金木犀の許嫁
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第四十九話 忍者の水泳その五
「今お話した通りに」
「そうだったんですね」
「はい、そして今もです」
「飼っているお家が多いですね」
「犬でなければ猫を」
こちらの生きものをというのだ。
「飼っています」
「猫もいますね」
「はい、当然忍猫もいません」
忍犬が実際にはいない様にというのだ。
「これが」
「やっぱり忍術は仕込めないですか」
「その様で」
猫にもというのだ。
「そうです」
「そうですか」
「はい、ですが猫も働いてくれるので」104
この生きものもというのだ。
「鼠を捕ってくれます」
「鼠ですか」
「犬は番犬になり」
「猫は鼠を捕まえる」
「そしているだけで」
犬も猫もというのだ。
「癒しになります」
「心のですね」
「ですから」
「家族にいるといいんですね」
「そうです、厄介な家族よりもです」
「犬や猫はいいですね」
「左様です」
幸雄は白華にそうだと答えた。
「そこにいるだけでもいいのです」
「番犬や鼠を取らなくてもですね」
「猫は鼠を捕まえずとも」
それが役割にしてもというのだ。
「いるだけで。鼠の天敵なので」
「猫がいるだけで7鼠はなくなります」
「そうなんですね」
「ですから」
それでというのだ。
「いるだけでもです」
「いいんですね」
「そうです」
まさにというのだ。
「犬も猫も」
「そうですか。私はどちらの生きものも好きですが」
「そうだね」
佐京は妹の今の言葉に頷いた。
「白華はそうだね」
「はい、生きものならです」
それならというのだ。
「何でもで」
「だからなんだ」
「犬も猫もです」
「好きだね」
「はい、ですから」
ここでだった。
白華は一呼吸置いた、そうしてそのうえで自分の兄に対してわからないといった顔でこんなことを言った。
「自分以外の生きもの皆大嫌いという」
「そんな人もいるね」
「そんな人のことがわからないです」
「俺もだよ」
佐京もだった。
「極端なエゴイストかな」
「自分しかない」
「それでね」
兄はさらに言った。
「物凄く攻撃的な」
「そんな人ですか」
「多分ね」
こうも言った。
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