茨の王冠を抱く偽りの王
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03.王の能力
葬儀社の作戦の次の日のことだ。
集と俺はいつものように学校に登校しいつも通りの日常を過ごしている。
あの時、集はガイの手をとった。だが、その後まさか葬儀社に協力しないと言い出した。そしてそのまま、去って行ってしまった。
六本木の事件やはりこのことが先生から言われる。
何か知っていることがあれば報告するようにだって......知ってることだらけだよ。
「えぇ、それから今日はもう一つ、このクラスに転入生があります。入って」
教室の扉が開く音とともに教室がざわめく。
俺は入ってきた転入生に驚いた。
「楪いのりくんだ」
集は思わず立ち上がる。
「嘘で...しょ」
教室ないが騒がしくなる。
ーーいのりってあの?ーーEGOISTのあのいのり!?ーーウソッ!!ーー
「ホントだよ」
いのりは少し首をかしげて言う。
その瞬間、教室がざわめく.....どころかちょっとした騒ぎだ。
まぁ、転校生ということで質問ぜめに入るのだが今回はまた別だ。
なんせ転入生は楪いのり.....EGOISTのいのり.....そして、葬儀社のいのり。
八尋が止めなければいろいろとまずかったと思う。
いのりが転校してきた騒動の夜にある出来事が起きた。
いつものように家でゴロゴロとしていると電子端末がなった。
見覚えのない番号からだ。
「はいもしもし、どちら様ですか?」
「あっ、つながった。もしもし、こちら葬儀社のものですが」
えらくテンションが高いな。
「葬儀社が俺に何のよう?」
「あれ〜?えらく、冷静だね君は?まぁ、いっか。とりあえず本題にいくよ。これから添付する地図の場所にきてちょうだい。それでは」
「おい、ちょっと待って!」
切れた。
端末に地図が届く。
「ここに来いってことか」
地図の場所へと向かった。
そこに着くとそこには、大きなガタイのいい男と小さな俺より少ししたぐらいの女の子がいる。そして、集、いのり、スーツ姿のガイがいる。
「やっと来たか、イバラ。シュウといのりは行っていいぞ」
集といのりは去って行った。
「で、ガイ、俺を呼び出して何の用だ?」
「たいしたことではない。ただ少し、おまえの右腕について気になっただけだ」
「俺の右腕に.....ね」
「そうだ、貴様に右腕には確実にヴォイドゲノムが宿っている。だが、シュウのように人の心を取り出しているわけではない。その力は、何なんだ」
少し黙り込んで俺は答えを出した。
「.......偽りの王の力」
「偽りだと?」
「これは、俺が受けた偽りの罪の王冠だ」
俺はそう言ってガイの元から去った。
次の日も事件は起きた。.....てか、これは犯罪だろ。
何もない昼休みのことだった。
八尋と一緒にそこいらをぶらついている時に颯太が電子端末を持って走って来た。
「八尋、カイ、面白いもん見せてやるよ」
「面白いもん?」
「何だよ、それ?」
電子端末には、面白いというよりかは、ありえない光景が映っていた。
なんと集が草間の胸に触っているシーンが映し出されている。
「これどういうことだよ!?」
「さぁ、シュウ本人にでも聞いてみれば。なっ、八尋.....八尋?」
「そ、そうだな」
一瞬、八尋が何かを気にしていたような.....気のせいか?
まぁ、ここまでは俺に被害はなかっただがこのあと俺も被害を受けることとなった。
昼休み、集の事件が少し落ち着いた時、それはいきなり起こった。
急に俺の右腕がうずき出す。
「まさか......あいつ!?」
「どうしたんだ、カイ?」
一緒にいる八尋が俺の違和感を感じ取る。
「う、うん、何でもない。ちょっと、用事ができたから失礼する」
俺は急いで集の元を目指す。俺の右腕がうずく時なんて集が王の能力を使った時だけだ。
俺は走り回る。走って走って走った。
そしてようやく見つけた。体育館の裏の通路で見つけた。いのりも一緒だ。
「集、やっと見つけた」
「どうしたの、カイ?」
「お前が王の能力を使うから俺の右腕がうずいてしょうがねぇんだよ」
その時、誰かの声がする。
「いた、桜満集!!」
そこにいたのは、草間さんだった。あのことでまだ起こっているのだろう。
「ヤバっ!!」
「シュウ!こっちだ」
八尋が体育館の裏口の扉を開けて現れる。
俺たちはその中へと逃げ込む。
体育館の二階へと逃げ込む。
「キツイな昨日から逃げ回ってばっかりだ」
集が息が上がった声でいう。
「葬儀社に入ってたらそんなもんじゃすまないだろ」
八尋も少し息が上がった声でいう。
ーーあれ、待てよ。何かがおかしいぞ。なぜ八尋が葬儀社のことを知ってるんだ。いや、なぜ、集が葬儀社に入るのを断ったことをしてるんだ?
「だね」
集が笑いながらいうが何かにきずいたようだ。
「委員長も、もう少ししたら頭も冷えるだろうし、そしたら謝りに行こうぜ」
「そうだね。でも、許してくれるかな?ハサミで体をちょん切られちゃうんじゃない?」
集は何を言ってるんだ?
そういえば、なぜ集は学校で王の能力を使ったんだ。普通に考えてガイに頼まれたから......。
俺は全てを察した。
「なに、昨日の映画の話?」
「前から思ってたけど、八尋の趣味ってちょっと以外だね」
「何だよ急に?」
「攻めてる訳じゃないんだ、人の中身と見た目はちょっと違うよね....."シュガー"」
少しの沈黙が起きる。
「やっぱり見られてたのか?軽蔑したか?」
「いや、何か事情があるんでしょ?八尋のことだもん、何か理由があるんでしょ?」
「うるせぇよ!!」
八尋が急に怒鳴る。
「まだ続けんのか?友達ごっこを!お前が俺をシュガーと呼んだ時点で全部終わりだろうが!悩んでるふりして善人ぶるな!お前みたいなのが俺を無害と決めつけるから俺はそういう奴で居続けなきゃならん!」
八尋が集の胸ぐらを掴む。
「俺でない誰かを演じ続けなくちゃならん!!全部....!お前のせいだ!!」
集は八尋の手を弾く。
「八尋おおぉぉっ」
集が八尋の胸に手を入れ込む。
ぐわぁぁあっ、うめき声を上げながら崩れ落ちる。
八尋から出てきたヴォイドはハサミ.......それもかなりの大きさだ。
「これが八尋の」
「決まりね」
いのりが八尋に銃を向ける。
「やめろ、いのり!!」
俺の右腕がうずき光を放つ。
その光から現れたのは、マントのヴォイド。
「どうして、彼は誘惑に負けた人クリアしておかないと驚異になるってガイが」
「おまえらに何がわかるんだよ!!八尋の何がわかるんだよ!!確かにこれまで俺たちが見てきた八尋が嘘だとしてもそれが全部嘘だったて思いたくないから、それを下ろして、いのり!!」
「カイ.....」
いのりは銃を下ろす。
「ありがとう」
俺のヴォイドは再び右腕へと帰って行った。
このあと、目を覚ました八尋と俺たちは約束をした。八尋は葬儀社のことを、俺たちがシュガーのことを誰にも話さないと約束した。
これで通じ合えた.....と思っていた。次の日までは.....
珍しく今日は集といのりと同じ電車で通学となった。
「ねぇ、シュウ、カイ、そばにいてもいい?知りたいのもっとシュウのことも、カイのこともみんなのことも」
「好きにすれば」
「別にいいぜ」
その時、電車が急ブレーキをかける。
「な、なんだ!?」
止まったのはいつもは止まることのない駅。そこには、白服の集団が。
電車の扉が開き、何でと思った次の瞬間、俺と集は誰かに押され、電車の外に出される。
電車の中で俺らを押した人物は......八尋だった。
「すまないな、シュウ、カイ」
電車はそのまま俺たちを置いて発車して行く。
「どういうこと、八尋?どういうこと!!」
「なんだよ、これ」
「桜満集君と茨壊君、あなた方を逮捕します」
紫ぽい色の髪をして右目が擬眼になっている男が俺たちにそう告げる。
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