故郷は大空にあり
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第二章 ミッションEX : 肩にある傷
第十九話 詐欺
「もうすぐ長野に着く。準備をしておいてくれ。」
早めに出発したこともあり、あたりは真夜中だった。
冬ということもあり、あたりは少し肌寒い。厚着しているので、寒くは無いが。
「うーん…提督、もう着くの~」
「うん。準備をしないと。」
「う~…分かった」
ハーネス等装備をしっかりと付け、準備を行う。
カッチャン。
キーン。
コッキングの音が、綺麗な音を奏でる。
しっかりとマガジンを入れ、準備をする。
「側面扉を開けてくれ!」
ガラガラ。
側面扉を開け、冷たい空気が流れ込んでくる。
「思ったより風が強いからな、気をつけろよ。」
ロープを垂らし、カラビナを装着、降下。
それを繰り返す。
「提督はヘリを一旦地面に近いところで降ろす。少し待ってくれ。」
地面に近いところまで降下する。
「くっ…ほっ」
地面に近いところで降ろして貰ったとはいえ、数mはある。
4点着地で、しっかりと着地する。
バラララララ
ヘリが飛び立っていく。
しばらく上空旋回をしていたと思ったら、正面から現れた。
いつの間にか、ミニガンが着いており、それで制圧射撃を行うつもりなのだろう。
«制圧射撃を行う。遮蔽に隠れてくれ。»
みんなが遮蔽に隠れるが、私には特に遮蔽がない…
走るしかないけど、走ったら敵に見つかる!
「提督!危ない!!」
遮蔽からF/A18が飛び出し、盾を展開した。
プシューと音を立てながら展開したあたり、ガス圧なのだろう。
とてもこれで弾幕を防げるとは思えないのだけど、F/A18がこの手段を取った以上、
それ相応、それ以上に頑丈なのだろう。
«制圧射撃を開始するぞ。»
バララララララ…ダダダダダダダダ!!
重い金属音が、辺りに響き渡る。
弾丸は雨のように飛来し、敵を殲滅していく。
F/A18の盾は、しっかりと銃弾を弾き返していた。
«制圧射撃…完了した。»
「ふぅ…」
ゆっくりと立ち上がり、当たりを見渡す。
穴がそこら中に空いていて、驚く。
とても、あの一瞬では…と思ってしまったが、
ミニガンの制圧力を前には、こんなのは通常なのかもしれない。
«サーチする限り敵は居ないぞ。確認してくれ»
ヘリが上空旋回を初め、当たりを見渡す。
特に目立ったような敵は居ないようだ。
あの掃射で全て片付けたとは言いづらいだろう。
どこかにいるはず…
「F-2、ヘリで広範囲サーチできる?」
«できるけど…時間かかるぞ。»
「別に構わないよ。頼む。」
«あー…了解したよ。その間、支援には行けないからな。»
「承知の上で言っているよ。」
へりがゆっくりと飛び去っていく。
敵がいるとするならば、私ならこのタイミングで襲う。
敵の意図が分からない以上、慎重な行かないといけない。
「提督、小話でもしない?」
「ここで小話してたら、危ないよ?」
「分かってるよ。」
私の手を引っ張り、遮蔽に隠れる。
ショットガンをしまい、地面に座る。
F/A18は、さっき倒した敵の武器をゆっくりと見せつけてきた。
マーク。このマークが何を示しているのかは分からない。だが、こう書いてある。
『cold and cruel』
何故か見覚えがある。
頭の中にあるようなものが。
「冷酷で残酷…見たことがある。たしか、軍事系会社。」
マークには、スナイパーライフルのものと思われる銃弾が一発。
バッジを撃ち抜くように書かれている。
「たしか大本営に物資を届けてあった気が…なぜ?」
大本営に色々な軍事支援をしていた会社。
深海棲艦にこの武器を届ける意味もわからないし、
なぜこの会社が?
「……裏切り者ってこと?」
F/A18が口を開く。
小さい声が、何故かよく響いた気がした。
「そうなのかも…しれない」
肯定する。そうとしか思えない。
それ以外のことが思い浮かべれなかった。
«広域サーチ…完了したが、敵はいないぞ。»
「居ないのか…みんな、今日は一旦攻撃中止しよう…話がある。私と…提督」
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