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髑髏天使

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第五十三話 怪地その七


「インキンにしろ水虫にしろじゃ」
「それを作ればか」
「ノーベル賞を貰えるぞ」
 そこまでだとだ。牧村に話した。
「後は禿げもじゃ」
「それもか」
「インキンと水虫と禿げは人類の宿敵じゃよ」
「博士はどれも関係ないと思うが」
「それでもじゃ。その三つはじゃ」
「天敵か」
「人類のな。まさにじゃ」
 博士の断言が再び出た。
「それをどうにかできればじゃ」
「ノーベル医学賞か」
「うむ、間違いなくな」
「そこまでいくのか」
「風邪はどうしようもない」
 万病の元はそうだというのだ。
「しかしじゃ」
「他の三つはか」
「そうじゃ。どうにかなるかも知れん」
 こう牧村に話す。このこともだ。
「そしてどうにかできた者にはそれだけの価値がある」
「まあ僕達には関係ないけれどね」
「禿げとか水虫とかね」
「インキンもね」
「関係ないのか」
 牧村は妖怪達のその言葉に問うた。
「それは無関係か」
「そうだよ。だってそれ人間の病気じゃない」
「だったらね。それはね」
「ないから」
「それはね」
 こう話す彼等だった。
「まあそれはいいかな」
「その点はね」
「どれも辛い病気みたいだし」
「わしも幸いどれとも縁がない」
 また話す博士だった。
「しかしそれでもじゃ。苦しんできている者は見てきた」
 それはだというのだ。
「やはり軍とか自衛隊には多いのう」
「減らないのか、それは」
「昔に比べれば減ったぞ」
 そうだというのである。
「減ったことは事実じゃが」
「完全にはなくならないか」
「完全には無理じゃな」
「衛生の関係か」
「うむ。水虫とインキンはそれじゃ」
 まさにそれであるとだ。博士は話す。
「衛生的な問題でなるからのう」
「それとうつるのだったな」
 そうした意味で水虫やインキンは伝染病なのである。ただの皮膚病であるがそれでもだ。れっきとした伝染病になるのである。
「どちらも」
「禿げは帽子やヘルメットで頭がむれるからじゃ」
「それは髪の毛に悪いな」
「悪いぞ。むれるのは大敵じゃ」
「やはりそうか」
「むれるから髷になったしのう」
 所謂ちょん髷である。兜を被りむれるからだ。ああした髪型になったのである。
「他にも辮髪がそうじゃしな」
「満州民族のあれもか」
「そうじゃ。兜を被るからじゃ」
「暑い部分は剃るか」
「そうしておったのじゃよ。あれも髪が薄くなっても目立たん」
「それを考えるといい髪型か」
 牧村は話を聞いていてこうした考えにもなった。
「髷というのも」
「当時としては合理的であったからのう」
「そういうものか」
 牧村は話を聞きながら述べた。 
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