魔法少女リリカルなのはStrikerS~赤き弓兵と青の槍兵
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後日談
⑤~クリスマスの過ごし方…ランス&フェイト
前書き
ヴィヴィオ「さーて、今回のお話しは~?」
アインハルト「フェイトさんとランスさんのデートのお話しだそうです。お二人はアr」
ヴィヴィオ「アインハルトさん!ネタバレ厳禁!」
アインハルト「し、失礼しましたヴィヴィオさん……」
ヴィヴィオ「それでは本編どうぞー!」
side フェイト
「クリスマス、かぁ……」
今年はなのはも士郎とヴィヴィオと一緒に過ごすらしいし、はやてはヴォルケンリッターの皆がいる。
私も今まではリンディ母さんやクロノ、エイミィ、アルフ、キャロと一緒だった。エリオと過ごした時もある。なので、一人で過ごした記憶はあまりないのだが……今年はというと。
「皆予定があるなんて……」
母さんはレティ提督と約束があり、クロノとエイミィは一家で。アルフはユーノの所に。エリオとキャロは二人でデート……と、これは私とはやてで仕組んだために文句は言えないが。
それにしても、断る際に皆がニヤニヤしていたのだが、一体何がそんなに面白いのだろうか。
「なーにため息なんざついてんだ。老けるぞ」
そんなことを考えていると、不意に声が聞こえた。ランスの声だ。
「相変わらず失礼なことばっか言うんだから」
「こういったイベントの時にため息なんかついてるお前が悪い」
「うっ………」
完璧な正論に言い返すことができない。
「おっと、本来の目的忘れちまうとこだった」
「目的?」
「おう。デートに行くぞ」
「う、うん…………えええええええ!?」
「でかい声出すなよ……」
「だだだ、だって……」
今、デートって言ったよね!?ランスとデートかぁ……
どこに連れてってくれるんだろう?イルミネーションとか見て、
『綺麗だね』『お前の方が綺麗だ』
とか言っちゃったりして!キャー!!
…………………………………………………
「………ト。………イト。……フェイト!!」
「はっ!?私は何を……」
「どうした?調子悪いのか?」
「平気!元気いっぱいだよ!!」
「お、おう……。それにしても、何を考えてたんだ?うぇへへへ、とか言ってたが」
え……も、もしかして、声に出てた……?
「ほ、他には?」
「あん?」
「他には何か言ってなかった?」
「そうだな、『あんっ!そこはらめぇ!』って言ってたぞ」
「ほ、ホント!?」
「もちろん嘘だ」
「ま、またからかった!!」
………………………………………………………………
と、いうことがあり、結局出発したのは夜の9時を過ぎてからだった。
「むぅ…………」
「悪かったって。そんなに怒るなよ」
「だって……」
ランスはさっきのことで怒っていると思っているようだが、私が怒っているのは別の理由だ。
「何でクリスマスに居酒屋に行かなきゃ行けないの?」
「駄目か?」
「駄目に決まってるでしょ!?」
「いいから入るぞ」
「え、ちょっと待って……」
手を引かれ、半ば無理やりに入店。
するとそこには長めの廊下があった。
先に進んで行く彼に着いていくと、そこは……
「あれ?」
洒落た雰囲気のバーだった。
「中々いい店だろ?」
「うん。でも何で……?」
「マスターが変わり者でな、親しみやすさをモットーにあの入口にしたんだとよ」
「おうおう、変わり者とは言ってくれんなあ、旦那」
そう言いながら出てきたのは三十代半ばと思われるオールバックの男性。
彼がマスターだろうか。
「事実だろ?」
「まあな。で、そっちの別嬪さんはコレか?」
そう言いながら小指を立てるマスター?らしき男性。
「おう。今日はデートだ」
「かーっ!うらやましいやつめ!今日の代金は二割増しだコノヤロー!」
「はぁ!?なんでだよ?」
「やかましい!こんな美人捕まえやがって……って、彼女どっかで見たような……」
「雑誌とかじゃねーか?フェイトはよく取材受けてっからな」
と、ランスの発言の直後、マスターの動きが止まった。
「ふ、ふぇ」
「ふぇ?」
「フェイト執務官だとおおおおお!!??」
「声がでけーよ」
「あ、ああ。すまんな……じゃねーよ!」
「まだなんかあんのか?」
「当たり前だ!超有名人だろ!何でそんなにすごい人がお前見たいな真っ昼間からうちに来るような半ニート野郎と……」
「半ニートで悪かったな」
憎まれ口を叩きながらも、マスターと話すランスはとても楽しそうだ。
「おいおい、そんなとこに突っ立ってないで座れや」
「あ、……うん」
「どうした?さっきから元気ねえみてえだけどよ」
「二人のノリについていけてないだけだから気にしないで……」
「そうか。じゃあ呑むぞ」
「何がじゃあなの?前置きもなにもなかったよね!?」
「バーに来たって時点で前置きは十分だろ」
「うぐぅ……」
またもや言い返すことができない私。
絶対遊ばれてる……
「ま、いいや。マスター、俺はいつもの。フェイトにはオススメのやつ頼むわ」
「はいよ」
お勧め、か。何が出てくるんだろ?
こういった所には初めて来たので落ち着かない。
頼んだものはすぐ出てきたのだが、私にはその時間がかなり長く感じた。
「お待たせいたしました。当店自慢の一杯、オリジナルオレンジカクテルでございます」
私の元にカクテルをおいたマスターはランスの所に行くと、
「ほれ。いつものだ」
「おう、ありがとよ」
先ほど私に対して見せた完璧な接客態度をどこかに放り投げて来たかのようなずぼらな態度でウィスキーの瓶と氷の入ったグラスを置いた。
「あの……」
「はい、何でございますか?」
「私と彼とで態度が変わりすぎてませんか?」
私の疑問に答えたのはマスターではなくランスだった。
「こいつが男女で接客態度を変えるのはいつものことだ」
「そ、それってどうなの……?」
「俺は嫌いじゃねーぞ。こいつと話すと退屈しねえからな」
「褒められた、ということにしとこう」
「これでいいの……?」
何だかこの二人についていこうとすると疲れそう……。
とりあえずは出されたお酒に口を付けてみた。
「……美味しい」
仄かなオレンジの香りと味わい、程よいアルコール。
とても飲みやすく、お勧めされたのにも頷ける。
「中々いけるだろ?」
「うん。ランスが飲んでるのは水割り?」
「いや、ロック」
「こいつはよく昼間からコレ飲みに来てますから」
仕事サボって一人で飲んでるなんて……
「はやてにばらそうか?」
「………やめてください」
「じゃあ今日のお代は全部ランス持ちで♪」
私が言ったら、
「よし!今日は三割増しにしよう」
「てめえ!?」
マスターとランスの間で一悶着あったのは別のお話し。
side ランス
……不味いことになった。
俺の奢りだとわかった瞬間、フェイトはかなりのハイペースで呑み始めた。
ま、言われなくとも奢るつもりだったが。
しかし、本当にどうするべきか………
「らんす~ちゅーして~」
「マスターが見てるぞ?」
「えへへ~ちゅー」
「わかったわかった。じゃあ場所変えるぞ」
「やだー!」
まさか酔ったフェイトが幼児退行するとは思わなかった。
それと言うのも……今の俺、全国の男を敵回すような状態なのである。
「すりすり~」
フェイトは今、俺の膝に座りながら頬擦りしてくるのだ。
その際背中に手を回してかなり強く抱きしめて来るわけであって。
必然的に胸板にはフェイトご自慢の二つの果実が押し当てられる。
子供の様になってしまった今の状態。普段のしっかり者のエリート執務官。
二つのギャップにぐっと来るものがある。
……これをギャップ萌え、と呼ぶことを俺が知るのは少しあとの話……
閑話休題。
「そろそろ帰るぞ」
「うごけない~らんす、だっこ!」
「長距離移動するからおんぶで我慢してくれ」
「やだやだやだやだ!!だっこだっこ~」
「わかった、わかったから落ち着けフェイト」
「だっこ~」
「はいはい……と言う訳だからお代はここ置いていくからな、マスター」
「おう!リア充は爆発してこい!」
「おじちゃんバイバ~イ」
とりあえず店を出たのはいいものの……
「すんげー見られてんな……」
「んー?」
それはそうだろう。酔った金髪美女がお姫様だっこされているのだ。道行く人々が振り返るのにも頷ける。
だが、さすがに視線を感じまくるのが億劫になった俺は裏路地に入り、近くの建物に入った。
そこまではよかった。だが、そこは………
「ラブホじゃねえかここ……」
「らぶほ?たのしいところ?」
「楽しむところだ」
「????」
とりあえず部屋を取り、そこでフェイトを下ろす。
下ろした途端に部屋の物色を始めるフェイト。
「わー、おふろ~。わー、べっどおっきい~。わー、こんどーむだ~」
最後の発言がおかしかったのは無視しようとおもう。
とりあえずは……
「フェイト、水でものn「おふろはいる~」……おい待て」
「なに?」
「アルコール入ってる時に風呂はよくねえぞ」
「んー……じゃあねる!おやすみ~」
そしてフェイトはベッドにダイブ。
すぐに眠ってしまった。
「………ま、起きた頃には酔いも覚めてるだろ」
と言う訳で、待つことにした。
side フェイト
何だろう……頭がくらくらするなぁ…。
私、何してたんだっけ?……はっ!?
「ここは!?」
「お、起きたか」
目が覚めてすぐに隣から聞こえて来る声。ベッドにランスが腰掛けていた。
「ランス……ここどこ?」
「ホテル」
「ふーん………ってそんなことは今はどうでもいいよ!」
「なんで?」
「だって……」
折角のクリスマスデートなのに酔って寝ちゃうなんて……
「だって、なんだ?」
「私、デートなのに寝ちゃったから……」
「それで?」
「え?怒らないの…?」
「寝顔をじっくり堪能させてもらったからな。それにしても寝相悪いなお前。座ってる俺に絡み付いて来るとはな」
怒らなかった。寝ちゃったのに。飲みに行っただけで何にもしてないのに。
………冷静になるとランスが色々と凄い発言を連発していたこと、酔っていたときの記憶などを思い出した。
「さてと。酔いも覚めて来たろ?」
「う、うん。それよりね……シャワー浴びてきていい?」
「ダメだ」
「えええ!?」
「それよりも……」
その言葉の続きを聞く前に、私はベッドに押し倒された。
「一汗かいてからの方が風呂は気持ちいいだろ?」
そう言いながらニヤリと笑った。
「本当にいっつも強引何だから」
「そうか?」
「うん。でも、そういう所も好きだよ」
「ならもっと強引に行くか?」
「それはちょっと……私、初めてだし……」
やっぱり、最初だし、優しくして欲しい。
はやてみたく知識が豊富な訳ではないけど、初めての時は痛いらしいっていうのは知っている。
「それなら……ゆっくりと開発してやるとするか」
「お、お手柔らかにお願いします……」
そのまま私はランスに身を委ねた。
…………………………………………………………………………
「んん………」
「お、起きたか」
「おはよう……」
そう言ってから自分の格好を確認。
……続いてランスの格好を確認。
………結論。
「向こう向いて」
「は?」
「いいから!」
向こうを向かせている間に服を着る、と言う選択をとった。
その際にベッドを見ると赤い染みが見られた。そう言えばお風呂でも……
それを見ながら感慨に耽っていると、
「いつまでボーッとしてんだ。着替えなら早くしろよ」
「あ………うん。……っ!?」
「どうした?」
「む、向こう向いてって言ったのに!」
「下着は着けたんだったらいいだろうがよ」
「そう言うことじゃないの!!」
結局朝は騒々しくなってしまった。
side ランス
結局ゴタゴタがあったせいでホテルを出たのは8時過ぎにはなったが、今日の仕事は一応昼からなので問題はない。
だが、まだ渡していない物があるのだ。
隊舎へ戻る前には渡しておきたい。
「フェイト」
「…………」
「渡したい物がある」
「………何?」
「これ。クリスマスプレゼントだ」
「えっ……」
俺が渡したのはターコイズ、別名トルコ石のイヤリング。
成功の象徴とされる宝石であり、心配を打ち消してくれる、とも言われる心配性にぴったりの石だ。
「あ、ありがとう……」
「さてと。それじゃ戻るか」
「待って!」
「ん?」
振り返ると、フェイトが小さな箱を差し出していた。
「クリスマスプレゼント…気に入ってもらえるかはわからないけど…」
「そうか。ありがたく頂いておくぜ」
中身は腕時計だった。
凝ったデザインをしていて、そこそこ高いものであることは予想がついた。
お互いに贈った物が装飾品だったため、ある提案をしてみる。
「なあ、折角の機会だから着けてくれよ。俺も着けてやるから」
「えっ!?……うん。いいよ」
フェイトは少しぎこちない手つきで、俺は手慣れた手つきで、それぞれのプレゼントを着け合う。
「やっぱり俺の見立て通りだな。よく似合ってるぞ」
「ランスもいつも以上にかっこいいよ」
「おうおう、言うようになったな。……それじゃ、帰るか」
「うん!」
帰り道は少しゆっくりと歩いた。二人だけの時間がちょっとでも伸びるように。
後書き
予想よりも早く完成したので更新です。
そして、お気づきの方もいらっしゃる……と言うかほぼすべての方が気付かれているとは思いますが、前書きの方式を変更しました。
いかがでしょうか?この件に関して感想や意見を頂ければ幸いです。
それではまた~
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