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100年後の管理局

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第二十六話 最後、全力

 
前書き
遅くなって本当に申し訳ありません!!

楽しみに待ってくださっている方!もしいらっしゃるのならお待たせしました!

誠也全力を振り絞るの回です。 

 
『甘イワ!!』
「くっ!」
アリスは繰り出される拳を片方の剣で受け止める。
この防御によってアリスは足をとめてしまった。
その隙に左右後ろから敵が迫る。
「この程度でっ!!」
受け止めていた拳を、剣を振り上げることで思い切り弾き飛ばし、アリスは跳躍する。
相手はアリスが跳び上がったのにすぐ反応はしたが、その動きをすぐに止めることはできず、四体がほぼ一か所に固まる形になる。
アリスはそこに好機を見出し、一つの魔法を使う。
「スパークフォール!!」
『Spark fall』
二振りの剣を振り下ろし、そこから雷撃が吹き出す。
その雷撃は寸分も狙い違わず相手に直撃する。
相手は機械だけあって大電流は苦手なのか、その動きを止める。
「はぁっ!」
その隙を見逃さず、一気に接近し四体の内一体を斬り裂き、スクラップに変える。
「バルディッシュ!」
『Riot zamber』
二振りの剣が瞬時に一つに合わさり大剣へと変化する。
その長さはアリスの身の丈の二倍ほどもある巨大なものだ。
これがもし金属でできているのなら、振るうことは敵わないが、魔法であるがゆえに重さは通常のバルディッシュと大差なく、アリスも全力で振るうことができる。
「てやあ!」
残りの三体めがけて一気に横薙ぎに振り抜く。
しかし、三体とも全て雷撃による行動不能から抜け出し、アリスの攻撃を回避していた。
「くっ、今のを……。」
『今ノハ少シ危ナカッタゾ。』
アリスの攻撃を避け、無機質な機械音でそう述べる。
アリスはバルディッシュを大剣から元の二刀に戻す。
『今ノ様ナ攻撃ハモウ通用シナイ。』
「だったら別の方法で倒すまでよ。」
アリスと相手の三体はほぼ同時に駆けだし、再び激突する。


戦いはほぼ互角のように見える形に推移していた。
誠也は繰り出される拳をことごとくかわしていき、時折直撃しそうな攻撃は全てセイクリッドディフェンダーで防ぎきる。
機械王はその持前の防御力の高さで、誠也の攻撃を一切通さない。
傍から見ればどちらも決め手を欠いていて、膠着状態に陥っていると言ってもいいだろう。
ただ、実際の内容は完全に一方的な戦いと言っていい。
一方は紙一重の防御を繰り返し、徐々に精神的疲労と魔力の底が近づく誠也。
もう一方は一切の攻撃を全てはじき返し、防御を気にすることなく攻撃し続けることのできる機械王。
どちらが有利かなど火を見るよりも明らかだ。
このままでは誠也に勝てるはずもない。
だからこそ、誠也はこの状況を変える一手がどうしても必要だ。
誠也は持ち前のマルチタスクで幾つもの策を考えていく。
だがしかし、そのどれもが必倒には値しない。
どれもが威力不足。どうしてもあの防御を貫けるだけの威力がない。
「くっ!」
『フハハ!我ガ攻撃ヲ前ニシテ考エ事カ!』
策を考えている間に、ほんのわずか隙ができる。
その隙を見逃さず怒涛の攻撃を繰り出してくる機械王。
それを確実にセイクリッドディフェンダーではじき返していく。
ただ、防御が精いっぱいで攻撃する隙がない。
だがそれでも、わずかに残った思考の片隅で策を考えていく。
あの防御を貫くのに必要なのは恐らく全力のディバインバスター。
先ほど腕を消し飛ばしたのと同等以上の攻撃力なら、確実に防御を貫ける。
ただ、問題なのはそれだけの威力を放つのに必要なチャージタイム。
ある程度の威力でいいのなら一秒もあれば、ディバインバスターを繰り出すことも可能であるが、あれほどの威力ならば最低でも五秒。できればもっと時間が欲しい。
それだけの時間を稼げる策はなにかないだろうか。
誠也は必死で考える。
『イツマデ我ガ攻撃ヲカワシ続ケテイラレルカナ!?』
突き出される右腕を避け、蹴りだされる左足を防御する。
ひたすらに繰り出される数多の攻撃を捌き続け、その果てに一つの策にたどり着く。
この一つの策が恐らく現段階で思いつく必倒の策だろう。
ならばすぐさま試すしかない。
『ヌッ!?』
機械王の攻撃を大きく飛びのいてかわす。
今までは短い回避距離をとり続けていたので、急に大きく距離をとったことに驚く機械王。
しかし、驚いたのも束の間、誠也はすぐさま接近する。
『小賢シイ!!』
機械王は右拳を誠也に向かって凄まじい速度で突き出す。
それを誠也は右に跳ぶことで回避する。
そして、相手に攻撃の隙を与えないように着地と同時にすぐさま接近する。
向かうのは踏み込んだ際に前に出た左足。
高速で左足に近づきながら、両手に魔力を込め、そしてある五つの地点に魔法を設置する。
それこそが勝利への布石。
そして左足の前にたどり着く。
この間の時間はわずかにして0.5秒。
機械王ほどの巨躯ではすぐに右腕を戻すことができず、未だ突き出した体勢のままだ。
つまり、機械王の重心はほぼ全て左足によって支えられている。
これが成功するか否か。
それが誠也の策の成功のカギだった。
「ディバイン――」
両手に込めた魔力を砲撃の形にすぐさま整える。
はっきり言ってしまえばこの程度の魔力では、防御を貫くことなどできないだろう。
誠也もそれをはっきり分かっていたし、機械王だってそのことは確信している。
ただ、誠也の狙いはそこじゃない。
防御を貫く必要などない。
左足を弾くことができれば十分なのだ。
誠也は両腕を一気に突き出す。
「バスタ―――!!!」
桜色の砲撃は左足へと直撃する。
そして、その左足は砲撃の威力によって後ろへと弾かれる。
このことから導かれる答えは――
『ヌオオオッ!!!!』
転倒。
左足が後ろへ弾かれることで、前にあった重心を支えるものが無くなってしまった。
それゆえに必然的に機械王は転倒する。
誠也は落ちてくる機械王の体を確認し、すぐさまその場を離脱する。
ズズン!!
凄まじく重い物が落ちた音が辺り一帯に響く。
機械王は四肢を投げ出された状態で転倒した。
その瞬間、誠也が仕掛けたもう一つの魔法が発動する。
『ばいんどカッ!』
右腕、左腕、右足、左足、そして胴。
さながらガリバー旅行記のガリバーのように、その全身を拘束される。
しかし、機械王はガリバーとは異なる。
ガリバーの縛めはリリパット王国自身によって解き放たれるが、機械王の縛めは機械王自身が解き放つ。
『グオオオオッ!!!』
機械王の全力の力で以て、バインドを引きちぎりにかかる。
まずは右腕。
次に左腕。
右足、左足。
そして四肢の力を加えて、胴のバインドを引きちぎる。
それと同時に立ちあがった機械王は誠也の姿が見えないことに気付く。
『ドコダ!!ドコニイル!タカマチセイヤ!!』
慌てて周囲を探すが、誠也の姿が見つかるより前に、声が響く。
「ディバイン――!!」
その声が聞こえてきたのは機械王の真後ろ。
すぐさま体ごと後ろを向くと、そこには巨大な魔力球を構える誠也の姿があった。
「バスタ―――!!!」
そしてすぐさま砲撃が放たれる。
それは、機械王の全身を飲み込むほど巨大で強大なものだ。
かわす余裕がないことを悟った機械王は、腕を交差させて前に出し、衝撃に備える。
「いけ――!!!!」
誠也の渾身のディバインバスターが機械王を飲み込む。
 
 

 
後書き
いかがでしたでしょうか。

誠也の全力の一撃がどうなるのかは次回をご期待ください!


………なるべく次回更新が早くなるように頑張ります! 
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