妖刀使いの滅殺者
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第37話
『見つけたよ!裏の小道に一人!キャナーモだって!』
アスナからメールが入ったのは午後だった。俺はレベル上げを切り上げて転移結晶を使い街に戻る
今日で5人目。刻一刻と決戦の日が近づいている
「ここか・・・」
俺は裏道に着き、キャナーモを探した
すると、小さな子供が短剣を二本もって構えていた
「?きみつよい!」
「・・・は?」
いきなり話しかけられるのはわかっていたが、いきなりつよい!と言われるとは思っていなかった
「んじゃ!さっそくやろー!」
せっかちな子だ。言い終わる前に突撃してきやがった
短剣を交互に振り、俺の喉元を的確に狙ってくる。俺の見解だとこいつは暗殺に長けている
「俺も行くぜ!!」
黒印で短剣をはじき、突きを放つ。体制を崩していたキャナーモに黒印は突き刺さる。しかし芯を捕えることはできなかったようだ。一瞬の間にキャナーモは俺の射程から外れ、様子をうかがった
「うう~ん。これでいけるかな?」
短剣が左右違う輝きを放つ。片方はまっすぐに突き出されて、もう片方は横に添えられている
俺が目視できたのはそこまで
気がつくと俺は地面に大の字で寝ていた
「・・・!?」
何が起きたのか理解できなかった。あわてて体力を見ると、あまり変動はしていない、つまり、俺をこけさせるワザなのだろう
しかし
「くらえ!」
俺の頭上には輝く右手の短剣。勢いよく振り下ろされたが、寝返りでなんとかよける
「ちぇッ!当たると思ったのに・・・」
「そう簡単に喰らうかよ!」
俺は黒印を構え≪風雅・散≫を打ち出した。飛ぶ斬撃に対処が遅れたキャナーモはその攻撃をもろに喰らった
「まだまだぁ!!」
強く地をけって駆け寄り≪氷雷・風≫でバツ字を決め込む。その攻撃を防ごうと短剣でガードしてきたが、はじかれて、俺の斬撃は決まる
しかし、キャナーモの表情は一切変わることなく、むしろ落ち着いていた
「・・・今の技もらうよ!」
刹那―――
≪氷雷・風≫が使われた
そう。俺でなくキャナーモが使ったのだ。いきなりのことで俺は気が動転し、オーバーな動きで避けるしかなかった
「ッ!?」
「おどろいた?僕、人のマネ上手なんだよ?」
その言葉はウソではないようだ。短剣が再び輝き、今度は≪風雅・散≫が繰り出された
普段俺が多様するスキルだけあって対処はできるが、改めて自分で受けてみると、かなりきつい
「チッ!これなら・・・!」
スキルを使わずに殺陣を舞う。しかし、キャナーモは再び俺の≪氷雷・風≫を使った。当然俺の殺陣は打ち負けて直撃する
「・・・やべぇ、かな」
今のところ互いの体力はイエロー。しかしキャナーモの体力よりも俺の体力の方が少ない
「なら!!」
黒印をしまう
そう、素手での戦闘に切り替えた
「オラァァア!」
両の拳をラッシュする。突然戦闘方法を切り替えたことでキャナーモは対応が遅れ、俺の拳はクリティカル判定をだして決まった
そして、そのまま黒印を再び取り出し、即効で≪天地・下≫を発動して大きく上下に切り裂いた
「いててて・・・やっぱりつよいじゃん!でもぼくもまけないぞ!!」
奥義、か・・・
俺はどんな奥義がくるのかと身構えた
しかし、いつまでたっても攻撃は来ない。不審に思ったその時、キャナーモが短剣をしまい、ゆっくりと歩み寄ってきた
「・・・?」
「やっぱ、かてなさそう。きみのかちでいいよ!」
無邪気に微笑むが、後ろに回された手から邪気を感じた
刹那――・・・
「う、そ♪」
目の前に短剣が見えたと同時に俺はしゃがみ、黒印を振り上げて短剣を吹き飛ばす
「・・・あぁーあ。ばれちゃった?」
「あっぶねぇな・・・。けどまぁ、俺の勝ちだな?」
「うん!ぼくのあんさつじゅつ、つうようしなかったかぁぁ」
本気で冷や汗をかいた。キャナーモの暗殺技術、胴体視力は半端じゃない。一瞬でも気を抜けば負けていただろう
キャナーモは手を差し出してきて神器をくれる
≪神の衣≫身につければありとあらゆる攻撃を回避する絶対回避の防具だ
「んじゃ!がんばって!」
そう言って消えていっく姿を俺は眺めていた
――――残り二人。なんとしても勝てやる!!
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