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茨の王冠を抱く偽りの王

作者:カエサル
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04.茨の王様

「桜満集君と茨壊君、あなた方を逮捕します」

紫っぽい色の髪をして右目が擬眼になっている男が俺たちにそう告げる。
八尋が俺たちを騙した.....のか?

集の手に紫っぽい色の髪の男が手錠をかける。

「君たちはとてもいい友達を持ちましたね」

紫色の髪の男が俺の手に手錠かけようとする......が急に俺の右腕が光り出す。

「使えって....ことか」

右腕の光りが強くなり、そこからマントのヴォイドが姿を現した。

「これは.....この光は」

「集ぅ!!逃げるぞ!!」

集に手をさしのばすも集は八尋の件で頭がいっぱいで俺の問いかけに反応しない。

「クソッ!」

これ以上ここにいれば俺も危ない。周りの白服は全員銃口をこちらに向けている。

「クソッ!!集、絶対に死ぬんじゃねぇぞ!!」

俺はそう言い残し駅の線路へと飛び降りそこからさらにしたへと飛び降りた。

「追わなくてよろしいのでしょうか?」

「まぁ、いいでしょう、桜満集君だけでも連行できれば」



「すみませんでした、集を助けることが出来なくて」

「いや、貴様はあの状況から離脱できただけで十分だ。シュウが捕まったことでこちらも好都合だ」

「好都合?」

俺はあのまま葬儀社のアジトへと向かった。いち早くこの情報を伝えるためにも。

ガイは立ち上がる。

「ツグミ、準備はできているな」

「もちろんだよ、ガイ。いつでもOKだよ」

「それでは、これより第四隔離施設へシュウと城戸研ニの救出及び奪還作戦を開始する!」

「城戸研ニ.....だって.....」

城戸研ニはスカイツリー爆発事件の犯人。なぜあんなやつを.....

「まずは、犯行予告を送る。ツグミ!」

「はいはい、任せて」

ガイはカメラの前に立つ。

「明日。葬儀社はGHQの第四隔離施設へを襲撃する。抵抗は無駄だ。我々は必ず『同志』を救い出す」

犯行予告なんて出してどうするんだよ。

「ツグミ、これをニュースポータルに一斉送信しろ」

「はいはい、了解」

「みんな作戦は明日だ。作戦の内容は明日話す」



僕はあいつ.....確か嘘界からもらったペンを握りしめて何もない牢屋の鉄格子がつけられた窓の外を見る。

.....ガチャ

その音に僕は扉の方を見る。

「出ろ、弁護士の接見だ」


弁護士と話すために刑事ドラマなどでよく見る、部屋に連れてこられ手錠をはずさてる。

「やあシュウ君、はじめまして。私が、君のお母さんの依頼を受けて君の弁護を担当する」

ガラス越しにあいつがいる。
金髪の長髪に今は眼鏡をかけていて、髭を生やしている.....一目ではあいつとはわからない。

「メイスンだ」

ガイだ。

「ガッ.....」

「早速始めましょうか。ここは時間に厳しいからね、急がないと」

ガイはそう言って、一緒にいた警備員に紙を渡し、警備員は部屋を去る。

「もう話しても大丈夫かな?」

少し間がおかれた。

「よし、全員スタンバイ開始」

ガイはそう言って、通信機を外し髪をしばっていたゴムと眼鏡をとる。

「言い様だな」

「僕がバカだって言いたいんだろ。そっちこそ何しに来たの」

「ある人物がここに囚われている。そいつを脱出させる」

「城戸研ニ。人殺しの」

「そうだ。これから大雲たちが襲撃をかける。お前はここから出たら直ちに地下独房の城戸と合流し、やつのヴォイドを引き出せ、そこから30秒でーー」

「当たり前みたいに言うなよ!!僕はあんたの仲間じゃない!」

「何か言われたのか?誰だ?所長のゴールディーか?」

「ガイ。あんたは何で戦ってるのさ、何のために!」

「何でそんなことを聞く」

「答えろよ、ガイ!!あんたは何一つーー」

その時、急に部屋の証明が落ちた。そして警告音が鳴り響く。

『全職員に警告。システムは何者かのハッキング襲撃を受けダウンしました。現在は予備アレイを使用して再起動中。繰り返します』

「作戦を開始する」

ガイのその声とともに建物内に爆発音が響き渡る。

外には爆撃音が響き渡る。

「時間がないぞ決めろ。動くのか?また立ち止まるのか?」

『シュウ?』

ガイの通信機からいのりの声がする。

「いのり?」

『よかった。行くから待ってて』

「行くってここに?」

「待機だと命令したはずだ。どうしてお前が!」

『ガイ、いのりの位置を確認。施設内に単独で侵入してる、シュウの独房の位置をダウンロードしてるわ。いのりんはシュウを助けるつもりなのよ』

ガイの通信機からツグミの声がする。

「そんな、僕はここにいるのに」

『ダメ、通信切っちゃてる。今は防御がすごく厚いのに』

僕の後ろの扉が開く。

「接見は終わりだ。早く戻れ」

警備員が扉を開ける。
僕はその警備員を押しのけて外に飛び出す。

「あのバカ」

待ってていのり.....僕も今すぐ向かうから。

僕は夢中で走った。
だが、目の前にエンドレイブが現れ、僕を床に押し付ける。

『脱走中の囚人を確保、番号認識中』

「集ぅ!!!」

声がする。聞き覚えのある声が。

エンドレイブは僕の目の前で真っ二つに切り裂かれた。

「大丈夫か、集?」

僕を助けてくれたのは、右手に処刑刀のような剣を持った、....壊だ。
そして、白色の機体が姿を現す。

『あんたいのりに何したの』

「何って?」

『じゃなきゃ、あの子がガイの命令に逆らうわけないじゃないの!おかげで作戦がめちゃくちゃよ!」

「今はそんなこと言い争ってる場合じゃない、綾瀬」

『わかってるわ、ガイに何かあったら許さないから』

綾瀬のエンドレイブに掴まれ僕と壊は後方からくるエンドレイブを回避した。




建物の一階部まで降りた俺たち。

『ゴメン、ちょっと隠れてて』

綾瀬のエンドレイブから降りた俺は、逃げる集の援護にまわる。

「クソッ!数が多い、集、大丈夫か?」

その時、上の方で爆発音が聞こえ、誰かが落ちてくる。
落ちてきたのは城戸研ニだ。

集は城戸の方に向かい走り、光る胸に手を入れ込む。
城戸から出て来たヴォイドは白色の銃。

「後ろだ!」

ガイの声とともに集は後ろを振り返り、自分を攻撃しようとしているエンドレイブに銃を向け、放つ。

そのエンドレイブは空中へと浮かぶ。まるで重力がなくなったように。

『キリがない』

「数が.....」

うじゃうじゃとエンドレイブが出てくる。

「無駄だ。おとなしくしろ」

「クソッ!どうすれば」

その時、上空から声がする。

「シュウゥゥゥゥ!!」

いのりだ。しかも、一番上の階から飛び降りてきた。

「いのり!!」

集は雄叫びをあげながら、城戸のヴォイドをチャージする。

「間に合えぇぇ!!!」

その瞬間、この空間の重力が消えた。

集は無重力となった水を踏み台にしていのりの元へ。

そんな集を見ているとどこからか声がする。

「助けて、王様」

この声はどこから......
だが、確かに声がする。

俺は無重力となった空間を走り、その空間を抜け、一階へと侵入する。

「助けて、王様」

その声はだんだんと大きくなっていく。

曲がり角を曲った先にその声の正体はいた。
腕からは血を流した水色の長髪の少女が倒れていた。

「大丈夫、君?」

彼女を左手で起き上がらせる。

「うっ......」

「大丈夫?」

彼女は辺りを見渡してから、俺の右腕を見る。

「やっと見つけた。私の王様」

「困りますね、勝手に施設を向け出しては」

誰かの声がする。目の前を見るとそこには白衣を着た、白髪に青い目の少年。

「お願い、王様。私を助けて」

彼女の目はかなしげでもあり、嬉しげでもあるそんな目をしていた。

その時、いきなり彼女の胸の部分がいきなり光り出した。
それはまるで、ヴォイドを取り出す時の光のように。

「お願い、王様。私を使って.....壊れるくらいにメチャクチャに」

なぜだろうこのセリフどこか懐かしい。

「使わせてもらうよ。君の魂を」

その胸に手を入れ込む。

これがヴォイドの光。
偽りではなく真の"王の力"

彼女からは二本の剣。長剣と短剣の二本の剣が姿を現した。

「これは驚きです。まさか偽りの王が......まぁ、いいでしょう。今回は引き上げましょう。それでは、またいつかお会いしましょう」

少年は姿を消していった。

そして、彼女のヴォイドは俺の右腕に吸い込まれていった。

「どういうことだ、これは」




まさか、この出会いがのちに再び"ロストクリスマス"の引き金になるとは

 
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