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金木犀の許嫁

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第四十九話 忍者の水泳その四

「軍用犬や警察犬はありますが」
「忍犬はですね」
「実際にはいない様です」
「そうですか」
「忍術はまた別ですから」
「軍隊や警察とはですね」
「ですから」 
 そうであってというのだ。
「いない様です」
「少なくとも真田家ではいないですか」
「はい、ただ犬は飼っていた家が多く」
「今もですか」
「多くの家が飼っています」
「犬は番犬になりますので」
 白華が言ってきた。
「ですから」
「いる家が多いのね」
「はい、今猿飛家はいませんが」
「そういえばそうね」
「私達が子供の頃はいました」
 犬がというのだ。
「二十歳になるまで」
「二十歳なの」
「はい、お爺さんでしたが」
 そう言っていい年齢だったがというのだ。
「大往生の間際まで元気でした」
「元気なワンちゃんだったのね」
「そうでした、茶色の柴犬で」
「いい奴でした」
 佐京も言ってきた。
「優しくて頭がよくて」
「それでよく気が付いて」
 白華はこのことも話した。
「とてもいい子でした」
「そうだったのね」
「名犬でした」
 白華は笑顔でこうも言った。
「とても」
「二十歳まで生きてなの」
「そうでした」
「じゃあお二人にとては」
「今もよく覚えています」
 また佐京が答えた。
「俺達が生まれる前からうちにいて」
「私達の家族だったんです」
「お祖父さんみたいでした」
「祖父母は皆健在ですが」
「そうだったの。そんなお話聞いたら」
 真昼は羨ましがる様な顔とと声になって述べた。
「犬も家族にいたらって思うわ」
「そうよね」
 夜空が横から頷いた。
「お話聞くだけでね」
「そうよね」
「何処となくね」
「犬っていいわね」
「賢くてね」
「飼い主にも懐いて」
「だからね」
 こう妹に言った。
「確かに番犬にもなるし」
「いいわね」
「若しうちに来たら」
「有り難いわね」
「薩摩でも長い間です」
 幸雄も言ってきた。
「それぞれのお家で、です」
「番犬としてですね」
「飼っていました」
 そうだったというのだ。 
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