問題児たちが異世界から来るそうですよ? ~無形物を統べるもの~
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アンダーウッドの迷路
境界壁・舞台区画。“火龍誕生祭”運営本陣営の特別席に、ノーネームのメンバーは腰をかけていた。
一般席が空いていなかったことから、サンドラが取り計らってくれたのだ。
「いや~。ノーネームがこんないい席から試合を眺めれるとは思って無かったよ。」
「サンドラさんに感謝ですね。」
「それに、あんなバカ騒ぎをしてる所にはいたくなかったし。」
音央の目は、観客席のほうを向いている。
「うおおおおおおおおおお月の兎が本当に来たあああああああぁぁぁぁああああああ!!」
「黒ウサギいいいいいいい!お前に会うために此処まで来たぞおおおおおおおおおお!!」
「今日こそスカートの中を見てみせるぞおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉおお!!」
割れんばかりの熱い情熱を迸らせる観客の姿に、黒ウサギは笑顔を保ちながらもへにょり、とウサ耳をたれさせて怯む。
おおかた、身の危険でも感じたのだろう。
そんな観客席に対して、飛鳥が生ゴミの山を見るような冷めきった目で見ていたので、一輝は飛鳥に一つ伝えることにした。
「一つ言っておくと、あの手の文化は日本が大本だよ。少なくとも、俺がいた世界では。」
「・・・そう。日本があんなふうになるのね・・・。」
なんだか、軽く絶望しているように見える。
戦後間もない時代から来たのなら、当然なのだろうか?
「ついでに言っておくと、あっちでやってるやり取りも。」
一輝が黒ウサギのスカートについて語り合っている十六夜と白夜叉を指差して言うと、飛鳥は一輝に対して問う。
「私はどんな反応をとればいいのかしら?」
「飛鳥なら参加はありえないだろうし、生ぬるい目で見ればいいんじゃないかな?」
「そう。解ったわ。」
そんな会話をしている間に、ゲームは開始した。
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「へえ、ジャック・オー・ランタンか。自分の目で見るのは久しぶりだな。」
一輝は、耀とアーシャの戦いを見ながらそんな声を漏らす。
「一輝は今までにあのかぼちゃお化けを見たことがあるの?」
「昔、いろんな国々を回ってたころにな。といっても、あいつとはまったく関係ない、別の世界の、だろうけど。」
そこでいったん言葉を切り、少し思案顔になる
「さて、耀が勘違いしてないといいんだけど・・・」
「勘違いって、何をですか?」
「いや、たぶんあのジャックはあのアーシャってやつが作ったものじゃなくて、一番有名なほうのジャックなんだよ。」
「どうしてそんなことが解るのよ?」
「俺、これでも陰陽師の卵だからな。相手が妖怪とか悪魔とかの類なら、その力量を測ることはできる。」
「陰陽師、では無いのですか?」
「一応、違うな。俺のいた世界だと、陰陽師を名乗っていいのはその家に伝わる奥義を習得したものだけなんだ。俺は、そんなもの習得してないからな。」
習得する機会も無かったし、という言葉を飲み込んで、話を終える一輝。
それから少ししてゲームは終わった。
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「負けちゃったわね。」
「まあ、相手がかなり悪かったよ。」
「それに、すばらしいゲームメイクでした。」
「シンプルなゲームでも、見ごたえのあるゲームにする。そうそう出来ることではないわ。」
敵の挑発を冷静に流し、敵の冷静さを奪い、敵の情報を獲得し、それを生かす。
一輝には到底出来ないことである。
間違いなく火力とパワーに頼るに決まっている。
《大きなお世話だよ。》
間違ってはいないとおもうが?
《勝てればいいんだよ、勝てれば。》
えぇ・・・。
そんな会話を地の文としていると、一輝は上空から雨のようにばら撒かれる黒い封書を見つけ、それを開封する。
「音央、鳴央。どうやらお出ましのようだぞ。」
そこにはこう書かれていた。
『ギフトゲーム名“The PIED PIPER of HAMERUN”
・プレイヤー一覧
・現時点で三九九九九九九外門・四〇〇〇〇〇〇外門・境界壁に存在する参 加者・主催者の全コミュニティ。
・プレイヤー側・ホスト指定ゲームマスター
・太陽の運行者・星霊・白夜叉。
・ホストマスター側 勝利条件
・全プレイヤーの屈服・及び殺害。
・プレイヤー側 勝利条件
一、ゲームマスターを打倒。
二、偽りの伝承を砕き、真実の伝承を掲げよ。
宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗とホストマスターの名の下、ギフトゲームを開催します。
“グリムグリモワール・ハーメルン”印』
後書き
こんな感じになりました。
あの題名なのに一切迷路のことを書いていない・・・orz
では、感想、意見、誤字脱字待ってます。
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