異世界からチートな常識人が来るそうですよ(タイトル詐欺)
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第八話 リリがナース服を着ているの少し動揺した。
前書き
ペルセウス戦です多分。そして作者の"何か"はロリコンではありません多分。
"契約書類"文面
『ギフトゲーム名FAIRYTALE in PERSEUS』
―――云々―――
宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗の下、"ノーネーム"はギフトゲームに参加します。
"ペルセウス"印
―――――ペルセウス宮殿正面玄関―――――
「左右から来るわ。まとめて吹き飛ばしなさい!」
飛鳥の奮戦により、正面玄関は大混戦となっていた。飛鳥の言葉によって支配された水樹は、騎士たちを迎撃する。
「右上方、なぎ払いなさい!」
飛鳥の言葉によって支配された水樹は翼の騎士達を迎撃する。さながらウォーターカッターの様な刃を掻い潜った騎士たちを今度は水流を奔らせて迎撃する。それすらも掻い潜った騎士達は―――――氷の矢によって撃ち落とされた。
「なっ、何だと!?」
それもそうだろう、見えないほど遠く離れた、無残にも壊された門の上で矢を放っているのだから。どう考えても届かない距離から矢を放ち、ヘルメスの靴だけを正確に撃ち抜き、そして、―――その矢でありとあらゆる芸術品を撃ちぬいていく。何か芸術品に恨みでもあるのか、絵画には何本も刺さり、壺は粉々に破壊されている。
「そろそろ十六夜たちが最上階に到達したところかねえ?」
「ええ、十分な時間があるはずよ。これなら大丈夫ね」
かなり離れていたはずの証は跳んできて飛鳥の真横の枝に立つ。互いに頷きあい、宮殿の最上階を見上げる。すると、
「ra……RAGYAAAAAAaaaaaaaAAA!!!」
「きゃっ!」
「む?」
歌うような、それでいて不快な叫びを聞いた。直後証が、
「十六夜の言ってたやつか!」
「え?」
ギフトカードから紅い槍を取り出し、前方の空間を切り払う。直後、飛鳥は彼と自分の場所以外が光に包まれているのを見た。途端に辺り一面が光に覆われ宮殿だけでなく、騎士達、水樹も石になった。
「……な、」
飛鳥は絶句するが、証は変わらず飄々としている。
「いや~、十六夜のアドバイスがなかったら俺らも石になってたね~」
苦笑いしながら周りを眺めている証に訝しげに飛鳥は尋ねる。
「ねえ証君、どうやって今の光を防いだの?」
「どうやってって……普通にこのゲイジャルクで。〝恩恵"破りのギフトがあるようだからな」
そうなんともないように話す証だったが、飛鳥がそれで納得するはずがない。さらに問い詰めるように聞く。
「だから……、どうして光を切ることができるのよ!?」
光を切るという神業をやってのけた証は何でもないかのように言う。
「ま~、速いだけならなんとなくで切れるからな、説明しようがないな」
な、と唖然とした飛鳥だが、諦めたように溜息をついて、
「耀さんを拾って様子を見に行きましょう。戦えなくても観戦くらいならさせてもらえるでしょうし」
「十六夜が心配なのかね?」
「そんなのではないわ!」
からかいながら石になった水樹の石化を解除して飛び降りた。だが証でさえ、戦いが一方的な戦いになっているとは思っていなかったのだが。
▽
―――〝ノーネーム"本拠大広間―――
レティシアの受難はむしろこれからだった。
レティシアが〝ノーネーム"に帰って来られたのは本当によかったのだ。大広間まで持ち帰り、石化を解いた瞬間問題児四人は口をそろえて、
「「「「じゃあこれからよろしくメイドさん」」」」
「え?」
「…え?」
「………え?」
「え? じゃないわよ。だって今回のゲームで活躍したのって私達だけじゃない? 貴方達は本当にくっついてきただけだったもの」
「私なんて力いっぱい殴られたし。石になったし」
「それに石化解除したのって俺じゃん。挑戦権も片方持ってきたし」
「つーことで所有権は俺達で当分2;2;2;4でもう話は付いた!」
「何を言っちゃってんでございますかこの人達!?」
もはやツッコミが追い付かないなんてものではない。黒ウサギは完全に混乱していた。
「んっ………ふ、む。そうだな。今回の件で私は皆に恩義を感じている。だが親しき仲にも礼儀あり。同士の中にもそれを忘れてはならない。君たちが家政婦をしろというのなら、喜んでやろうじゃないか」
「レ、レティシア様!?」
黒ウサギの声が今までにないくらい焦っていた。尊敬していた先輩をメイドとして扱わなければならないとは………と困惑しているうちに、飛鳥と証が嬉々として服を用意し始めた。
「服は証君が用意してくたわ! 貴方、裁縫まで出来るのね。金髪の使用人に憧れてたのこれからよろしく、レティシア」
「布は"サウザントアイズ"製のものだから耐湿、対寒ともに抜群。着心地もいいぞ」
「よろしく………、いや主従なのだから、よろしくお願いしますかな?」
「使い勝手が良いのでいいわよ」
「そ、そうか。いやそうですか? んん、そうでございますか?」
「黒ウサギの真似はやめとけ」
ヤハハと笑う十六夜。意外と和やかな五人を見て、黒ウサギは力なく肩を落としたのだった。
後書き
やっと1巻の終わりです。証君、ほとんど何もしてませんが次からは頑張る予定です。
なので今度からは証の出てきた恩恵について後書きで書かせてもらいます!
これからもお願いします。
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