吾輩は猫である
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無印
吾輩、ジュエルシードの猛威を知る
んぁ……ここはどこだ……ああ、そうか吾輩あいつにケツをブレイクされたんだったな。
目を開き周りを見渡す。周りはあのごちゃごちゃした実験室ではなく、少し質素ながらも綺麗に掃除されている。部屋全体を見るために寝返りを打とうとする。
「にゃこっらsh――」ブチッ
アッー! ケツがぁぁぁぁぁ!! 吾輩のプリティな菊がぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!
「オオオオオオオオオッ!?」
あまりの痛みにケツを抑えながらベッドの上を転げまわる。
早く、早くなんか喰って再生&回復しなけば!
そう考えながらも未だ痛みに悶えている。すると暴れた拍子にベッドの横に飾った写真立てが落ちた。
「oh……やってもうた。壊れてないといいが」
落ちた写真立てを拾い、壊れてないか確認する。
うん、傷ともに無し。下がカーペットで助かった。
ん? この女は確か温泉旅館でお仕置き(ペロペロ)した奴じゃないか。リニスの身内だったのか、それにしてもフェイト嬢、いい笑顔してやがる。
吾輩、まだ無表情と怯えた表情と驚愕した表情しか見たことなかったからな……それにしても……フェイト嬢の持ってる黒いデバイス美味しそうだな……頼んだら一齧りさせてくれないかな?
◇
《!?》
「? どうしたのバルディッシュ」
《いえ……少し寒気がしまして……》
「デバイスなのに寒気って……今度メンテナンスする?」
《よろしくお願いします》
◇
そんなことを思って言うと扉が開く、そしてその扉から同じトラウマを持った仲間がいた。
「あ、カオス起きたのですね」
さっき抱き合ってたとき出していた耳と尻尾は来たときと同じ用に仕舞われていた。
「おう、ここリニスの部屋か?」
もうお互いの許可がなくっても呼び捨てをするくらいの仲にはなった。丁度いいから聞いちゃうか。
「なあリニス、お前なんで捨てられたんだ?」
相手のことを全く労らない質問をする吾輩ドヤァ。
「いや~、マタタビジュースで酔っちゃいまして、プレシアの大事なモノに零しちゃったんですよ。それでガチギレしたプレシアに捨てられたんです」
全面的にこいつが悪かった!?
「それ全部お前が悪いんじゃねか! 一体何に零したんだよ」
旦那からのプレゼントとかかな? それなら捨てられても仕方ないよね。
「娘の形見です」
「最低だよあんた?!」
形見にジュース零すとかこいつ最低すぎる。てか以外にリニスってドジなのか?
考えに耽けてるとリニスが話しかけてくる。
「マスターが計画について説明があるそうなので付いて来てください」
なんだ? 乗り込んで願いを叶えて終わりじゃないの?
「こっちです」
後ろからだとジーンズでお尻のラインがはっきりしていて約得と思いながら誘導するリニスに付いて行く。ええケツや……。
付いて行くこと十数分。
「ようやく来たか……その顔どうしたんだよ……」
「い゛や、りにずが「途中で転んだだけですよね?」はぁい゛」
ケツを凝視してるのがバレ、マウントからの魔力の込められた拳でメッタ打ちにされた。それがここまで来る間の出来事である。
「そうか転けただけかならいいや。それとリニス、手に付いた血はしっかり拭いとけ」
「私としたことが、すいません」
あの……何か食べる物ないですか? 再生したいんですけど……え? ない? そうですか……。
魔力を全て回復に注ぎ込み、再生させていく、主に顔を中心にして。
「作戦についてだが特に作戦ってほどのモノでもないが、まずプレシア達を何かに注意を引きつけ、根城である時の庭園にカオスを侵入させる。時の庭園内の案内はリニスがする。カオスは指定されたとこにこれを設置するだけだ」
一哉は白衣の内ポケから円柱型の機械を取り出した。大きさは2リットルのペットボトルほどで、一体何をするためのモノか見当も付かない。
「狂っても大魔導師であるプレシアだ、油断するなよ」
プレシアって言う奴そんなにすごいのか? まぁ、あのフェイト嬢の母親がすごくないって方がおかしいか。
「それで一体どうやって引き付けるんだ?」
相手の拠点に侵入するためには引き付けることが前提みたいだし、なんかいい考えでもあるのかな?
「それに関してだがそろそろ……おっ」
一哉が大型スクリーンを見る。そこには――
◇
◇ ◇ <やぁ!
◇ ◇ ◇
うわぁ……1つでも面倒なのが6つも集まってるよ……。しかも暴走状態であり、スクリーンには竜巻が吹き荒れている。
『ウワァァァァァァァ!?』
『キャァァァァァァァ!?』
あ、今フェイト嬢とアルフが横切った。
「これどういう状況?」
状況が分からず一哉に尋ねる。
「ん? ああ、フェイトが海の中にあった6つのジュエルシードを一括して封印しようとして失敗したみたいだな」
なんという無茶を……てか海の中に6つもあったのか、潜って先に喰えばよかった。
「あの子ったらなんて無茶を……はぁ、本当に心臓に悪いですね……」
自分の教え子が危険なことをしてるのを知って動揺してるのがはっきりと分かる。ほら今もコーヒーに角砂糖を入れすぎて吹き出してるし。吹き出した先が吾輩と一哉なのもきっとこいつがドジっ子だからなのだろう。
「リニス? 覚悟は出来てるか?」
白衣の袖で顔拭き、リニスを向ける。顔を向けられたリニスは顔が真っ青になりガタガタと震え始めた。
「そ、それよりスクリーンを見てください。ほらマスターの幼馴染のなのはちゃんがいますよ! 一人で来たってことはフェイトを助けるために管理局を振り払って来たってことですよね!」
それにしてもこの猫必死である。
「たしかにあの管理局がこんな美味しい状況を見逃すはず無いだろうな、このままフェイトとアルフが弱ったところを捕まえる可能性が高いだろうし、なのはの独断ってのが一番高いな」
なのは嬢、ときどきひどいがホンマにええ子やな。
「最もなのはが怖くって二つ返事で許可した可能性も高いが……」ボソボソ
え
「是非ともフェイトの友達になって欲しいですね」
「なれるんじゃないか? ……なのはに撃墜されたら」
倒してから友達になりたいって言いそうだよね。どうして口より手の方が先に出るようになったんだろ……だいたい恭也や士郎さんのせいだと思うが。
「え? 何か言いました?」
「いいや、何も言ってないが」
知らない方がいいこともある。最近のなのは嬢はお友達=倒して得るものってな感じになってるからな。そういえば吾輩、なのは嬢がアリサ嬢とすずか嬢と遊んでるとこしか見たことないぞ……あれ?
「それとリニス、後で実験な」
リニスの顔が真っ青を通り越して真っ白になった。
そうこうしてるとスクリーンの無効では少女達が竜巻相手に奮闘していた。
『一つ止めても残りの竜巻が邪魔で封印ができないッ』
『ユーノ君! あの竜巻を止める方法はないの!』
いつの間にかユーノという少年とあのなのは嬢にしこたま撃ち込まれたクロノという少年がいた。てかユーノ……どっかで聞いたような……どこだっけ?
「お、クロノと協力して竜巻をチェーンバインドで縛るきか」
一哉が言った通り、クロノとユーノが鎖状のバインドを竜巻の巻きつけていた。竜巻はバインドに引っ張られゆっくりとだが確実に一箇所に集められていた。
『レイジングハート準備できてる?』
《チャージは完了、いつでも撃てます》
フェイト嬢との戦いで見せたあの砲撃をやるようだ。杖の先端には膨大な量の魔力が集められ球体ができている。ユーノはあまりの魔力の濃密さに驚き、クロノはトラウマが蘇り、顔を真っ青にしながら震えてる。
『フルパワァァァディバインバスタァァァァァァァ!!』
極太の光線が竜巻に向かって放たれる。こんなのを食らったらいくら6つのジュエルシードだろうともひとたまりもないだろう。そして、その極太の光線は直撃し、ジュエルシードがf――
◇
◇ ◇ <甘い! 甘いぞ! リンディ茶並に甘いぞ!
◇ ◇ ◇
封印されたと思われたジュエルシードが突然発光し、円錐状のバリアを張った。なのは嬢の放った光線はバリアの表面を滑るように流されていく。そしてその流された先には――
『ふえ?』
フェイト嬢がいた。
『あああぁぁあああぁぁああっぁぁああああ!?』
分散されたとはいえ、フルパワーの光線をボロボロなフェイト嬢が防げるはずがなく直撃した。
「『フェイトォォォ!?』」
「あづぅぅぅぅううぅ!?」
桃色の光りに飲み込まれたフェイト嬢に向かってアルフが叫び、後ろにいたリニスもコーヒーを落とし、叫び、吾輩も突然降ってきたアツアツのコーヒーを頭から被り、叫んだ。実に不幸である。熱耐性があるのに何故ダメージが通ってるかはギャグだということで。
『フェイトちゃん!?』
なのは嬢がフェイト嬢の名を呼ぶが返事は返ってこない。無理して自分のご主人を守ったのかフェイト嬢のデバイスは限界を迎え、崩れていく。補助するモノが無くなり、海に落ちていった。
『フェイト! 大丈夫かい!』
アルフが海面ギリギリでキャッチし、大事には至らなかった。
「アルフナイスです!」
リニスが叫んでるが吾輩はそんなことより拭くものが欲しい。
「あ、これはやばいな……」
壊れたデバイスから封印された3つのジュエルシードが飛び出てくる。飛び出てきたジュエルシードは6つのジュエルシードのところに飛んでいき――
◇
◇ ◇
◇ ◇ ◇ <ヒーハー!
◇ ◇
◇
ピラミッド状に並んだジュエルシードの下に回り、収まった。遠目から見ると大きなジュエルシードに見えなくもない。
『うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!?』
『ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁ!?』
9つになり、竜巻の本数も威力も膨れ上がり、竜巻を縛ってたクロノとユーノは為すすべもなく吹き飛ばされる。
「さすがに馬鹿魔力のなのはも9つ一括はきついだろうな……フェイトが無事ならいけたかもしれんがデバイスもないし無理そうだな」
てかそもそも管理局の支援がクロノだっけなんぞや。
「艦長を抜かしてまともにあれを相手にできるのがクロノだけだったんだろ。万年人材不足で嘆いてる管理局だし、それに使えるなら子供でも即戦場だからな」
うわ、超ブラックじゃね、管理局って。
「でも給料はかなりいいらしいがな」
給料が高いならまぁ……やれなくもないかな……。
「忙しすぎて使う暇がないが」
「だめじゃん!?」
吾輩、絶対管理局には入社しない。社畜はマジ勘弁。
「だがこの状況は俺たちにとって悪くないな」
え、なんで?
「今から俺があそこに行って注意を引き付けてくる。カオスはリニスに時の庭園に転送してもらえ」
ああ、なるほろ。てっきりみんな弱ってるからジュエルシードを横から全部掻っ攫うつもりか! このゲス野郎って思ったわ。
「その前に……年齢詐称薬~」
一哉が懐から赤と青の飴が入った。瓶を取り出す。年齢詐称薬ってなんだよ……。
懐疑的な眼差しで一哉のもった瓶を見る。
「これはな魔法が使えない、そもそも魔法力がない人のために作ったマジックアイテムさ。だが別に肉体を成長させるんではなく、自分に幻術をかけるモノだ」
一哉はそう説明すると赤い飴を摘んで口に運ぶ。するとボンッという音をたてて一哉が大人になっていた。そのメガネをクイッと上げ、笑ってるとこを見るとそれはまごうことなき鬼畜眼鏡。
「さて仮面を装着して……行くか」
わぁーい、仮面と白衣で怪しさが大爆発だ。吾輩だったら確実に問答無用でころs……攻撃する!
「リニス、俺が向こうで大技をぶっぱなすと同時に転送しろ」
「はい! 分かりました」
一哉はそう言いながら転移する。リニスも自分の役割を行なうためになんかごちゃごちゃした画面が空中に現れ、それに集中し始めた。
吾輩も準備も準備を始めないとな、確かあの筒を持っていくんだっけか?
「準備完了。カオス、魔法陣の上に乗って待っててください」
リニスに言われ、床に展開された
魔法陣の上に乗り、リニスらの合図を待つだけだ。
それにしても腹減ったな。吾輩、これが終わったらカレー喰べるんだ……。
「あっちに行く前に拭くものをください」
吾輩の全身は未だにコーヒーまみれである。
今回の食事
無し
後書き
どうも、古々です。
リニスが追い出された理由が分かりましたね。とても残念な理由ですが。
はっちゃけるのはもうちょっと先かな。
何よりネタが足りない……モチベが上がらない……文章構成力が上がらない……。
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