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転生者が歩む新たな人生

作者:冬夏春秋
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第25話 ドッジボール騒動

 ネギが来て4日目、やっと放課後の職員会議でネギの紹介がされた。その際、ネギは子供な上担任見習いもするため、英語の担当クラスを2-Aだけとすると発表された。
 周りの反応は、「高畑先生が担任から降格」「子供を担任に?!」「1クラスだけしか担当しないならそれでいいか」などと容認・否定と様々だったが、論議されることなく学園長権限で学園長が押し切った。

 なお、先日の「惚れ薬騒動」は口頭注意で済まされている。
 瀬流彦先生から聞いたのだが、魔法先生の間にもこの件はいつの間にか広まっており、「厳格に対応すべきだ」「子供だから………」の2つの意見で揺れたみたいだが、結局は「英雄」の息子だからという期待で、皆この件での対応を「是」としたらしい。ただ、女性教師からは一歩引かれてる感じらしいが。

 ちなみに昨晩は木乃香らとお風呂に入ったらしい。
 まぁ、木乃香はネギ(及びオレもか)を異性として見ていないので、まったく気にせず一緒に入っているが、何故かお風呂で魔力反応があった。
 アホらしくて理由も聞かなかったが、相変わらず犠牲者は神楽坂だったようだ。

 さすがは自称英国紳士である。

 てか、杖をお風呂に持ってくなよ………。



 職員会議後、源先生に連れられて2-Aの生徒の「居残り授業」をするらしく、はりきって教室に向かって行った。
 少しは2-Aの成績を認識し、教師としての自覚を覚えて欲しいもんだ。





  ☆  ★  ☆  





 土日を挟んで明けて月曜日。相も変わらず、ネギは職員会議に出てこない。もっとも麻帆良大結界の認識阻害の効果で、「それが当たり前」となり始めてるので、その内誰も気にしなくだろう。

 週間の予定とかここで指示されるんだけど、大丈夫なんだろうか………。



 そして昼休み、食事を終えまったりしていると、2-Aの生徒が2人ネギに向かって職員室の中に駆け込んで来る。

「こ、校内で暴行が………」

「見てください、このキズッ!! 助けてネギ先生っ」

 職員室が一瞬で静まる。

 基本緩やかなこの学園はイジメや暴力沙汰などは表沙汰になってない。その中で先の発言などがあるとそりゃぁ誰もが注目し、押し黙るワケである。

 ちなみに表沙汰になっていないというのは、麻帆良大結界の効果で、どんな事件も「大したことない」「それが当たり前」となってしまうからである。
 ぶっちゃけ、中学2年生にもなって授業中に取っ組み合いのケンカをするなんて普通ではあり得ないし、そんなことがあったら徹底的に原因を追及され、何度も繰り返すようならそれなりの処罰が降されるのが「当たり前」なのである。なぁなぁで済まされるワケがない。

 なお、ネギは佐々木と和泉に詳しいことも聞かずに現場だけ聞いて走って行く。

 その後、今日はいた高畑先生が詳しい事情を聞き、2人と共に現場に向かう。

 見た感じボールか何かをぶつけられたようで、保健室に連れて行く程でもないと判断したようだ。

 しばらくするとネギと高畑先生は戻って来て、学年主任の新田先生に報告をする。
 どうやら、隣の学校の高校生が中庭で遊んでいた佐々木らにちょっかいかけて追い払おうとしたらしい。高畑先生が上手く修めたようだ。
 なお、ネギは「詳しい事情も聞かず」「生徒をほっぽり出して」動くなと注意されていたが、あの表情(かお)は聞いてないな。
 大丈夫だろうか?





 生徒達が………。



 5時間目、2-Aの体育の担当教師が所用で授業に参加できず、ネギが授業の監視を頼まれる。

 勇んで屋上の運動場に向かって行くが、それを見ていた新田先生から「時間があるならサギ先生も行ってくれないか。ネギ先生だけだと心配だから」と最後は小声で頼まれる。

 ………。まったく信用されてないな。

 学年主任という上司からの命令に断ることもできず、とぼとぼと屋上に向かう。

 何故か授業が行われておらず、2-Aの生徒の一部と隣の高校の女生徒がいがみ合っている。

「長谷川、どうなっている?」

 我関せずと離れている幾人の生徒から近くにいた千雨に声をかけ事情を聞く。

「あぁ、なんかな」

 アホらしいことに授業のために屋上に来てみると高校生がバレーをやっており、占有権を主張してお互いヒートアップしているとのこと。
 先に来たネギは? と探すと高校生に捕まってどーしようもない。

「おーい。お前ら落ち着け」

 そう声をかけながら2つの集団の間に入って行く。

「「「「「サギ先生!」」」」」「「「「「サギ先生!誰、あの子?」」」」」

 驚きの声が上がる。前者は2-Aで、後者は高校生だ。

「話しは大体聞いた。ダブルブッキングだって? 自習のレクリエーションが授業計画の元抑えてある運動場とダブルブッキングするわけ無いだろうが」

「「「「「あっ!」」」」」

 あ、じゃねぇよ。そんくらい気付け。

「ですが、私たちが先に使って………」

 引くに引けないのかあくまでも高校生はここの使用を主張する。

 ………。なんでこんなアホなの? 隣の高校って名門女子校じゃなかったっけ?

「わかった、わかった。2-Aは着替えて教室で自習な。騒がなければ何やっても良いぞ。雪広と名波、悪いが監督を頼む」

「「わかりました」」「「「「「えぇぇぇぇっ?!」」」」」

「わかればよろしいのよ、わかれば」

「あーネギ先生は、この時間の使用許可の確認を。なお、おかしな点があったら学年主任の新田先生を通じて隣の高校に厳重な抗議を。ほら、直ぐ動けー」

「「「「「「「「「「えっ?」」」」」」」」」」

「え、じゃないです、ネギ先生。いつまでも女子高生に捕まってないで、テキパキ動いてください。ほら、2-Aの皆さんも」

「まっ、待ってください」

 慌てて高校生の主犯格の生徒が声を張り上げる。

「いやぁ、すまなかったね。2人とも体育の先生の代理で使用許可の確認とかが曖昧なんだ。存分に「自習のレクリエーションのバレー」を楽しんでください。どちらにしろ直ぐにそちらの学年主任の先生には謝罪の連絡はしますので。ほら、2-Aの生徒は走らず、慌てず、すぐ戻れー。まぁ、もし、そちらから使用許可が出ていなければ「停学」くらいは覚悟しといてください。他校の授業を一方的に妨害したんだから、それぐらいは当たり前ですから。昼間の件もありますし、反省文程度で済ませるつもりもないですよ。ほら、急げー」

 何を言っても無駄と悟ったのか、がっくりと膝をついてうなだれる女子高生達。

 屋上から続く階段を下りていると神楽坂が声をかけてくる。

「や、やりすぎだったんじゃないの?」

「何言ってんです? 向こうの主張が正しければ、レクリエーションとやらを続ければ良いんだし、全部真っ赤な嘘ならそれなりの罰を受けないと延々と繰り返しますよ」

「それはそうだけど」

「あーもう。彼女らは高校生なんですよ。君ら中学生とは責任の重さが違うんです。他校の授業を計画的に妨害するなんて、下手すれば退学になってもおかしくないんですよ。君らもそうですが、学生の内にもうちょっとルールを守ることの大切さを知らないと社会人になってからでは遅いんですよ」

 最後は2-A全体へのお説教になってしまう。

 ホント、わかってくれると嬉しいんだけど。



 結局、予想通り昼の件を逆恨みしての計画的犯行と判明。新田先生も最初は停学というのに躊躇していたが、「他校への干渉」というのを重く見て、聖ウルスラ女子校へそのまま抗議。首謀生徒の3日、他生徒の1日の停学という結果に落ち着いた。

 結局ネギは昼の件も授業の件もまったく指導力を見せずに終わり、落ち込んでいたらしい。





 そして、時は過ぎ、3学期の期末試験が近づく………。 
 

 
後書き
ドッジボールがおこらないドッジボール騒動でした。 
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