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赤髪の刀使い

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命は大事。掛買のないもの

――――カンッ

金属がぶつかり合う音がする。

「おっ」

この音はサチがキリトの剣をはじいた音だ。
サチは今は盾を持たずに片手剣だけでキリトと対峙している。
盾がなくなったときのための練習であり、盾を持つと剣ではじくよりも簡単だからあえて難しい方を練習させている。

「そうそう。
その調子」

ここまでたどり着くのに2週間…
黒猫団の平均レベルも攻略組には一歩及ばないが高くなってきた。

(っていうか自分の武器の素材集め忘れてた…)

黒猫団に顔を出し始めてからまったく素材集めをしていない。
リズが張り切っているのだ。
そろそろ素材を持っていかないと何を言われるか…

「ごめん…今日は自主練で」

「どうしたんだ?」

ソードスキルを用いた戦闘の訓練をしていたケイタが聞いてくる。

「友達の鍛冶屋に素材頼まれてたの忘れてたから取ってくる」

あとは沸きが一時間待ちのボスのドロップ素材だけだし…確か…あと5個だっけか。

「何が必要なんだ?」

少し休憩していたキリトが俺に聞いてくる。

「《存在の力》っていうアイテムがあと5個必要なんです」

最低で5時間…出なかったらもっとかかるが…仕方ない。

「俺たちもついて行っていいか?」

黒猫団が聞いてくるが…

「25層のフィールドボスだけど…?」

大丈夫かなぁ…

「大丈夫だ!
なぁみんな!」

「「「おぅっ!!」」」

元気がよろしいことで。

「危なかったら絶対に逃げること。
これが条件。
まず自分の命を大事にしなさい」

これは教えだしてから何度も言っていることだ。
転移結晶でも、走って逃げてもいい。
生き残ることが大事なのだから。

「分かった」





――――キンッ

俺はボスの沸くフィールドまで索敵に引っかかったモンスターを瞬動で近づいて大太刀で斬る。
すべて仕留めきらずに後ろの黒猫団に少しだけモンスターを回すことも忘れない。
まぁキリトがいるし、この程度なら問題ないだろう。

「す、すげーー!!」

ダッガーが俺の戦いを見ながら声を上げてくる。
そういや黒猫団の前でモンスターと戦闘するのって初めてだったな。
俺はどんどん沸いてくるモンスターをノーダメージでどんどん狩っていく。
俺のレベルの高さはポップ率の高いモンスターを瞬動を用いた高速機動で狩りつくすからだ。

俺の剣術は一対多も想定した技も多くある。
5、6体同時ぐらいならノーダメで戦うことは可能である。
それ以上となると…多分10体ぐらいまでなら少々のダメージを負うかもしれないが戦える。
実際そこまで同時にかかってきたことがないし、現実でも門下生5人との模擬戦で勝ってたからいけるだろう。
このSAOのモンスターのAIは流石に人間ほどではないし。






「これがフィールドボス…」

サチが不安そうに眼の前にたたずむ鎧武者をみて不安そうにつぶやく。
キリト以外の黒猫団のメンバーも口が開いている。

(見た感じ威圧感しかないからな)

キリトは層ボスでこういった威圧感は慣れているのか平然としているが
剣を握る手が強くなっているみたいだ。

「動きは遅いから結構狩るのは簡単」

俺は言うと瞬動を用いて鎧武者に接近。
振られる刀をいなし、鎧と鎧の隙間に大太刀を滑りこまして斬る。

この鎧と鎧の隙間に滑り込ますにはソードスキルでは難しいしまず厚みのある剣では入らない。

鎧を無視するためしっかりとダメージが入るのが特徴だ。
このあたりがSAOのシステムの作りこみがすごいところだと思う。

それにどのモンスターでも攻撃をしてくる予備動作として攻撃対象や攻撃の軌跡にまず目線が行くという細かいところもしっかりしている。

そこをタイミングをしっかりと合わせて武器の惰弱なところを狙ってやれば…

――――カンッ

《武器破壊(アームズブレイク)》は簡単に起こせる。
この時に間違っても自分の武器の惰弱部分で惰弱部分を狙ってはいけない。

あとは俺の得意とする刺突からの横斬り、袈裟、逆袈裟をつなげる。
現実だと刺突のときに気を纏わせるからもっとダメージはあるんだがなぁ…
もちろんソードスキルではないから硬直なんてものはない。
すべて鎧の間を通してダメージを与えていく。
それを瞬動を使って様々な場所から反撃させない程度のスピードで連続で何度も行う。

フィールドボスの体力も残り少なくなってきた。
俺は瞬動と空気を蹴って瞬動を行う《虚空瞬動》を用いてフィールドボスの後ろへ回り込み。

――――トスッ

頭を切り落とした。

いやまぁ…どのモンスターも首は弱点で多くダメージを与えることができるんだが…

「切れるのは初めてだなぁ…」

いつもは馬鹿みたいに10分ぐらい攻撃を避けたり捌いたりして遊びながら倒してるから首を跳ね飛ばすのは初めてだった。

その後落ちた首と残った胴体もポリゴンの欠片となって消えて行った。

「まずは一個」

俺のレベルアップを告げる表示とドロップアイテムの表示が目の前に現れる。

何気にこいつ経験値うまいからな。
それにこいつの沸き待ちで周りのモンスターを狩ってたらA級食材が結構な確立でドロップするし、美味しい狩場だ。







サチside

(あれが…上層プレイヤーの戦い…)

次元が違う。
ユウちゃんが消えたと思ったらフィールドボスの目の前にいつの間にか現れていて、
攻撃を避けながらちょっと見えなかったけど多分残ってる残像からして鎧と鎧の間を刀を通したんだと思う…自信ないけど…

次にユウちゃんは立ち止まって攻撃が来るのを待ってるように見えた。
そして私が危ないっていう前にフィールドボスの攻撃がユウちゃんに向かっていくけど…
ユウちゃんはボスの武器を一撃で壊した。

そのあとは私はほとんど見えなかった。
ユウちゃんが消えると同時に様々な場所で残像が出来てどんどんフィールドボスのHPが減っていく。

そして見えたのは逆光の中でユウちゃんがボスの頭を切り落としたということ。
叫び声を出しかけたけど声が出る前にポリゴンの欠片となって消えて行った。
血が出てたら絶対に私は気絶してたと思う。
 
 

 
後書き
ご都合主義?
あたりまえじゃないですか。
ご都合主義大好きです。
 
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