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IS-最強の不良少女-

作者:炎狼
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サボり

 
前書き
あの人が出ます

ではどうぞー 

 
 響はカーテンの隙間から差し込む朝日で目が覚めた。時計を見るとちょうどいい時間だったので未だに寝息をたてている本音をゆする。

「本音。そろそろ起きろ遅刻するぞ。朝っぱらから織斑先生の出席簿アタックはくらいたくないだろ」

 そこまで言うと本音も寝ぼけながらではあるが着替えを始めた。

「早くしねーと食堂混むぞ?」

「んー。わかってるー。大丈夫大丈夫ー」

 いいながらも本音の足元はどこかおぼつかない。

 ……ホントかよ。

 二人は着替え終えると身支度を整え学食に向かった。



 学食に向かうとまだ人はまばらだった。

「ちょっと早過ぎじゃなかったー?」

 響のとなりで本音が小首をかしげながら問うが響はそれにニヤリと笑いながら答える。

「なぁに今に見てろ?あと5分もしないうちに混み始めるから」

「ホントに?」

 本音の問いに頷きながら響は本音とともに食券を買いに行き、響は鮭定食を本音は鯖の味噌煮定食を頼みテーブル席に着いた。

 すると響が行ったとおり二人が席に着いた数分後食堂に多くの生徒が詰め掛けた。その中には一夏や昨日一夏と共にいたポニテ少女もいた。

 それらを確認した響は本音にドヤ顔をしながら告げた。

「だろ?」

「すっごいねー。でもドヤ顔も凄いよー」

 正直なところを突かれ響は苦虫を噛み潰したような顔になったが。平静を取り繕うためか口笛を吹き始めた。

 すると不意に声をかけられた。

「隣いいか?」

「あん?」

 響が怪訝そうな顔をして声をかけられた方を向くとそこにいたのは一夏とポニテ少女だった。一夏の方は普通の顔をしているが、ポニテ少女の方は少しムスッとした顔をしている。

「あーおりむーだー。やっほーおはよー」

 響の前に座っていた本音が一夏に挨拶をし一夏もそれに答える。

「別にいいぜ。座れよ織斑」

「ああ!助かるサンキューなえっと……」

「鳴雨響だ」

 響が名前を言うと一夏も思い出したように手を叩き再度響に礼を言う。

「ありがとな響」

「別に……それよりもいきなり名前呼びとはな」

「ああ悪い。癖なんだ。やっぱり上の名前で呼んだ方がいいよな?」

 一夏が問うが響はそれを軽くあしらいながら答える。

「いいさ。好きに呼べ。だけど私もお前のことは一夏と呼ばせてもらうぜ?」

 味噌汁を口に運びながら言う響を一夏は快く了承したが。一夏の目の前にいるポニテ少女は少し不安そうな表情を浮かべた。

「それよりもそこでさっきからムスーッとしてるポニテちゃんはなんか嫌なことでもあったのか?」

「なっ!?ポニテちゃんではない!!私には篠ノ之箒という名前がある!!」

 響の言った呼び名が気にくわなかったのか箒は激昂した。響はそれを見てケタケタと笑いながら箒をなだめる。

「まぁまぁそう怒るなよ篠ノ之。仕方ねぇだろ?クラス全員の名前なんて覚えられっかよ」

「ふん!最初から覚える気など無かったのだろう!?」

 ……おお大正解。いい勘してるねー。

 箒の言葉に一夏がさすがに止めに入る。

「おい箒!それはさすがに言いすぎ……」

「お前は黙っていろ一夏!!」

「はいぃ!!」

 あまりの剣幕に一夏もたじろぎ小さくなってしまった。一方箒の隣にいた本音は気にした風も無く召しにがっついている。

「大体何だ貴様のその髪は!!本来黒であるべき日本人の髪を金髪に染めるなど言語道断だ!!」

 まだまだ出てくる言葉に響も内心で関心すら覚えていた。

 ……まぁ原因は私でもあり私の隣にいるコイツでもあるんだが。

「この髪は私の趣味で染めてんだ。そこまでお前に言われる筋合いはねぇよ……。ご馳走さんでした」

 箒の言葉を軽く受け止めながら響は席を立つ。それとほぼ同時に本音も食べ終わり響と共に席を立つ。

 そしてわざと箒のもとまで行き通り過ぎざま、箒だけに聞こえる声で告げた。

『安心しな。一夏のことを取ろうなんざ思ってねぇよ』

「っ!?」

 響の言葉に箒が赤面し振り返るが響は、先ほどのように箒だけに聞こえる声でなく一夏と箒二人に聞こえるように言う。

「お前らも織斑先生の出席簿でぶっ叩かれたくなかったらさっさと食い終われよー」

 その言葉に反応したのは一夏や箒だけでなくその場にいた1年1組全員だったが。



 3限と4限の休み時間に響は箒に呼び出され共に廊下に出た。

「あんだよ?急に呼び出しやがって」

「その……朝のことなのだが」

 箒は体の前で指を絡ませ俯きながら響に謝った。

「朝はすまなかった。あの時は私もイライラしていたとはいえあんなことを……。本当にすまなかった」

「別にいいさ。アレぐらいのこと中学で言われなれてるしな」

 神妙な面持ちで謝る箒とは裏腹に響は結構軽いノリで返す。だが箒はそれだけでは終わらず響に聞いた。

「それと一夏のことを取らないというのは本当か?」

「ああ。別に私はアイツになんてぜーんぜん興味ないし、名前で呼ぼうと思ったのは……ほらアイツの姉ちゃんの織斑先生がいるだろ?それと混ざるから面倒くさかったからなんだよ。だから気にすんな」

「そ、そうか。すまないな急に呼び出してしまって」

 箒のその言葉を皮切りに二人は教室に戻っていった。

 教室に戻り響は本音に何があったのか聞かれたがそれを軽く流し席に戻った。ちなみに本音が響に話しかけた所を見て複数の女子が心配そうな顔をしたのは言うまでも無い。



 昼休みになり響は1人購買で買ったパンを屋上でむさぼっていた。本当は本音に一緒に食べようと誘われたのだが本音の友達らしき子達が少し不安そうな顔をしていたので遠慮し、屋上で食べることにしたのだ。

 屋上といっても貯水タンクがある所であり、すなわち普通なら生徒が上ってはいけないところである。

「それにしても一夏のヤローは思ったとおりの唐変木だな。篠ノ之もいつになったら気持が届くことやら」

 パンと牛乳を交互に食べたり飲んだりしながら響は昼食を食べ終えあお向けに寝転がった。

「母さんに渉元気でやってっかなー。まぁ渉は私よりしっかりしてるし、母さんも心配いらねーか……ふぁーあ……腹いっぱいになったら眠くなってきちまったなちょうど言いや少し寝よう」

 そういうと響は目を閉じ睡魔に身を任せ眠りについた。




「フッフッフ。サボり生徒はっけーん」

 響が寝てから数十分後既に授業は始まっている時間だが響は起きる気配が無かった。だがその響に近づく女子生徒が1人。

「こんなところで無防備に寝てるなんて。お姉さんに襲ってくれと言ってるようなもんだよー」

 女子生徒は響の前まで来ると顔を近づけ始めた。

「ムフフ~。じゃあお姫様にお目覚めのちゅーを……」

「何やってんだてめぇ……」

 そこまで言ったところで響が目を覚ました。女子生徒は驚き後ろに大きくのけぞった。

「おわぁ!?びっくりしたー!!急に起きないでよ」

「そりゃあこっちのセリフだっての。アンタ誰だよ」

「ん?知りたい?」

 少女はドヤ顔で響を見つめる。響もそれに相当イラついたのか昨日と同じように殺気を迸らせる。

「いいから答えろ面倒くせぇ」

「もう。ちょっとしたお茶目じゃない。まぁそれは置いといて……私が誰かだったよね?私の名前は更識楯無。このIS学園の生徒会長よ!」

 そういうと楯無は懐から扇子を出し広げると口元を隠すような仕草をする。扇子には大きな文字で「ドンッ!!」書かれていた。

 響は相手が生徒会長だということを気にせず続けて聞いた。

「それで?その生徒会長様がこんな時間に何やってんだ?もう授業始まってるぜ」

「それを言うならあなたもでしょ?世界初のIS適合ランクSSの鳴雨響さん?」

 楯無が言った瞬間響は楯無から距離を取り身構えそして楯無を睨みつける。

「なんでそのこと知ってんだアンタ」

「んー。生徒会長だから!……なぁんて冗談だけどねー。貴女の秘密を知っているのは私だけじゃないわ。学園長はもちろん、担任の織斑先生に副担任の山田先生。そして生徒で知ってるのは私だけ」

「生徒に秘密なことバラしちまうなんてずいぶんと人の個人情報を簡単に漏洩させるんだな」

 楯無が説明している最中も響は決して殺気を緩めなかった。だが楯無は殺気を感じ取ってはいるもののまったく声のトーンを変えずに淡々と語っていく。

「IS学園の生徒会長というのはある程度のことなら許されるのよ。もちろん犯罪はダメだけど生徒の情報を掴むことなんて簡単よ。だから隠し事をしても無駄」

「そうかい。まぁ別にいいけど。私のランクの事を知ったからってアンタは特に何もしねーんだろ?」

 響は殺気を引っ込め構えを解く。

「ご名答。そう私は貴女には何もしないわ。ただお願いをしに来たの」

「お願い?」

 響が首をかしげながら聞くと楯無はまた扇子を取り出し高らかに言った。

「貴女には生徒会に入ってもらいたいのよ響さん!!」

 広げた扇子には「勧誘」と書いてあった。

「お断りだ」

「はや!?もうちょっと考えようよ!!」

 即答で断った響に楯無もすぐさまツッコミを入れる。

「一応理由を聞いてもいい?」

 楯無が手を合わせながら聞くと響は頭をガシガシとかきながら言う。

「面倒くさい。この学園に入っただけでも面倒くさいのにこの上生徒会とかありえない」

 眠気を覚ますように伸びをしながら響は楯無にけだるそうに答える。その様子に楯無も拳を握りながら歯噛みする。

「ぐぬぬ。本当に面倒くさがりね貴女は。……でもいいわ。じゃあこうしましょう昨日貴女が提案した方法でやりましょう」

「私が提案した方法?」

 楯無が人差し指を立てながら言うと響は眉間にしわをよせながら聞いた。

「昨日貴女は同じクラスの織斑君とオルコットさんにISの戦闘でどちらがクラス代表になるか決めればいいと言ったそうね」

「そんなことまで知ってるのかよ」

「生徒会長なら学校のことは大体把握できるのよー。それを私も採用させてもらうわ。響ちゃん!私とISを使って勝負をしましょう。貴女が負けたら生徒会に入ってもらうわ、勝ったら好きにしていいわ」

 楯無の提案に響はため息をつきながらも言い放つ。

「はぁ……わーったよやりゃあいいんだろ?んで日にちは?」

「んーとね。織斑君たちのクラス代表決定戦の日の放課後でどう?響ちゃんもISになれるのが必要でしょ?」

「ずいぶんとお優しいこって。じゃあその日に」

「はいはーい。またね響ちゃん」

 楯無は言うと手を振りながら校舎の中に消えていった。響はというと今から帰っても授業もどうせ終わるということでその日は5、6限を堂々とサボった。



 放課後になり響は教室に戻った。昨日真耶が補修の授業をしてくれるということだったのでちゃんとやってきたのだ。

 教室に戻ると既に真耶が黒板の前に立っていた。

「あ!鳴雨さん!待ってましたよー。……ところで5、6限は一体どうしたんですか?」

 真耶は心配そうに響を見つめる。

「すいません。屋上で昼飯食べてたらあまりに気持がよかったんで寝てしまいました」

「あーそうなんですかー。じゃあしょうがないですね!っていやいやいや!しょうがなくないですよ!?」

 ……おお。見事なノリツッコミ。

 内心で感心していると真耶が溜息をつきながらも、顔を引き締め響に告げた。

「はぁ。いいですか鳴雨さん?ISはうまく扱えなければとても危険なんです。ですから授業は真面目に受けて下さいね?先生と約束ですよ」

「へーい。……じゃあそろそろはじめませんか山田先生」

「いい心がけですね!では何処がわからないですか?先生が手取り足取り教えちゃいますよ!!」

 真耶は響がやる気になってくれたことが嬉しいのか目を爛々と輝かせながら響にわからないところを教え始めた。



 勉強が一息ついたころ響は思い切って真耶に切り出した。

「山田先生は私がIS適正ランクがSSって言うのは知ってるんですよね?」

「ふえ!?どどどどど、何処でそれを!?……じゃなかった。何のことですか!?」

「先生今更取り繕っても遅いです」

 響が真耶に言うと観念したのか真耶は困った顔をしながら答えた。

「……はい知ってます。でも一体誰にそんなことを聞いたんですか?」

「生徒会長から聞きました」

 響の答えに真耶は頭を抱えながら悶える。

「更識さんですかー……。まぁばれてしまったものは仕方ありませんね。鳴雨さんのことは鳴雨さんの中学校の先生からお聞きしています。でもランクがSSだからといっても鳴雨さんのことが怖いとそんなことはありませんよ!!」

 真耶は響を安心させるように力強く言った。響もそれに頷くと体の前で手を合わせた。

「そんな山田先生に相談なんですが……。実は生徒会長とISを使って勝負をすることになったんですけど、なにぶん乗り方なんてわからないんで教えてもらいたいんですけど」

 その提案を聞いた真耶はとても難しい顔をした。

「更識さんと勝負ですか……。ちなみに何でそんなことに?」

「生徒会長が私を生徒会に入れたいらしくてそれをかけての勝負です。負ければ生徒会加入、勝てばどっちでもって感じでしたけど」

「そうですか……。ですが正直がんばって練習しても勝つことは難しいと思います。更識さんは専用機持ちでロシアの代表生ですからね」

 真耶は悩みながらも考える。確かに楯無はこのIS学園の生徒会長と言うこともありIS学園で最強に位置している。それを倒せるまで成長するというのは無理な話だろう。

「私にISの乗り方教えてくださいよー。山田先生しか頼れる人がいないんです」

 その言葉に真耶の瞳に火が灯った。

「わかりました!この山田真耶。精一杯鳴雨さんをサポートします!……でも織斑先生じゃなくていいんですか?私よりISに乗るのは織斑先生のほうが上手ですよ?」

「はい。確かに織斑先生にも頼みたかったんですが……。弟さんの試合もあるのでそちらに集中したいでしょうから山田先生に頼みました」

 ……嘘だけど。

 響の答えに真耶はもう一度「わかりました」と大きく頷くと響の腕をがっしりと掴み告げた。

「一緒にがんばりましょう鳴雨さん!!」

「はい!!」

 ……計画通り。

 響もそれに答えるように真耶と固く握手を交わした。

 その後は勉強もさることながら楯無との勝負の日までの特訓の日程とメニューを考えながらその日は終了した。




 寮に戻った響はベッドの上にダイブした。シャワーからあがった本音が響を見つけ響の腰に抱きつきながら聞いた。

「どうしたんひーちゃん?山ちゃん先生の補修きつかったの?」

「いやー。山田先生の補修は全然わかりやすかったんだけどさ……。もう一つの悩みがなー」

「あ!それって会長と戦うこと?」

「何で知ってんだ……?」

 本音の言葉に困惑しながら聞くと本音はにへらっと笑いながら答える。

「私も生徒会に入ってるからねー。布仏家は代々更識家に使えてきたからねーそれで自動的に生徒会に入れられるんだよー」

「それであの会長が言いふらしたってわけか……」

 本音は「そそ」といったあとさらに「でもねー」と繋げた。

「会長結構嬉しそうな顔してたよー。だからー会長のこと嫌いにならないであげてねー」

「別に嫌ってないっての。まぁ戦うのは全力でやるけどな」

 そういった響の顔はなんとなく嬉しそうに見えた。
  
 

 
後書き
以上です

楯無さん登場ですねー
山田先生を響が好きなように使ってるようにも見えますが響は山田先生のことを気に入ってるからこういう行動に出たのです。
決して利用するために頼んだわけではありません

冒頭のほうで若干箒がうざいですねファース党のかたいらっしゃったらゴメンナサイ

感想、ダメだし、アドバイスお待ちしております 
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