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ハッピークローバー

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第百五十五話 他人の幸せその二

「お話するけれど」
「それでもよね」
「他のチームが優勝しても」
「素直にお祝い出来る」
「そうでありたいし」
「喜べたらね」
「その分ね」
 まさにというのだ。
「いいわよね」
「そうよね、ほらよくあるのは」
「何?」
「いや、他のチームが優勝したら悔しいとか」
「ああ、嫉妬する」
「そうした人いるけれど」
「巨人じゃないといいでしょ」
 ここで理虹が言ってきた、今も五人一緒でいる。
「もうね」
「そうよね」
 一華も確かにと頷いた。
「巨人が優勝しなかったらね」
「阪神が優勝しなくてもね」
「素直におめでとうって言えばいいわよね」
「それならね、何かね」
 理虹は嫌悪感を露骨に出して言った。
「昔の巨人ファンでね」
「今じゃ殆どいないわね」
「十二球団で人気ダントツ最下位だからね」
「弱いし不祥事ばかりだし」
「いいところ何もないチームだから」
「人気も最下位よね」
「けれど昔は多くて」 
 理虹は忌々し気に言った、かつては巨人軍大鵬卵焼きが子供の好きなものであった、それだけ当時の子供が善悪の区別がつかなかったということか。
「巨人以外のチームは全部憎いとかね」
「そんなカルトみたいな人いたの」
「そうだったのよ」
 これがというのだ。
「だから巨人以外のチームが優勝したら」
「怒ったの」
「そのチームが乗ってる飛行機が落ちろとか言ってね」
「最低ね」
「そんな風だったのよ」
「まさに巨人真理教ね」
「そうそう、そんな感じで」
 まさにというのだ。
「もうね」
「酷い奴いたのね」
「けれどそんなね」
「他のチームの人達の幸せ喜べないなら」
「さもしいわね」
「かなりね」
 一華も実に嫌そうに述べた。
「そうよね」
「スポーツでもね」
「他の人達の幸せお祝い出来たら」
「それだけ自分もいい気持ちになれて」
「幸せよね」
「お姉ちゃん言ってたわ」
 富美子も言ってきた。
「他の人の幸せは祝うもので」
「嫉妬するものじゃないわよね」
「隣の人がステーキ食べても」
 富美子はさらに言った。
「自分がインスタントラーメン食べて満足してたらね」
「美奈代さんそれでいいわよね」
「それでいいじゃないってね」
「あんたにも言ったの」
「そうなの、確かにね」
 富美子は一華に話した。
「実際にね」
「その方がいいわね」
「ええ」 
 まさにというのだった。 
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