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転生者が歩む新たな人生

作者:冬夏春秋
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第14話 日本にて

 
前書き
新たに友達が 

 
 やっと日本に帰って来れた。

 結局、ネカネ従姉さんは気絶したまま、アーニャとネギ兄さんとはあの場で別れたまま、日本へ発った。
 一応、飛行機の時間がという理由はあるけど、スプリングフィールド姓から抜けるのを納得していない2人(ネギ兄さんは無関心なので含まれない)と話すのが面倒だというのが本当だ。

 時は既に8月。世間一般の小学生は夏休みを謳歌している時機だ。

 オレの方はと言うと、中部魔術協会の術者として大忙しである。
 ま、あれだ。
 夏になると怪談が多くなるように、怪異による被害が多くなるのがこの時機だ。
 北に行っては鬼を斬り、南へ行っては魔を封じ、西に行っては霊を鎮め、東に行っては外道師(裏の法から外れた術師のこと)を倒す。
 チームを組んでのことだけど、しんどくて大変だ。
 なにより、事の前後も理解していないのに一方的に「これが正義だ」と決めつけ割り込んできて、引っかき回すだけ引っかき回して去って行く「立派な魔法使い(マギステル・マギ)」には辟易した。



 忍義姉さんは来年大学受験の高校2年生なので、裏の仕事から徐々に手を引いて、元々の役割の海鳴のセカンドオーナーとしてしか動いていない。
 でも本当は、単に2年ぐらい前に発表された宇宙用パワードスーツの解析やミッド式のデバイス、とりわけインテリジェンスデバイスの開発、地球(テラ)式の魔法(いわゆる「ネギま!」の魔法)のミッド式魔法へのエミュレートなどに夢中で、他に労力を使いたくないだけだ。
 まぁ、恭也さんとのおつきあいは別枠なのはご愛敬か。

 すずかは、小学2年生の夏を満喫していると思っていたら、友達と遊ぶのとは別で裏の世界ではっちゃけている。というか、いつの間にかすずかも神鳴流の門下生になっていた。しかも青山鶴子さまの直弟子だ。

 詳しく聞いてみるとオレがイギリスに行ってしまったため、夜の一族の力を思う存分振る舞える相手がいなくなって鬱々としていたらしい。
 そんな折、月村の家にオレの送った符を鶴子さまが受け取りに来て、たまたま会ったすずかの相談にのってくれ、すずかの「化け物の力うんぬん」という話しを「は」とひと笑い、「その程度で化け物なんておこがましい」と鶴子さまが一笑に付したらしい。

 「どれだけ井の中の蛙か教えましょ」と、一対一で模擬戦をして、こてんぱんにすずかが伸された。

 で、「夜の一族の力なんて(鍛えた人間からは)大したこと無い」、という荒療治ですずかの目が覚めた、と。

 その際オレもコレくらいはできる強さはあるということを、鶴子さまがすずかに言ったため、すずかの負けん気がもたげ、そのまま弟子入りしたらしい。

 どうしてこうなった。

 小学校に通いながらの修行なので、「分身符(わけみのふ)」と熱田の魔法球を使って修行をし、魔力はともかく、生命エネルギーが人一倍多い夜の一族のすずかは、分身5体(分身符で同時に作れる分身の数は精神エネルギー「魔力」または生命エネルギー「気」の総量の最大値に依存する)が鶴子さまの分身に直接鍛えられるという修行だったらしい。
 分身符は最長でも10日で解除してしまうので、鶴子さまはすずかが解除する毎に、自分の分身と毎回死闘を繰り広げ、解除ではなく分身を倒すことによって分身を解いたらしい。
 もちろん、鶴子さまの分の分身符は月村から提供され、神鳴流の指南のお礼にそれとは別にもう1枚、つまり計2枚の分身符を毎回ほぼ1週間毎に渡しているそうだ。

 生命エネルギーを気(妖気?)に変換できるようになったすずかは、元々の身体能力も合わさってシャレにならない程強く、速くなった。なお、すずかは刀剣ではなく棒というか棍を使う神鳴流杖術の使い手だ。

 まぁ何度か立ち合ったけど、念能力全開で「堅」「流」「円」を使って戦えばほぼ全勝だ。ほぼというのは、一度だけ満月時に立ち合った時は、念能力全開でもこちらの反応速度を超えた一撃を喰らい惨敗した。ちなみに鶴子さまには満月時でも勝てないらしい。



  ☆  ★  ☆  



 8月16日には、中部魔術協会の若手(オレやすずかも含む)は京都まで行かされた。行って驚いたのは、中部のみならず、関西呪術協会傘下の有望な若手が集められていたことだ。
 で、集まって何をしたかというと、送り火と共に京に集った雑霊が百鬼夜行となるのを皆で退治した。百鬼夜行どころか千鬼夜行だったような気がしたが、毎年行われる若手に経験を積ませるための「百鬼送火(ヒャッキソウカ)」という風物詩(イベント)らしい。

 途中、学生服着た犬耳の少年と共闘し、「百鬼送火」後の大宴会でも会ったのでなんか色々話した。
 話し中、すずかもやって来て3人で話した。
 で、すずかが神鳴流の印可を受ける話しをしたら、「ワイのが強い」とか「女なんて」とか「男は拳で語る」とか言い出した。
 意外と負けん気があるすずかもさすがにカチンと来たらしく、「「決闘だ!」」という話しになった。
 後で聞いたが、すずか達だけではなく周りでも決闘騒ぎは起きており、これも毎年の風物詩らしい。

 結果はすずかの圧勝。

 相手の少年も狗族のハーフで影を媒介に式神を召還(狗神とか言ってた)したり、獣人(狼男?犬男?)化したりして奮戦したが、夜の一族の力で神鳴流杖術を使うすずかには敵わなかった。

 負けたのを潔く認め、謝罪してきたので、すずかもあっさり許し、改めて3人、友達になった。

 もっとも「今度は負けんでぇ」と言ったのはご愛敬か。

 なお、すずかとの戦いを見ていた鶴子さまに気に入られ、「基礎がなってない!!」と神鳴流格闘術を叩き込まれるのは先の話し………。



  ☆  ★  ☆  



 9月になり、リニスが使い魔になって1年も経つ頃、また、京都に呼ばれた。

 今度は、関西呪術協会とは表向き関係ない集まりとして、青山宗家に呼ばれた。

 ぶっちゃけ、反詠春派の中で穏健派と言われる人達の集まりだった。

 帰って良いですか?

 で、何の話しかというとまず、ネギ兄さんの話だった。

 曰く、「関東魔法協会の理事が魔法を使ったごり押しで9歳児の中学校教師を認めさせた」。

 曰く、「魔法使い見習いの卒業試験に一般人の生徒を巻き込むつもりだ」。

 曰く、「前例を作られたら、この先も同じようにいいように一般人を巻き込まされる」。

 うんぬん。



 公的にスプリングフィールド家とは離縁し、こう、わかっていたとはいえ汗顔の至りです。

 文部科学省からも「どーにかしろ」と言って来ているみたいです。
 文部科学省としては、自省の権益?を魔法で真っ向から侵害されてるので当たり前か。
 その辺、わかっているのか、いないのか、関西呪術協会の(おさ)は黙殺したらしいですが。

 魔法で違法するのを取り締まる組織が率先して違法し、それを黙殺するとか何考えてんだか。
 
 で、つまるところ集まった皆さんが何が言いたいかと言えば、「魔法使いの試験として入り込めるなら、丁度良いから麻帆良に入って調査しろ」ということだ。

 紳士協定(笑)により麻帆良の地には関西呪術協会の術者は入れないことになっているが、歴とした魔法使い(見習い)扱いで、オレなら入れるということだ。
 とにかく、今後二度と魔法使いの試験なんかのために一般人を巻き込まれないように、今回の試験の結果うんぬんはもう度外視していいので調査しろ、ということだ。

 なお、文部科学省より調査用の教員資格が調査期間限定で発行されるということらしい。



 断れません………。



 てか、皆さんの苦虫を噛みつぶした顔を見ると、とてもじゃないが「やりたくない」とか言えません。

 ついでに、近衛木乃香さんについても、隠密理に護衛及び調査して欲しいとのこと。

 これは、鶴子さまの妹さんの素子さんという方が夏休みに知り合いの神鳴流剣士の人に会いに行ったときに気付いたらしいけど、「護衛されてるの?」みたいな感じだったらしく、護衛が機能しているか甚だ怪しいらしい。

 なお、詠春殿からは「大丈夫、心配ない」の一点張りらしい。

 で、実際問題として、麻帆良に10年以上も住んでいる少女、しかも裏と関わりないように全て伏せられている少女が、本当に関西呪術協会すなわち日本の裏の世界のトップの組織の次期長としてふさわしいのか、皆心配らしい。

 もっともである。

 が、そんことをオレに振らないで欲しい。

 これには多分に次期長候補を指名しない詠春殿に問題がある。
 木乃香さんを指名するにしろしないにしろ、誰か立てればある程度この問題は緩和するのに。


 ………………。


 あれ? 全部詠春殿が悪くね? 
 

 
後書き
分身符(わけみのふ)」の説明
1枚につき分身体を1体作る。
同時に符を複数使うことによって、複数の分身体を作れる。
同時に作れる分身体の数は、使用者の精神エネルギーまたは生命エネルギーの総量の最大値に依存する。
分身体は最長10日で解除される。
なお、一定以上のダメージを分身体が受けると符自体が破壊され、解除される。
解除時に分身体の精神的経験、肉体的経験を本体が受け継ぐが肉体的な変化(成長や外傷を含む)は引き継がない。
分身体は半自立型で生命エネルギーと精神エネルギーを等分化する。それぞれの最大値は変化しないので、分身体が休むことによって、それぞれ最大値まで回復する。なので、最大値まで回復した分身体はエネルギー量的には本体とまったく同じとなる。

すずか魔改造入りました。 
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