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ガールズ&パンツァー もう一人の転校生

作者:stk
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鹿島女子学園

ドォーン。
ものすごい音が私たちを襲った。
囮である私たちは鹿島女子学園(てき)の狙いを本隊から私たちに向けさせなければならなかった。
『鹿島女子学園。1輌走行不能。』
未来君による撃墜報告。
囮である私たちが本隊より先に攻撃出来たのは良いことだった。
これで敵の主力も私たちを狙って来るであろう。
その間に本隊が回り込んで攻撃すれば勝てる。
・・・ドォーン。
「「「「「!?。」」」」」
私たちは全員驚いてしまった。
何処で撃ち合いが始まったのかは分からない。
そしてどちらが狙われたのかさえ分からない。
今さっきの1輌は私たち同様に囮だったようだ。
それで囮同士が見つかってしまった。
そして予想していなかったのは本隊同士が見つかってしまったこと。
作戦はもう意味がない。
「さやね。急いで本隊と合流して。」
「は、はい。」
みんなが慌てているのがわかった。
車長として落ち着かせるのが大事なのも分かっていた。
しかし私も落ち着けてはいなかった。
それどころか、適切な指示を出しているのかさえ分かっていなかった。
「可笑しくないですか?」
絵里が言った。
私もだんだん違和感を感じてきた。
「梨華。未来君の撃墜報告はあったっけ?」
「そう言えばないよ。と言うことは。」
私もついに分かった。
と言うよりも気付かされた。
絵里はずっと考え事をしている顔をしていた。
その理由はこれだったんだ。
車長の私が見落としていたことに気づくなんてやっぱりすごい。
「これで私たちが合流する必要が無くなりましたね。」
さやねが戦車を反転させてもといたところに引き返そうとしたときに絵里が叫ぶ。
「そこの角に敵が隠れてる。」
わずかな時間で絵里は判断してみんなに知らせていた。
何て言うか私よりも絵里の方が車長に向いているのではないかな。
「梨華。追う?」
さやねが私に投げ掛けてくる。
もちろんここはしっかりと倒しておくべきだと思う。
「さやね。すぐに追って。」
「了解。」
次は
「絵里もすぐに撃てるようにしておいて。」
「はい。」
ここでもう1輌撃墜すればこのあとが楽になるはず。
「梨華。後にも1輌いるよ。」
「えっ。」
後にも1輌でそこの角に1輌。
これって挟まれたんじゃない。
「絵里。先に後のを殺っちゃって。」
「了解です。」
「ジグザグ走行開始。」
私は私があまり好きではないジグザグ走行を指示した。
戦車がジグザグ走行なんて考えにくいでしょ。
「一旦止まってください。」
絵里の頼みで戦車を止めると絵里は敵戦車にしっかりと命中させた。
「急いで発進。隠れている1輌を倒すわよ。」
「「「「はい。」」」」
残りは三輌のはず。
なら行ける。


「はや。前方に敵戦車を発見しました。」
もう見つけちゃったの。
と言うか梨華さんは囮をしているのですよね。
なのになんこんなに早くに私たちが敵と遭遇しているのでしょうか?
まあいいけど。
「みほたちはどうするつもりみたいなのかな。」
私はすぐに無線で聞こうと考えて無線機にてを伸ばした。
私の予想だと全車による一斉攻撃なんだけど。
『武部さん?そっちはどうするつもりなの?』
私の質問にたいして返ってきたのは予想通やりのものだった。
『右側の戦車に向かって一斉砲撃を仕掛けます。』
『教えてくれてありがとう。』
それじゃあこっちは逆側の戦車を狙うとしますか。
ドォーン。
へぇ?
「どうしたの?」
私は慌てていた。
まさか私たちが撃墜されるなんて思っていなかったから。
『大洗女子学園。二両走行不能。』
私たち以外にも撃墜された人がいたみたい。
後は頼んだよ。
梨華、みほ。

「みほりん。レオポンとはやの戦車が行動不能だよ。」
不味いかも。
「武部さんは行動不能になった戦車で怪我人がいないか確認して。」
「大丈夫だって。」
「良かった。でも後三両もいると作戦がたてにくいよ。」
どうしよっかな?
『鹿島女子学園。1輌走行不能。』
えっ。
「西住殿。まだ大狩殿たちが残っています。」
そうだった。
すっかり親友のことを忘れていたよ。
「みほりん。りかりんがこっちに向かってきているよ。」
梨華は相手の後に回り込むからそのうちに1輌撃破しないと。
「華さん。さっきと同じ戦車を狙って撃ってください。」
「はい。」
華さんが微調整をしてから引き金を引いた。
華さんが撃った砲弾は綺麗に相手戦車まで飛んでいった。
ドォーン。
今日で一番大きな爆発音に聞こえた。
「やりました。」
すると隣からドォーン。
と大きな音がたった。
『鹿島女子学園。大洗女子学園。1輌走行不能。』
「おい。相手が逃げていくぞ。」
私はすぐに砲塔から身体を出して確認をした。
すると角を曲がっていく姿が見えた。
私は安心して中に戻った。
「追うか?」
「ううん。大丈夫。もう終わるはずだから。」
みほ以外の誰もが分かっていないようだった。
ドォーン。
『最後の1輌を撃破しました。』
裕香さんからの報告の直後に未来君による勝利宣言が告げられた。


「一同。礼。」
「「「ありがとうございました。」」」
私たちは一位で予選を通過した。
まだまだ練習しなければいけないけど今はみんなで予選トーナメント優勝を喜びあいたい。
それが今の気持ちだから。 
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