妖刀使いの滅殺者
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第36話
またまた翌日。昨日はサチとレストランで夕ご飯を食べ、家に帰った
今日は朝早くからキリトが情報をつかんだ様子
『見つけた…がやっかいだぞ。2人組だ。しかもタッグを要求してる』
つまり、二対二のタッグバトルをお望みだ。ペアを探さなければ
キリトを誘おうかと思ったが、新婚の邪魔はしたくない。俺はしばらく考え、あの髭武者を誘うことにした
「クライン、でいいか」
キーボードを叩き、クラインにメールを送る
すると、直ぐに返事が来た
『OK任せろ!!』
よし、行くか!
俺はサチに用件を伝え、家を飛び出す
キリトにおしえてもらった位置に着くと、すでにクラインが待っていた
「よぉ、早いな…」
「いや、ついさっきまでそこのカフェにいたんだぜ。だからこんくれーよゆーよゆー」
2人で、2人組の元に向かった。そこにいたのは、ポニーテールを交互にゆらす双子だった
「…あいつらか?」
「だな…」
おそるそる声をかけた。すると案の定その2人組が今回のターゲットだった
「あなた達、つよーい?」
「あたしたちよりつよーい?」
「あったりめぇダ!師匠はこの世界一の強者だぜ!」
クライン、おだてすぎだ。俺は別に最強じゃぁない
すると、俺の目の前にクエスト受託画面が表示された。なんの迷いもなくYESを押す。と
「わたしマミ!」
「あたしマリ!」
「2人そろって、双曲の双子!」
「2人そろって、双曲の双子!」
くるんと回って決めポーズ!!・・・・・じゃなくて。2人は腰から短剣を取り出して構えた。俺とクラインもそれにならって刀を抜く
「俺はレイ」
「おれは」
強く地面を蹴って一気に宙に浮く。クラインの自己紹介など聞かなくても問題はないからな
そして上空から垂直に黒印を振り下ろし双子のマミ…?を斬る。しかし、振り上げられた短剣に防がれる。そして、一瞬空中で動きが止まった俺の体に、マリ…?の短剣が突き刺さる
「ッ!?速ぇな」
「おい師匠!俺の自己紹介!」
いらんと一喝して、再び斬りかかる。今度は黒印を下から思いっきり振り上げるがそれも防がれた。しかし、二度も同じミスはしない。再び突き刺さる短剣を避け、黒印を横薙ぎに払う。マリ…?の体を一閃しながら体力バーを減らす
そこにクラインの刀も加わる。豪快な突きが俺の背後から繰り出される。マミ…?は俺が死角となってクラインの突きをかわせなかった
「ちっ!お兄ちゃん達やるねぇ。ね、マミ」
「強いかもね、マリ」
あ、双子の名前逆だった
マリの短剣が輝きだす。それに示し合わせたかのようにマミの短剣も光る。しかし2人の輝きは違う、おそらく違うソードスキルを合わせた技なのだろう
俺とクラインはお互いに一歩寄り、攻撃に備えた
「…クライン、来るぞ」
「わーってる」
と言ったその刹那、マミの姿が消えた。俺とクラインはその一瞬に気を取られマリから視線を外してしまった
それがマリの作戦だった
目線を戻すと目と鼻の先に短剣を構えるマリの姿が、その時、クラインは俺の方に視線が行っていたが背後にはマミの姿が
「んなッ!?」
「やべぇ!?」
短剣のスキルとは言え、ダメージは決して無視できない。俺とクラインは無様にもスキルをもろに受け、体力を減らす
硬直が生まれたマリに俺は≪氷雷・風≫を放ち、距離を取る。クラインもまた然り
「…やっぱタッグにゃむかねぇな、俺」
「師匠は好きに動けよ。俺がカバーする」
小さくうなずき右に体を回転させながら大振りに黒印をふるう。しかししゃがんだ2人に斬撃は当たらず素振りになった。そして隙のある俺の背中に短剣が突き刺さるか否かのその瀬戸際にクラインの刀が割り込み、短剣を弾き飛ばす
「さんきゅ!」
≪天地・下≫で上下に大きく素早く切り裂く。短剣に一撃目は防がれたが二発目はヒットした。しかもクリティカル判定が出る。マミはクラインが何とか抑えてくれているが俺もそちらに参戦する
「クライン!スイッチ!」
「マリ!スイッチ!」
俺とマミが同時に叫んだが、普段から息ぴったりの2人の方が若干速かった。俺がスイッチし終えた時にはすでにマミがスキルを発動しだしていた
しかし、俺らだってだてに仲が良い訳じゃない。俺が黒印の柄を突き出す事を予測していたクラインは事前に一歩下がり、次に動きに備えていた
マミのスキルが黒印の柄に当たる。≪明鏡止水・歪≫が炸裂した。素早い斬撃は射程にいたマリまでをも巻き込みながらダメージを与える
「クライン!!」
「オウよ!」
クラインは最大までチャージした≪居合≫を放つ。≪居合≫は俺の持つ≪居合・真≫と殆ど効力は一緒だが、刀スキルだとチャージが必要になる厄介ものだ
一閃が双子をえぐる
「いった~い!」
「いた~い!」
幼い少女の声にまさかまさかのクラインの動きが止まる
「をい!なにしてんだクライン!!」
「え?あ!?何でもない!!」
嘘つけ!!と言いたい気持ちをぐっっっっっっとこらえ、戦闘に集中する
マミは短剣を再び輝かせながら高速ステップで接近してきた。≪風雅・散≫で狙い撃つがあまりの素早さに当たらない。そして、限界まで近づいてきたマミは短剣を回転させながらモーションに沿った綺麗な動きで俺を襲う
咄嗟に黒印で防いだものの、衝撃が重い。ノックバックを喰らい、のけ反る。それを好機と見たマリは短剣を投げつけてくる
しかしクラインがそれをはたき落とす
「…お譲ちゃんは俺とバトルだ」
???クラインさん?
「さぁ、かかっておいで…」
なにがあった!?まさか、ロリに目覚めてしまったのか!?
しかもマリも若干引き気味だ
「…クライン。デュエルは真面目にな」
「分かっているとも!!」
そう言ってクラインは駈け出す
俺は見るも無残なその姿から目を逸らしてマミに目を戻す
「ちょ!マリィ!」
助太刀に入ろうとするマミの行く手を黒印で塞ぐ
「お前は俺と、だな」
「くそ~。えい!」
短剣スキル上位≪トルネド≫。真っすぐに突き出されるその短剣を俺は紙一重でかわし、黒印を叩き込む。そして体をうねらせながら再び斬りおろす
と、遂に体力バーが数ドットになった
「く~~!マリ!!」
「うん!マミ!」
2人が合流する。よく見るとマリも残り数ドットだ
事前にクラインにはこのことを話してあるので今は一旦見逃す
「もー怒った!」
「あたしたちの必殺、受けてみなさい!」
2人は手を合わせ、短剣を地面に突き立てる。すると、合わせた手が強烈な輝きを放つ
頬を冷や汗が流れる
「こりゃ、避けた方がよさそうだ…」
しかし、ここに一人の勇者、いや、神が降臨した
「…俺がうけよう」
「はぁ!?なに言ってんだ!負ける気かよ!」
「俺が負けてもお前は勝てるだろ?あと俺はマリちゃんと一緒に終わりたいんだ――」
だめだコイツ。俺は素直にクラインに出番を譲った(盾にした。とも言う)
「マミマリひっさーつ!」
「ツイン・トラスト・デフリト!!」
破壊光線にも似たその攻撃をクラインが満足げな表情で受け止めた
もちろん、クラインの体力は一になったが…
「負けちゃったかぁ…」
「くやしいなぁ。ロリコンお兄ちゃんに防がれるなんて」
「ロリコンじゃねぇ!」
は?クラインよ、今更手遅れだぞ?さっきの戦いを見ていた一般の人は今頃、お前がロリコンだと情報を流しているに違いない
「でも、まぁ負けちゃったからこれあげる」
「あなたにはあげない。お兄ちゃんが使ってね?」
≪神速の指輪≫×2その指輪は風を追い抜き、光と共に走るちからを得る
らしい。s級だから他人には上げられない。サチは結婚しているので例外だが…
つまり
「…クライン。お前には何もなしってことだ」
「んなにぃ!?なんかおごれぇ!師匠!!」
はぁ――…しかたない、功労賞でなにか奢るとしようかね
俺は屋台で焼き鳥(?)を買ってクラインに放り投げ、「帰る」と言って自宅へと姿を消した
道中、背後から「マリちゃぁん」となく声が聴こえたのは気のせいだろう…
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