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ハッピークローバー

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第百五十八話 デマコーグその七

「酸っぱいしね」
「そうよね」
「けれど臭くないから」
 そこは違うというのだ。
「剣道部の小手の匂いよ」
「あんた空手部じゃなかった?」
「クラスメイトで剣道部で仲いい娘いるけれど」
「その娘の手が臭い時あるのね」
「小手のせいでね」
「小手ずっと付けて汗かくしね」
「それで何年もだから」
 剣道の防具を洗える筈がない、時折日干しをする。
「もう匂いはするわ」
「そうよね、だからね」
 それでというのだ。
「その小手の匂いがね」
「納豆の匂いね」
「そうよ、何度も言うけれどその臭さは」
「えげつないのね」
「ウォッシュチーズ以降にね」
「私が苦手な」
「そうよ」
 あくまでこう言うのだった。
「そのチーズ以上だから、ちなみにね」
「ちなみに?」
「ウォッシュチーズ好きな人もいるから」
「欧州だとよね」
「ナポレオンさんだって好きだったし」
 それで寝ている彼にこのチーズを近寄せてその匂いで起こそうとした逸話もある、この時彼はチーズの匂いを皇后ジョセフィーヌの体臭と勘違いしたらしい。
「ピョートル大帝もよ」
「ロシアの」
「あの人もね」
「好きだったのね」
「毎日みたいに食べていたそうよ」
「あのチーズを」 
 理虹は信じられないといった顔で言った。
「臭いのに」
「お酒にも合うのよ」
「ワインとかと」
「そうよ」
 中国の娘は笑って話した。
「あのチーズはね」
「信じられないわね」
「というかあのチーズでもよ」
「納豆よりましなのね」
「臭い豆腐も臭いけれどね」
 自国の食品の話もした。
「あれもね」
「滅茶苦茶臭いわよね」
「けれどよ」
「納豆の方が臭いのね」
「しかも糸まで引いてて変色もしてるし」
 このこともあってというのだ。
「食べるのには勇気がいったわ」
「けれど食べると悪くないでしょ」
「結構美味しいわね」
「そうでしょ、私もそう思うし」
 理虹にしてもというのだ。
「ご飯にも合うしね」
「日本のご飯にね」
「ああ、ジャポニカ米ね」
「日本ってお米違うから」
 中国の娘はこちらの話もした。 
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