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恋姫~如水伝~

作者:ツカ
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IF 蜀侵攻
  三十話

水徹城

城内を視察した華琳らは城の規模と精巧さ、美しさに感動した
「見事な城ね。流石、私の力を象徴するだけはあるわ」
華琳の言葉に桂花、秋蘭が答えた
「そうですね、これだけの建造物は連中に造れないでしょう」
「ああ、華琳様の天下も目前だ。皆、あと一息だ、精進しよう」

玉座の間
軍議の前に華琳は、如水、恋、音々音の功を褒めた
「まずは、如水、恋、音々音。この城の建設と守備ご苦労だっだわね」
「光栄です」
「…うん」
「光栄なのです」
「では、軍議を始めるわ。如水、報告を」
「はい、蜀軍は総数、二十万弱。こちらの半数以下です。しかも、兵の内情は、これまでの戦いで逃げていった兵や、徴発された民衆、流民が半数以上を超えています。まず、雑軍と言っていいでしょう」
「…そう、劉備の人徳もここまでね」
「ええ、しかも、この城は西方交通の要所を制していますので、蜀の国内は現在、経済が立ち行かない状況です」
「そう。では、関税を引き上げて様子を見ましょう。そうなれば劉備の軍は是可否でもここを攻めて来るわ」
「「「「「「「御意」」」」」」」

それから一年間、魏、呉の二ヶ国の封鎖戦略によって、蜀の国内は経済、治安共に混乱した。

そして、如水は密偵を撒き、劉備は人道を謳うが内実は己の威厳の為であり、その心底は虎狼であると、蜀の国内にばら撒いた。
その言葉は、瞬く間に信じられ、蜀の民衆は劉備に不満を持ち、劉備を非難し出した

 成都市中
「劉璋様の頃はこんな事は無かった。劉備がこの土地を奪うから曹操と孫権に睨まれるんだ」
「そうだ、何が仁君だ。怪しげな奴らを兵隊に加えたり、うちの倅も軍に盗られちまった」
「曹操様がせっかく和睦を持ちかけたのに、劉備の奴は自分の土地が減らされるのが嫌だと蹴ったんだ」
「ここが自分の土地だと思っているのかあの暴君は」

その言葉を聞き、この空気を打ち破る為に、劉備とその配下は水徹城に出陣を決定した。

「朱里ちゃん、これでいいのかな」
「桃香様、気持ちはわかりますがこれ以上待っていても、国内は混乱するだけです、水徹城を落せば交通の要所を手に入れられます」
「…そうだね、こんな酷い事をする人達を倒して、みんなの為に頑張ろう」
「そうです」
そう言った二人だったが、気分は優れなかった

水徹城 玉座

「劉備がここを目指しているわ、目的は言うまでも無いわね」
「はい、この城を落し、大陸行路を手に入れる為でしょう」
「長かったですね、待つの」
「うん…でも一年間ゆっくり出来た」
「ようやく暴れられるで。腕が鳴るわ」
「ああ、今度こそ。劉備らに曹魏の力見せてやろう」
「そうだな、劉備との相手はいつも如水に盗られてしまったからな」
「各位、自分の場所に着きなさい」
「「「「「「「御意」」」」」」」

蜀軍が城攻めの部署に着き、攻城戦を開始した
しかし、城の各地にうえつけられた大石火矢と火箭が蜀軍に火を噴き、蜀軍は混乱した。
そこに真桜の指揮の下、鉄玉を投げられ、その上で城から出陣した魏の武将らが次々に蜀の軍を蹂躙した。
元々、寄せ集めだった、蜀の兵は四散した

関羽と張飛は軍を立て直そうとしたが、呂布の姿を見て食って掛かった
「呂布!。貴様、裏切っただけでなく、曹操の犬になったか」
「そうなのだ、お姉ちゃんを裏切って、許さないのだ」
「…裏切ったのは劉備の方、私達にご飯くれなかった。それに、別に許さなくていい、二人共ここで死ぬから」
関羽、張飛は呂布に戦いを挑み出し、蜀の兵士達は音々音の指揮を受けた魏の兵士達に討ち取られていった。

諸葛亮と趙雲、黄忠は、その様子をみてこれ以上の戦いは無理と判断し、劉備を無理やり撤退させ、自身らも部隊を下げ、敵の追撃に備えた。

関羽と張飛はなおも恋と戦ったが、しだいに疲れて討ち取られた。そして、蜀の謀臣の鳳統は退却の指揮を執りながら戦死した。
 
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