魔法少女リリカルなのはStrikerS~赤き弓兵と青の槍兵
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後日談
⑥~大晦日とお正月…テスタロッサ家
前書き
なのは「さてさて、今回のお話しは~?」
士郎「フェイトとランサー、エリオとキャロの話だな」
なのは「私達もお正月はゆっくり過ごそうね」
士郎「そうだな。それではそろそろ本編へ入ろうか」
side キャロ
12月30日。私達は八神部隊長に呼び出されて部隊長室にいました。
「お正月休み、ですか?」
部隊長から呼び出された私達が聞いた話は休暇についてでした。
「そやで。今は大きな事件もないし、許可は簡単に降りたからね。隊長達にはもう言ってあるから休暇の準備してると思うよ」
それで皆でそれぞれ自室に戻ろうとすると、
「あー、エリオとキャロはあとでフェイトちゃんの所に行ってな」
「どうしてですか?」
「何でも帰省するから一緒にいかないかって」
きせいって何でしょうか?
そう思うとエリオ君が、
「部隊長。きせいって何ですか?」
「帰省って言うんは実家に帰る、って言うことや。この場合だと地球のお家に行くことやで」
フェイトさんの地球のお家かぁ……久しぶりに行きたいです!
「話はこれだけやから早く戻って準備してきな」
「「はい!」」
……………………………………………………………
「あ、二人とも来たね」
「準備は万端か?」
フェイトさんのお部屋に行くと、旅行鞄を準備してフェイトさんとランスさんが待っていました。
「着替えと、歯ブラシ、お風呂セット。準備はばっちりです!」
「それじゃ、明日の朝一番の次元航行船で地球に向かうよ。今日は早く寝ようね」
「はい!」
「起こしに行くのめんどくせえからここで四人で寝るか?」
「いいんですか?」
「いいよ。久しぶりに一緒に寝ようか」
ここまでお話しが進んだ所でエリオ君が、
「そ、それはちょっと……」
「何だエリオ。キャロと一緒の布団がそんなに恥ずかしいか?」
「え、そ、それは……」
エリオ君、私と一緒に寝るの、嫌なのかな……
「じゃあエリオは私と寝る?」
「キャロと寝ます!!」
即答するなんて、フェイトさんと寝るの、嫌なのかな?
「即答……エリオは私と寝るの嫌なの…?」
「それは嫌だろ。潰されるからな」
「え、いや、そう言うわけでは……」
「じゃあ一緒に寝ようよ!」
「ですが……」
「胸を当ててくるのであっちの方の制御g「ランス!!」…ハイハイ」
あっちの方の……何でしょうか?
「エリオ君、あっちの方って何ですか?」
「え、そ、それはちょっと……」
「は、早く寝よう!!」
結局あっちの方と言うのが何なのかはわからないままでした。
side エリオ
危なかった。ランスさんがとても際どい発言をしたけど、フェイトさんのお陰で何とかキャロには知られずにすんだ。と言うか、フェイトさんに知られた時点でほとんどアウトなんだけれど。
それにしても……眠れない。隣で眠るキャロの肌の柔らかさとか、女の子らしい匂いとかのせいで意識が冴える。そんな僕の葛藤などお構い無し、といった様子で熟睡するキャロ。
「えへへ……エリオ君……むにゅ……」
その上この可愛い寝言。……僕はどうすれば寝られるんだろうか?
(寝られねーみたいだな)
そんなときにランスさんが念話を送ってきた。
(ランスさんはその……フェイトさんと寝るの、慣れてるんですよね?)
(まあな。もっとすげえことも色々やったしな。だがよ、お前の年じゃ女と一緒、それも意識してるやつと同じ布団ってのは少しハードルが高いかもな)
(すげえことって……今以上のですか!?)
キャロのことに意識がいっぱいで、気付いてもツッコめなかったのだが、現在のフェイトさんの状態はとにかく凄い。
まず、ネグリジェがはだけて下着が丸見えになっている上、片足をランスさんに絡ませ、その上で首を両腕でしっかりとホールド。さらにランスさんの腕に頬擦りしながら『大しゅき……』
と言う寝言まで言っている。僕がキャロにそんなことをされたら悶絶して転がり回ってしまいそうだ。
(どうする?こっち来るか?)
(それはそれで眠れませんよ……)
(そうか。ま、頑張れや)
明日寝坊しなきゃいいけどなぁ……
side ランス
翌朝6時。最初に目が覚めたのはいいんだが……フェイトが絡み付いているので身動きが取れない。
起こせばいいんだが、物凄く幸せそうな寝顔をしているため、起こすに起こせない。
さて、どうしたもんか……
「………うにゅ?おふぁよ、らんす」
そんな葛藤をしていたら、件のお姫様が目を覚ました。
「おう、おはよう。それよりさっさとしねえと予約の便に間に合わねえぞ」
「えー、じゃあおはようのちゅーして」
「はいはい。わかりましたよ」
我が儘お姫様のおねだりに答えてやる。
だが、普通のキスじゃあ面白味に欠けるため、舌を絡ませてやった。
「ん!……んふ、んんう……」
粘液の触れあう艶かしい音が部屋に響く。
しばらく続けていると、物音が聞こえた。
恐らくエリオかキャロが起きたのだろう。
しかし、フェイトは昂ってしまったのか、一心不乱に俺の唾液を求めてくる。
「はわわ……」
横目でエリオ達が寝ていた方を見れば、顔を真っ赤にしたキャロが手で顔を覆っていた。
……が、興味はあるのか指の隙間からチラチラとこちらの様子を伺っている。
やがて、フェイトの方から唇を離した。
「……ぷはっ。……もう、すっかり目が覚めちゃったよ」
「そりゃよかったな」
「さてと!それじゃあエリオとキャロを起こし……」
「み、見てませんから!!何も!!」
フェイト、硬直。キャロ、沈黙。
「お、おおおおはよう、キャロ。支度するからエリオ起こしてくれる!?」
「はははは、はい!」
二人とも今の行為のことで真っ赤になっている。フェイトの動揺っぷりは乱れた服装がそのままになっていることにすら気がついていない始末だ。
「エ、エリオ君、起きて!」
キャロもキャロで、動揺が隠せていないため、エリオの肩をぐいぐい揺すっている。
「うわぁ!……キャロ、もう少し優しく起こしてよ……」
「ご、ごめんなさい……」
「いや、そんな気を悪くしないで!」
「で、でも……」
「そんなに気にされるとこっちもおうっ!?」
助けを求めるようにこちらを見たエリオの目線の先にはフェイト。
もちろん乱れた服装はそのまま。
それはエリオにはとても刺激の強いものであるわけで。
素晴らしい速度で後ろを向いた。
「エリオ君?何で後ろ向いてるの?」
「ちょ、ちょっとね……」
「エリオ、調子悪いなら言ってね」
「お前のお陰で絶好調なんだよ、フェイト」
「「???」」
まあ、エリオにも男の尊厳があるわけで。
ここは助けてやることにする。
「いいから俺に任せろ。二人は飯の準備でもしててくれや」
「でも……」
「女にはわからねえこともあるんだ。な、フェイト」
しばらく考え込んだ後、意味が分かったのか真っ赤になるフェイト。
「………スケベ!」
「エリオにも同じこと言うか?」
「うっ……そこでエリオを出すのは卑怯だよ!」
「何でだ?エリオも男だぞ?」
完璧なる正論。これで折れてくれるだろう。
ただ一人、状況が全く読めていない純真無垢なる少女を除いてではあるが。
「……訳がわかりません」
「と、とりあえず部屋を出ようか!」
エリオのお姫様はフェイトによって無理矢理に外へと連れ出されたのであった。
…………………………………………………………………
「で、ここがお前の家か」
「正確にはクロノの、だけどね」
9時の便に乗った俺たちは12時位に目的地につくことができた。
しかし、だ。
(なーんか嫌な予感がすんだよなぁ)
この時感じた嫌な予感が、この滞在期間中の俺を苦しめるとは今は思っていなかった。
side リンディ
「そろそろかしらね」
「なにがー?」
「フェイト叔母さんが来るのよ」
「ほんとー!?」
「夕方にはパパも帰って来るって」
「やったー!」
カレルとリエラも楽しみにしているようだ。
エイミィは久しぶりの大人数を出迎えるために少し豪勢な昼食の仕度をしている。
そして、12時を少し過ぎたところで玄関のチャイムが鳴った。
「僕出てくる!」
「私もー!」
二人とも玄関まで駆けていった。
エイミィが注意しようとしていたが、あまりに嬉しそうな二人の様子に怒るのは憚られたようだ。
「うわぁ!」
そんな時に玄関からカレルの驚愕する声が。
気になったので私も玄関へと向かうことにした。
side ランス
とりあえず困った。チャイムを押したら子供が二人出てきて俺の姿を見るなり驚いて扉を閉めてしまった。
何でだ?
「どうしようか……」
フェイトが顔を見せる前に閉められたので、不審者が来たとでも思われてしまったのだろう。
だが、以外と早くドアが開いた。
「ごめんなさいね。この子達が迷惑かけちゃったみたいで」
「そんなことないよ。ただいま、母さん」
「お帰り、フェイト。それと、キャロちゃんは久しぶりね。ランスさんとエリオは直接会うのは初めてよね。フェイトの母、リンディです」
「は、初めまして!」
「よ、よろしくお願いします!」
エリオとキャロの初々しい挨拶に和まされながらフェイトの実家訪問の日々が始まった。
………………………………………………………………
「……どういう状況なんだこれは?」
「あ、お帰りクロノ」
「お邪魔してるぜ、お・に・い・ち・ゃ・ん」
「君に言われても気味が悪いだけだな……」
昼食を食べ終わり、手持ちぶさたになった俺たちはUN〇とか言うカードゲームをやっていた。
これが以外と白熱することになり、いつの間にか帰って来ていたクロノに対し、皆反応が薄い。
「久々に帰って来たのにこの対応か……」
「はい!ここでスキップ!」
「あっ……」
「キャロお姉ちゃんが上がれる手札だったのはわかってたよ!」
「ど、どうして?」
「「「「「手札が見えてる(から)」」」」」
「え!そうだったの!?」
「フェイトさん……」
なんだかとても憐れなクロノであった。
side クロノ
結局15分くらいかけてゲームが終わり、それからようやくまともな対応をしてもらった。
カレルとリエラがゲームが終わるまで僕の存在に気がついてすらいなかったのはちょっと……いや、かなりショックだった。
「それにしてもよく休暇が取れたわね」
「取れたのは三日だけだし、今後に関わる用もあるからね。部下達も何とかしてくれるそうだ」
「こんなときまで仕事か?」
「君達の勧誘だよ。ランス」
今回戻って来れたのはこれが大きい。
衛宮士郎、ランスの両名のクラウディアへの勧誘。
高すぎるその戦闘能力や、魔術の事があるために下手な部隊には入れられない。
彼らの本当の能力は局員のほんの一部の人間だけしか知らない。
だからこそ事情を詳しく知る僕が引き抜くように、と三提督からの直接司令があったのだ。
「うーん、本局勤務ねぇ……俺は構わんが、あいつは了承しねえぞ」
「何故言い切れる?」
「そりゃなのはの嬢ちゃんとヴィヴィオから離れるって言う選択肢がねえからだろ」
「しかし、クラウディアの乗組員として名前を連ねるだけでもいいんだ。実質的に君たちは僕の護衛、非常勤戦力としての特別出撃が主だからな」
「そう言うことなら平気かもな」
とりあえず当面の問題は解決した。
これで少しはくつろげそうだ。
…………………………………………………………………
そして夜。赤白対抗歌唱祭を見ながらビールを煽る。
フェイトは色々あるから、と言って飲んでいないので僕、母さん、エイミィ、ランスの四人だけだが。
「この人とっても歌が上手です!」
「ああ、瑞木菜々さんか。この人は本来声優なんだぞ」
「声優?」
エリオとキャロは声優を知らない様だな。
「声優って言うのはアニメとかで声を当ててる人達のことだよ」
「へぇ~」
子供達はほのぼのとしている。それなのに大人達は……
「おいおい、二人とも俺についてこれるたぁすげえ飲みっぷりだな!」
「あらあら、私はまだまだ行けますよ?」
「わらしも飲める~」
酒盛りに夢中。回りには缶や瓶が所狭しと転がっている。
ちなみにランス(ほろ酔い)母さん(酔い)エイミィ(泥酔)と量を飲んでいる人ほど酔っていない、という摩訶不思議な状況である。
そしてエイミィが泥酔、という状況はお馴染みのアレが発動する、と言うことである。
「ねぇねぇおとうとく~ん。フェイトちゃんとはどこまでいったの?」
「そりゃあやるべきことは全部やったぜ」
「ぶふぉうぇあへ!?」
エイミィの絡みにフェイトが凄い奇声を上げる。てかなんでそんな声が出るんだ……?
「ちょ、ちょっとランス!?子供達も居るのに何言ってるの!?」
「聞かれたから答えた」
「答えた、じゃないよ!」
「大丈夫だ、意味わかってんのはエリオだけだから問題ねえよ」
「大有りだよ!?」
エリオの方に視線を向けると耳が赤くなっているのがわかった。
恐らくは顔も赤いだろうな。
「……うぅ、フェイトちゃんも遂に大人の階段を登ってしまったんだね……お姉ちゃん悲しい!」
「あらあら~。これは三人目の孫をみる日も遠くないのかしらね~」
「僕としてはもう少し敬意を持ってくれる義弟が良かったんだがな」
「でも私はワイルドな息子に憧れがあったのよ。クロノはほとんど手のかからない子だったから」
「だってさ、ガンバれおとうとくん!」
僕らで呑気にフェイトをからかっていると、
「あの~?」
いつの間やらキャロとエリオがカレルとリエラを背負ってこちらに来ていた。
「んー?二人ともどしたの?」
「カレル君とリエラちゃんが寝ちゃったんですけど、寝室は何処ですか?」
「だいじょうぶ!わたしがつれてくから!」
そう言うエイミィだが、流石に酔っぱらいには任せられない。
「僕が着いていく。そのままおぶって来てくれ」
「「はい」」
この後、僕が居なくなったことでフェイトが母さんとエイミィに弄られまくることになるとは考えていなかったため、フェイトに怨み言を言われまくる羽目になったのだが、それは別の話である。
side エリオ
カレルとリエラを寝室に連れていき、二人をクロノ提督に任せてリビングに戻った僕とキャロは急に聞こえた大きな音に驚いてしまった。
「こ、この音なんですか……?」
「除夜の鐘だよ。新しい年になるときに鐘を108回打ち鳴らす日本の風習だよ」
鐘の音のことはフェイトさんが教えてくれた。
しかし、その鐘をのんびり聞いていることは出来なかった。
理由はというと………
「うぇへへ、もうのめな~い」
「zzz……」
寝ている二名を運ぶのが最優先だからだ。
ちなみにランスさんは『酒が足りない』とか何とか言って外に買いに行ったので今はいない。
とりあえず僕とフェイトさんで寝室まで運んだ。
「ありがとね、エリオ。日付も変わっちゃったし、朝早くから出掛けるから少し休んでおいで」
「何処に出掛けるんですか?」
「それは行ってからのお楽しみだよ」
とても気になったが、教えてくれそうにないので諦める。
二日連続で夜が遅かったので、布団に入るとすぐに眠気が襲ってきた。
…………………………………………………………………
「起きろエリオー」
「ん……ランスさん?」
目を覚ますと大人達は全員コートを着こんで出掛けられる支度をしていた。
「すぐに出るから早く着替えてね」
「あう~。頭痛い……」
「あんなに飲むからだろ……」
「そうよ、エイミィ。少しは抑えないと」
「母さんが言っても説得力が……」
ただ、二日酔いでフラフラなエイミィさんだけは支度が終わっていなかったが。
「眠いです……」
「うにゅぅ………」
「どこいくのー?」
子供たちも三者三様の返答を返す。
ちなみにキャロ、リエラちゃん、カレル君の順である。
「ついてからのお楽しみ♪」
そう言って微笑むフェイトさんはとても色っぽく見えた。
……だからと言って何、と言うわけではないのだが。
閑話休題。
「車は誰が出すんだ?」
クロノ提督の疑問に答える人は誰もいなかった。
side フェイト
結局地球の車の免許を持っている二人はアルコールが抜けていないために歩いて行くことになった。(私はミッドの車の免許しか持っていない。ランスやクロノも同様)
そしてついたところは………
「公園?」
「えーっと……読めません………」
キャロもエリオも地球の文字が読めないためにこの公園の名前がわからないようだ。
「海鳴臨海公園、か。何のひねりもねえネーミングだな」
ランスは公園に何を求めているのか。
普通の名前でいいと思う。
「それより、ここに来た目的って言うのは……?」
「もう少し待ってて。そろそろのはずだから」
母さんがみんなに呼びかけたのは丁度そのタイミングだった。
「ほら、来たわよ」
「何がです……か……」
「うわぁ……」
「きれい……」
見えてきたのは初日の出。
小学生のころはなのはの家族やはやてたち、アリサやすずかとも一緒に見ていたこの公園からの初日の出。
エリオとキャロにも見せたくて、母さんにお願いしたけど、大成功だったみたい。
いい思い出になったかな?
side キャロ
初日の出、と言うのを見て、帰ってきた私たちはおせち料理と言う縁起担ぎの特別なお料理を食べて、すごろくをしたり、みかんを食べながらテレビを見たりとのんびりとすごしました。
こんなにゆっくりできたのは久しぶりでした。
帰る時もとても名残惜しくて、カレル君達にも、
「もっと遊ぼうよー!」
「お姉ちゃん、帰らないで!」
と、引き留められましたが、お仕事だと言ったら渋々了承してくれました。
また遊びに行く約束をして、ミッドに戻りました。
やっぱり家族ってとても暖かい存在なんだな、と思いました。
後書き
まずは更新遅れまくって大変申し訳ありませんでした。
クロノの息子の名前は公式設定……のはずです。多分。
最近Vividの下書きが楽しすぎてこっちに手が付かない……
ですが頑張ろうと思います。
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