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ワンピース -炎とゴムの姉は虫(バグ)-

作者:nyonnyon
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斧手のモーガンさんって、行方知れずらしいよ……。

 はい、こんにちは。
 ルフィが旅立ってしまっていて、寂しさで死にそうなうさぎちゃんハートを持つモンキー・D・アモスです。

 ルフィが旅立ったとわかった後、一晩、元帥には愚痴に付き合っていただきました。
 いつも私が元帥の愚痴(大抵は家のじいちゃんのことですが……)に付き合っているのでこれぐらい構わないでしょう。

 ……あ、電伝虫でですよ? 今はまだフーシャ村ですから。 流石に私が、海軍でもそれなりの地位にいるからといって、元帥の部屋に突撃するような暴挙には出ませんよ。 そんなことするのは、よほどの馬鹿か、家のじいちゃんぐらいです。 つまり、家のじいちゃんはよほどの馬鹿ってことです。

 あと、昨日までの私を見て『こいつブラコンだぁ』って思った方、私はけしてブラコンではないので、そのあたり勘違いをしないように。 今までのは只の愛情表現だよ、愛情表現。 大事なので2回言ったよ。 さらにもう一回言うよ、愛情表現は大切なのだよ!!
 ま、家のじいちゃんは除くけどね。 あれは、愛情表現という名の殺人未遂だよねぇ。 わりとまじで最近そう思った。

 さて、それではルフィを追跡したいと思います。
 今回、有給はちょっと長めにとってあるので大丈夫。 道中でちょこちょこっと仕事をすりゃ、文句言われないでしょう。

  ま、とりあえずルフィを追跡しましょう。


 クンクン……、む! あっちの方からルフィの匂いがします。 いきますよぉおおおおおお。


――アモス航海中……。 Now Loading……。 アモス航海中……。 Now Loading……。



 な、な、なんとッ!!! こんなところで匂いが途切れるとは……。 おかしい。 私のお姉ちゃんレーダーは正常に作動しているはず。 2~3日程度なら匂いを追えるはずだ。 ということは、ルフィの身に何かあったか!? う~ん……。 わからん。

 ……地元の漁師さんにでも話を聞いてみよう。


 ……はぁ、なんてことだ。 ちょっと前に大渦が出たらしい。 ルフィ……確実に飲み込まれてやがるな。 じゃなければ匂いが途切れるはずがない!!!(断言) ……仕方ない、ここから一番近い海軍基地に行って、補給しながら次の手を考えよう。

 え~と、ここからだと、最寄りは……、シェルズタウンの海軍第153支部か……。 えぇ~、あそこはモーガンのおっさんのところだな。 あいつ嫌いなんだよねぇ。 確か【百計】の『クロ』だったっけ? なんか一応、イーストブルーではそれなりに名の知れた海賊だったはずだけど。 そいつを捕まえて処刑したとかで、えらくいい気になってたおっさんだったよねぇ。 まぁ、いいか、ちょっとよって補給しよう。 海軍本部中将っつう肩書きはこういう時に思いっきり使うものなのだよッ。

 じゃぁ漁師さん、情報提供ありがとうございました。 はいこれお礼です。
 ……え? こんなに受け取れないって? なに言ってんですか、ほんの10万ベリー程度じゃないですか。 いえいえ、受け取って下さい。 いえいえ、受け取って。 お礼ですから、受け取って下さいって。 受け取って。 受け取ってって……、受け取れ!!!





 はい……、漁師のおじさんも快くお礼を受け取ってくれたことですし、シェルズタウンに行きましょう!!


◇◆◇◆◇


 見えてきましたシェルズタウン。 何やら慌ただしいですね。 このあたりには噂になるような海賊なんていなかったはずですが……。
 おや? あの見慣れた船は……まさか!!!

「ウァ・モォ・スゥ・ちゃぁぁぁぁ~ん」

 海老反り、縦、横、斜めにまで、空中をギュリンギュリン回りながら、じいちゃんが飛んできた……。
 やっぱりじいちゃんの船だったか。

「アモスty「うるさい」ベフゥ!!!」

 飛んできた勢いそのままに抱きつこうとしてくるじいちゃんを無理矢理叩き落とす。 砂浜に吹っ飛ばしたから、しばらくしたら起きるだろう。 それまでは……放置でいいか。
 街が滅茶苦茶騒がしいが、どうしたんだろう? それよりもモーガンのおっさんはどこにいるんだ? とりあえずあのちょっと階級が上っぽい人に聞いてみよう。 

「海軍本部中将のモンキー・D・アモスです。 何やら街が騒がしいのですが何があったのですか? それと、モーガン大佐はどこに?」
「中将殿!? はッ!! モーガンは町で恐怖統治を行っていた罪により、捕縛されました。 ただいま、海軍本部モンキー・D・ガープ中将が身柄の引取りに来てくれております」

 ビシッと敬礼を決めて話しかけてくれるこの人。 なかなかキビキビしてて、気持ちのいい人だな。

 と、いうよりもぉ…………なにぃいいい!!!! じいちゃん仕事で来てたのか!!! 遊びに来たんだとばかり思ってた……。 あぁ、思いっきりぶん殴ってしまったじゃないか!! 仕事だと知ってたらもう少し手加減したのに。 ……ま、もうすぐ復活するでしょう。

「そうですか、モーガン……、何があったのでしょうね? 昔はしっかり仕事をするいい人だったんですが……」
「はッ!! モーガンは大佐になってから人が変わったかのように権力に固執するようになりました。 何とも情けない話ではありますが、我々の中にモーガンを止めることができるものがおりませんで……」

 そりゃそうでしょうね。 階級も武力も上の人間を止めることができるのは、相当その人から信頼されている人だけだし。

「ということは、モーガンが捕らえられたから、街ではお祭り騒ぎになっている……と?」
「そうです。 本当に情けない話です。 街を守る為の我々海軍、しかも支部長を務める海軍大佐が街を支配し、街を襲うとされている海賊に負け、しかも数々の悪行から捕縛されているのですから」

 海賊に負けたってことは、まぁ海軍も絶対最強ではないので仕方ないが、悪行で囚われるっていうのは相当恥ずかしいわね。 海軍の面汚しってこういうことね。

「ま、海賊に負けるのは仕方ないわね。 そんなこともあるのだから。 それよりもこれからどうするの? あなたがしばらくは引き継ぐ? 連絡なら入れといてあげるわよ?」
「はッ! 申し訳ありません。 お手数をお掛け致しまして」
「いいわよ別に連絡位、ちょっと電伝虫に話かけるだけじゃない。 それよりもあなた達は町の復興に尽力しなさい。 海軍支部が襲われたなんてニュースが出回ったら、このあたりの海賊がここに略奪に来るかもしれないわよ?」

 そういって話をお開きにさせる。 さっさと復興してくれないと、私の船に補給ができないじゃないか。


 一日とりあえずお世話になった。 じいちゃんも復活し、モーガン片手に帰って行った。 ちょっと仲良くなったコビーくんとかも連れて行ったけど、じいちゃん気に入ったのかな?

 そうそう、コビーくんと話していて気がついたけど、モーガンのおっさんをぶっ飛ばした海賊はルフィみたい。 いきなり海軍大佐をぶっ飛ばそうなんて、デカい事やるわねぇ、流石私の弟。 ルフィが弟だっていった時のコビーくんの顔は、ピカソみたいになってて面白かったとだけ言っておこう。 人間ってあんなにバラバラに顔を動かせるものなんだね。



◇◆◇◆◇



 シェルズタウンに来て、途切れていたルフィの匂いが再度たどれるようになったので、追跡を再開する。 もう間近まで来ているはずだ。 そろそろ肉眼で捉えられないかな?

 そんな時、一本の通信が入った。

「モーガン脱走。 ガープ中将を斬って逃走中」とのこと。

 家のじいちゃんがあんな雑魚に斬られるはずが無いだろう? って思ったけど、じいちゃんの船に連絡を入れてみて、あらびっくり。

 ……じいちゃん本当に斬られてました。 家族が斬られたって聞いて冷静になれるほど、私は人間やめていないので、かなり心配した。
 とりあえず、じいちゃんの副官であるボガードさんに根掘り葉掘り斬られた状況や、傷の状態等を聞く。

 ……。

 ……。

 ……はぁ。 あのバカじい。

 家のじいちゃんは、なんでも居眠り中に斬られたのだとか……。 おい、じじい。 心配して損したじゃねえか。
 しかも今は、「キズの回復じゃぁあああああ!!!」とか言って寝てるらしい。 どんだけ寝るんだじじい。

 脱走したモーガンの行方を追わなければいけないけど、じいちゃんが斬られちゃった事も有り、じいちゃんの小隊は、一旦本部に戻るらしい。 そんなこんなで、たまたま近くにいた私に、お鉢が回ってきたということだろう。

 モーガン、貴様も私と弟の再会を邪魔しやがるのか……。 しかもおまけ付きで……。


「というわけで、アモス君、君にはモーガンたいs「分かりました。 その"海賊" 【斧手】のモーガンは私がきっちり始末します」a……え?」
「いやいや、モーガンたいs「海賊、モーガンは私が始末します」……そうかね」
「えぇ、そうです。 自分より格上の海軍本部中将である、家のじいちゃんを斬りつけて脱走するなんて、そんなクズな行いをする奴が海軍大佐等と呼ばれること自体が間違っています。 最早海賊です。 そんなクズは、私がきっちりこの世から消し去ってやります」
「あ~、あまりやりすぎんようにな。 ……言っても聞かんだろうが。ボソッ」
「はい、もちろん解っています。 やりすぎない事は承知できかねますが、善処いたします。 それでは」

 そう言って通信を切る。

 モーガン……。 貴様には、家のじーちゃんを斬ったことと、ルフィとの再会をまたもや遅らせる原因を作ったこと、その両方を償ってもらう!!!!


 まずは、見聞色の覇気をバグバグの実の力で強化!!! 超高域のレーダーとして一気に周囲に開放する。

 今の私は、マリンフォードの元帥執務室で、頭を抱えて『やれやれ、あの親子達は本当にいつも面倒事を引き連れてきよるな』と呟くセンゴク元帥の姿すら感じ取ることができる!!! どの親子のことかは知らないが、センゴク元帥お疲れ様です!!!

 周囲に広がった覇気の索敵範囲にかかる全ての動物を感じ取り、選別する。

 ……、……、……!!! 見つけた!!! それなりに近い島だ。

 瞬時に羽を展開し、飛翔。
 音速を越え、光速にまで迫ろうかという速さで瞬く間にモーガンの潜伏する島までやってきた。 途中、何匹か衝撃波により鳥を弾き飛ばしてしまったが、問題なかろう。
 最後の一匹は、なんか爆発してたけど、私のせいじゃないよな? なんか咥えてるものを落としてたけど、なんだったのかな? まぁ、いい。 それより今はモーガンだ!

「モゥガァァアアアアアアアアン!!!!!!! 出てこいやぁあああああ!!!!!」

 島全体に響き渡る大音量で叫ぶ。

 どこにいるかは見聞色の覇気で丸分かりだが、あえて敵の出方を伺う。

 しばらく待つと、ちらっと出てきた。 隠れているつもりか? ご自慢の斧が丸見えだぞ。

「見つけたぞ!! "海賊" 斧手のモーガン。 貴様には抹殺命令が出ている(←そんなものは出ていない)」
「なにぃ!!! 俺は海軍大佐、モーガンだぞ!!! 海賊じゃねぇえええ!!!!」

 この期に及んでまだそんな世迷いごとをいうか。

 飛び出してきたモーガンに、島に降り立った私がゆっくり近づきながら声をかける。

「うるさい、この海賊が!!!! 貴様、海軍本部中将を斬りつけておきながら、未だに海軍のつもりか? 既に貴様が海賊であるというのは、元帥閣下も承知だ。 おとなしくこの世から消えろ!!!」
「うるせぇ!! 俺は海軍大佐だ!! 誰がなんと言おうが海軍大佐なんだよぉ!!! そんな俺に消えろだぁ、いい度胸だ小娘ェえええ。 不敬罪で切り捨ててやる!!!」

 探しに来たのが歴戦の強者とは到底思えない小娘()だったこともあり、若干の余裕を取り戻すモーガン。
 小娘()から放たれた一言にプライドを著しく傷つけられたモーガンは激昂した模様で、切り捨ててやる等と叫びながら私に走りより、斧を振りかぶってくる。


 ガキン!!!! っと、振り下ろされた斧と一歩も避ける素振りを見せなかった私の体がぶつかり合う。


「なにぃ、なぜ切れねぇ!!?」
「……走りも遅い、振り被りから振り下ろしまでも大雑把、威力も威圧感もゼロ、覇気や六式も知らない。 まったくもってその程度の男だったか、斧手の海賊(モーガン)。 貴様には何の価値もない。 塵芥に消えろ!!!」

「毒鱗粉……【溶解(真夏の)鱗粉の舞(アイスクリーム)】」

 羽から放たれた毒鱗粉は、ゆらゆらとモーガンに近づいていく。

「!! 貴様も悪魔の実の能力者か!! あのゴム野郎といい、まったく忌々しい。 ふん、なんだこんなもの」

 ブワッ っと、鱗粉を斧で振り払おうとするモーガン。 しかし、そんなことではこの鱗粉からは逃れられない。

「ん? なんだこりゃ!!!?」

 気がつくと、右腕の斧が半分ほどなくなっている。 それでもなお、鱗粉はモーガンへと近づく。 風はモーガンに対して追い風なのにである。

 流石にモーガンの顔に焦りの色が浮かぶ。

「お、おい、ちょっとまて、お前俺が誰k『ピトッ、ジュウゥゥゥ』 ギャァァァアアアアア」

 何か言おうと声をあげたモーガンだったが、毒鱗粉の一つが体に触れてしまった。
 みるみるモーガンの皮膚が溶けていく。

 ガランッとモーガンから音がする。 斧の残りが地面に転がったのだ。
 たった一粒触れただけで、モーガンの右腕は肘から先を落とすこととなった。

 そんな毒鱗粉がモーガンの視界を埋め尽くすほど舞っている。 最早、モーガンの顔に先ほどまでの余裕はない。

「あ、あ、まて、待ってくれ。 俺が悪かった。 ちゃんと、海軍本部にいく。 罰も受ける。 だからゆるしt「あぁ、もうしゃべるな。 どのみちお前は本部に連れて行かれて処刑される。 遅いか早いかの違いだ。 ……最も、本部で処刑されていたほうが、多少苦しみは少なかったかもなぁ」……うわぁあああああああ!!!」

 クルリと振り向き脱兎のごとく駆け出す海賊(モーガン)。 まったく往生際が悪い。

 瞬時にモーガンの前に回り込み。 拳を硬く握り締める。

「そんなにドタドタ走るな。 埃が立ってご近所迷惑だ。

 鉄腕……【皿割りインパクト】!!!!」

 メゴ、メゴ!!!

 鈍い音が二度響き渡る。 モーガンの膝に打ち込まれた拳は、正面から膝の皿を粉砕した。

「ガァァァアア」

 膝の皿が割られて、まともに歩くことができなくなったモーガンは、地面に倒れ伏すも、それでも必死に体を動かして逃げようとした。

「……おい」
「ヒィ!!!」

 私の呼びかけに、壊れた人形の様にこちらを振り返る海賊(モーガン)

 その目に映るのは、数メートルもない距離に近づく、鱗粉の壁であった。

「観念しなさい」

「ま、まて、『ジュ』ギャァァァ、『ジュウ』ウギャァァァ、『ジュゥゥゥゥ』 た、タスケ、『ジュヴァァァァァアアアア』ギャァァァァァァァァアアアアアアアアアアアアァァァァァァァ………………」

「ふん、最後までうるさい奴だ。 海軍本部に行っても、どちらにしろ処刑されるんだ。 私の手で逝けてよかったな。 普段なら、死んだあともさらし首で、市民から石を投げつけられるなんて惨めな末路が待っているのに、この世から完全に消えられたんだからな。 感謝しろよ」

 そう呟く私の前には、なにも残ってはいなかった。


◇◆◇◆◇


 こうして、元海軍第153支部大佐、斧手のモーガンは消え去った。 かけら一片たりとも残らず、この世から消滅したのである。
 アモスの逆鱗に触れた者の末路は、大概が同じようなものであるが……。

 このあと、「やべ、消しちゃったらどうやって本部に連絡しよ!!?」と言いながら、急いで軍船へ戻るアモスが見受けられた。 追いかけている最中の弟、ルフィはかなり先に進んでしまったように思われる。


 それからしばらくして、軍船に戻ったアモスは本部に報告を入れている。 「ヤッちゃいました、テヘッ☆」と。


 その日、報告を聞いた海軍元帥の吐く、深い溜息の音と『やはりあの親子は……』という呟きが、海軍本部元帥執務室にずっと木霊していたとか……。 
 

 
後書き
4/8 見識色の覇気→見聞色の覇気に修正。 
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