の一人用のソファーが二つ。壁に貼ってあるポスターはかなり昔のモノのようで少し古ぼけている…。そして、奥には棚と机…。書類はキッチリ整備され行儀良く並んでいる。その近くのテーブルでは…
「…」
宗吉が何かをしている…。
「お、オイ…あのオッサン何して…」
ヴィータが焦った声を出すがシグナムは漂ってきた匂いですぐわかった…。
「あれはコーヒーを入れているだけだ…。」
「こーひー?」
「西洋でいうお茶のようなモノだ…。」
ザフィーラが簡潔に説明する。合っているかどうかはわからないが…
「どうした?遠慮はするな…。」
宗吉はシグナム達を事務所の中に入れ、ソファーに座らせる。次にマグカップを三つ取り出すとそれぞれにコーヒーを注ぐ。
「嬢ちゃんにはコレが必要かな…?」
そう言って砂糖とミルクを出す。
「なっ!?子供扱いすんじゃねぇ!!」
そう言ってストレートのコーヒーを飲むヴィータ。結果は…
「苦い…」
と言い顔をしかめる。
「恥ずかしがるな…。たまには俺も入れて飲む。」
苦笑する宗吉。ヴィータは角砂糖の容器を開けると何個もの角砂糖を投入、さらに、ミルクを入れてがぶ飲みする…が…
「甘っ!?」
今度は甘過ぎて吹いてしまった…。これにはシグナムとザフィーラも苦笑する。
「さて…本題に入るか…」
そう言って向かいのソファーに座る宗吉。シグナム達も気を引き締める。ヴィータは未だにコーヒーのダメージが響いているようだが…
「まず、あの怪人について説明しよう…。アイツは『ドーパント』だ。」
「ドーパント?」
ヴィータが首を傾げる。
「用は『地球の記憶』と人の合わさった化け物…ってところだ…。」
「あの…今一つ具体性が掴めないのですが…。」
シグナムは一気に突飛した話に戸惑う。
「あぁ、すまない。用は『地球の記憶』というのは様々な過去に地球で起きた事象などを指すといったら解りやすいか?」
三人は今一つ理解していないようだ…。そこで宗吉は…
「例えば…」
近くの蓄音機を鳴らす。
「これは『音楽』だ。」
ヴィータはそれがどうしたという顔するが宗吉は構わず続ける…。
「これは『鳥』、そして、これは『人形』。」
宗吉は鳥かごの鳥を指し、次に人形を取り出す。
「てめえ…一体何を…」
「お前が感じているのは『怒り』…」
「?」
全く宗吉の意図を掴めないヴィータ。
「これら全てが地球の記憶に当たるモノだ…。」
「!」
シグナムは理解したようだ。
「つまり、この地球の実体の有無などにも関わらず事象や概念なども起こったこと全てが『地球の記憶』になる訳ですか?」
「だいたい正解だ。」
ちなみにヴィータは混乱状態に陥っている。
「これらは莫大なエネルギーであり、もし、これが『兵器』として運用出来たら…?」
シグナムとザフィーラは戦慄を覚える…。地球の記憶といったら恐ろしく多様性と柔軟性のある兵器になるぐらい想像がつく…。
「ということは…」
先程の戦闘を思い出すザフィーラ。
「あぁ、アイツは『天気の記憶』のドーパント、ウェザードーパントだ。ついでに言っとくが奴は元は人間だ。」
「…」
「マジかよ…」
やはりと頷くシグナムに驚愕するヴィータ。
「ドーパントだって使用者がいなければ現れない。」
「はい、はーい質問!!」
「はい、嬢ちゃん。」
「じゃあ、人間はどうやって『ドーパント』になるんだ?」
ヴィータは宗吉に質問する。すると、宗吉は懐に手を入れるとUSBメモリらしき物を取り出す。
「こいつを『ガイアメモリ』と言って地球の記憶が内包されている。他にも色々あるがな…。」
そして、しばらく考えると宗吉は 再び口を開いた。
「少し、昔の話をしよう…。」
ある次元世界に一本の『ガイアメモリ』が漂着した…。既に壊れかけていたがその次元世界には『ガイアメモリ』は無くそこの研究者にとってはまたとない代物だった。
メモリの研究は進み、ついには独自のメモリを作りあげるまでに至った…。
しかし…
質量兵器への発展への危険性があると言われ全ての次元世界を管理する組織「時空管理局」により研究が凍結されてしまったのである。
研究員達も有用性を必死に説いたが無駄に終わり諦めかけていたが…
ある研究者の一人がそのデータを盗用。自分、独自のメモリを造り上げた。勿論、兵器運用のためである。その研究者はガイアメモリの研究凍結に異を唱えた者のリーダーだった。
管理局は研究員を拘束のため部隊を向けた…
結果は惨敗。返り討ちにあい多くの被害が出たと言う。
「そして、俺はその部隊の生き残りだった…。」
宗吉は哀しげに…しかし、拳は悔しさを現すように握り締める…。
そして彼の部隊が壊滅した原因がほぼ実用化された『ドーパント』であった。その後、研究者達は姿を眩まし物静かになったを良いことに管理局は事件の真相を隠蔽するために宗吉ら部隊の生き残りをクビにしたり、食い下がる者は始末するという事態の一時しのぎの沈静化を謀った。
しかし、事態の悪化は見えない所で進行していた…。
管理外世界『地球』
といってもこの『地球』では無くまた別の地球である。
そこで、研究者達は着々と研究を進めていた…。ガイアメモリは完全に『副作用を覗けば…』運用段階にきていた。
そこで独自に調査していた宗吉は反旗を翻した研究者達とは別の『穏便派』の研究員に会うことに成功した…。そして、この『地球』にガイアメモリを持った工作員が入り込むということを知らされたのだった…。
「そして、俺は対抗するための切り札を託された…。」
この時、宗吉は『ロストドライバー』、『Wドライバー』などを研究員から託されたのである。そして、宗吉はこの鳴海を訪れたのである…。
「大体、わかったか?」
シグナムとザフィーラはある程度理解した表現をするがヴィータは今一つのようだ…。
「さて…お前達の主もそろそろ心配しているだろう。帰ったほうがいいぞ…。」
「ちっ…ちょっと…」
「お話は次の機会にだぜ?『ヴィータ』?」
「!なんで私の名前を!?」
まだ名乗っていない名前を知っていることに驚くヴィータ。
「おいおい、俺は『探偵』だぜ?ある程度のことは調べがつく…。」
「ならば…我々の名前も…」
シグナムが呟くと…
「ああ、知っている。『シグナム』、『ザフィーラ』。」
この男…侮れない…。再度、認識するシグナムであった。
「ああ…それと…。」
宗吉は机の引き出しに手をかけると何やらストップウォッチらしき物と小さい器具(?)らしき物を取りだし、シグナムに投げ渡す…。
「ソイツを『隼人』に渡してくれ。いずれ、自分に『挑戦』する時が来たらそれを使えって伝えとけ…。」
そして、最後に…
「これ以上『ガイアメモリ』に関わるな…。」
そう言うと三人を事務所から追い出す。
「ちょっ…あのオッサン…」
ヴィータは悪態をついていたが…
「…」
シグナムは宗吉に手渡された物を見詰めていた…。
「ここにいてもどうしようも無いな…帰るぞ…。」
「あっ!?待てよ!!」
ザフィーラに続き三人は自分たちの主の待つ家へ帰ることにした…。
様々な疑問を残し…
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