転生者が歩む新たな人生
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第15話 遂に麻帆良へ
前書き
タイトル通り
とにかく、麻帆良内に侵入するために魔法使い見習いと言う立場が都合が良いので、メルディアナの校長に連絡を取った。
もちろん馬鹿正直に理由を伝えるわけもなく、「魔法使いの資格があった方が良い」と師匠らに説得されたと話した。
特に疑われることもなく話は進み、11月の半ばから数学の教師見習いとして赴任することが決まった。
ちなみにネギの方は今日本語の読み書きを学習中らしい。改めて考えると7月末の卒業から2月初めの赴任までの約半年で日本語をマスターするとか、まさに天才少年である。
で、日本語にまったく不自由しないオレの方は二月早い11月半ばからの赴任となった。
話しが付いてたった一月半ぐらいでの赴任だ。余程事務処理が優秀で速いのか、まったく考えていないかのどちらかだ。
さて、地球製のデバイスだが、思わぬところでブレイクスルーがあった。
魔法の管理制御AIを魔法世界で生まれた電子精霊にやってもらうことにしたのだ。
もちろん、いわゆるミッドチルダ式の魔法とテラ式の魔法はまったく違うものだから、本来電子精霊でも扱うことができないものだったのだが、誕生したばかりの無垢な電子精霊をテラ式の魔法に触れさせずに、ミッド式の魔法や管理制御プログラムだけに触れさせることにより、ミッド式の電子精霊を創り出したのだ。
月村姉妹とリニスの合作で………。
あとは待機状態からの変形機構だけが再現されていないだけだ。
もっとも魔法式をインストールする容量の増加やデバイス自体の素材、ベルカ式カートリッジシステムなどこだわり始めたらきりがないが。
忍義姉さんの最終目標はノエルやファリンに魔力蓄積システムを内蔵し、魔法を使えるようにすることだ。
ちなみに今回のデバイスはベルトタイプのデバイスで、ベルトのバックル部分がデバイスコアだ。
ベルトの帯の部分は幻覚により変更可能で、フォーマルな服装にも、カジュアルの服装にも対応可能だ。そしてベルトの帯の裏側に所々金属片が埋め込まれており、隠されたラインでデバイスコアと繋がっている。
これらは容量増加のためのメモリーで、デバイスの容量不足をかなり軽減できるようになった。
なお、当初デバイス名は「イザナギ」で、2号機のすずかのデバイスが「イザナミ」になる予定だったが、「イザナギ」だと愛称が「ナギ」になりそうだったので、頼み込んでデバイス名は「スサノオ」にしてもらった。すずかのはペンダント型で、「ツクヨミ」だ。
日本の神々の名前から取ったのは忍姉さんのこだわりだ。
テラ式魔法の解析やエミュレートも進んでおり、ミッド式魔法が二重円に2つの正方形、ベルカ式魔法が三角形に剣十字の魔法陣なのに対し、地球の魔法使いが使うものは二重円に三角形が上下に重なる六角形、魔術師や呪術師が使うものは二重円に星型の五角形の魔法陣が魔力で描かれることになる。
もっとも、デバイスを通して使えるテラ式魔法の数自体少ないけれど………。
☆ ★ ☆
新たなパートナーデバイス「スサノオ」の完熟訓練を終え、麻帆良学園へ向かう。
スサノオのおかげで新たに空戦という分野が本格化したので、リニスに教導してもらった。
原作でフェイトをあそこまで育てただけあって、かなりキツイ訓練だったがなんとかすずかと2人でやり遂げた。
高速戦闘とか、分身体が別々の訓練をしていたのだけれども、経験を統合した時、どの分身体も何度も撃墜してたのは笑うしかなかった。
「ネギま!」の原作だと空戦は「虚空瞬動」ぐらいしか方法はなかったので、空戦で高速戦闘できるのはかなりのアドバンテージと言えるかもしれない。なお、オレもすずかも「虚空瞬動」はマスターしている。
☆ ★ ☆
さて、11月11日、遂に麻帆良学園へ新任の数学教師として訪れる。
事前にもらった指示書には「ホームルームが8時半から」としか書いてなかったが、その前に職員会議とかもあるだろうと7時に着くように訪れる。
当たり前だが、この時間では部活の朝練の生徒ぐらいしかいないので、通勤用の路面電車も空いており、門をくぐっても遠くに部活のかけ声が聞こえるぐらいだ。
リニスには別行動で学園の近くで待ってもらっている。
守衛さんに挨拶し、事情を話し、学園長室の場所を聞くとまだ来ていないとのこと。
人の良い守衛さんは職員室に連絡を取ってくれ、そちらに向かうこととなった。
新田と名乗る初老の先生(いかにも厳格そうで在校生よりも卒業して十何年経った後の卒業生に人気がありそうな先生)が迎えに来てくれた。
確か原作で生徒達にカミナリを落としてた先生だよな。
職員室に入り、程なく先生方の朝礼が始まり、多くの先生を前に挨拶をした。その後、これからの仕事場になる机の場所を教えられ、持ってきた鞄から荷物を入れる。
話しが事前にあっただろうとは言え、9歳児の先生を少し戸惑うだけで認めてしまうとは、麻帆良の認識阻害の結界は本当にやっかいである。
朝礼後、おとなしく先生方の雑談を聞いていると学園長が来たようで、高畑先生が呼びに来た。
呼びに来るのは良いけど、高畑先生は朝礼に参加してないけど良いのかな?
一部で「ぬらりひょん」と表現される学園長の頭の形に驚き、ビクッとする。
彼こそが麻帆良学園の理事長であり、学園最強の魔法使いで、関東魔法協会の理事も務めている、近衛近右衛門だ。
最近の一方的な東西融和を謀る東側の癌である。ちなみに西側の癌は詠春殿。
が、まあとりあえず友好的に赴任の挨拶を交わす。
「しかし、早かったのぉ」
「早い? ホームルーム前に同僚となる先生方に挨拶する必要があると思ったのであの時間に来たのですが、まずかったですか?」
なお、学園長室に入った時から、隠蔽式の魔法に「隠」も併せて用い、全ての会話はスサノオによって録音録画している。
「いやいや、やる気に満ちており大変結構じゃ。期待しておるぞ」
「はい、精一杯がんばりたいと思います。よろしくご指導御鞭撻の程を」
「まぁ、まずは教育実習からじゃの。ダメだったら故郷に帰らねばならん。二度とそのチャンスはないが、その覚悟はあるのじゃな?」
「まぁ、ダメだったら魔法使いの資格が取れないだけなんで、それならそれで良いですし。それに元々もうイギリスには帰るつもりはないですから、故郷うんぬんは検討違いですね。ただ、生徒を教える先生という立場は責任を持って全うしようと思います」
「そ、そうかの。う、うむ、わかった。がんばってくれたまえ。では今日からさっそくやってもらうかの。まずは教育実習生として、2-Aの担任をしてもらうかの。指導教員は後ろの高畑君じゃ」
「よろしく、サギ君」
そう言って高畑先生が握手のつもりか右手を差し出して来る。
「ちょっと待ってください」
高畑先生の右手をスルーして学園長に抗議する。
「教育実習生が担任とかあり得ませんでしょ、普通。それになにより以前お話しした時高畑先生は英語の教師と伺ったんですが?」
「あぁ、そうだよ。まぁ、担任をしてもらうのはボクがよく出張するからね。そのために、」
「いえ、ですから私は「数学教師」として赴任したんですが」
「「は?」」
自分が出張するから教育実習生に担任を任せるとか、出張が多くて指導教員ができるのか、色々言いたいが、何よりも英語教師が数学の教育実習生の指導教員とかないだろ。
「ちょっと、待ってもらおうかの」
ぬらりひょん、もとい学園長が慌てて書類を取り出し、確認し始める。
「そんなことも確認してないのかよ」という思いを込めてジト目で高畑先生を見据える。
ふん、頬をかいてごまかそうとしているな。
「す、すまんかったのぉ。てっきり英語の教師かと思っておったわい」
「ああ。それはネギのことですね。(他に教えれそうな科目は無いし)」
「す、すまんのぉ。そうじゃ高畑君。瀬流彦君を呼んで来てくれんかの」
「わかりました」
慌てて高畑先生が学園長室から出て行く。
ここまで、残念な対応だとよもやがあるかと思い、瀬流彦先生が来るまで、一応確認することにする。
「学園長」
「なんじゃな、サギ君」
「瀬流彦先生は「裏」の関係者なんですか?」
「ふぉ、ふぉ、ふぉ。関係者かどうかは教えんことになっておるんじゃがの」
「そうですか。わかりました。なら、ここでは今後二度と魔法について関わりませんので。あくまで一教員見習いとして行動させてもらいます」
「む、すまんの。確かに指導教員が関係者かわからんと魔法を修行するにも差し障りがあるのぉ」
「いや、いいです。先程の答えで学園長の考えはわかりましたので。魔法使いの修行に来て魔法を修行しないというのもアレですが、これも「日本で先生をする」という修行の内でしょう」
まぁいい。これで言質は取った。ネギが来て何があっても絶対に関わらないようにしよう。
「………。いや、すまんのぉ。指導教員が変わったせいで勘違いするとこじゃった。もちろん、瀬流彦君は魔法使いじゃ。結界や防御系を得意としておるので、機会があれば師事するとええじゃろ」
「………、そうですか。まぁどちらにしろ、魔法使いとしてよりも教師としてモノになるのが先決なので」
「うむ。確かにそうじゃな」
なお、ここまで予防線を張ったのは魔法使いとして働かされるのを防ぐためだったりする。
程なくして、高畑先生が気弱げな若い男性を連れて戻って来る。
「おぉ、待っておったぞい。サギ君。彼が指導教員となる瀬流彦君じゃ」
「えっ? えっ??」
いきなり連れて来られてワケわからないだろう瀬流彦先生の正面に立ってお辞儀をして挨拶をする。
「先程の朝礼でご挨拶しましたが、サギ・スプリングフィールドです。これから指導教員としてばしばし指導をお願いします」
「えーと。いきなりでよくわかっていないんだけど、一緒にがんばって行こう」
「はい。よろしくお願いします」
うん、魔法使いにしてはまともそうな感じで良さげな先生だ。
「うむ。これでサギ君は瀬流彦君の元、2年A組からD組の数学を見てもらうかの。後は、住んでもらうとこなんじゃが………」
「はぁ?」
なんだぁ? 言いづらそうだけど、孫の部屋はネギ用に取っておくはずだから教員用の独身寮かどっか空いてるだろ?
「いや、すまんの。この時期じゃからの。教員用の寮が一部屋も空いて無くての」
「そうですか、じゃぁ、どっかアパートでも借りますね」
まぁ、確かに中途半端な時機といえば時機か。
1ヶ月もあったんだからどうにかしとけよ! とか思わないでもないが、無いものは仕方ない。
オレ名義で借りれなくても月村のおじさんの名義でどっかアパートを借りてもらうか。
「いや、サギ君。1人で家事とかできんじゃろ?」
「いえ、できますよ。これからの時代、男も家事ができんといかんって、教え込まれているんで、全然独り暮らしは大丈夫です」
これは本当。もっとも前世での話しだが。
「しかしじゃな。9歳児に独り暮らしなんぞ………」
「いや、9歳児とか言うんなら、そもそも先生として採用しないで下さい」
「むぅ。いや、ちょうど両方とも裏に関わる子らがいる部屋があるんじゃが」
って、刹那とタツミーの部屋か?
ノーサンキューだ。
「学園長」
「な、なんじゃな、サギ君」
「テストや指導要綱など生徒に見せられない資料なども持ち帰る必要が出てくるのに、生徒と住めとかあり得ません。そもそも生徒が住んでいるってことは女子寮でしょうに。何考えてんですか?」
ここは、怒っても良いよね?
「ま、まぁそうじゃが」
「失礼ですが、そもそも教員の寮が空いてないのがわかっているなら、この一月の間にどなたか独り暮らしできる方に事情を話して、引っ越し代等を学園が負担して適当な所に移ってもらい、部屋を空ければ良いだけじゃないですか」
「そ、その通りなんじゃがの。高畑君、なんか良い手はないかの」
「ボクですか。いや、瀬流彦先生の方はどうだい?」
「な。そ、そうですね。確かしずな先生が、女子寮の管理人室が空いてるようなことを言っていたような………」
「いや、瀬流彦先生。女子寮の管理人とか何言ってるんですか」
この人も残念な人だったか………。
「ち、違うよ、サギ君。寮については通いの管理人の人が他の寮と一緒に管理してるんだ。だから、管理人室は使っていないんだよ」
「そうじゃの。確かに管理人室なら空いておったの。どうじゃ、サギ君。やはり学園としてもできる限り関係者には近くにおって欲しいんじゃがの」
むう。学園の方針として言われると断りきれんか。
「………、わかりました。一応確認しますが使い魔の猫は同居可能なんですよね」
「ふぉ。サギ君は使い魔を持っておるのか」
「………、それも書類で申請してあるはずですが」
書類確認してんのか、このぬらりひょん。
「ふぉ? すまん、すまん。確かに書いてあったの。もちろん使い魔と魔法使いは一心同体じゃ、管理人室に一緒に住めばえぇ。じゃが、一般生徒に魔法がばれんようにの」
「そうですね。魔法の秘匿は絶対ですから」
「うむ。わかっとるならそれでえぇわい。後は瀬流彦君に任せるかの」
「はい。お任せ下さい、学園長」
それをきりに瀬流彦先生と共に挨拶をして学園長室を出て行く。
いきなり面倒を任された瀬流彦先生には同情申し上げるが、はっきり言って何もかも学園長の確認ミスにしか思えん。
なお、その日は瀬流彦先生の方で、何の準備もしていないため、生徒に教育実習生として紹介されるのは翌日となった。
授業の合間の空き時間に学園内の建物を案内してくれる瀬流彦先生は良い人だと思った。
後書き
とまあ、こんな感じで、数学教師の教育実習生。担任等は無し。住まいは女子寮の管理人室。で麻帆良での生活が始まりました。
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