転生者拾いました。
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蒼風の谷
騎士ミラー
前書き
前回カズヤが夕食から戻ってバタンキューになった原因は情報屋の意識に介入して精神力を大幅に削ったためです。
それと白光教会って元々はアドリブだったのです。
ただ森の中を歩くだけなのもつまらないですし。
S級フィールド「蒼風の谷」。ここはこの先にある海からの強風が吹き抜け、あまり高い木は無く背の低い灌木が一面に生い茂り視界は良好だ。
だが侮ることなかれ、一見何もないように見えて灌木の影に隠れているトカゲ系のモンスターがかなり危険なんだ。ワニのようにかみつかれ強靭な牙からはジワジワくる毒が分泌される。一度捕まったら逃げることはかなわない。仮に逃げられても毒で倒れ追ってきたモンスターに捕食される。ついでにこのフィールドは風がとてつもなく強い。
そんな中を満腹状態で歩く。苦しい以外になにもない。
「目的地は向こうの窪みの中だ……。」
「大丈夫?カズヤ。」
「御加減が優れませんか?」
「……誰のせいだと……。」
満腹で眩暈が……。強風が吹きぬけているし吹き飛ばされそうだ。
「あ、見えたよ。」
やっと窪地の淵に着いた。そこには霧の森同様巨石が立っていた。そして情報通り『奴ら』がいる。
「今度こそ、連中を全員捕縛する。」
「援護は任せてください。」
「じゃあ、私はカズヤの隣で戦う。」
「な、カズヤ様の隣で戦うのはこのあたくしですわ!」
「まあまあ。」
こんなところで争われては計画が台無しだ。ついでにオレの腕を引っ張らないでくれ。
とりあえず放してもらって剣を抜く。
同時にセリナも剣を抜き、エリザがヴェルテを呼び出す。
「それじゃ、行くとしますか。」
腹を無理矢理落ち着かせ、剣を持ってない左手に魔力を収束させる。
「Flamme・Magier!Flamme・Pfeil(焔の矢)!」
「Donner・Magier!Donner・Pfeil(雷の矢)!」
「Licht・Magier!Licht・Pfeil(光の矢)!」
各々お手から放たれた無数の魔法の矢が巨石に群がる白光教会の人間に殺到する。
魔法の飛来に気付いた信者の一部は自身を覆う楯を展開、残りは攻撃魔法の準備に入った。
お陰で四割方無力化出来た。
「そう簡単にはいかないか。オレが斬り込む、援護を。」
「了解です!」
「わ、私もするんだから!」
淵から飛び降り底へと続く斜面をスキーの如き機動でかける。オレは左右にステップを踏みながら飛んで来る魔法弾を回避し、連中に肉薄する。
「一撃で終わらせる!Dunkelheit・Magier!Dunkelheit・Welle(闇の波動)!」
魔法剣に俺の闇の魔力を纏わせフルスイング。すると剣閃が魔力を持ち、射線上の敵を薙ぎ払う。
「ぐあぁああぁ!!??」
「次ィ!!」
再度剣を構え目標を見据えるが、ここで邪魔が入った。
「久しぶりだな、死神!」
「またお前か!」
「私は『お前』ではない!」
「じゃあなんだ?」
「騎士ミラー。ゴルデ・ミラー、君の存在に心奪われた男だ!」
「はぁ!?」
鍔迫り合いの状態から一旦離れ相手―――騎士ミラーを見やる。整った顔でイケメンと言われても差支えがなさそうで背も高い。おまけに身の丈もある剣を軽々と。
「お前、まさか、男色家か!」
「はっきり言わないでほしいな。だが、その通りだ。」
「うわぁ……。」
また面倒な奴だ。ただの剣士ならよかったもののオレに執着する男色家とか。
「お前、そうだな。うん、コロス。」
「なにを!この運命の再会でなにを言うか!いや、言わない!」
「……面倒くせぇ……。」
ご丁寧に反語までしてくれたよ。
興が逸れたがオレは剣を構え直す。切っ先を変態騎士に向け、相手の出方をみる。
「さあ始めよう。私と死神のワルツを!」
「……斬る。」
後書き
すみません。公開時間の設定をミスってしまいました。
以後気をつけます。
ワルツの時間は早くすぎる
姫は愛を求め、怒りを持つ
次回 片身
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