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IS学園のとある一室。
鏡也
「スー…スー……」
ここに一人の男子が寝静まっていた。
彼の名前は“近衛鏡也”といい、外見からよく間違われるが男である。
遅くまで何らかの作業をやってたのか、机の上には起動したままのパソコンが、部屋には設計図やメモ用紙、工具などが散らばっており、当の本人は普段着の姿でベットに倒れる形で寝静まっている。
[ジリリリリッ!!]
鏡也
「ん…」
[ジリリr―[バンッ]n……]
鏡也
「…もう、朝……?」
常にセットされたままになっている目覚まし時計を止め、僅かながら意識を取り戻す。
鏡也
「(えっと、今日は整備室の当番だっけ? でもそれは午後からだから午前中は何も無かったかな………?)」
眠いながらも予定を思い出そうとする鏡也。
彼が思い出した通りの予定ならば午前中は何も無いのだろう。
因みに今日は日曜日で通常授業は休みなのだが、彼の通う整備科は放課後や休日に整備室の当番をする決まりがあるのだ。
2~3年混合で10名程がそれぞれの配置につき、ISの整備や武装管理、訓練室の受付などを時間交代で行っている。
また、緊急を要する事態が起きた場合、整備科生全員に召集がかかるようになっており、特例を除いた者以外は即座に指定されたポイントへ集まるようになっているのだ。
もっとも、大半の整備科生は整備室かオラクルに籠っているので非常召集に遅れる者はまずいない。
鏡也
「(春の日差しが気持ちいいな……当番までまだまだ時間もあるし、二度寝しよ…)」
そう考えると、布団を被り夢の世界に旅立とうとするのだった……
が――
鏡也
「っ!?」
≪保有スキル【心眼(偽):B】が発動しました≫
[バンッ!!]
ケイン
「グッドモーニィィィング、キョーヤーーーー!!!」
自身の
アンテナが殺気を感知した瞬間、壊れるんじゃないかと思うくらい強く開かれた扉から顔見知りの男子が
扉を蹴破った姿勢で突っ込んできた。
鏡也
「甘いわケイン!!」
[ひらり]
ケイン
「クソッ!!」
咄嗟にベットから飛びのき、
襲撃者の跳び蹴りを避けた鏡也。
鏡也
「んでもって、吹っ飛べぇぇええええっ!!!」
ケイン
「ウギャッ!?」
ケインもすぐに鏡也からの仕返しが来るとわかっていたが、生憎着地地点が悪く、体制を整える前にドロップキックを受け、セリフ通り壁へと吹き飛ばされるのだった。
ケイン
「あいたたっ…、相変わらず反則的な察知能力だなその
妖怪レーダー」
鏡也
「フハハ、何とでも言うがいいs――」
関西弁の男子
「からのエルボーアタックや!」
鏡也
「喰らうかって~のっ!!」
[ゴウッ!!]
背後からの奇襲を身体を捻ることで避け、そしてその勢いのまま新たに現れた人物へ回し蹴りを放つのだが――、
関西弁の男子
「ハッ!」
三戦
関西弁の男子
「呼っ!!!」
“三戦”、それは空手道に古くから伝わる守りの型!!
呼吸のコントロールによって完成されるこの型は、完全になされた時にはあらゆる打撃に耐えると言われる。
鏡也
「ちっ…防がれたか」
関西弁の男子
「…そんでもってあんさんの動きは制限されたで」
鏡也
「っ!?」
[ゆらり…]
ケイン
「ククク、チャーンス♪」
関西弁の男子の言葉をかわぎりに背後からの気配を察するが時は既にお寿s―――時は既に遅し
鏡也
「しまっ!?」
[ガシッ]
関西弁の男子
「逃がさへんでぇ…」
ターゲットを逃がさぬよう、自身の腹筋に当てられた片足をしっかりと押さえこむ関西弁の男子。
ケイン
「喰らえキョーヤ!! 積年の恨みぃぃぃぃいいいっ!!!」
[ゴウッ!!!]
いつの間にか手にした獲物を
鏡也に目がけ振りおろす。
鏡也
「くっ!?」
死角からの攻撃に対して回避不可能と判断し、身構える鏡也。
そしてソレは鏡也の頭上へと迫り……、
[ピコンッ♪]
大変可愛らしい音を鳴らすのでした♪
関西弁の男子
「ぶはははっwww」
ケイン
「やり~三段構え成功ww」
関西弁の男子&ケイン
「「イェーイwww」」
[[パーンッ!!!]]
鏡也
「く、屈辱だ…。ハリセンで叩かれるなら兎も角、ピ○ハンで小突かれるだなんて……」
予想外の精神的攻撃に思わずorz状態で打ち惹かれる鏡也。
ダメージを覚悟して身構えたというのにまさかの
玩具の小槌で軽く小突かれる始末。
そして何よりも爆笑してながらハイタッチを交わしている眼の前の実行犯が物凄く憎い。
ケイン
「なぁなぁキョーヤ。今どんな気持ち? 今どんな気持ち~?」
しゃがんで覗き込むようにしてそう訪ねるケイン。
顔は完全ににやけており、あからさまにこっちの心情をわかっているその態度に鏡也以外の誰がやられてもこう思うだろう。
鏡也
「(うぜぇ……)」
関西弁の男子
「因果応報。やったらやり返されるんやで鏡也先輩♪」
未だにorz状態の鏡也を見下すようにそう告げる関西弁の男子。
そのとき、鏡也の中でプツンっと何かが切れた。
鏡也
「そうか…」
なら、やり返してもいいんだな?
ケイン&関西弁の男子
「「ハッ!! かかってこいやぁぁあああ!!!」」
―――
――
―
物静かな男子
「…ズズッ」
小柄な男子
「か、和輝先輩。お茶のお代り要りますか?」
物静かな男子⇒和輝
「ああ、頂こう」
小柄な男子
「はい! [ドスンッ! バコンッ!] っ!?」
『ブラッディダガー!!』
『なんのこれしき!』
『そんな攻撃、ワイには効かへんで!』
『ちぃっ…』
『
蛇咬!!』
『ファルコン、パーンチッ!!』
『フハハハ、どんなに強くてもあたらなくてはどうともない!!』
『龍・鉄・拳!!』
『あたるか!!』
『喰らえ、サイリウム・セーバー!』
『ちょっと待て! んなもん人の部屋で振り回して血糊が飛び散ったr―』
[パリーンッ]
『あ……』
『あ……』
『………』
『…あの、キョーヤ?』
『……
約束された』
[カァァァアア!!!]
『黄金の輝きやと!?』
『やばいっ!!』
『
勝利の剣ァァァァアアアアアッ!!!!!』
『ちょっまt――ケイン先輩ガード!――ギャァアアアア!!??』
[ドカン ガラガラ カッシャーン ニャーン]
和輝
「…フー、やれやれ毎度ながら騒がしいな」
小柄の男子
「あわわ、止めなくて大丈夫ですか?」
和輝
「…大丈夫だろう。そのうち“あいつ”が止めに入る」
『じゃあかしぃぃいい!!! 朝っぱらからケンカしてんじゃねぇええ!!』
[ガンッ!!]
[ガンッ!!]
[ガンッ!!]
『『『イッテェェエエエエエエ!!!』』』
和輝
「…ほらな?」
小柄の男子
「ア、アハハハ…」
―――
――
―
鏡也
「痛って~、まだ頭がガンガンする…」
関西弁の男子
「ホンマ、えらいめにあったわ~」
ケイン
「それはこっちのセリフだ! てかさっきはよくも人の事を盾にしたなっ!!」
フライパンによる打撃攻撃の悶絶に苦しむこと数分、俺たちは部屋を出て食堂に向かって歩いているところだ。
一緒に歩いている怒り心頭のやつが、俺と同期の“ケイン・バスカーク”。
明るく親しみやすい(あるいはイジリやすい)性格で交友関係は結構広い。
バイクが好きらしく、部屋にはその手の雑誌がいくつも置かれている。
関西弁の男子
「はて、なんのことやったかの~?」
ケイン
「テメ~」
こっちの関西弁で喋っている男は“黄瀬大賀”。
大阪出身の1つ下の後輩だ。
両親が大の阪神ファンでこの名を付けたらしく、本人もいたく気に入ってるとのことだ。
鏡也
「…だいたいな、俺が何をした?」
関西弁の男子⇒大賀
「自分の胸に聞いてみい」
鏡也
「?」
言われたとおり胸に手を当てて考えてみる。
[ポクポクポク………チーンッ!!]
鏡也
「…ダメだ全く思い当たらない」
ケイン&大河
「「ダウトッ!!!」」
おおう、声を揃えて叫ぶなって、頭に響くだろうが……。
ケイン
「てめえ、この間のこと忘れたとは言わせないぞ!」
大賀
「そうやそうや! あんさんのせいでえらい目にあったんやからな!!」
鏡也
「この間?」
はて、なんのことだろう?
ケイン
「人のメシにタバ○コ大量にかけがって!! しかも慌てて水飲んだらバルサミコ酢が混ざっててるし…」
クハハ、あれのことか♪
鏡也
「いや~面白いくらいに引っ掛かったなアレは」
ケイン
「笑い事じゃねぇよ!!」
鏡也
「なんだ。まだあのことを根に持ってたのか? あれはお前が俺のことを虚に売った仕返しだ」
詳しくは“第08話「上級生からの贈物」”のオマケを読んでくれ!
ケイン
「くっ、
影の支配者に勝てるわけないだろう!!」
うん、その気持ちは俺にもわかるよ。長い付き合いだもん。
だがなケイン…。
鏡也
「頑張れよ! 頑張って生贄になってくれよ!!」
ケイン
「ふ ざ け ん な !」
もう、わがままんだから~
ケイン
「おい、なんだその“我儘だな~”みたいな顔は…」
鏡也
「え? まさにその通りだけど?」
ケイン
「ガァァァァァアアアアッ!!!!」
大賀
「ちょいまち、それだとワイは巻き込まれたんかいっ!?」
鏡也
「そうだな」
大賀
「そうだなって――」
鏡也
「本命が成功するとは限らない。第二第三のプランを精密に用意してこそプロだ(キリッ」
大賀
「何が“キリッ”やアホんだら!! あの
激甘緑茶、死ぬかと思うたわ!!」
鏡也
「え~あれいけるじゃん」
大賀・ケイン
「「いや、それはおかしい(ビシッ」」
なんだよその「あ、こいつダメだ」みたいな表情は…、イケるぞ
リンディ茶。
和輝
「…毎度のことだが朝から騒々しいぞお前ら」
小柄な男子
「凄い音が聞こえましたけど大丈夫ですか?」
おっと、どうやらいつの間にか食堂に着いたみたいだ。
椅子に腰かけて新聞を読みながら声をかけたのは“水瀬和輝”。
2年前に男子特別優良枠で入学した最後の一人だ。
合気道を得意とし、週に何度か合気道部に顔を出していている。
“雰囲気が何となく寡黙なお父さんみたい”とは女子の談だ。
その隣にいる小柄の男子は今年入学した中国出身の
李 小璘。
細身でたいへん可愛らしい顔立ちをしており、少しおどおどしたところが凄くいいと同期や1つ下の後輩たちの間で騒がれている。
すでに一部の女子が“薄い本”の制作に取り掛かっているらしい。
鏡也
「おはよう、和輝、シャオ」
ケイン
「オッハー、二人とも」
大賀
「おはようさん」
和輝
「…ああ(ペラッ」
小柄の男子→小璘
「おはようございます (ペコッ」
さてここで、今俺たちが居る場所について紹介しよう。
ここ、IS学園“男子寮”は2年前に建設した寮で、男子は“特例を除き”ここで暮らす決まりになっている。
女子寮や食堂から大分離れた位置にあり、1階には風呂場や食堂、事務室に少し広めの談話室が、2階からはそれぞれの個室とトイレが設けられている。
あと、食事の準備は当番制で受け持っているのだが…何せ研究バカが多い為に食事を忘れることがざらにあって、当番制がほとんど機能しておらず、ここ最近は2年の後輩がずっと受け持っているのだ。
鏡也
「というわけで今日の朝御飯はな~に“お母さん”♪」
あいつと呼ばれた男性⇒お母さん(仮)
「誰が“母さん”ですか先輩!? っておい作者!! 何で俺の名前が“お母さん(仮)”になっているんだ!!??」
作者
「だって君の名前決まってな――」
お母さん(仮)
「嘘つけ!! 設定資料集に俺の名前が載っていたのを知ってるんだぞ!」
作者
「…チッ」
お母さん(仮)
「舌打ちしやがったっ!?」
小琳
「どこに向かって話してるんです?」
お母さん(仮)
「ああいや、なんでもないよシャオ…ってそこ、摘み食いすんな!!(ブンッ」
≪“お母さん(仮)”の投げる攻撃 おたま≫
[ゴンッ!!]
大賀
「アダッ!?」
≪“大賀”は頭部で防御した≫
≪頭部に25のダメージ≫
メダロットか、懐かしいな……
お母さん(仮)
「たくっ、油断するとすぐこれだ。おい大賀、あと少しで出来るからご飯よそえ(何だ今のテロップ…?)」
大賀
「えぇ~ーー」
お母さん(仮)
「やれ」
大賀
「了解や、任しとき!!」
お母さん(仮)
「はいはい、他の人も突っ立ってないで手伝って下さい!」
全員
『は~い』
こんな感じで俺たち男子寮の一日は始まる。
END
【オマケ】
全員
『いただきま~す』
お母さん(仮)
「はい、めしあがれって何でお前がここにいるんだ楯無!?」
楯無
「お母さんの手料理を食べにに決まってるじゃない(キリッ」
お母さん(仮)
「何が“キリッ”だコラ、だいたい――」
虚
「あら、この漬物美味しいわね」
お母さん(仮)
「って虚先輩もかいっ!?(ビシッ!!」
シャノン
「いや~、いつ食べてもお母さんのご飯は美味しいわね(モグモグ」
部下A
「本当ですよね~♪(モグモグ」
薫子
「女の子としての自信無くすわ~…(モグモグ」
お母さん(仮)
「いつの間にかさらに増えてる!!??」
大賀
「御代りやオカン」
お母さん(仮)
「誰がオカンだっ!!(パシィッ」←そう言いつつもお椀を受け取る
全員
『お母さん、御代り~』
お母さん(仮)
「自分でやれよっ!!??」
小琳
「お、お母さん。手伝うよ…」
お母さん(仮)
「ありがとな、でもお母さんやめろシャオ」
和輝
「………(ペラッ」
お母さん(仮)
「そんでもって、食事の時は新聞を読むのを止めてください和輝先輩!」
和輝
「まってくれ、母さん。せめてあと今日の星座占いとご○ちゃんの四コマだけ読ませてくれ」
全員
『(読んでるところそこなんだ…)』
お母さん(仮)
「ダメです。読むならご飯を食べ終わってからにしてください」
和輝
「むぅ……」
全員
『(そういうところが、母親呼ばわりされる原因だって気付かないのかな…)』
コメント
彼が居ると楽が出来ていいわ By虚
ボケに回れて楽しいです Byケイン
ふざけるなぁあああ!! Byお母さん(笑)
【没ネタ】
大賀
「自分の胸に手あてて考えてみい」
鏡也
「?……バスト[ピー]cm」
[スパンッ!!]
大賀
「誰がスリーサイズ言えと言うた!?」
鏡也
「因みに下は[ピー]cmと[ピー]cmだ(キリッ!!」
大賀
「聞いとらんわ! てかスタイルええなあんさん!?」
ケイン
「何か特別な事でもやってるのか?」
鏡也
「いや? 普通に毎日三食+おやつに甘い物食って軽く運動してるだけだぞ」
大賀&ケイン
「「いやいやおかしいって」」
―――
――
―
[ゴゴゴッ……]
楯無
「何故かしら…今女としてのプライドを酷く傷つけられた気がするわ…」
虚
「私もですお嬢様」
薫子
「私もよたっちゃん」
シャノン
「私も」
部下A
「私もです」
小璘
「(ヒィィィッ……) (ガタガタッ」
和輝
「(触らぬ女心に祟りなし……) (ズズッ」