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IS《インフィニット・ストラトス》~星を見ぬ者~

作者:白さん
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第九話『飛来する悪意』

「ふっふっふ~。スーくんのストライクが無事形態移行したね~」


モニターの明かりだけで灯った暗いの部屋の中、篠ノ乃 束が笑いながら映像を見る。それはクラリッサとスウェンの模擬戦だ。


「ストライカーシステム。グリューデント夫妻もかなり興味深いモノを作ってくれたね~♪ お陰で全く飽きないよ♪ それにしても……」


映像をアップさせ、ストライクのフェイスに包まれたスウェンが拡大する。


「形態移行したストライクの武装を瞬時に理解して攻撃に機転、ましてやあの黒ウサギの副隊長を倒しちゃうなんて流石としか言えないね、スーくん!」


束は手元にある、ウサギのマークが付いたスイッチを撫でて満面の笑みを浮かべ


「さあ、スーくん! この束さんに君とストライクの力を見せてちょうだい!」




/※/





「前に義父さんから聞いたが、ドイツが保有する10機のISの内、3つがこの部隊にあるらしいな」


昼の食事中、唐突にスウェンはラウラにそう質問する。


「はい、副隊長の専用機シュバルツェア・ツヴァイク。そして特殊機能の搭載を目的とした試作段階のISがあります」

(ツヴァイク)か。残りの一つは?」

「シュハイク隊長の持つ“シュバルツェア・ヴォルケ”です」

(ヴォルケ)?……あの隊長に合っているな」

「え?」

「あの隊長はなかなか考えが掴めない。まるで雲のようにな」

「は、はぁ……」


スウェンは時計を横目で見て


「午後は自由演習だ。模擬戦場は予定では、他の隊員は来ない事になっている」

「つまり貸切のようなものですね」

「ああ。ここ連日で疲れているところ悪いが、頑張ってもらうぞ」

「元よりそのつもりです」

「いい意気込みだ」




/※/



「ラウラ、これを」


スウェンはラウラに黒いブローチのようなものを手渡す。


「これは……」

「お前が先程言った試作段階のISだ。隊長に借りてきた」

「えぇ!?」

「試作のテストを兼ねて、ラウラにISの訓練をすると言ったら快く貸してくれた。『近いうちにテストを行う予定だったから丁度良かった』らしいな」

「は、はぁ……」

「起動の仕方は解るな?」

「はい」


ラウラは目を瞑る。するとラウラは光に包まれ、手足に装甲を纏う。背部のユニット等はないが、その姿はクラリッサのツヴァイクを思い出させる。


「スウェン少尉出来ました」

「よし」


スウェンもストライクを展開し、エールストライカーを装備する。


「まずは空中移動だな。それが間々ならんと戦闘にもなりはしないからな」

「スウェン少尉はたった一時間で出来たとお聞きしましたが?」

「……ストライクが扱いやすかっただけだ。俺は先に飛ぶ、後から付いて来い」


そう言い、スウェンは宙に浮き、そのまま空中へと飛んでいく。ある程度の高度まで来たら、スウェンは下を確認する。不慣れであるが、ラウラがゆっくりと同じ高度まで来た。


「俺が今から攻撃を行う、お前は避けろ。いいな?」

「はい!」


スウェンはラウラから距離を話した後、ビームライフルをラウラに向け


「ッ!!」


銃口から放たれたビームは、ラウラに直撃した。


「避けろと言った。当たってどうする」

「す、すいません」

「もう一度だ」

「はい!」




そこから30分の時間が経過した。




「ふっ! はっ!」


連続で撃たれたビームをラウラは危なげながらにも避けてみせる。スウェンは一旦攻撃の手を止め


「先程に比べて動きが良くなった」

「本当ですか!?」

「ああ、だが慢心はするな。慢心は人間の心に隙を作る」

「はい!」

「さて、次は――」


突如、基地全体に警報がなる。するとシュハイクからの開放通信が入る。


『スウェン、ラウラ!』

「隊長、何かあったのですか?」

『廃棄された衛星がこの基地目掛けて落下している! 今基地のミサイルで迎撃する!』


二人は空を見ると、確かに大気圏の摩擦熱で赤みを帯びている衛星が視認できる。そして、基地のミサイル施設から2発のミサイルが発射、衛星に向かっていく。


「直撃コースか……」


スウェンの宣言どおりミサイルは衛星に直撃し、二人の位置からでも聞こえる爆音と、衛星は爆煙に包まれた。


「……!?」


煙から何かが飛び出してきた。それは衛星の破片だ。破片になった事により、落下速度は急激に上昇する。


『ミサイルの発射台が遅れている、第二波が間に合わん! 二人ともそこから退避しろ! そこは落下コースだ!』

「なっ!?」


スウェンはシュハイクの言葉を聞き、方向を変え


「ラウラ!」

「は、はい!」


二人は全速力でそこから退避しようとしたが、ラウラは焦りでうまく飛行調整が出来ず


「!? うわぁあああ!!」

「ラウラ!!」


そのまま地面へと落下した。ラウラは無事のようだが今から退避するとして、スウェンは間に合ったとしてもラウラは間に合わない。破片は今そこにもう迫っている。


「くっ!!」


スウェンは急ぎラウラの元へ行く。


「スウェン少尉! あなただけでも退避を!」

「断る!!」


迫り来る破片をスウェンは見る。


(エールの武装ではあれを破壊するのは不可能だ……このままではラウラが……何か方法は……!?)


その時、エールストライカーが光り輝き、スウェンの前に文字が現れる。


「これは……いける!」


そして、エールストライカーは粒子化し、新たに左方に大型の砲台の搭載されたパックが装備され、右肩に複合兵装ユニット“コンボウェポンポッド”が装備される。


「“ランチャーストライカー”換装完了!」


パック本体のアームに接続された砲台、超高インパルス砲“アグニ”を腰へと移動させる。ストライクのツインアイの右側に照準枠が表示され


「……」


カーソルが破片に合わさり、ロック音が鳴り


「撃ち抜く!!」


アグニの砲口から放たれた高出力のビームは一直線に破片へと向かう。


「ぐうっ!!」


あまりの反動で後方へ押されるスウェン。すると、スウェンの体をラウラが支える。


「スウェン少尉! 後ろは任せてください!」


「ああ! このまま消失させる!!」


照射されたビームは破片全体を覆いつくし、完全に消滅させてしまった。撃ち切ったスウェンはがくりと腕を下げ


「……何とかなった、か」

「は、はい。そうですね……」

『スウェン! ラウラ! 何故命令どおり退避しなかった!』


通信からシュハイクの怒声が響く。


『うまくあれを破壊出来たから良かったものを! ISを起動してるとはいえ、どうなっていたか解ったものではない!』

「待ってください! スウェン少尉は私を守ってくれる為に行動を! 全ての責任は私にあります!」

「ラウラ……」

『……はぁ、全く意外に無茶をするんだな、スウェン、お前は』

「……申し訳ありません」

『本来なら命令違反で懲罰ものだが、二人の無事に免じて取り消しにしてやる。後で私の所へ来い』

「は、はい!」

「了解しました」


そして、スウェンはストライクを待機状態にし、ストライクを見る。


(守りたいと思ったから応えてくれたのか?……ふっ、助かったよ相棒)


撫でるようにストライクに触れたスウェンであった。



 
 

 
後書き
ランチャーのアグニって最大出力でコロニー破壊できる威力があるとか……あんなものをぶっ放していたんですねぇ、キラは。

次回、少し年を進めますのでご了承ください。 
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