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吾輩は猫である

作者:古々
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無印
  吾輩、悲しみを知る


衝撃的な夜も過ぎ、吾輩はみんなと大広間で飯を喰っている。


「そういえば、お風呂入ってなかったのにクロの毛並みが昨日よりよくなってない?」
「本当だ」
「ユーノ君あ~ん」
「きゅ~」


昨日いいものを喰べましたので。それにしてもさすがアリサ嬢とすずか嬢だ、見ただけで分かるなんていい目をしてる。
あと、なのは嬢、吾輩にもかまってください。寂しいです。


「クロは逞しいからな、川にでも行って洗ったんじゃないか?」
「いい意味で野生的だよなクロって、でもその食欲はどうにかならいのか?」


さすが士郎さんいいこと言いますね。でも、そのニヒル顔はやめてください。某エミヤを彷彿させます。
恭弥よ、吾輩の腹は腹ペコ王の胃袋を超えてるんだぞ? この程度じゃ物足りんわ!


「うおっ! 食う早さが増しただと!」
「うわぁ……お櫃の中身がものすごい早さでなくなっていきます」
「ちょっ、私の焼き魚ーーーー!」
「きゅーーー!!!」
「ユーノ君!? クロそれご飯じゃないよ!?」


ハムハムハムハムハムハムハムハムハムハムハムハムハムハムハム。


「ゲプッ」
「……oh」
「私の、私の朝食が……orz」
「ユーノ君しっかり! 傷はまだ浅いの!」
「きゅ、きゅ~……ガクッ」
「ユーノくぅぅぅぅぅぅぅん!!!」
「地獄絵図ね……」
「そうだねお姉ちゃん……」
「もしかして昨日温泉には入れなかったのを気にしてるのかしら?」


べ、別に気にしてねーし、温泉でラッキースケベできると思ってたりしてねーし。


その後特に何事もなく時間が過ぎ、帰宅の時間になった。


「みんな忘れ物はないかい? ないなら車に乗りなさい」
『はーい』


さざなみ寮の皆にお土産も買ったし、飯も喰った。心残りは温泉に入れなかったことくらいかな? 人型になったら絶対に入りに来てやる……。





「ただいもぁ~」


さざなみ寮に入ったと同時にネコカオスに変身する。


「くぅ……かおす、おかえり……」
「くかぁー……むにゃむにゃ、カオスのド変態~……すぴぃー……zzz」


リビングに入るとそこには油揚げをハムハムしながら寝転がってる久遠とよだれを垂らしながら寝てる残念美少女の美緒がいた。
_(:3 」∠)_ ←ちなみに久遠の体勢はこんな感じだ。
美緒はちょっと女としてどうかと思うような体勢をしている。こいつには女としてのプライドはないのか? パンツ丸見えだし……青の横縞か、ガキめ! てか、随分と面白そうな夢を見てるなおい。


「んぁ? ……げ!? カオス!」
「おやすみ」


吾輩の殺気を感じて起きた美緒に魔力を込めた正拳突きを鳩尾に撃ち込み、もう一度夢の世界に送り返す。


「げふぅ!?」


鳩尾に重い一撃を受けた美緒はソファに沈む。


「美緒ェ……くぅ……かおすどこに行ってたの?」
「とある一家の温泉旅行に同伴してたんだよ」
「お土産は?」
「温泉まんじゅうや温泉卵とか全員分買って来たぞ」
「わーい♪」


やっぱり甘いもの買ってきてよかった。正直温泉旅館でお土産なんてこれくらいしかない、入浴剤やストラップなんて買ってきたら皆にブーイングされるだろうな。
特に、久遠がキツイ。久遠の非難の仕方は無言でこっちをジト目でずっと見てくるなんだよな。
少し前に久遠のいなり寿司を喰ったときは大変だった。一日中こっちをじーっと見てきて落ち着かなかったし、枕の横でなんか気配がするなと思って振り向いたら久遠が無表情でこっちを見てたからな。股間が大洪水になりそうだったよ。そのあと大量のいなり寿司をご馳走してなんとか機嫌を直してもらった。
もう久遠を怒らせないようにしよう。もうあんな目に会いたくない。
ん? どうやら那美と薫がこっちに来たようだ。


「あら、カオス帰ってたの?」
「温泉帰りだぞ~、どうだ? 羨ましいか?」
「この前、さざなみ寮の皆で行ったからそんなに羨ましくはないな」


なん……だと……ッ!?


「しっ! 薫ちゃん、カオスを放置して行ったのは内緒だったでしょ!」
「いや……お前のせいで俺の心がもうボロボロだよ……」


くそぅ……確かに高町家や月村家や八神家に入り浸ってたけど、けどッ! こんなのってあんまりだぁぁぁぁぁぁぁあああ!!


「うぐっ……えぐっ……」
「「「!?」」」


あれ……目から覇王油が……。


「ちょ、ちょっとカオス泣かないでよ」オロオロ
「うっうっう……ズビビビビビビッ!!」
「キャーーー!! なんで私のスカートで鼻かむのよ! うわぁぁぁん!!」


那美が洗面所へ走ってった。復讐はこんくらいで勘弁してやる!


「(◞≼●≻◟ __ ◞≺●≽◟)」ジトー
「……」ダラダラ


薫が俺から目を背け、汗をだらだらと流す。どうだ? 久遠の無言ジト目に死んだ魚のような目を追加したこの威力は!


「つ、伝えずに行ったのは謝るからその目で私を見ないでくれ!」
「かおす……元気出して」


久遠が吾輩の背中を撫でてくれる。癒された。でも、お前さんも共犯者なんだからな?


そのあと久遠を慰められながら耕介さん達の帰りを待った。


「この温泉まんじゅううまいな」
「温泉卵もなかなか美味しそうですよ」
「ハムハム……モキュモキュ……」
「そういやカオス、どうやってこれ買ったの?」


久遠を膝の乗せて温泉まんじゅうを喰べていた那美が問いかけてくる。


「猫のまま土産を売ってるとこに行って、手当たり次第倉庫に詰めた」
「よし、ちょっと首を差し出せ」
「待て薫、とりあえずそのまんじょうを喰ってる途中で無理矢理刀化させた十六夜を戻してから説明しよう。だからお願いします、切らないでください」


素早く薫の足元で土下座に移行する。頭上には赤い霊力を迸らせている十六夜を構えながら、こちらに殺気を飛ばす辻斬りがいる。おい、さっきから十六夜のすすり泣く声が聞こえるんだが。そんなにまんじゅうを喰いたかったのかよ。


「では、説明を聞こうか……」
「お土産を買いたかったのですが今の状態じゃ買えないので、ですが、さすがに盗むのはいけないと思いましたので、金塊をカウンターに置いてきました」


土下座をしながら説明する。


「金塊? なんでそんな物をお前が持ってるんだ?」
「車や電化製品などを喰った時に体内で分離させて濃縮させてました」
「ほほ~、随分と便利な体だな。で、実物はまだあるか?」
「はっは~、どうぞお収めくださいお代官様~」


金塊、銀塊、白金塊など体内で分離させ圧縮した鉱物を倉庫から取り出す。


「こ、これは……」
「うわぁ……」
「今相場はどのくらいかしら?」
「1g4000円だったはずだけど……」


目の前には色とりどりの鉱物が並んでる。大きさや形は整えてないが確実に一つ一つが1kgを超えているだろう。研磨されてないから無骨だがダイヤモンドなんてカリナンより大きい。要するに3106カラット以上だ。まぁ、天然ではないから価値は著しく落ちると思うが。


「ち、ちなみにどれくらいのやつを置いていったんだ?」
「これくらいのを……」


そう言って目の前にある金塊の中で一番近い大きさのに指を向ける。


「oh……」


そこには久遠の頭ほどの金塊があった。


「許しちゃいけないのは分かってるんだけど……なんていうか」
「その旅館の人達、たぶん今狂気乱舞してると思うな……」


土下座中の吾輩には分からないがどうやらみんな戸惑ってるようだ。


「今回は特別に許すから早くその金塊らを閉まってくれ……なんか心に来るものがあるから」
「ありがたき幸せ!」


へそくりを取られると思ったが、そんなんことはなかったようだ。


「少し、収めますか? 具体的には金塊3つほど……」
「いや、やめておこう。貰ったらなんか堕ちそうだ」


アッハイ。


「ふぁ~おはようぉ~……てっ、カオスよくも殴ってくれたな!」
「うっせぇ! 金塊でも喰っとけ!」


起きてそうそう吾輩に突っかかってくる美緒に倉庫から金塊を飛ばし、ぶつける。


「うぎゃぁッ!!」


顔や体を狙うのは素人。プロは足の小指を狙う。


「ぃ……ッ……ぁッ……いたッ……」


自分の足の小指を押させながら床をゴロゴロと転がる。


「美緒、今まんじゅうを食べてるんだから床を転がりまわらないでよ。埃がまっちゃうでしょ」
「そうだぞ」
「納得いかないのだぁぁあぁぁぁぁぁぁあああ!!」


今日もさざなみ寮は平和だ……。

















「そういえば、京都旅行はどうなったのだ?」
「しっ!」


あれ、まんじゅうがしょっぱい。


今回の食事

温泉まんじゅう
温泉卵
さざなみ寮のご飯
 
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