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髑髏天使

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第五十三話 怪地その五


「俺達二人にとっても」
「そうじゃ。魔神達は混沌の神々とは違う」
「心があるか」
「混沌の神々にも心はあるがじゃ」
 それでもだというのであった。
「その心はのう」
「俺達のものとは違う」
「そうじゃ」
 こう牧村に話すのだった。
「考えも何もかもが違う」
「混沌の心か」
「原始的な、破壊と混沌だけを望むものじゃ」
「本能か」
 牧村は混沌の神々の心をそれかと述べた。
「では奴等は」
「そうじゃ。あの神々にあるのは本能じゃ」
「本能以外にはあるか」
「ないじゃろうな」
 博士もだ。そう見ていた。
「ナイアーラトホテップは別じゃが」
「あの男か」
「あれは少し違う」
 博士は男についても述べた。
「あの男は知性がある」
「知性か」
「そうじゃ。それがある」
 こう話すのだった。
「他の混沌の神々と違いじゃ」
「そういえばだ」
 牧村もそこからあることがわかった。
「あの男には確かな知性があった」
「そうじゃろう。あるな」
「ある。だが他の混沌の神々はだ」
「やはり本能だけじゃな」
「喋り方にも出ていた」
 まずそこにであった。
「少ない言葉でだ。戦い方もだ」
「本能によるものじゃな」
「他にはない。力は強いが」
「原始的じゃな」
「魔物には知性があったがな」
「魔物は武器も使ってきたな」
「そして戦術もあったからな。だが、だ」
 牧村の言葉は続く。さらにだ。
「あの神々はただ。暴れるだけだ」
「そこじゃ。自然の様じゃな」
「自然か」
「そうじゃ。自然じゃ」
 博士の言葉が続く。
「あの神々は自然の存在なのじゃよ」
「原始は自然か」
「少し違うがそうじゃな。そこに文明はないのじゃ」
「そうそう、僕達はね」
「魔物もだけれど」
 また妖怪達が話してきた。
「文明とも近いからね」
「知性ともね」
「近いのか」
「近いよ」
「妖怪も自然の具現化だけれど」
 それも妖怪だ。しかしなのだ。
「けれど。混沌とはまた別で」
「世界を破壊しようというのじゃなくて世界と遊ぶ」
「それが僕達だからね」
「遊ぶ対象には文明もあるか」
「そうだよ。現にさ」
「都会にいる妖怪もいるじゃない」
「僕とかね」
 ここで出て来たのは豆腐小僧だった。
「僕は雨の日にこうして人に豆腐を差し出すじゃない」
「町でもだな」
「そうだよ。町でもね」
 その都会にだというのだ。
「それでこの豆腐を食べたら」
「駄目か」
「食べてみる?」
 豆腐小僧は悪戯っぽく笑って牧村に言ってきた。
「よかったら」
「いや、いい」
 本能的にだ。彼はそれを悟って断った。
「その豆腐はな」
「ああ、わかったんだ」
「只の豆腐ではないな」
「うん、実は食べるとね」
 豆腐小僧は悪戯っ子そのものの笑みで述べてきた。 
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