吾輩は猫である
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無印
吾輩、出番が1KBしかない
~ 一哉視点 ~
研究室から転移し、なのはとジュエルシードの真ん中あたりに出現する。
「!?」
突然現れた俺に驚きを隠せないなのはの方に振り向く。
「ひぃ!?」
振り向かれてさらに驚くなのは、仮面が土産で買ってきた般若だから仕方ないか。だが驚いてるのはなのはだけではない。なのはの周りにいたユーノやクロノも突然の出現に驚いてるようだ。
自分の周りにサーチャーが増えていくのを感じた。そろそろ行動を起こして注意を惹かないとな。
一頻り周りをキョロキョロした後、もう一度なのはを見る。なのははもう一度見られたことで杖を構えた。その手は疲れかそれとも恐怖かは分からないが震えている、そんななのはに向かって研究室から考えていたこと言う。
「ねえ、ドヤ顔で決め技したのに防がれて今どんな気持ち? ねえねえ、どんな気持ち?」
指を向け、もう片方の手を口元に添えて言った。すごくうざい、ボイスをゆっくりボイスにして言ってるので余計にうざい。言われたなのはは俯き、プルプル震えてる。うっすらと杖を持ってる手と額に青筋が見える。隣にいる二人なんてもう震えっぱなしだ、クロノはトラウマが再発、ユーノは巻き添えを食らわないためにも必死になのはを止めている。
「ん? こっちくんな」
なのはに( ^ω^三^ω^)おっおっおっ してるとこちらに一本の竜巻が向かって来たので避ける。
通り過ぎる竜巻をバインドで縛りそのまま絞め潰す。随分と脆いな。
「嘘!? バインドで竜巻を潰した!?」
何故驚くんだユーノよ、お前だってバインドで竜巻を縛ってただろ。縛って動きを止めることができるんだ、潰せない道理がないだろ。
しかし、1本潰した程度じゃすぐに再生してしまった。どうやらジュエルシードの標的がなのは達から俺に変わったようだ。今までジュエルシードの周りを回っていた小型の竜巻が全てこっちに向かって来る。さすがに避けれそうにないので吹き飛ばすことにしよう。
「……パンドラ……モード『ヘイトリッド』」
ペンダントが光り輝き、ミサイルランチャーに変形する。質量が完全に変わってる! っと驚くところだろうが今自分の周りは「質量保存の法則? 物理法則? 何それ美味しいの?」な奴らだ。もっともクロノ達は異常に発展した科学なんだがな。なのはは分かってなさそうだ、魔法少女=飛ぶものって考えてそうだ。
「狙いを定めて……」
こっちに向かって来る竜巻全てをロックオンする。自動照準にしてるので的に向けるだけでいい、あとはパンドラが勝手にやってくれる。
「引き金を引く」
引き金を引くとロケランの発射口から竜巻の数だけミサイルが連続して飛び出てくる。
飛び出たミサイルは目標に全て着弾し凄まじい爆風が押し寄せてくる。プロテクションを自動に設定してるため俺には被害がなかったが、後ろにいたユーノ、クロノは無事では済まなかった。
「「うわぁぁぁあぁぁぁぁぁあ!?」」
竜巻を縛るのに魔力を割き過ぎたのかシールドを維持できずに吹き飛ばされるユーノとクロノ、なのはは持ち前の魔力と俺と同様に設定されてたプロテクションで爆風を防いでいた。
「何!? 何が起きたの!?」
俺が放った攻撃が予想以上の威力だったのか動揺してた。確かにあんな小さなミサイルで竜巻を吹き飛ばせるなんて思わないだろう、しかもチャージも無しでだ。まぁ、さすがに溜め無しであれらを吹き飛ばすのはキツイ、だが戦ってる間に溜めるのは無理だろうからここに来る前に魔力の補充を済ませてただけなんだがな。
早くカートリッジシステム付けたいな……でも金掛かるな……小遣いじゃ確実に足りねぇ……確かカオスの奴大量の貴金属所持してるんだっけかな? 後で分けて貰うか。
「えっと……助けてくれたんですか?」
どうやって金儲けをするか考えてるとなのはが話しかけてくる。まだプルプルしてる。
「何あれが迷惑だっただけだ。べ、別に助けたわけじゃないんだからね!」
「ブッ!?」
般若の仮面から全く似つかわしくない声でそんなこと言われたなのはは思わず吹き出してしまった。
気になる人はsoftalkを落として試してくれ。頬の部分が少し赤くなった般若の仮面を着けた大人が言ってる思うと余計効くだろう。
『少しいいかしら』
なのはの横に緑髪の女性の映像が出た。子持ちの妖精さんじゃないですか。
「とりあえずあれをヤってもいいか?」
俺は絶賛再生中のジュエルシードを指差しながら言う。
ジュエルシードはさっきより大きくさらに多く竜巻を生み出していた。ジュエルシードの脅威を見たリンディは慌てる。
『いけないッ!? あのまま共鳴し続けたら大規模な次元震が起こるわ!!』
リンディの言葉になのは達が慌てる。しかし、今の場でジュエルシードを封印できるのはなのはと俺だけだ。
アースラの最高戦力であるクロノが負傷、ユーノは負傷したクロノの手当で封印に参加できない。フェイトはなのはの砲撃を食らってダウン中だ。たとえ負傷してなくともデバイスがない状態じゃどうもすることができない。
そろそろ潮時かな……。
「あれを封印というか停止させればいいんだろ?」
リニスに大技を放つことを伝える。
『何をするつもりなの? 下手に刺激をしたらよりひどいことになるわ!』
「どうせそこの嬢ちゃんの砲撃は効かなし、何もしなかったら次元震が起きて終わりだからな。だからちょっと大技を放つだけだ」
パンドラをスーツケースに変形させる。突然ロケランがスーツケースに変わったせいかなのはとリンディが狼狽する。2人はきっと「何こいつ、スーツケースなんて出して」と思っているに違いない。こんな危機的状況で武器ではなくスーツケースを出したらそう思われるのも仕方ないよね。
だがこれは神様印のモノホン災厄兵器パンドラなのだ。少々改良してもらったがな。
ジュエルシードの方に向けてるスーツケースを開ける。
「『オーメン』」
開かれたパンドラから眩い魔力の光りが溢れ出してくる。それは3ヶ月間溜め続けた濃密な魔力だ。前方にある全てを破壊し尽くしていく、その威力は名に恥じぬ災厄だ。
光が収まり、俺はパンドラを閉じ、待機状態のペンダントに戻した。災厄の光りが降り注いだ所には何も残ってない。いや、空中で停止した9つジュエルシードだけがあった。
「嘘……」
『なんて威力なの……』
オーメンの威力に絶句する2人、なのははまだ口を開いたまま呆然としてたが、リンディはすぐに正気に戻った。
『いきなりで悪いのだけれど、艦内で話を聞いてもいいかしら?』
「だが断る」
ここで知られるわけにはいかない、まだリニスとの約束が残ってるからな。俺にとってかなり重要な約束だ。
そのためにもプレシアには生きていてもらわないといけない。
『今の私たちはあなたが何者か分かりませし、あなたを強制する戦力も整ってませんので今回は見逃します』
クロノがダウン中で、なのははジュエルシードを封印して持って帰る仕事があるしね。
『ですがこれだけは言わせてください。ジュエルシードを止めていただきありがとうございます。危うく息子を無くすところでした。本当にありがとうございます』
声を震わせながら感謝を言ってくる。その目には微かに涙を浮かべていた。
私利私欲でやったことなのに感謝されるってかなりむず痒いな。まぁ、悪い気はしないが。
『なのはちゃん、停止したジュエルシードを封印して帰還して頂戴』
「はいなの」
涙を拭き、すぐに艦長としての威厳を取り戻してなのはに命令を出す。
命令を出すのはいいんだが……。
「ジュエルシードならもうあのオレンジ髪の女が金髪の嬢ちゃんと一緒に持っていったぞ」
「『え』」
リンディとなのはがこちらに感謝をしてる間にアルフがこそこそとジュエルシードを回収して逃げていたのを俺はしっかりと見てた。
さて矛先がこっちに向く前に俺も逃げるか。俺の役目を一旦終わりだ、あとは今時の庭園に侵入したカオスに期待するか。
「じゃ、俺もここで」
『ちょ、ちょっとまt――』
リンディの言葉を無視して転移する。
あいつらはうまくいったかな?
~ 一哉視点終 ~
吾輩は一哉が向こうに転移してなのは嬢を挑発したり、向かって来る竜巻をバインドで潰したり、主人公してるのを見ていた。
「あの声なんかイラッてしません?」
リニスはゆっくりボイスに嫌な思い出でもあるのか? それとも生理的に無理なの?
「えーどうしてそんなこと言うのーねぇーねぇー」
声をゆっくりに変え、リニスに話しかける。
パンッ!
ビンタされました。
「ッッッ!?」
痛いのはビンタしたあっちなんだけどね。
「硬ッ……!?」
自分の手を抑えてプルプル震えている。
スクリーンに写ってるなのは嬢とシンクロしてる、どっちもひたすらプルプルしてた。可愛い。
「ふーふー……なんであんなに硬いのよ……魔力を込めてビンタしたのに……グスッ」
軽く泣きながら自分の手に治癒魔法を掛けてるリニスを傍目にスクリーンを見る。そこには一哉がペンダントをロケランに変えてるとこが映されていた。
それにしてもパンドラか。他の転生者達に比べたら見劣りするな。確かにパンドラはDMCシリーズの中でも派手で、何種類もの武器に変形できる魔具だ。だけどなんでパンドラだけなんだ? それ以外の武器を持ってる様子はないし……。
「!? カオス! マスターが大技を放つようです! 早く転移魔法陣の上に乗ってください!」
やっとこさ吾輩の出番が来たようだ。
吾輩は言われた通り転移魔法陣の上に乗って待機する。なんかワクワクするな!
「準備完了! マスターの攻撃と合わせます」
スクリーンの無効では一哉がロケランをスーツケースに変えた。パンドラと言ったらそれだよね~。
一哉は取手の部分を持ちながら開いた。開かれたパンドラの中から凄まじい光りが放たれてる。スクリーンで間接的に見てるのに眩しすぎて目がやばい、とてもサングラスが欲しい。
リニスや、こんなにも眩しいてことを知ってるなら吾輩にもサングラスをくれよ……なんで自分だけサングラスしてるんだよ。おい、そのドヤ顔やめろ。
「ちょっとその面貸せや、もう一回ぼk――「転送!」」
リニスの掛け声と同時に魔法陣が光る。ここに無理矢理拉致られた時と同じ感覚が全身を駆け巡っていく。
時の庭園か……どんな所だろう? 美味いものはあるのだろうか? そう期待を込め、吾輩は転送された。
「あらやだ、時の庭園の座標変わってる」
生い茂る木々、燦々に照らしてくる太陽、うるさいくらいの虫と鳥の鳴き声。
「ここはどこ?」
今日の食事
無し
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