とある麻帆良の超能力教師
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とある麻帆良の超能力教師 四話
一方通行と垣根が麻帆良学園に来て一週間が経とうとしていた。
二人は情報を集めながらも学園に少しずつだが慣れてはきていた。
来たばかりの一方通行と垣根は学園の教員達からあまり話しかけられなかったが、なんだかんだ今はそんなこともなくうまくやっている。
しかし魔法先生はまだ二人の未知の力を恐れているのか、距離をとっているのが現実だ。しかしタカミチや学園長はそんなことも気にせず話かけてくる。
「一週間ねェ…なんだか色々ありすぎて早ェもんだなァ」
「まさか異世界に来るとは思ってなかったからな~」
一方通行は寮の窓から外を見ながらコーヒーを飲んでいる。そして垣根は何故かコーンポタージュを飲んでいる。
「オイ…てめェなンで俺の部屋の窓にいやがる?」
「そりゃ決まってんだろ、朝日を見ながらコーンポタージュを飲むためだ」
垣根は一方通行の部屋の窓の外に飛びながら飲む。
「能力見られたら駄目って言われてませンでしたかァ垣根君よォ?」
「そこは問題ねえぞ一方通行!」
垣根はフッと笑うと自信満々の顔をして一方通行の方を向く。
「俺の半径3メートルに特殊な粒子が覆ってな、その粒子の中にいる俺の翼は見えないっていう代物だ。勿論未元物質で作った」
「お前暇してンなァ?つーかよォ、それだとお前宙に浮いてるからそれだけでも不自然だと思うぞ?」
「………しまったぜ…俺としたことがとんだ盲点だったぜ」
「お前本当に第二位かァ?ここに来てから言動がアホすぎてたまに本気で心配なんだけどよォ」
「心配ねえ、俺の未元物質に不可能はない」
「そんなこと聞いてねェし、いい加減その『俺すげえ』って顔をヤメロ」
なんだかんだいって、この二人も少しずつだが仲も良くなりつつ?ある。
「しっかしよォ…なんでコーンポタージュなんだァ?」
一方通行と垣根は待ち合わせ場所である学園長室へと向かっていた。
「コーンポタージュの美味さを知らねぇのか?あれは俺にとって朝には欠かせねぇ一品だぞ?」
「朝はコーヒーだろォ」
「だろうな、前はカフェイン星からやってきたカフェイン星人だからな」
「朝から廊下に愉快なオブジェが出来たら生徒はどンな反応するか楽しみだなァ?」
「おいやめろ、チョーカーのスイッチ入れようとすんじゃねえ」
垣根は全力で一方通行の手を掴み首に手を持っていかせないようにする。
「そんな下らねェことはどうでもいいンだがよォ、そういや今日だったよなァ、子供先生が来んのはよォ」
「そういや今日だったな、どうりで朝からジジイの部屋に行くわけだ」
二人して重要な事を完璧に忘れていた。
そう今日は麻帆良学園に来る少年教師、ネギ・スプリングフィールドと出会う予定だったのだ。
学園長室
学園長室では今日から教師をする少年、ネギ・スプリングフィールドが挨拶をしていた。
そこには学園長やネギ以外にも女子生徒が二人いる
一人はツインテールの気の強そうな女の子、彼女は神楽坂明日菜。
もう一人は学園長の孫でもある、京都弁を話す少女近衛木乃香である。
「学園長先生!一体どーゆーことなんですか!?」
「まあまあアスナちゃんや」
いきなり学園長に抗議をしていたのは明日菜だった。実は彼女、登校時にネギと出会いさらに突然失恋の相が出ているとまで言われたのだ。
それだけではなく、他にもネギと色々あったらしくそれらも含めて抗議しているのだらう。
「なるほど修行のために日本で学校の先生を…そりゃまた大変な課題をもろうたの~」
「しかしまずは教育実習ということになるかのう、今日から3月までじゃ」
「ちょっと待って下さい!」
そこへまだ納得できない明日菜が抗議する。
「大体子供が先生なんておかしいじゃないですか!しかもうちの担任だなんて…」
実際10歳の少年が教師だなんて誰でもおかしいと感じるのが普通だろう。
「それとネギ君、この修行はおそらく大変じゃぞ」
「駄目だったら故郷に帰らねばならん、二度とチャンスはないがその覚悟はあるのじゃな?」
「は、はい、やります!やらせて下さい!」
ネギは力強く答える。その眼は決して10歳とは思えないものだ。
「いい返事じゃ、それではネギ君のサポートをする教員を紹介しよう」
学園長がそう言うと扉が開き二人の少年が現れる。
「話が長ぇんだよ、もっと簡単にはまとめやがれ」
「こいつが子供先生かァ?」
ネギと明日菜達は唖然としていた。扉から現れたのは以下にも教師とは思えない人達だからだ。教師というよりはチンピラだろう。
「そこの金髪の彼は垣根先生、白髪の彼は一方通行先生じゃ。分からないことがあったら彼等に聞くといい」
「よろしくな」
「まァよろしく頼むわァ」
「は…はい…」
ネギは呆然としたまま答えた。いまだ状況が把握出来ていないのだ。
………
「あの…お二人は若そうですけど歳はいくつなんですか?」
教室に移動中、ネギは垣根と一方通行を見て質問する。
「俺は17歳」
「17歳だァ」
17歳という言葉を聞きネギは驚く。自分が10歳で教師をするのだから人のことは言えないが、それにしては若いと感じた。それにとても一般人とは思えない雰囲気も漂わせている。
学園長やタカミチからは二人が魔法について知っていることは聞いていた。しかし魔法使いではないという。そこもネギは不思議に感じていた。
「ハハハ…若いんですね…」
「お前も10歳だろうが」
「ある意味俺達よりすげェよ」
「それよりも、これがクラス名簿だァ。目ェ通しとけよ」
一方通行はネギに2-Aの名簿を渡す。名簿にはタカミチからの書き込みもあり、ネギを影ながら支えているのが分かる。
ちなみに一方通行と垣根は覚えているので名簿は不要である。
(こんなにたくさんの年上の女の人達を教えるのか…?本当に僕こんな異国の地で先生なんて出来るのかな…)
クラスを目の前にしてネギに一気に不安が押し寄せる。天才少年と言われてもまだまだ10歳の少年なのだか当たり前だろう。
「何不安になってやがる、てめェはジジイにやるって言ったンだろうがァ?」
「心配しなくてもてめェなら問題ねェ、だからオドオドしてんじゃねェ」
一方通行はドアの前で不安になっていたネギにそう言い放った。それはいままでの経験からかは分からないが、一方通行はこいつなら大丈夫だと感じたのだ。
「珍しいな、お前が他人にそんなこと言うなんてよ」
「黙ってろ垣根、これも仕事だからなァ」
「一方通行さん……ありがとうございます、僕頑張ります」
一方通行の言葉に背中を押され、ネギは教室のドアを開けて中へと入っていく。
ネギが入っていき数秒も経たないうちに物凄い音が聞こえてきた。
「なかなか過激なトラップだなァ…」
「最近の中学生は怖えな…」
ネギに起こる一部始終を見ていた二人はそう呟く。
そして確信していた。ネギに先に行かせて正解だったと。
そんなことを考えていると教室からは「えー!子供!?」などと騒がしい声が聞こえてくる。
「静かにしやがれクソガキども、コイツが新任の教師だ」
垣根は教室に入りながら説明する。そしてネギを教卓の前に行かせる。
「あ、あの…今日からこの学校で英語を教えることになりました、ネギ・スプリングフィールドです。三学期の間ですけどよろしくお願いします」
暫くの沈黙が続く。そして一気に「可愛い~!」という声で教室は埋め尽くされる。
そしてネギへの質問責めが開始される。
「ていうか垣根先生はなんでここにいるんですか?」
一人の生徒が垣根に質問する。それもそうだろう、垣根は急に学園に来た新任の教師扱いであるからだ。こんなところにいるのがおかしいのである。
「そういや言ってなかったな、俺もこのクラスの副担任として受け持つことなったからな」
「俺もだァ、そこのネギをサポートするってことも含めてなァ」
二人からのまさかの副担任発言。そしてまた沈黙が続く。
「えぇ~!?二人も!?」
「そうだァ、担当する科目は数学、知ってるやつはいると思うが一方通行だてめェらの副担任をやるこになった」
「俺は今日から理科を担当する。垣根帝督だ、俺も副担任をやることになった」
とりあえず自己紹介を簡単にはすませる二人。しかし生徒が何故二人の存在を知っているかというと、こちらにきてからの一週間の間にネギの担当するクラスとあらかじめ少しばかり交流があったのだ。
全て学園長が仕組んだことだったが。
「え~ていとくんの授業難しいよ~」
「オイていとくんった奴だれだ、やめろ」
「だって垣根帝督でしょ?カッキーかていとくんで悩んだ結果ていとくんが一番だったんだよ」
「ていとくんねェ…」
「おい一方通行、てめぇもなんか言って…」
「出席番号16番、佐々木まき絵か…てめェなかなかいいセンスしてンじゃねェか 」
一方通行は止めるどころかあだ名をつけた張本人を誉める。
「てめぇ!誉めてんじゃねえよ!」
「いいじゃねェかていとくん」
「コイツ…!」
垣根の怒りのボルテージが上がっていく。
「あっくんに誉められたよ~」
まき絵が周りの子にそんなことを言っていると『あっくん』という単語に一方通行が反応する
「オイ、あっくんってのは俺のことか?」
まき絵そうだよ~と笑いながら答える。一方通行が長くて呼びにくいからあっくんになったとか。
「前言撤回だクソガキ」
そう言うと一方通行はまき絵の頭にチョップを加える。しかしただのチョップではない、一方通行の能力であるベクトル操作を加えたベクトルチョップである。
あだっ!と言う声が聞こえるとまき絵は机の上で気絶していた。
「次はねェぞ…」
「先生…次というか、まき絵気絶してます」
初日からこんな感じで一方通行と垣根は、2ーAの副担任として教師生活が始まろうとしていた。
ちなみに『ていとくん』と『あっくん』はクラスに広まってしまい、クラスの大半があだ名で呼ぶようになってしまった。(本人達は諦めてる)
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