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魔法少女リリカルなのはStrikerS ~賢者の槍を持ちし者~

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Chapter18「派遣任務」

 
前書き
ハーメルン投稿時は誰も気づかなかったことですが、実は本話には読者様が気づいてくれるか試した、隠れライダーネタが入っています。

今回は↑のヒントもあるので、気づいてもらえますね?

 

 

「緊急任務やルドガー」

「いや、そんなニコヤカな顔で言われたらどう考えても釣りだよな?」

火急だという事で呼び出され部隊長室に赴いたが、中ではリインと呼び出した本人がニッコリ笑っていた為、自分が嵌められた事に気付く。

「まぁ緊急やないんやけど、任務を依頼してきたトコがウチのパトロンやからそれなりに重要なんよ」

「パトロンって…もしかして聖王教会とかいう管理局とは違う立場でロストロギアの管理を行っている組織の事か?」

「当ったりですー!ルドガーさん、ちゃんとミッドの社会勉強してたですねー!えらいですよ~」

まるで幼子を褒めるようにリインはルドガーの頭まで行き、その小さな手で撫で始める。撫でられているというより感触的には頭の上で鳥が歩いているような感覚だ。撫でるリインを無視してはやてに話を進めるように促す。

「今回は異世界への派遣任務や。せやけど異世界言うても私にとっては一番馴染み深いとこやから異世界っていう感じが全くせーへんわ」

「よく知ってる感じみたいだな」

「それはそうです!今回行く場所は97管理外世界地球は、はやてちゃんになのはさんの故郷なんですから!」

なるほど。確かによく知ってる訳だ。このテンションの高さも腑に落ちる。

「で、何人がかりで任務に行くんだ?」

「そうやな…フォワード隊の新人・隊長陣は勿論の事、私とリインにシャマルに当然ルドガーにも同行してもらおう思ってるよ」

「…多すぎやしないか?」

「こんなの序の口や。現地協力者も入れたら14人くらいはいくんやない」

「多すぎだろ……そういえばザフィーラは……」

「ザフィーラはここで待機してもらうよ」

戦力配置間違ってるんじゃ?この任務の割り付けで本気で今後この六課がやっていけるか心配である。

「意見できる立場じゃないが、俺は六課に残った方がよくないか?」

「え?」

「この戦力の割り付けは杜撰過ぎる。万が一緊急事態がミッドで、それも六課の管轄内で起きたらザフィーラだけでは対応まず不可能だろ?」

それでもルドガーが六課に残ったとしても不足の事態に対応するには難しい。
良くてフォワード隊が到着するまでの現状維持が関の山だ。

「ホンマやなぁ」

「だったら…」

「まぁその辺は心配せーへんでええよ?もし何か起こっても他の部隊や聖王教会が対処してくれる手筈になっとるし、余程の事が起こらない限りは前線メンバー無しの戦力でも頑張れる」

普段のはやての様子を見ていて全くの無策かと思いきや、ちゃんとまっとうな策を考えていたので思わず目を丸くする。

「管理局舐めたらアカンよルドガー?いざとなったら海と陸関係なく息バッチしでどんな事件もコンプリートできるんよ?」

「……そう願いたいモノだな」

海と陸の管理局の睨み合いはルドガーもよく知っている。目指すモノは同じモノでも道と立場が違えばこうも人は歪み合う。

人の歴史は戦いの歴史だと言われるのはこの事が一番の例ではないだろうか?

「ブー!ノリが悪すぎですー!はやてちゃんはルドガーさんに自分の生まれた世界を見てもらいたいんですよ!」

「は?」

「リ、リイン!変な事言うもんやない!」

「アイタっ!」

どうやら今のリインの一言ははやてにとって、とても恥ずかしい事のようだった。
頭を指で叩かれリインは涙目で頭を擦っている。

「うぅーはやてちゃん酷いですよー!」

「オイタが過ぎる子はめっや!それに私は今リインが言ったような事は一切考えてへんよ!わ、わかっとるな!?そこのスケベ大魔王!」

「誰がスケベ大魔王だっ!というかまだそのネタ引きずってくるか!?」

忘れさりたい男としての恥を再び思い出され、言い換えさずにはいられない。

「あーもう!とにかく!ルドガーは私達と一緒に派遣任務行きは決定や!異論は認めん!以上や!」

「なんて横暴な部隊長なんだ!」

こうしてルドガーははやて達の生まれ故郷でもある『第97管理外世界地球』へと向かう事になったのだった。



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「キュク~」

ルドガーの肩に乗ったフリードが可愛らしく鳴いている。派遣任務に半ば強引に参加されたルドガーは只今六課前線メンバーとヴァイスが操縦するヘリで管理局の管理下にある転送ポートに移動中である。

「フリード…お前はいいよなぁ…その愛くるしい姿で面倒なたぬきにも可愛がられる程度ですむだけだからな」

「キュク~?」

「誰がたぬきや!誰がっ!」

部隊長室のお返しとでも言わんばかりに、彼女がいい意味でも悪い意味でも気にしているあだ名で呼んでしまい頭を叩かれる。

「何だかこれから任務に入るとは思えないくらいはやてとルドガーはテンションが高いね…」

「にゃはは、そうだね。でも本当はあまりこう言う事言ったらダメだけど、任務先が地元だとやっぱりちょっと気持ちが浮いちゃうな」

「地球かぁ…久しぶりだね」

仕事だとわかっていても気持ちが浮かれてしまうのはヒヨッコだろうとエースオブエースだろうと大してかわらないのかもしれない。

しかし、地元だろうと馴染み深い場所でもこのエース達は気持ちの切り替えは重要だ。その点なのは達なら重々心得ているため心配はないはずだ。それができなき者に人を従える資格はない。

「なのはさん達の故郷かぁ~。凄く楽しみだよ!」

任務先が自分が尊敬する教官の出身世界であるという事で、普段から元気が売りのスバルはいつも以上に元気全開。そんなスバルの横では端末で管理局のデータベースを閲覧しているキャロはデータベースに書いてある情報を読み上げ始める。 

「第97管理外世界地球、文化レベルB……」

「魔法文化なし……次元移動手段なし……って魔法文化無いの!?」

情報を読み理解したティアナが驚きの声を上げる。なのは達のような高ランク魔導師の出身世界という事もあり、魔法文化のあるイメージがあったのだろう。

「はい。ミッド出身ですけどフェイトさんも小さい頃暮してて、なのはさん達と一緒に地球の学校に通ってたそうですよ」

「ご家族が今も暮してますし」

フェイトの事をよく知るエリオとキャロは彼女から詳しく自分が育った地球の事を教えていたようで、この2人もスバルと同じで地球に行ける事を心待ちにしていたようだった。

「フェイトさんも……けど魔法文化がない世界で、どうして八神部隊長やなのはさんのようなオーバーSランク魔導師が……」

「まぁ、簡単に言えば突然変異とかたまたま~かなぁ?」

さっきまでルドガーと口喧嘩を繰り広げていたはずのはやてがいつの間にかティアナ達の傍にたって話しに参加した事で4人は驚く。

「あっ八神部隊長!す、すみません……」

「ええよ、別に」「私もはやて隊長も、魔法と出会ったのは偶然だしね」「「「「へぇ~」」」」

「それにしても4人共エラいなぁ。事前に任務先の下情報を確認するんはエエ心がけや」

「はは…」

「どうしたのルドガー君?」

はやてに続きいつの間にかルドガーになのは、ヘリに搭乗しているメンバーが一堂に集まっていた。

「いや…フォワードの皆はなのは達を本当に大好きなんだなと思ってさ」

「はい!なのはさん達は私達の目標なんですよ!ねっ?ティア!」

「えっ?あ、う、うん……」

スバルに話を振られ、その内容を大勢の中ではっきりと応えるのが恥ずかしかったのかほんのり頬を赤く染めているティアナ。

その顔を見たはやては、水を得た魚のように表情がパッと明るくなりティアナの肩を突き始める。


「あとティアナはもう1人最近尊敬してる人できたんやないの~?」

「はい?」


訳がわからない。今のティアナの口調からははっきりとそう伝わってくる。
だが次のはやての耳打ちで自分の上司が何を言っているのか理解した。

「ティアナは案外疎いなぁ……自分の訓練で、それもマンツーマンで教えてくれる教官はなのはちゃん以外にもう1人おるやん」

「え?」

「あれ?違ったん?ティアナはアレの事気になってるんやないの?」

「なっ!?」

ティアナの顔がますます赤くなった。

そして彼女の意思とは別に無意識に、件の人物へ顔が向いてしまう。


「ん?」


2人の視線に気付いたルドガーだが何故自分が注目されてるのかわからず首を傾げる。

「(や、八神部隊長!わ、私にそんな気はありませんから!)」

狼狽のあまりこれ以上下手に口を開けば声のボリュームを調節できないと悟り、やり取りを念話へと切り替える。そんなティアナの気を知らないルドガー達はまた別の話しで盛り上がっている。

どうも内容はシャマルから渡された私服をリインが着るようだが、どう見てもサイズが合ってないのは一目でわかる。ティアナも興味がそちらに行き、はやてに一言言ってスバル達の話しに参加する。
内心逃げ道を作れてホッとしている。

「あれ?リインさんその服って」

その中でキャロが最初にその疑問点をリイン本人に聞いている。

「この服は、はやてちゃんのちっちゃい頃のお下がりですよ」

だがキャロの質問の意味を勘違いしたようで、質問の答えにはなってはいない。

「あ、いえ……そうではなく」

「着れるのかな……って……」

エリオとキャロが捕捉を加える。

「そのはやてのお下がりはどう見てもリインの身長じゃ着れないだろ?」

「あっ、そういう事ですか!そう言えば、ルドガーさんとフォワードの皆には見せた事はなかったですね」

「ん?」

「「「「へ?」」」」

「システムスイッチ、アウトフレーム、フルサイズ!」

「!!」

「「「「おお!?」」」」

リインが何かを設定した瞬間、彼女の体が光に包まれ、光が収まるとエリオとキャロと同じくらいの大きさになったリインがルドガー達の目の前に立っていた。

「っと、一応このくらいのサイズにもなれちゃいます!」

「でか!?」

「いや、それでもちっちゃいけど……」

「……(何で着てた制服まで大きくなってるんだ?)」

ティアナとスバルはリインの大きさの変化のみに驚いているようだが、ルドガーは彼女の着てた制服まで何故か大きくなっている事に素朴な疑問を持ってしまった。こんな事このメンバーの前で言ったら間違いなく白い目で見られと思い言わなかったが、服がビリビリに破けて真っ裸のリインが立つのが普通ではないかとは口が裂けても言えない。

「普通の女の子サイズですね」

「向こうの世界にはリインサイズの人間も、ふわふわ飛んでねぇからな」

「あの……一応、ミッドにもいないとは思いますよ?」

「俺の世界にもいなかったな……人間にはな」

キャロの言葉にヴィータが答え、ティアナがそれに続く。浮遊という事ならルドガーにも近い存在がある。ティポはともかくミュゼの場合は更に特別だ。
浮遊している以前に、精霊が実体化している時点で実は凄い事だったりする。

「ルドガーさんのお仲間の中にも浮いてる人がいましたね」

「キャロ、あれは精霊だ。むしろリインのポジションを俺達のパーティに例えるとやっぱティポだな」

「あの変なぬいぐるみさんですかっ!?」

ティポと同格と言われ何だかえらくショックを受けているリイン。そんなにティポって不気味なのだろうか?

「どこがリインと似てるか説明が欲しいです!」

「そりゃさ…まず浮いてるだろ?おまけにサイズまで変えれる時点で共通点ほぼ同じだろ?」

「同じにしないでくださーい!リインは人を食べたりしないですぅ!」

「ティポも人は食わないぞ?」

とは言ったもののルドガー達男性パーティ+一匹は混浴温泉に入った際、『親しき仲にも礼儀あり』と言う事でティポの仲に強制的に収納され、消化?されかけた事もあって、自信を持って人に害をもたらす事がないとは言えない。

その後も納得しないリインは一方的に自分の機能やどういう役目があるか説教混じりに説明し始め、小さい子供に大人がガチで怒られているという酷い絵ができる。

「ま、まぁリイン曹長もルドガーさんもそれくらいにしてください」

「あ、ああ。悪いエリオ」

エリオに止められ、特に自分は何も言ってはいないが、子供に注意されたという事で、大人気ないと思いとりあえず謝る。だがその横でリインが勝ち誇ったような顔をしており、少しだけ悔しさを覚える。

数分後、シグナムの端末からアラームが鳴りはやてに声をかける。

「八神部隊長……そろそろ」そう言いシグナムは立ち上がり、はやて達も立ち上がる。

「うん。ほんならなのは隊長、フェイト隊長、ルドガー。私と副隊長はちょお寄るとこがあるから」

「俺も着いて行こうか?」

ゲンヤに以前、はやてを頼むと言われた事もあり放置はできない。

「うんん、ええよ。それよりもルドガーはフォワード達事を頼むわ。一応ティアナの先生なんやから…な?」

最後の部分だけルドガーの後ろにいるティアナの方に顔を出して、ティアナが顔を赤くする。
彼女は赤くなる頻度が高すぎるような気がする。

「そうか。シグナム達が付いているし何もないと思うが、気をつけろよ?」

「心配しすぎや。ほな、またな!」

「うん」

「あぁ」

「先に現地入りしとくね」

「「「「お疲れさまです!」」」」

「はーい」

ヘリを降りてからは、はやて、ヴィータ、シグナム、シャマルと一旦別れルドガー達は転送ポートへと向かう。

任務はこれから始まったばかりだ。


 
 

 
後書き
・精霊術
霊力野から発したマナを精霊に与える事で精霊術は発動する。
火を起こしたり、空を飛んだりと、様々な事が可能。
リーゼ・マクシアでは生活空間でも精霊術は根幹となっている。

 
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